Daily-EROtic あかり

12/21
「浩之さん〜」
「おっ、マルチ」
 道の向こうから駆けてくる小柄な姿に、浩之は軽く手を上げる。
「マルチちゃん、久しぶりだね」
「はぁっ…あかりさんも、浩之さんも、お久しぶりです」
 買い物カゴを手にしたまま、大きく息をついてマルチが微笑んだ。
「マルチ、買い物か? ってことは、どこかの家でメイドロボやってんのか?」
「はい、この近くにあるお家で働かせて頂いています。来栖川エレクトロニクスに関係がある方らしくて、試作型の私を引き取ってくださったんです」
「良かったな」
「はい、とっても嬉しかったですっ」
「マルチちゃん、学校にいる時もお掃除頑張っていたし、きっとそのお家の人みんな喜んでるよ」
「い、いえ…まだ失敗ばかりで、もっとちゃんとやらなくちゃ…いけないんですけれど…」
「大丈夫だって、マルチ。頑張っているってことがみんな分かれば、その内ご褒美ももらえるようになるだろ」
「…は、はいっ…浩之さん…」
 マルチが買い物カゴの取っ手をぎゅううっ…と握りしめながらうなずいた。
「じゃあ、俺達はこれから俺んち行くから。マルチ頑張れよ」
「じゃあね、マルチちゃん」
「はい」
 返事すると同時に、浩之とあかりはマルチの来た方へと歩いていく。
 制服を着たまま手をつないだ二人は、理想的な恋人同士のように見えた。


 がさっ、がさっ…
「………」
 数分後…浩之達と会った道からすぐ近くの公園に、マルチの姿があった。
 そこそこ大きい公園、平日で太陽もほぼ落ちかけた時間帯。その隅にある、塀の脇の茂み。ちょっとマルチが身を屈めれば、ぽつぽつと通りかかるペットの散歩の人間からも殆ど見えなくなってしまい。そもそも、そんな所に人影があるなどと考えないだろう。
 がさっ。
 そしてマルチが落ち葉の上に買い物カゴを置き、腰を落とすと…音の上からも、マルチの存在はキレイに隠蔽されてしまう。半分つま先立ち、脚を開いた状態の少々はしたない座り方も周りの目からは隠れてしまった。
 マルチは、そうっと自分の紺色のスカートに手を伸ばし…それを、お腹の方にめくり上げていく…
 その下に見える真っ白なショーツは、同じく白の長いストッキングと合わさってマルチの純粋さを示しているように見えた。たとえそれが、開発者の意向によるセレクトであったとしても…
 だがマルチが逆の手でショーツをずり下げ始めると、その純粋さは一転して淫靡な装いを帯び始める。
「(あ…)」
 マルチはそこに指を滑り込ませると、口をほんのわずかに開いて声無き声を出した。
 くっ…くにゅっ、くにゅ…
 少しずりさげられたショーツから見える無毛のスリットを、なぶるようにして指が這い回っていく。そしてある瞬間、マルチのちいさな指がするっ…とスリットの内側に入り込む。
「はぅ…」
 マルチはその一点に刺激が加わった瞬間、ピクリと硬直して熱い息を漏らしていた。
 くりゅっ、くりゅっ…くりゅ…
「あっ…あ…あ…」
 その幼い突起を触り立てながら、マルチは心地よさそうな声を出す。
「んっ…んん…」
 だがしばらくするとマルチは指を止め、買い物カゴの中に手を入れて何かを探り始めた。
 まだほとんどカラッポのそのカゴからマルチが取り出したのは、赤いボールペン。買い物のメモをするためにマルチが持ってきたものだった。
 マルチはそれを書くときとは逆向きに持ち、半脱ぎのショーツへと近づけていく。どうやら、指だけではガマンできなくなってしまったらしい…
 …くち…
 ショーツをボールペンの柄でさらに下げ、潤いを帯び始めたそこへと細いペンを侵入させていく。
 ぐりゅ…ぐりゅっ、ぐりゅ
「あっ…はぁぁっ…!」
 細くて固いそれが膣内をこすると、マルチは惚けた顔になって喘ぎ声を漏らした。
 ぐりゅ、ぐりゅ…ぐりゅ
「ん…ひ、浩之…さん…」
 あの高校で過ごした2週間。浩之が一度「ご褒美」をくれた時の事が思い起こされてしまう…
 そんな事はとっくの昔にメモリーの隅に追いやられていたのだが、今日突然浩之に会ってしまった事で、しかもあかりと自分の家に行くと言っていた事で、あの記憶が一気によみがえってきてしまったのだ…
「んっ…んっ…あむぅっ…」
 マルチはスカートを口元まで持ち上げてきて、くわえる。それによって自由になった手を、再度クリトリスへの刺激に用い始めた。
 ぐりゅっ、ぐりゅ…くちゅくちゅ
 二箇所の同時の刺激に、マルチの官能は一気に膨れ上がっていく。指を動かすピッチも、どんどん膨れ上がっていく。
「あっ…ああーっ…」
 マルチが切なそうに目を閉じた。
「……マルチ、イキそうなのか?」
「…っっっ!!? だっ…誰ですかぁっ!?」
 マルチはパッ! と手を秘部から離して、声を上げる。スカートが、必死に行為を隠そうとしているかのようにぱさっとマルチの下半身を覆っていく。
「なかなかマルチもエッチだよな。こんなトコで、一人でしてるなんて」
「はわっ…わわっ!? ひ…浩之さんっ…あ、あかりさんまでっ…!?」
「………」
 そう、あかりもいた。隣の茂みに二人がいつの間にか来ていたのに気づかなかったのはマルチの不用心さのせいだろうが、マルチは顔中を驚きで満たす。
「んっ…んふぅ…」
「あかり…さん…」
 さらに、あかりが浩之の股間に顔をうずめて敬虔的に頭を動かしている事が、マルチの驚きを頂点にまで上りつめさせる…
「コイツ、フェラは滅茶苦茶上手くてな。俺も、もう出しちゃいそうなんだ」
「ひ…浩之さん」
「だけど、いつもいつもあかりの口の中ってのもなんだからなぁ。せっかくマルチのオナニー見て興奮できたんだし、今日はマルチにしてもらってもいいかと思ってるんだよ」
 ぐぐ…
「んうっ…んんっ! ひ、浩之ちゃん…そんなっ…」
 浩之があかりの頭を押して無理矢理に離させると、あかりは不満を顔に見せる。
「いいだろ? あかりはいつでも飲めるんだから」
「で…でも」
「マルチ、こっち来いよ」
「………はい」
 浩之の声に、マルチはうなずいていた。
 立ち上がった瞬間、透明な液体に濡れたボールペンがぽとっと落ち葉の上に落ちる。しかしマルチはそれを気にせず、そろそろと浩之達の方に歩み寄っていった。落ち葉の上を歩くのだから完全に無音というわけにはいかないが、出来る限り音を殺して浩之の所までたどりく。
「マルチ、くわえろ」
「はい」
 目の前に突き出された、唾液にぬめった怒張をマルチは愛おしい物のように下から見上げる。
 あの学校にいる時に、こうする事を全く夢見なかったわけではない。それでも、メイドロボという立場によってそこまで行くことは出来なかった。そして今日も、浩之とあかりの関係に配慮してマルチは自ら慰める事で済まそうとしていた。
 しかし、浩之が自ら言ってきたのなら話は別である。ロボットは、人間の言うことに逆らう事があってはならない。
「マルチちゃんっ…」
 あかりが自分を呼ぶ声を引き金だった。マルチは、丸く開いた唇で浩之のペニスをくるみこんでいく。
 ちゅぷっ。
「んっ…んふぅ…」
 マルチは口の中を圧迫する大きな肉棒を、ぺろぺろと舌で撫で回した。味覚が存在しないだけに、どれほど大胆な動きも全く苦痛にならない。全部は口に入りきらなかったが、透明な雫をにじませている先端部分を中心に舌で懸命に愛撫する。ちゅうちゅうという音を立てながら吸ったり、口を上下に動かしてしごいたりする事も忘れない。
「あかり、マルチのあそこを触ってやれ」
「えっ…」
「しろよ」
「………」
 命令されたあかりは、ますます顔に不満を浮かべていた。もう嫉妬と言ってもいいかもしれない。
 しかし、浩之に対して逆らう言葉を述べることはしなかった。あかりはマルチの方に少し近づいてスカートをまくり上げると、下がりっぱなしになっていたショーツをさらにずり下げて指を使い始める。
「んんん…」
 マルチは再び加わり始めた自分の体への刺激に目をとろんとさせたが、浩之への奉仕はゆるめる事がなかった。あかりがマルチの突起を執拗にこすり立ててくる快感を覚えながら、浩之を気持ちよくさせるという快感に酔っていく。
「…出すぞ…」
「んっ、んっ」
 マルチは、口をじゅぽじゅぽと大きく前後させる事でそれに応えた。
 その時ちらっと視界に入ってきたあかりは…さっきマルチがしていたように、自分の指で自分の秘部を慰めている。マルチのクリトリスを愛撫しつつ、自らの同じ所も愛しているようだった。
 ちゅぽっ、ちゅぷ…
 まるでメイドロボのような、その報われないあかりの姿が、マルチを奇妙な恍惚に包んでいく。
「マルチっ、イクぞっ…」
「んんっ!」
 浩之はマルチの口の中から一気にペニスを引き抜く。
 びゅぐっ…びゅっ、びゅ…びゅっ。 びゅ…びゅ
「んっ…んふぅ…浩之さんの…熱いです…」
 マルチは呆然とした笑みを浮かべながら、顔面に浩之の放った精を受け止める。みるみる間にどろりとした液体で汚れてしまったその顔は、この上なく幸せそうに見えた…
「あかり、マルチの顔に掛かったのを舐めてやれ」
「ひ、浩之ちゃんっ…!」
 あかりは、はっきりと怒った表情を浮かべる。
「お前、結構独占欲強いみたいだな」
「ど、どくせんよく…って…だって、浩之ちゃんと私は…」
「しないって言うんならいいぞ。さっさと行けよ」
「…ひ、ひどい…よ…」
 あかりの目に涙がじわりと浮かんだ。
「あ、あの、あかりさん…私…その…」
「マルチ、二回戦だ。服を全部脱げ」
「ま、待って…! 浩之ちゃんっ…」
「どうした? あかり」
「す、するから…お願い…わ、私にして…」
「……ま、ちゃんとできたらあとで考えてやるよ」
「………」
 あかりは涙も拭わずに、マルチの顔に唇を近づけていく。
 ちゅる…ちゅっ…ちゅる
 そして、頬の辺りについた精液から少しずつ舐め取っていく。
「ん…あ、あかりさん…」
 マルチは片目を閉じ、少しくすぐったそうな顔をしながらあかりのキスの柔らかさを感じていた…



12/17
「や、やだ、浩之ちゃん、これ何なの…?」
「別にイヤな匂いじゃねーだろ?」
「………」
 あかりは浩之の差し出した小瓶に顔を少しだけ近づける。
「何の匂いがする?」
「桃みたいな…匂い」
「だろ」
「で、でも、匂いだけじゃ…」
「つべこべ言わずにいっぺん飲んでみろよ。毒だったら飲ませようなんて俺も思わねーって」
「……それは…そうかもしれないけれど…」
「ほら」
 あかりの声が少し弱々しくなった所で、浩之はぐいっとあかりの手の平に瓶を押しつける。
「…少しだけ…少しだけだよ…?」
「ああ」
 あかりは劇薬でも扱っているような慎重な手つきで、キコキコとコルク栓を外した。
「………」
 栓の空いたその瓶を、あかりは口元まで持って行く。そして瓶の上の辺りの空気を手で扇ぎ、改めてその匂いを確かめていた。
「さ、一気にいけよ」
「す、少しだけだからね」
 あかりは瓶を口にぴたり…と当てる。その状態から、少しずつ瓶の角度を傾けていく。
 中に入った透明な液体は、それに合わせて瓶の口の方にさらりと移動していった。それが表面張力でとどまっている状態になると、あかりはますます慎重に瓶を傾けていこうとする。
 …ぐぐっ!
「ああっ!?」
 その時、不意に浩之が瓶の底を手で突いた。
 びしゃっ!
「んんっ!」
 意識を完全に瓶だけに奪われていたあかりはとっさに反応できず、思い切り瓶の中身を浴びせかけられてしまう。口の中にもだいぶ入ってしまったし、制服の胸元からも液体が染み込んでいった。
「ひっ…ひどいっ…浩之ちゃんっ…!」
「お前がぼーっとしていたからな」
「そ、それで、これって何だったの…?」
 舌の上で甘ったるい液体を転がしながら、あかりは訊く。その口当たりの良さからか、あかりは口の奥に入ってしまったぶんを躊躇無く飲み込んでしまっていた。
「それはな…」
 浩之はすぅっとあかりの身体に手を伸ばす。
「えっ…ひ、浩之ちゃん…きゃっ! だ、だめっ!」
 胸の膨らみに手を伸ばしてきた浩之から、あかりは慌てて逃げた。昔からの仲とは言え、もう高校生の男女なのだ。冗談で済まされることと済まされない事がある。
「だ、だめだよ…そんなの…」
 あかりは、小瓶の液体に濡れた胸元をぎゅっと抱き締めながら言った。
「イヤなのか?」
「イ、イヤとか…そういうのじゃなくて…そういうのって、恋人と恋人になった人達がやることじゃないかな…」
「………」
「ひ、浩之ちゃん…お、怒ってるの…?」
「いや、別に」
「そ、そう…それなら…いいんだけれど…」
 あかりは浩之の顔をうかがいながらつぶやいた。
「ねぇ、お勉強の続き…始める?」
「違う方のお勉強ならな」
「ひ…浩之ちゃ…ん…っ…?」
 その時、ぐらっとあかりの意識がゆらめく。
「え…あっ」
 あかりは倒れ込みそうになり、慌ててタンスに寄りかかった。
「そろそろ利いてきたか?」
「な、なんなの…? あれ、お薬なの…?」
「そうだな」
「な、何のお薬…なの…?」
 言いながら、あかりの顔がどんどん赤みを増していく。タンスに寄りかかった身体も、いつ倒れてもおかしくなさそうに力を失いつつあった。
「もうわかってんだろ? しらばっくれるのやめよーぜ」
「わ、わかんないよ…浩之ちゃんっ…」
「身体がジンジンするだろ?」
「し、してる…」
「あそこが熱くなって、濡れてきてるだろ?」
「…えっ!?」
「見せてみろよ」
「い、いやあぁっ…」
 あかりは近づいてくる浩之に震え上がった声を出すが、タンスにしがみついているのが精一杯で動くことが出来ない。
「よっ…と」
「ああっ…お、お願い、浩之ちゃん…やめて…」
 スカートのホックを外そうとする浩之に、あかりは懇願する。しかし浩之は全く構わず、無抵抗のあかりのスカートをずるっと引き下ろした。
「い、いやっ…!?」
 下ろされたのはスカートだけではない。ショーツも一緒に引き下ろされていた。その一足飛びの露出に、あかりはただ動揺する事しかできない。
「ほら…濡れてるじゃんか」
 くちゅっ…
「あああっ!」
 浩之があかりの秘裂を開いた瞬間、粘っこい音がする。確かにそれは、そこまで垂れてきていた小瓶の液体だけではなさそうだった。その液体が引き出した、あかりにとっても初体験の生理的反応が示されているように見える。
「あかり、ココ触ったことあんのか?」
 つんっ。
「うんんっ…!?」
 浩之が粘膜の中の一点を突いた瞬間、電流のような衝撃があかりの身体を走り抜ける。
「あっ…あ…」
 くてん、とあかりは床の上に尻餅をついてしまっていた。そこへの刺激で、タンスにしがみつく力さえも失ってしまったらしい。
「あかり、それは別の薬を飲まないと絶対に治らない。そのまま嫌がっているだけだったら、いつまで経っても帰れねーぞ?」
「…そ、そんな」
「どうだ? ヤル気になったか?」
 にやっ、と口の端を歪めながら浩之はあかりに迫る。
「………浩之ちゃん…」
「なんだよ」
「…わかったよ…わかったから、浩之ちゃん…」
 あかりはすっと肩の力を抜いて、眼前にまで迫ってきている浩之を見つめ返した。
「優しくしてくれたら、私も…いいよ」
「……おいあかり、改まって何言ってるんだ?」
 目を何度かしばたたかせてから、浩之が言う。
「浩之ちゃんだったら、私もいいから…後悔、しないから」
「………」
 目を潤ませてぽつぽつと言うあかりに、浩之は毒気を抜かれてしまった。ボリボリと頭を掻いてから、わざとらしいため息を吐き出す。
「…よくわかんない奴だよな、お前って」
「…そう?」
「するって言ったんだからな。もう俺はやめねーぞ」
「いいよ」
「なんでもするのか?」
「…うん」
「じゃあ、俺のを舐めてくれって言ってもするのか?」
「………いいよ」
 あかりは少しの間を置いてから、しっかりとうなずいた。
「でも、このままじゃ身体が動かないよ…」
「ちょっと待て」
 浩之はシャツをばっと脱いでしまうと、自分のズボンに手を掛けて、トランクスとまとめて引きずり下ろす。三秒の後には、浩之は裸になってしまっていた。
「持ち上げるぞ」
「え…」
 浩之があかりの腕をぐいとつかむと、あかりは多少の不安を顔に出す。
「…よっ」
 あかりの身体は華奢とは言え、力が抜けきっている状態では起こすのにもそれなりに力がいる。しかし浩之はあかりの腰の辺りにも手を回し、何とかムリな力を掛けないで起こす事に成功した。
「あっ…」
 そしてそのまま、あかりの身体を抱えながら後ろの方に倒れていく。あかりは身体が宙を移動する感覚に多少の恐怖感も覚えたが、浩之の身体の落ちていく所にちょうど大きなクッションがあるのを見て安堵した。
 ばふっ。
「………」
 折り重なるようにしてクッションに倒れ込んだ二人。その衝撃であかりの身体は少し跳ね飛んで、上手い具合に浩之の股間の所へと顔が移動した。
「あっ」
 浩之のペニスが、目の前に飛び込んでくる。あかりはさっきからチラチラと見えていたはずのそれを見ただけで、かーっと顔を赤くした。すっかりそれの存在が意識から飛んでいたようだ。
「するんだよな?」
「うん…」
 あかりは顔だけをずりずりと動かして、その怒張を何とか口の中に含もうと努力する。手が使えないだけになかなか入っていかなかったが、あかりはペニスの表面を唾液でべとべとにしながらも何とかそれをくわえこむ事に成功する。
 ちゅぼっ、ちゅぼっ
「………」
 先端部分をくわえて舐め転がしてくるあかりの事を、浩之は沈黙して見守っていた。ただ舌を使ってぐにぐにとこねるように刺激しているだけだが、全く初めての行為のはずなのに臆さずこなす事が出来ているというだけでも驚きである。イヤそうな素振りを見せることすらなく、あかりは浩之のペニスを黙々と愛していた。
 ちゅぼ、ちゅる…くちゅっ
 舌だけで行われる刺激はやや大味で繊細さに欠けたが、浩之の快感は徐々に膨れ上がっていく。腰の辺りが、ジワジワと痺れてくるような気がしてくる。
「…あかり、もういい」
「んっ…」
 浩之が言うと、あかりは少しためらってからペニスを離した。苦労して口の中まで導き入れたそれに、自然と愛着が湧いてしまったのかもしれない。
「動くぞ…」
 そう言いながら浩之は下半身をずらし、あかりの身体の下から抜け出した。そして立ち上がると、俯せになったあかりの身体をつかんで横にごろんと転がす。クッションからずれたあかりの身体は、床の上にそのまま仰向けの状態で横たえられる。
 そこに、浩之はのしかかっていった。
「…浩之ちゃん」
 姿勢を二転三転させられても、あかりの純粋に浩之を求める瞳は変わっていない。
「………」
 浩之は何とも言葉を返す事ができず、直接的な行動に出ていた。
「あ」
「力抜いてろよ」
 ペニスを秘裂の中に埋め込みながら、そこを指で広げて状態を確認する。綺麗なピンク色をしたその部分は、うっすらと潤いを帯びていた。全く性感に無縁であったはずのあかりが、無刺激に近い状態から濡れることができているのだ。芹香の調合した薬の効き目は相当の物であるようだ。
「うん、浩之ちゃん…入ってきて」
「痛ぇぞ? 我慢してろよ」
「大丈夫だと思うよ…浩之ちゃんのなら」
「こんなの、誰のだって同じだ」
 半ば吐き捨てるように言いながら、浩之はぐぐっと腰に込めた力を強くしていく。
「あ…!」
 あかりの媚肉のほんのわずかな隙間をぐりぐりと突き回している間に、そこを押し広げながらペニスの先端がずぶっと入っていった。
「んっ…あ…」
 ずず…ず…ずずず
「痛いんだろ? ムリそうだったら言えよ」
 浩之はあかりの事を気遣う台詞まで言う。意地悪な思いつきから始まった計画は、だいぶ方向修正させられているようだった。
「平気…もっと、入ってきていいよ…」
「今、入れてるとこだろ」
 ずずっ…ず…
「…そうだね…」
 あかりは少し微笑みながら言う。激痛を感じてどうしようもないという事はなさそうだ。
 ずず…
 コツ、とペニスの先に固い物が当たってくる。
「ここが一番奥か」
「うん」
「動くからな」
「いいよ、浩之ちゃんが気持ちよくなるように動いて」
「…本当にそうするからな」
 ずずっ…
 粘液でぬめりを帯びた狭い部分。浩之はそこを慎重にバックしていく。
 …ずず
 そして、同じくらいのスピードでまた挿入していく。
「もっと、速く動いてもいいのに…」
「お前がすごい締め付けるからな。これくらいじゃないと動けねーんだよ」
「本当?」
「ホントだ。余計な事考えずに、あかりは痛みをガマンしてりゃいいんだよ」
「いやだよ…浩之ちゃんの、もっとたくさん感じたいもん…」
「はぁ…お前の言ってる事、ウソかホントか全然わかんなくなってきた…」
「本当だよ、全部…」
「…わかったよ」
 ずずずっ…
 浩之はまた慎重な動作であかりの中を動き始める。
「ふぅ…」
 あかりはそれに合わせて呼吸していた。その吸って吐いてのリズムに、段々浩之の動きが合ってくる。どちらがどちらに合わせたのか定かではなかったが、二人のリズムは徐々に合一し始める。
「んっ…はぁ…んっ…はぁっ…」
 緩慢極まりない抽送ではあったが、その狭い中を延々と移動しているだけでも浩之は少しずつ追いつめられていった。
 ずぽっ…
 数分も経ったろうか、浩之はそこで一気にペニスをあかりの中から引き抜いてしまう。
「あ…」
「このままじゃあかりの中に出しちまうからな。終わりにしとこう」
「ねぇ、浩之ちゃん」
「なんだ」
「服に掛からないようにすれば…私の脚とか、腰の辺りに出しちゃってもいいよ」
「おい…あかり」
「そうしないと、浩之ちゃん満足じゃないでしょ…?」
「………ったく」
 浩之はあかりの内股辺りにペニスの狙いをつけて、あかりの粘液でぬるぬるする肉棒を自らしごき立てた。
「………出すぞ」
「うん」
 びゅっ、びゅっ、びゅ…びゅっ
「あ…」
 浩之の吐き出した精液が、太股から秘部のヘアの辺りまで掛かっていく。その生暖かい感触を、あかりは妙に嬉しそうな表情で見守っていた。
「…はぁ」
「浩之ちゃん、良かった…?」
「…わかんねー」
 ぶっきらぼうに答える。
「ちゃんと、身体が動くときだったら…もっと、いろいろしてあげるね」
「次があればな」
「私はいつでもいいよ…浩之ちゃんだったら」
「あかり、お前な…俺はまだ…」
「だって、浩之ちゃんこんな事で私をだましたりしないから…」
「………」
 浩之は下半身を晒したままに微笑みを浮かべるあかりの事を、嘆息しながら見つめていた。



11/23
(☆☆☆今日のお題はファンタジィ☆☆☆)
 キィッ…
「どうだ? 吐いたか?」
「んはっ…ううん…まだ…」
 あかりは浩之の方に振り向いて言う。そして、唾液でべとべとになっている口元をぬぐった。
 剥き出しの石に覆われた、暗い地下の空間。光源と言えば小さなロウソクだけである。浩之が鉄格子の扉を開けて入って来たことを考えても、地下牢以外の何物であるようにも見えない。
 その特有のかび臭い匂いの中に、熱気を感じさせる艶っぽい雰囲気が混ざり込んでいた。と言っても、それはあかりが直接に発しているものではない。白がベースの僧侶の正装に身を包んでいるあかりは、この地下にあってもそれなりの純潔性を感じさせた。
「うう…」
 原因は、むしろ壁に鉄鎖で拘束されている少年だ。元々は魔術師の格好であったはずだが、マントは外され、ローブはだらしなくめくり上げられて半裸同然にされてしまっている。そして勃起したペニスもしっかりと露わにされてしまっていた。
「雅史ぃ、いい加減吐けよ。あのわけのわかんない力を使う女はどこなんだよ」
「う、うるさいっ…」
 吐き捨てるように言う言葉は、力をだいぶ失っている。
「ほら、もうそんなだろ? このままされ続けていたら、本当に死ぬぞ」
「………うっ」
 浩之が言うと、あかりは口をぱっくりと開けて雅史のペニスをくわえる。そして舌を器用に操って口の中でぐちゅぐちゅとペニスを刺激する。
「も、もうやめ…」
「検索[サーチ]するまでもねーな。魔力はほとんど吸い取っただろ」
 ちゅぽ…
「うん…あと2回か3回出したら、魔力は空っぽになって死んじゃうね」
 あかりは笑みすら浮かべてそんな事を言いながら、唾液でぬめらせたペニスを手でしごく。浩之の方を向いて会話しながらの動きなのに、その手つきは極めてスムーズで素早く、雅史のペニスを確実に責め立てていた。
「も、もう…やめっ…」
「だから吐けよ。あいつがどこにいるのか教えれば、助けてやるよ」
「ウ、ウソだっ…! そう言って、僕も琴音ちゃんも魔力を吸い取るだけに決まってる…!」
「強情だな。本気で死ぬぞ? あかりのテクはもう十分わかってるんだろ?」
「何回イカせてあげたかな? 20回くらいはいってるよね」
「さすがだな…」
「えへへ…」
 あかりはいたずらっぽく笑いながらペニスをしごき続ける。
「うっ…ううっ…あっ!」
 …ぴゅっ…ぴゅ、ぴゅっ
「あっ!」
 その時、雅史が顔をしかめたかと思うとペニスの先から半透明の液体がほとばしった。あかりは驚きつつも、慌てて顔を近づけてペニスを口の中にくわえこむ。
「んんっ…」
 ちゅる、ちゅる…
「う…うっ…ううっ!」
 あかりはペニスの中に残ったわずかな精液まで搾り取るように口で締め付けてくる。雅史は絶頂で敏感になった部分を刺激され、たまらずに身をよじらせて悶えていた。鎖がカチャカチャという音を立てる。
 ちゅぽん。
「ん…ん…んふぅっ」
 そして、あかりは最初の射出で自分の顔に掛かったわずかな精液までぬぐいとると、口の中に運んで舐めた。最後のひとしずくまで実に愛おしそうに舐めてしまうと、やっとあかりは気が済んだようで浩之の方を振り向く。
「もう薄くなっちゃって、あんまりおいしくないね…」
「それでも一生懸命飲んでたじゃねーか?」
「だって、魔力だもの。ほんの少しでもムダにしちゃあだめだよ」
「ケチくせーな…ま、これで次に出させたら本気で死ぬかもな」
「浩之ちゃん、そこにいて見ててよ…すぐに出させちゃうから」
「や、やめっ…ああっ…!」
 あかりが、まだかすかに脈動しているペニスを再び口の中にくわえこむ。そして、頭を激しく振りながら口の粘膜でペニスをしごき始めた。舌でこねくり回す動きも濃厚で、雅史のペニスの先端を重点的に攻撃する。
「さぁて…吸われ死ぬか? 白状するか? 雅史、好きなほう選べよ」
「うっ…ううう…」
 雅史は僧の服装をした悪魔のような少女の強烈な責め立てに、ひくひく体を震わせて反応していた。目からは涙がぽろぽろとこぼれている。
「あかり、この仕事終わったら約束通り死ぬほど可愛がってやるからな。頑張れよ」
 ちゅぽちゅぽ、ちゅぽっ…
「あっ…ああっ…うあああっ…!」
 ますます激しさを増すあかりのフェラチオに、雅史は絶望の表情を浮かべて身をよじらせる。そして地獄に向かう射出の小さな火が、ついに雅史の体に中に灯り始めた。
「うーっ…うう…!」
 しかし雅史がどれほど逃げようと体を動かしても、あかりはそれを忠実に追って口唇での愛撫を続ける。もはや、このままでは雅史の絶頂は時間の問題だった…



11/18
「………」
「こら、あかり、あんまりそっちに行ったら雅史達に見えないぞ」
「で、でも…」
「ほら、こっち来いよ」
 浩之が、壁に沿って置かれたベッドの隅の方で小さくなっているあかりの体を引っ張る。あかりは壁の方に体を向けてタオルケットで身を隠していたが、浩之は力任せにあかりの体を動かしてベッドの中央まで持ってくる。
 …ばっ。
「あっ…だ、だめっ…!」
 浩之がタオルケットを取り上げようとすると、あかりが必死にそれを押さえて抵抗する。
「今さら何言ってるんだ」
 ベッドの脇で正座している雅史と琴音。二人の方を見ながら、浩之はタオルケットをぐいぐいと引っ張る。
『………』
 雅史と琴音は、浩之とあかりのやり取りに対して両方とも沈黙していた。ただし雅史はほとんど顔を伏せてしまっているのに対して、琴音はしっかりと顔を上げて浩之とあかりの事を見つめている。
「雅史もちゃんと顔上げないと、見えないぞ」
「う…うん」
 浩之がうながすと、おずおずと雅史が顔を上げる。
「ま、雅史ちゃん…」
 ばさっ。
「あっ!」
 雅史の方にあかりが気を取られた瞬間、浩之はタオルケットを一気に引っ張って奪い取る。そしてそれを後ろの方に放ると、一糸まとわぬ姿のあかりの体にのしかかる。
「み、見ないでっ…」
「ばか、見てもらわなきゃダメなんだって」
「あっ、やだ、やだよぉっ…」
 浩之があかりの体を雅史と琴音の方に向けようとすると、さすがにあかりは抵抗を見せる。
「ずっと裸でいるより、さっさとした方がいいだろ?」
「う…」
「それとも、1時間ぐらいたっぷりかけて雅史達にレクチャーしてやった方がいいか?」
「………わかったよ…浩之ちゃん…」
 あかりが、顔をそむけつつも体を雅史と琴音の方に向ける。さすがに秘部と胸は手で覆おうとしたが、浩之に遮られた。
「あ、あんまり見ないで…」
「だから、何度言ったらわかるんだ」
「でもっ…」
 ほとんど涙目のあかり。それを雅史と琴音は、申し訳なさそうに見ていた。ただし、雅史は本当に申し訳なさそうに見ているだけなのに、琴音は申し訳なさそうに見つつもあかりの体の様々な所をしっかりと観察しているという違いがここでも出てきている。
「じゃあ、よーく見とけよ。まず、する前にちゃんと濡らさなきゃだめだよな」
「はい…」
 琴音が返事する。あかりと雅史がぼっと顔を赤らめる。
「まず、指を少し濡らしておいて…」
 浩之は口に指を二本ばかり突っ込んで、べろべろと舐めた。そして、その濡れた指をあかりの秘部に向ける。
「この中の、ここ…」
「あっ!」
 割れ目が左右に広げられると、あかりは悲鳴のような声を出して目を固く閉じてしまった。
「ここだな。この、粒みたいな所。おい雅史、お前が見なくちゃだめだろ」
「え…う、うん…」
 いつの間にかまた下を向いていた雅史が、顔を上げる。
「ここだ。ここ」
 浩之がぐいっと大きく秘裂を広げて、雅史に示した。雅史は顔を赤くしながらも、そこをじっと見つめる。
「敏感だから、最初は軽く触ってやるくらいにして…」
 つん、つん…
「………!」
 浩之はあかりの突起を指の先でつつく。
「こうやって、色々に触っていく感じだな」
 くりゅ…くりゅっ
 撫でる動き、つまむ動き、転がす動き、浩之は比較的ゆるめのタッチで何パターンか示す。
「それで、段々強くしていって」
 くりゅ、くりゅ、くりゅ…
 浩之が言葉の通りに指の動きを強めていく。
「ひ、浩之ちゃあんっ…!」
 くりゅくりゅっ…
「ほら、最初よりもおっきくなってきただろ?」
「はい…」
「ひ、姫川さんっ…」
 あかりは恥ずかしさに思わず叫んでいたが、うなずいただけの琴音を非難しようがない。
 ぐり、ぐり…
「や、やだ…だめっ」
 浩之が指の腹で押し込むような強い圧迫を加えてやると、あかりが腰をよじらせる。しかし背中を浩之の体がしっかりと押さえていて、前には雅史と琴音がいるという状態では逃げようがない。
「だめっ…!」
 あかりがピクンと体を震わせる。
 ちゅ…
「ほら、濡れてきた」
「はい」
「雅史も見えるよな? ほら」
「う、うん…」
「や、やだよぉ…見ないで…」
 ヴァギナの入り口を指で広げられたあかりの秘部には、きらめく液体がはっきりと見えていた。
「もっとしてやってもいいけど、あかりは感じやすいから…これくらいで十分だろ」
 浩之が指を離す。そして、あかりの体を転がしてまた仰向けの姿勢に戻す。
「入れる場所はもうわかってるよな? あとは普通に入れてやるだけだから…」
 そう言うと、浩之はあかりの腰をつかんで持ち上げ、ペニスをあかりの秘裂の中に割り込ませる。そして、ヴァギナの入り口にペニスを当てて腰をスライドさせ、ぬちゅぬちゅという音を立てる。
「こう。雅史も力は弱い方じゃないし琴音ちゃんは軽そうだし、腰の下に枕とか入れてやらなくても大丈夫だろ」
 浩之は琴音と雅史の方に顔を向けて説明した。琴音はこくんとうなずく。雅史も、あかりが仰向けになって直接顔を合わせなくてもよくなったためか、しっかりとあかりと浩之の体の位置関係を観察しているようだった。
「で、入れる…」
 ずちゅ…
「あっ…」
 ずちゅぅぅ…
 粘っこい水音を立てて、浩之のモノがあかりの中に埋没していく。
「ほら、ラクに入る」
「あ…ふあっ…」
 ずちゅっ、ずちゅっ!
「あ、あっ、浩之ちゃん…!」
 あかりが鼻に掛かったあえぎ声を出した。
「で、こいつもちゃんと気持ちよくなっているわけだ」
「ひ、浩之ちゃん…」
「なんだよ、違うってのか?」
 ずちゅ、ずちゅ…
「あああっ…!」
 あかりが目を閉じたまま、ピクピクと体を震わせる。
「な」
 浩之が琴音と雅史を見てウィンクした。
「……佐藤先輩…」
「えっ?」
 そこに、琴音が口を開いて、雅史の脚の上に手を乗せる。雅史は緊張のためか、ビクッと体を震わせてから返事をしていた。
「え…こ、琴音ちゃんっ…!」
「な、なんだか藤田先輩達のを見ていたら…」
 雅史は慌てた声を出す。琴音の手はいつの間にか琴音のスカートの中にもぐりこんでいたのだ。スカートの生地越しにも琴音の股間の辺りがモゾモゾと動いているのが分かる。何をしているのか、訊くまでもない。
「うわ…琴音ちゃん」
 ベッドの間際にまで正座している二人が近づいていたため、浩之もそれには気づいていなかったようだった。浩之は呆れ気味の声を出しつつも、興味深そうに琴音と雅史を見守る。
「わ、私は準備OKですから…ちゃんと…今の内に、確認しませんか…?」
 琴音がスカートのホックに手を掛ける。
「で、でも…! 浩之達の前で…」
「雅史、こっちだって見せてるんだからおあいこだろ? やっちゃえよ」
「浩之…」
 そう言う間にも、琴音はスカートを脱ぎ始めている。そして、雅史が琴音と浩之の顔を交互に見比べて困った顔をしている間に、琴音は下半身の着衣を脱ぎ払ってしまっていた。ヘアが薄目のあかりよりも、さらに無毛に近い琴音の秘裂が露わになる。
 しかしその秘裂からは、既に透明な雫が少しだけだがにじみ出していた。
「ほら、佐藤先輩だけ服来ているのずるいですよっ」
 琴音は淫らな目で雅史のことを見つめながら、秘裂に指を差し込んで自慰行為を続ける。ちゅく、ちゅくという水音がはっきりと雅史の耳に響いてくる。
「そうそう。雅史も脱げ」
 ずちゅ、ずちゅっ…
「ああっ…! 浩之ちゃん…!」
「……浩之、琴音ちゃん……あかりちゃん……」
 雅史は場を覆う異様な雰囲気に飲み込まれてしまったようだった。どこか遠い目をしながら、学生ズボンを静かに脱いでいく。そして真っ白な色をしたブリーフをずり下げて脱ぎ、その二つを綺麗に畳んで床に置く。
「佐藤先輩、来て下さい…」
 それを見届けると、琴音は指を秘裂の間から抜いて絨毯の上に身を横たわらせた。雅史はちらりと浩之達の方に目をやってから、琴音の体の上をまたいで立ち、そのまま体を屈めていく。
 ぐっ。
 雅史が、浩之がしているように琴音の腰をつかんで持ち上げた。琴音は無垢な乙女のように雅史の腕に体を完全に委ね、切なそうな目をする。
 そのピュアーな印象には不相応に濡れ濡れてしまっている琴音の秘部へ、雅史は慎重にペニスを近づけていった。そして、秘裂の中にペニスを入れてヴァギナの入り口を探る。
 ぬちゅ、ぬちゅ…
 琴音の性器は、雅史がそうして探るだけで濡れた音を返してきていた。雅史のペニスの先端は挿入前から熱い粘液に絡まれて、ますます熱を帯び固くなる。
「…いくよっ…」
「はい…佐藤先輩…!」
 …ぬぢゅ…!
「ああっ…!」
 雅史は一気にペニスを琴音の中に突き入れた。
「あっ」
 あまりの勢いに、バランスを崩して転びかける。
「慌てなくていいぞ、雅史」
「う、うん…」
 ぬちゅっ。
 琴音の中にペニスを完全に挿入しきった雅史は、拍子抜けしたような顔をしていた。それだけ、普段琴音と交わる時と違ったということなのだろう。
 ぬぢゅ、ぬぢゅ、ぬぢゅ…
「あ…先輩…佐藤先輩っ…!」
「こ、琴音ちゃんっ…」
 雅史は自分でしている行為が信じられないといったような不安さを顔に浮かべながら腰を動かしていた。
 ぬちゅ、ぬぢゅるっ
 琴音と雅史の結合部分は非常に滑らかにつながっていて、雅史は浩之の最初の動きと比べてもかなりスピーディに腰を動かしている。それが、雅史には信じられないらしい。
「なんだよ雅史達、上手いじゃねーか」
「え、ええと…」
「いつもは、こんなにうまくいかないんです…」
「やっぱり、琴音ちゃんが濡れ足りなかったってことだな」
「ええ…そうみたいですね」
「これからは、雅史が入れる前に琴音ちゃんがオナニーしていればいい」
「そ、そんなの嫌ですよ…佐藤先輩、これからはちゃんとしてくださいね」
「う、うん…」
 ぬちゅぅ、ぬちゅ…
 雅史はうなずきながら腰を振り続ける。
「んっ…んんっ…いいです…」
「良かったね、雅史ちゃん達…」
「…あ、あかりちゃんっ!?」
 いつ目を開けたのやら、あかりが雅史達の結合を見ていた。雅史は思わず腰を止める。
「い、いやです…止めないで下さい…!」
 ぎゅう…
「あ…琴音ちゃん…」
 琴音のヴァギナがきつく締まって雅史を求めてくる。
「よっし、こっちも再開するか」
 ずぢゅっ、ずぢゅ…
「あ、ああっ…浩之ちゃーんっ!」
 あかりが高い声を出して身をよじらせる。
「………」
 ずちゅ、ずちゅ…
「あっ、あっ…佐藤先輩…佐藤せんぱいっ!」
 雅史は何かに衝かれるようにして再び琴音の中をえぐり始めていた。琴音の中が、小刻みにきゅっきゅっという収縮をし始める。
「ひ、浩之ちゃんっ…私…もう!」
「あかりっ…俺もだ…」
 ずちゅ、ずちゅ…
「さ、佐藤先輩、私も…!」
「う、うん…!」
 何かの波動のように、絶頂への流れがひとつにまとまっていく。雅史もその流れとは無縁ではいられなかった。ペニスの根元に熱い脈動がどんどん溜まって、爆発寸前になる。
『あーっ!』
 あかりと琴音、二人の黄色い喘ぎ声が合致した。
「んっ…!」
 …びゅっ、びゅっ、びゅっ…
 それが引き金になって、雅史は琴音の中に白濁液を射出してしまう。雅史はこれまで味わった事がないほどに大きな快楽に包まれ、これまでないほどに大量に琴音の中に出してしまっていた。
 ビク、ビク…
 琴音の膣内も痙攣している。そして、表情は見たことがないほど恍惚とした満足そうなものになっている。雅史はそれを見ていると、背筋がゾクリとするような気がした。
「んっ…んんっ…浩之ちゃん…」
「ちゃんと、舐めろよ」
「う…うん…」
「…え?」
 雅史は聞こえてきたやり取りに、浩之達の方を見る。そして、ぎょっとする。
 あかりは全身のあちこちに白い液体を付着させていた。浩之はあかりの中に出さずに、外で射精してあかりの体に思い切り精液を掛けたらしい。
 …ぺろ、ぺろ…
「あ、あかりちゃん…」
「こういうのをさせるのも楽しいぞ? 雅史」
「ま、雅史ひゃんっ…み、みなひで…」
 あかりは顔を真っ赤にしながらも、体に付着した精液を少しずつ指でこそげ取って口に運んでいた。恥じらいの素振りは見せているが、嫌がっている様子はない。
「あかり、俺のはどうなんだ?」
「お、おいひいよ…浩之ひゃんのせいえき、おいしひよ…」
「…佐藤先輩」
「え!?」
 琴音が静かな声で雅史を呼ぶ。
「私は、口でそのまましてあげます」
「え? え?」
「ふぇらちお…って言うんですよね、そういうの」
「こ、琴音ちゃんっ!!」
 雅史は大胆な発言をする琴音に思わず叫んでいたが、琴音の目に宿ったかすかな嫉妬の色は消えないようだった。



10/15
「浩之ちゃん…ちょっとまぶしいよ」
「そうか」
 浩之はうなずいたが、それ以上何もせずに目を細めているあかりの事をじっと見つめていた。
 隙間、と言うよりはもう少し大きめに開けられたカーテン。そこから朝の光が、カーテンが開けられているのと正確に同じ幅だけを持って差し込んできている。その角張った領域に立ちこめた微細な埃が節度を持った輝きを示していた。
 そして光に照らされたあかりの髪は、より鮮明な形で輝きを放っている。
「浩之ちゃん、カーテン閉めて」
「いや…」
 寝起きの子供っぽいあかりの表情に、小市民的な幻想風景がよく合っていた。
「まぶしいよ…」
 そう言うあかりを、浩之は言葉ではなくパジャマの裾をめくり上げる事で制止する。ふわりとした感触のお腹を何度か撫でてから、浩之はさらにパジャマをめくり上げ、ホワイトのブラジャーに包まれた胸のところまで外に出させる。
 しゅるん…
 浩之はブラジャーを上にずらして、あかりの乳房を視界の中に入れた。
 ふにゅ…ふにゅ
 あかりが目を細めたままに見つめる中、浩之は軽い手つきであかりの乳房を揉み上げる。弾力のある膨らみが少し変形しては元の形に戻り、浩之の手の中で滑らかに震えた。
「…ん」
 浩之が胸の先端に口づけると、あかりが鼻にかかった息を漏らす。
 ちゅる…ちゅっ…ちゅっ
 桜色に染まり始めた先端だけを浩之は舌で丁寧に味わった。朝という空間からしても、浩之の舐めている部分の直接的意義からしても、それはミルクの匂いに象徴されるものだ。母性的で柔らかな甘い芳香を浩之は存分に味わい、あかりの胸の先を唾液ですっかりべとべとにしてしまう。
「浩之ちゃん、時間…」
「ああ」
 ベッドの脇の目覚まし時計を見ながら、あかりが言うと浩之も時計の示す時間に気づいたようだ。あかりのパジャマのズボンをさっと脱がしてしまう。そしてブラジャーとそろいのショーツの上から、三本の指で4回だけ膨らんだ部分をタッチする。
 するっ。
「どこまで…なの…?」
 浩之がショーツを脱がすと、あかりが頬を赤くしながら問うた。
「最後まで」
「大丈夫かな」
「シャワー浴びてる時間くらいあるだろ」
「二人なんだから、二倍時間がかかるんだよ」
「俺はいいって」
「だめだよ…」
 光に差されたままの目が、浩之を諭すように見つめる。
「わかったよ…速くするから大丈夫だ」
「うん」
 浩之は綺麗に整った淡いヘアの中に指を侵入させ、秘裂を左右に広げた。そこに、胸への口づけで濡れたままの唇を押しつける。
「んぅっ…」
 あかりが、わずかに腰を浮かした。浩之は舌を使って全体を刺激してから、ぴちっとした肉の結び目を乳頭と同じようなタッチでくすぐる。
 ぴちゅ…
「…こういう時、あかりだと便利だよな」
「浩之ちゃんが舐めるからだよ…」
 たちどころに透明な液体を含み始めた膣孔を浩之がつつくと、あかりはかくんと腰を落としながらつぶやいた。
 浩之はずるっ、と自分のパジャマとトランクスを下ろす。生理的反応とあかりのかもし出す魅力的な匂いが、すっかり浩之のペニスを高ぶらせていた。
 がし、とあかりの体を押さえつけるようにのしかかり、あかりの腰を再び自分の腕で持ち上げてペニスを押しつける。シーツの上をあかりの体が滑って、朝陽の光からあかりが抜け出してしまった。
「ふぅっ…」
 ぱち、ぱちとあかりが何度か目をしばたたかせる。
 じゅぷん。
 急にあかりの体温を強く感じながら、浩之はペニスを奥深くまで挿入した。
「…あぁっ」
 吐息のような声と共に、あかりが浩之のペニスを締め付ける。またあかりの体温が強くなる。ミルクの香りはいつの間にか変化を起こして、純粋に興奮を誘うエロティックな香りになってきていた。それが結合部分からも零れだしているあかりの体液に象徴されているのは間違いない。
 じゅぷ、じゅぷ…
「う…ああ…浩之ちゃん…」
 それから、こういうあかりの声。締め付け。水っぽい挿入の音。あちこちを好き勝手に向いている、起きたてのままのあかりの髪の毛。そういうものだ。それが、仕組まれていたかのように体液の甘酸っぱい香りと絶妙にミックスされる。
 じゅぷっ…ぐちゅぐちゅ。
 それがあかりなのだから、当然と言えば当然だ。
「あっ…ああっ…あっあっ」
 浩之が強めに腰を打ち付け、膣壁の下腹部に近い方をこするとあかりが快感を訴えて声を高くした。さっき中身を半分のぞかせておいた陰核への刺激も加わっている。あかりは次第次第に浩之のモノを締め付ける力を強くして、腰も高く浮かせ始めた。さらに、浩之の抽送に合わせてぐっぐっと腰をグラインドさせ始める。
 じゅちゅ、じゅちゅ。
 絶頂は近い。そう確信した浩之は、さらに強くあかりの中を突いた。比例して、浩之自身の快感も高まってくる。
「はぁ…浩之ちゃあんっ…もう…私」
「俺もだ…あかり」
 睡眠の直後のペニスは、パッケージから出したばかりのボールペンのように素直だった。浩之のペニスを、極めてシンプルに心地よい脈動が走り抜けていく。
 じゅくっ…
 びゅっ、びゅっ…びゅるっ。
「あ…」
 直前で引き抜かれたペニスから、熱い精液が飛んで半裸のあかりに降りかかっていった。最初の一撃はあかりの顔の真ん中まで飛んで、紅色に染まった頬を伝っていく。
 ひゅくひゅく、と全身にかすかな痙攣を見せながら、あかりはそれを甘んじて受け止めていた。
「はぁっ…学校…はぁっ…行く…はぁ…前なのに…」
 隠し事をしているような小さな声で、あかりは困った顔を見せる。
「洗濯してシャワー浴びるんだからいいだろ。お前さっさと入ってこいよ」
「うん…」
 あかりは体についた精液を拭き取ろうともせずにベッドの上に立ち上がった。そして、危なっかしい足取りで床に下りる。
「バカ、ティッシュで拭いてけよ…」
「あ…うっ、うんっ」
 ぽたっ。
「あ…」
「バカ…拭いておくから、さっさと体だけ拭いておけよ」
「ご、ごめんね、今日帰ってきたら掃除するから」
「なんかここがお前の家みたいだな」
「え…で、でも」
「あーだからいいって。時間ないって言ったのはお前だろ。早くしろ」
 浩之はあかりに向かって乱暴にティッシュの箱を投げた。
 ぽたっ。
 それを受け止めようとして、あかりはまた顔についた精液を床に垂らした。



9/26
「え?先輩、なんだこれ」
「………」
 浩之は芹香の差し出した瓶を受け取りながら訊く。
「あ…ま、そりゃ疲れてるって言ったけどさ、別に大したもんじゃ…」
「…………」
「はぁ…朝か」
 こくこく。
 芹香は浩之の手の中に瓶を預けると、それを押しつけたまま手を引いてしまった。浩之は困った目で瓶を見つめながら芹香の顔をうかがう。
「……」
「えっ…」
 ぺこっ。
 小さくお辞儀をすると、芹香は小走りで駆けていった。
「用って…先輩がそんなに忙しくしてるのもあんま想像つかねーけどなぁ…」
 廊下の奥に消えていく芹香の後ろ姿を見ながら、浩之は一人つぶやく。
 そして改めて、芹香に手渡された瓶に目をやった。瓶の大きさは牛乳瓶を少しつぶして太くしたような形で、中に入っている液体もそれなりの量だった。液体の色は透明。口にコルクで栓がしてある。
 きゅぽ…
 試しに浩之はコルクを抜いてみた。そして、化学実験でもしているような手つきで瓶から匂いが漂ってくるかどうかを確かめる。
「うーん…」
 完全に無臭というわけではない。しかし、そこから漂ってくる匂いは何とも形容し難かった。強い刺激臭というわけではないので、素人考えには害がなさそうな匂いだったが…
 きゅっ。
「あれ、浩之ちゃん?そんなところでどうしたの?」
 コルクの栓を戻した時、背後からあかりの声がした。浩之が振り向くと、ちょうど教室から出てきた所といった様子のあかりの姿が目に入る。
「あ…いや、ちょっとな」
 浩之は適当に言って、瓶をカバンの中に放り込む。
「浩之ちゃんも今帰るとこ?」
「ああ」
「今日も行って大丈夫だよね」
「当然だろ。テスト前に急用ぶちこむほど俺も暇人じゃないって」
「そうだね」
 あかりがにこっと笑いながら浩之の横に並ぶ。
「しっかし、明日は厳しそうだな…教科書問題の答え丸暗記するしかねーか」
「公式を覚えておけば大丈夫だよ」
「そんなうまくいかねーって」
 と、自然に始まった会話を続けながら浩之達は階段の方に向かって歩いていった。


「はい、お待ちどうさま」
「悪ぃな」
 勉強道具が広げられたガラスのテーブル、浩之の部屋である。
 あかりは盆の上にふたつのティーカップを載せて、部屋の入り口に立っていた。浩之の方は床に座って楽そうな姿勢をしている。
「紅茶だけだけれど…」
「仕方ないって、俺がなんも用意してなかったんだから」
「なにか甘いものがあると、勉強もはかどるかもね」
「そうだな…ま、そういうのはあとで気が付くもんだって」
「そうかもね」
 あかりは盆を持って、テーブルの所まで歩いてくる。
「…あ!」
 その時、あかりが慌てた声を出した。
「あっ…きゃっ…」
「あ…バカっ」
 バランスを崩しかけるあかりを、浩之は呆れ顔で見る。床に置いてあったクッションに気づかず、足を滑らしそうになったのだ。
「きゃっ…あっ………ふぅっ…」
 あかりは、必死になって紅茶をこぼさないように体勢を整える。何とか転ばずに済んだようで、こぼれた紅茶もごくわずかのようだった。
「ったく…気をつけろよ」
「ご、ごめんね…忘れてた」
 あかりがばつの悪そうな顔になる。そして、体勢を完全に安定させようとして後ろに一歩下がった。
 どんっ。
「あっ…」
「おい…」
 がたっ…
 ごんっ。ばしゃあっ!
「あっ…あああっ」
「…バカか、お前は」
 浩之は苦笑いをしながら立ち上がる。
 あかりがぶつかったのは黒い棚だった。その拍子に、棚の上に置いておいた瓶が落っこちてきたのだ。瓶はテーブルの角にぶつかって跳ね返り、衝撃でコルクの栓がはずれて中身が完全にぶちまけられた。どうやら、コルクの栓を押し込むのが中途半端だったようだ。
「ど、どうしよう…これって、何だったの?」
「気にすんなって。ただの水だ。それより、お前着替えないだろ」
「うん…どうしよう」
 勉強道具には被害がなかったが、あかりのスカートの辺りは瓶の中身の液体でぐっしょりと濡れてしまっていた。スカートどころか、下着にまで染み込んでいきそうなほどの液体の量だ。床にもいくらか液体が垂れ続けていた。
 かちゃ…
 あかりはテーブルの上に紅茶の盆を置くと、自分のスカートに広がった巨大なシミを見つめた。簡単に乾きそうな状態ではない。制服ではないのが幸いだったが、いずれにしろ帰るときの服に困りそうな状態なのは間違いなかった。
「俺の服じゃ…貸しても着れないな」
「…うん」
「パジャマでも着とくか?洗濯機と乾燥機使えば、帰る事に何とか…」
 すとん。
「………?」
 浩之が洋服ダンスの方に向き直った瞬間、床に何かが落ちる音がする。
「…あかり?どうした?」
「…浩之ちゃん…」
 振り向くと、あかりはさっきの姿勢からそのまま腰を床に落としたような姿勢になっている。スカートの奥が見えてしまいそうだった。普通なら脚を固く閉じて隠そうとするのが当然であるような姿勢で、あかりはなぜか脚を少し開き気味にしたままの姿勢をとっている。
「こけたのか?早く起きろよ」
「ち、ちがうの…脚が…」
「あし?」
「う、うごかない…痺れたみたいになっていて…」
「なんだって?」
 浩之は疑いの目であかりを見つめた。だが、あかりの顔の不安極まり無さそうな表情を見ていると嘘ではなさそうに見える。元より、あかりはこんな事で嘘をつくタイプではない。
「参ったな…」
 先輩…
 浩之は心の中でつぶやいた。
 疲れを取る薬と言われて、脚に触ったときに痺れ上がってしまうような薬を渡されたのではたまったものではない。素直に信じて飲んでいたならあの世行きだったかもしれないと思うと、浩之はぞっとしないものを覚えた。
「ちょっと待ってみて、それでダメだったら何か考えるか…少しマッサージしてやるよ」
「え…あ、あ、あの…浩之ちゃん…」
 浩之があかりに近づいていくと、なぜかあかりが慌てた素振りを見せる。
「どうしたんだ?そりゃ触るとじんじんするかもしれないけど、その方が早く治るかもしれないだろ。子供みたいに痛いのが嫌だとか言ってる場合じゃねーぞ」
「ち、ちがう…の…」
 あかりは顔を真っ赤にして、詰まらせたような声になる。
「あ?他に何か痛いところでもあるのか?」
「じゃ、じゃなくっ…てっ…」
 一言一言の間に、あかりの様子は変化しているようだった。浩之はさすがに顔色を変えて、あかりの元に駆け寄る。
「おいっ!救急車呼ぶなら呼ぶぞっ!あかり、どうなんだっ…」
「い、いや…ひろ…ひろゆき…ちゃん…」
「あかりっ!!」
「へ…部屋から出ていてっ!お願いっ!浩之ちゃぁんっ!お願いぃっ!」
「…へ?」
 あかりの絶叫に、思わず浩之は間抜けな声を出していた。
「う…ううっ…いやぁぁぁ…」
「……あっ……あか…り………?」
 だが、次にあかりの取った行動によって浩之は完全に言葉を失う。
「み、見ないで…あっち…向いて…お願い…」
 あかりは、浩之の目の前で片手をスカートの中に突っ込んだのだ。
「ど、どうしたんだよ…お前」
 スカートの上からでも、あかりの手が動いているのは明らかだった。それも、かなり激しく動いている。掻きむしっているようにすら見える勢いに、浩之はあっけに取られてしまった。しばらくの間、あかりの手が潜り込んでいる辺りを呆然と見つめる。
「うっ…見ないで…恥ずかしいよぉ…浩之ちゃんっ…」
 あかりは逆の手を使って、ずり下がろうとする。しかし脚も動かない状態で、片方の手だけで体重を支えて動かすというのは無理のようだった。今のあかりはかなり無理な体勢をしているし、何より逆の手を思い切り動かしている事で意識を集中することができていない。
「あ…あっ…ああ」
 浩之はうなずいたものの、どうすればよいものかわからずに動けない。
 ちゅぐっ!
「あふぅぅぅぅっ……!」
 あかりが強く眉をしかめたかと思うと、おさげをぶんっと振ってうつむいた。
 ちゅぐちゅぐちゅぐ…
 そこからは、粘液をはじいているのが明白な音がこだまし始める。最初から瓶の液体によるちゅくちゅくという微かな音は聞こえていたが、今している音は明らかにあかり自身があふれさせてしまった液体によるものだった。
「………」
 目の前で展開される、急激な性のショーに浩之はただ戸惑っている。助けてやらなくてはならないという思いと、男としての好奇心が浩之の中ではぶつかっていた。しかしあかりが急を要するほど苦しんでいないように見えることが浩之に安心感を与えてしまっている。最初に、苦しんでいると思って拍子抜けしたせいもあるかもしれない。
「おっ…お願いだから、あっち向いていてよぉ…こんな所、私浩之ちゃんに見られたくない…お願いぃ…」
「なぁ、あかり、お前今気持ちいいのか…?」
「や、やだ…そんなの…」
「今している音って、あかりの中から出てきたぬるぬるだよな…」
「ち…ちが…そんなこと言わないで…」
 あかりは目からぽろぽろと涙をこぼしていた。だが手の動きを止めることは全く出来ていない。むしろスピードと大胆さに拍車がかかってきているようにも見えた。
「うっ…うううう」
 浩之が痴態を見つめる視線をそらさない事にさらなる涙をこぼしながらも、あかりはどんどん行為のピッチを強めていった。既に愛液だけでもショーツの外にあふれてスカート自体を濡らしてしまっているほどだ。いやらしい音を立てる水音は、さらに高く大きくなっていった。
「ああっ…ああーっ」
 しかし、しばらく時間が経ってもあかりは全く解放される様子はない。何かを必死で求めるような顔で指を繰り続けていたが、それに終わりが来ることはなかった。
「…浩之ちゃん」
「なんだ?」
 浩之は自分の声がかすれていたのに気づいたが、言い直すこともなくあかりを見つめる。
「このままじゃ、だめみたい…中の方が熱くって、じんじんしてて……すごい、中に欲しいみたい…」
 あかりはいよいよ顔を真紅に染め、うつむいて顔を隠してしまった。これまで全く交渉のなかった二人の間に、突然絆を求めているのだから当然だろう。
「……いいのか?」
 浩之は訊く。
 正直、あかりと恋人関係になると言うことについて浩之は真剣に考えたことがなかった。それが、突然のハプニングによってもたらされたのである。しかも肉体と肉体が先に求め合っているという状況。無論浩之のペニスは先程から固く勃起してズボンを突き上げていた。
「い、いいよ…浩之ちゃんなら私…それに、もう身体がおかしくなりそうで…」
「…いいって、聞いたからな。もう嫌だって言っても無駄だぞ」
 浩之は自分に言い聞かせるように言う。ここで躊躇をしては、境界線を越える機会が一生なくなるような直感を感じていたのだ。あかりへの恋心を見つめ直すといった事を何もかもすっ飛ばして、ただ一歩踏み出すべきだと非理性が叫んでいた。
 かち…かちゃっ、かち。
 しっとりと濡れた感触のスカートをつかみ、そのホックを外す。
 ぐちゅぐちゅ…
 浩之の目の前に、ショーツの中であかりの手が水音を立てながら蠢いている様子がありありと示された。スカートの上からと違って、あかりの手の形すらわかるような状態である。しかもショーツの生地は水の中に浸したように濡れていた。その濡れた生地が、あかりの手の動きに合わせて変形する。
「………」
 あかりは固く目を閉じている。指は止められないようだったが、それを浩之に見られているのを自らの目で確認するのはあまりに忍びないようだ。
 くちゅ…
 浩之は端を触っただけで濡れた音がするショーツをつかんで、一気にべろっと下まで引きずり下ろした。
「…ああっ…!」
 さすがにあかりは声を出す。
 浩之は興奮がこらえようもないほど膨らんでくるのを感じつつ、あかりの性器の様子を確認した。恥毛はあまり生えていない。そのために秘裂が見えやすく、そこにはあかりの指が侵入して奔放に動き回っていた。秘裂の外にも、そこかしこによだれを垂らしたような透明な液が伝っている。時折のぞくあかりの性器の中は、ぬらっとした光を帯びたピンク色だった。
 浩之はそこをじっくりと観察したいという欲望にかられたが、それを押さえ込んで心を落ち着ける。そして、自らのズボンを下ろし、トランクスを下ろして自分のペニスを露出させた。痛いほどに勃起していたそれは、浩之があかりの身体の上に乗る体勢になるとちょうどあかりの秘裂の辺りに宛われる状態になる。
「あかり、少しだけガマンして指止めろ。そしたらすぐに入れるから、痛くても我慢してくれよ」
 …くちゅ。
 あかりは浩之の声に、指の動きを止める。そして中から指を出して、寝たまま気をつけをしているような姿勢になった。
 はぁっはぁっという荒い息は、押さえきれない欲望を表しているようである。あかりの中に、これほどの欲望が眠っていたのかと驚くほどだ。
 ちゅぱ…
 しかし浩之はそれを観察する暇も惜しんで、秘裂を指で左右に開いた。ねっとりとした感触がして、あかりの粘膜が露わになる。あかりが悶えながら触り立てていたとおぼしきクリトリスは、童貞の浩之にも一瞬で分かるほどにぷくっと膨らんで、光沢を帯びたピンク色になっていた。
 その中の、、透明な液体をはしたなく吐き出し続けているヴァギナを確認して、浩之はあかりの顔を見る。
 目を閉じた切なそうな表情は何をも語っていなかったが、浩之はそれによって覚悟を決めた。
 ちゅぐ…
「あぅっ!」
 浩之が先端をうずめようとしただけで、あかりは身体を跳ね上げる。
 ちゅぐっ…ぐぢゅ…
「ひあっ!うわああっ…!」
 浩之のペニスは、あかりの中を少しずつ押し開いていった。完全に未開通の部分である。あかりは破瓜の痛みを味わっているはずだった。
 しかし、ぴくぴくと身体を震わせながら顔を左右にふるふる振っている様子を見る限りではあかりの反応の主たる原因は快感の充足にあるように思われてしまう。おさげが乱れかけているのを、浩之は妙に興奮して受け止めてしまった。
 ぐぢゅ…ぐぢゅ!
「んっ!ううっ」
 一番奥までペニスが達すると、あかりはびくっと身体を震わせて、それから多少反応を穏やかにした。
「痛いだろ…」
「う、ううん…そんなに」
 これだけ愛液が豊富では、感じる痛みも半減するのかもしれない。あかりの声には、強がりや無理といったものがあまり感じられなかった。
「浩之ちゃんのが入ったら、少し落ち着いたみたい…」
 あかりは目を開いて、ふわふわした声で言う。
「そっか。良かったな」
 ぢゅぐ、ぢゅぐ…
「ああああっ…!」
 だが浩之が腰を動かし始めると、あかりはまた甘い声を出す。
「あんま落ち着いてねーな」
「う、動いちゃったらこうなるよ…ああっ」
 ぢゅぐぢゅぐっ…ぢゅぐぢゅぐっ…
「だ、だめ…強く動いちゃうと…だめぇ」
 あかりは浩之が突き出す度に、身体をビクビクと震わせた。敏感になった身体は、そう簡単には収まらないようだ。
 浩之はぬめぬめとした粘膜の中で抽送を行うことの快感に、ただ酔いしれて腰を動かし続ける。どう考えても、初体験同士でこれほどの快感を互いに感じられることはないだろう。得をしたような、何か騙されてような妙な気持ちになりつつも、浩之は快感から逃れることは出来なかった。
 ぢゅぐ…ぢゅぐ…
 そのまま、数分が経過する。浩之はあかりが限界を迎えてしまうのではないかと危惧していたが、そういうことはなかった。ところがあかりが醒めてしまったかというとそういうことはなく、あかりはひっきりなしに悶えて、全身をひくつかせている。
「っ…あかり…このままじゃ」
「う…うう…わたしも」
 そして、浩之が射精感を覚え始めたと同時にあかりもヴァギナの収縮を強烈にさせ始めた。どうやら、ここに来てようやく限界を迎えそうになってきたらしい。あまりにタイミングがいい事を考えると、何かで調整を受けているのは間違いないようだ。
「………」
 一気に絶頂までの道を駆けのぼりながら、浩之はこの体験を生んだ薬とその主の事を脳裏に浮かべる。そうするとなんだか可笑(おか)しくなった。
「いくぞっ…」
「う、うああ…私っ…ひぁっ!」
 ずるっ…
 びゅく、びゅく、びゅくっ!
「う…あ…あっ」
 絶頂し、全身をビクンビクンと跳ね上がらせるあかりの上に放物線を描いた精液が降りかかっていく。あっという間にあかりの太股から胸にかけては白っぽい液体でいっぱいになり、一部はあかりの顔の辺りにまで達していた。
「…っ…ひ…っ…浩之…っ…ちゃん…っ…」
 途切れ途切れに、あかりがつぶやく。
「は…はは…俺達、しちゃったんだな」
 浩之は未だ吐き出されている精液で汚れていくあかりをぼんやりと見つめながら、言った。
「っ…そうだ…っ…ねっ…っ…」
 あかりは複雑な表情を浮かべつつも、笑む。激烈な絶頂からはまだ解放されていないようだった。


「あ、先輩」
「…………」
 芹香が、おずおずと浩之に寄ってくる。
「え?飲んだかって?あーそうだな、飲んでみたよ。なんともないみたいだったけどな」
「…、………」
 一瞬表情を変えると、芹香はくるっと背を向ける。そして、昨日と同じように廊下を小走りで駆けていった。
「え?先輩…おーい」
 呆然として廊下に立ちつくして、浩之は芹香を見送る。
「浩之ちゃん、先生来たよー」
 あかりの声。
「あ、ああ…」
 先輩が二日連続で急用抱えているなんていったら、前代未聞だな…
 そんな事を思いながら、浩之は教室の中に入っていった。



9/20
「こ、これ…」
「見ないでください〜、あかりさん」
 マルチがいやいやと首を振るが、浩之はマルチの手を背中に回させてしっかり押さえ込んでいた。マルチの目の前に立っていたあかりの視線は、マルチの股間に釘付けになっている。
「本物みたいだろ?」
「う、うん」
 あかりはこくりとうなずいた。可哀想だよ、というニュアンスを瞳には含ませつつも、好奇心の方が勝ってしまっているようだ。剥き出しにされたマルチの股間の状態を、あかりはじーっと見つめて観察する。蛍光灯が皓々と照らしているため、陰になっている部分はない。
 ただの一本のスリットである秘裂も、その上に生えているやや白っぽい色をした肉棒も丸見えだった。
「触ってみたらどうだ?」
 浩之が言うと、マルチはひぅっ、と息を飲む。
「………」
 あかりはその反応をちらっとうかがったが、浩之をいさめる言葉を吐くことはなかった。おずおずと自分の手をマルチの肉棒に向かって伸ばしていく。
 ぴと…
「あ、あかりさんっ〜、やめてください〜」
 マルチはひやりとしたあかりの指の感触に身体を跳ね上げる。
「固くて…熱い…」
 だが、あかりはぴったりと指をマルチの肉棒に当てて離さなかった。そのまま指をくいくいと動かして、感触を確かめていく。
「触った感じも本物そっくりだろ」
「すごいね…」
 あかりは包皮に包まれた幹の部分を、二本揃えた指で撫でた。
 包皮は白っぽかったが、先端の部分はピンク色になっている。そして包皮の下からも、そのピンク色が少し透けて薄桃色になっていた。根元の部分だけは下腹部に飲み込まれていくようになっていて、袋の部分はついていない。
 見た目にはやや脆そうな印象があったが、それでも固い弾力のあるこりこりとして熱い感触は、あかりが浩之のモノを触っているときのものと見まごう程だ。最初のうちは恐る恐るだったあかりの指の動きも、段々大胆に肉棒を刺激するようになってくる。
「だ、だめですぅ…」
 あかりが環状にした指でマルチの肉棒をしごくと、マルチは腰を引きながら悶えた。だが浩之の背中が壁のようになっていて、腰を引いてもあかりの指がすぐ追い付いてしまう。
「ん…ん…」
 鼻に掛かった甘い吐息を出しながら、あかりは夢中にマルチの肉棒をこする。いつの間にか、あかりの顔はマルチの肉棒のすぐ近くにまで寄って、のぞき込むように肉棒を凝視していた。
「あかり…舐めちゃえよ」
「…うん」
「だ、だめですうううぅ!」
 マルチは大声を出して暴れようとしたが、浩之はがちっとマルチを抑え込んでしまう。その乱暴なやり取りに衝動を突かれたのか、あかりは大きな口を開けていきなりマルチの肉棒を深々とくわえこんでいた。
 ちゅぱちゅぱ、ちゅるっ…じゅる
「あ、あ、ふあああぁ〜っ!?」
 マルチはわなわなと身体を震わせて絶叫する。へなっと腰がくだけそうになった所を、浩之は抱きかかえて支えた。
 ちゅる、ちゅる。じゅるるっ。ちゅぐちゅぐ。
 あかりはべろんと出した舌で、大きな音を立てながらマルチの肉棒を舐め上げては吸った。そして、ぎゅーっと強く口腔の粘膜で締め付けて上下にしごく。口元からは唾液が伝い、瞳は物欲しそうに潤んで奉仕するあかりの顔をいやらしく見せていた。
「はぁ…ああああっ、ふぅ……。っ!ああっ、ああっ!あ……ああああ〜っ!?」
 あかりの緩急をつけた刺激に、マルチは逐一声を上げて反応する。もはや身体は弛緩して動かなくなっているようだった。あかりの舌が動くのを感じて、感じているという反応を返す事しかできない。
「ん…」
 小さな声を出して、あかりが口を止める。そしてぺろっと舌を出して、上目遣いに浩之を見つめた。
「どうした?」
「マルチひゃんの、えっちなおゆゆ…」
 そして、舌を口の中に戻してこくんと飲み込む。
「浩之ちゃんのみたいな味がする…」
 あかりは言った。
「どうして欲しい?」
「浩之ちゃんのが…欲しい」
 あかりはべっとりとなったマルチの肉棒から顔と手を離し、浩之の事を見つめる。荒く息を吐き出しながら興奮に耐えているマルチの顔は、まるで目に入っていないようだった。
「じゃあ、あそこ見せて仰向けになれ」
「…うん」
 あかりは身体をぱたんと後ろ向きに倒していく。そして絨毯の上に身体を横たえ、脚を少しだけM字に開いた。あかりの秘裂がぱっくりと口を開き、中の鮮紅色の粘膜がわずかながら光の下に姿を現す。それは、角度によってはっきりときらめきを返していた。
「舐めてただけで濡れたのか?」
「だって…なんだか、変な気分になっちゃったから」
 あかりは少し視線をそらしながら髪を上げた。寝転がっても形の崩れない胸が、やや速いペースで上下しているのがよく分かる。うっすらと濡れた秘部も、同じペースで疼きを発しているはずだ。
「ひっ、浩之さんっ!?そこはぁ…っ!」
 一方のマルチは、突然身体を跳ね上げて目を大きく見開いていた。浩之の指が秘裂に潜り込んで、無造作な愛撫を始めたのだ。そのショックで、弛緩していた身体も動き始めたのかマルチは全身を動かして悶えに悶える。
「うっ、ああっ、あああ〜っ!!」
 浩之の指の位置とマルチの反応を見ると、マルチが肉棒と乳頭に加えてもう一つの勃起器官を備えているのは間違いないようだった。
「マルチちゃんの、ソコもついてるの…?」
「ああ、贅沢だよな。人間の二倍感じるんだから」
 浩之は厳しく仕置きをするような勢いで、秘裂の中にあると思しきマルチの突起状の部分を撫で回す。時折ちゅくちゅくという水音も混じるようになっていた。
「だ、だめですぅ〜そんなに、したら、あ、あ」
 マルチは引きつった声を上げ始める。肉棒が一定の間隔を置いて、びくっびくっと震え始めていた。
「よし…もういいだろ」
 ちゅぽっ。
 浩之が指を抜くと、明らかにその中が何らかの液体で濡れている事が分かる。色は透明だったが、つぅっと糸を引いて滴るだけの粘りがあった。
「あ…はぅ…も、もう許してください〜」
「まだまだ」
 倒れそうなマルチを抱きかかえながら、浩之はずりずりと身体を前に動かしてマルチをあかりの寝転がる上へと運んでいく。
「よっ…と」
「浩之ちゃん…?」
 自分の腿の上にマルチが乗せられたのを見て、あかりは怪訝そうな声を出した。マルチの方は息を整えるのが精一杯のようで、何が起こるのかという事まで意識が回っていない様子である。
「マルチ、あかりをやれよ」
「え…」
「!!!?」
 マルチは飛び上がりそうな勢いで浩之の方を向く。
「い、いやですぅっ…そんなの…」
「ダメだ。しないんなら、毎日それをつけっぱなしにしておくぞ」
「…浩之さん〜」
 絶望的な顔になりながらもマルチは浩之に向かって手を伸ばしたが、浩之はひょいと後ろに下がってそれをかわした。そして立ち上がり、腕組みをしながら二人の事を見下ろす。
「え、えっと、マルチちゃん、心配しなくても大丈夫だと思うよ…私は平気だから」
「…で、でも、そんな事するの…恥ずかしいですっ」
「すぐに慣れるよ…大丈夫」
 あかりは手を伸ばして、マルチの手を握った。微笑んでいる顔はマルチへの気遣いに満ちているようにも見えるが、あかりが一刻も早く挿入を感じたいと願っているのも否定はできないだろう。
「あ、あの…わっ…わかりましたぁ…」
 しかしマルチはあかりの心遣いを無駄にしないようにという一心によって首を縦に振ってしまう。あかりはそれに応えて、マルチの手をもう一度握り返した。
「………」
 マルチは腰を少し前にスライドさせて、そこから肉棒を前に突き出すように前傾姿勢になっていく。顔には不安な色が一杯で動くスピードも鈍かったが、確実にマルチの肉棒とあかりの秘裂の距離は近づいていった。
 腰の位置も徐々にずらして微妙な位置調整もしていく。しばらくすると、マルチの肉棒の先端はあかりの秘裂の上のちょうどいい位置にまで達していた。
「あかり、広げてやれよ」
「え…?あ、うん」
 あかりは少し恥ずかしそうな顔をしながらも、自らの手で秘裂を左右に広げた。鮮紅色の部分が大きく広がって、少女の入り口がどこにあるのかを教え示す。
 にちゅるっ。
 粘液の絡む淫靡な水音と共に、マルチの肉棒の先端はあかりの入り口に向かって接近していった。そして、ついには肉孔の部分にマルチの肉棒が密着する。
「ほ、本当にいいんですか…?」
「い、いいよ…マルチちゃん、来て」
 あかりはうわずった声で言って、脚をさらに広げた。
「い、いきますぅっ…」
 マルチは緊張しきった声と共に、腰をずいと押し進める。
 じゅぐちゅっ…
「あっ…ああぁ」
 重苦しい水音と共に、マルチの肉棒の先があかりの中にうずもれた。あかりはだらしない声を出して、だらんと全身の力を抜く。
「っ…っ、っ…」
 マルチは苦しそうな顔をしながら、腰を慎重に押し進めていった。通常よりも高い位置に肉棒があるせいか、多少無理な体勢になっている事は否めない。だが、その不自然な状態が少女同士の結合という非日常的な状態を際だたせていた。
 ぬちっ…!
「ん…んっ!」
 とうとうマルチが最後まで腰を押しきった。滑らかな恥丘と恥丘、胸の膨らみと胸の膨らみ、ほっそりとした脚と脚。触れあい絡み合うことのないはずの部分が、肉の楔(くさび)によってこの上なく近くに密接していた。
「あかり…さぁん」
「…マルチちゃん」
 どちらからともなく、唇が触れ合って激しくお互いを求め合う。
「ん…ふぅ」
「んっ…んん」
 ぬちゅぷちゅっ、と舌と舌の吸い付く音がした。下半身からの熱い結合感はさらに高まり、二人の身体を燃え上がらせる。マルチは無意識の内に肉棒を小刻みに動かし、あかりはきゅ、きゅぅと膣壁を収縮させて肉棒を締め付けていた。
『はぁっ…』
 そして二人が同時に舌を離し、銀の雫が口元から伝う。
 二人の目は、互いを性の対象として食い入るように見つめていた。もはや、お互いの性がどうであるのかという事など気にならない。それに、元来マルチはロボットなのだ。だからこそ、あかりは浩之がマルチとあかりを交互に抱くことを許しているし、三人で行為に及ぶという誘いにも素直にうなずいたのである。
「したいだろ?マルチ」
「は…はい…もう…身体が…熱くて…」
「あかりも欲しいだろ?」
「うんっ…」
 大きく首を振る。
 肉棒によって性欲をいつもより煽られているマルチに比べれば、あかりの貪欲さの方が大きいのは間違いないだろう。あるいは、あかりにはバイセクシャルの気があるのかもしれない。
「し、しますっ」
 じゅく、じゅく…
「あっ…」
 マルチが腰を動かすと、あかりは小さく声を漏らした。しかしすぐに瞳をとろかせると、マルチの突きに合わせて腰を動かし、さらにきつい締め付けを返してマルチの肉棒を刺激する。
「んんっ」
 マルチは苦しげな声を出した。男がそうするように、圧倒的なストロークであかりを犯しきってしまう事はできないらしい。マルチの肉棒は、責めながら快楽をむさぼる器官と言うよりは責められて快感を感じるための器官であるようだった。見た目はともかく、実際にはクリトリスを同じ感度のままに肥大化させたようなものかもしれない。
「んあ、んあ」
「あ…はぁ」
 マルチは小刻みに、震えるような抽送を続ける。あかりはそれに合わせて、同じように静かな腰とヴァギナの動きで応える。にちゅ、にちゅという静かで淫靡な音が二人を包んでいた。お互いが責め手であり、責められ手である。無茶な動きをすれば、それだけ自分が限界に近づいてしまうのだ。
「んっ、んっ」
 しかし、やはりあかりの方がマルチよりもずっと動いている。マルチの動きは次第に小さくなり、口から漏れる息が目立つようになってきた。あかりが物足りなさそうに激しく腰を動かすと、マルチは情けない声を出して動きを完全に止めてしまう。
「マルチちゃん…」
「あ、あかりさん〜、私、もうっ…」
 腰をひくつかせながら、マルチは泣き声で訴えた。フェラチオとクリトリス責めで、マルチの性感はすっかり昂ってしまっていたのだ。既に、放出を全身の力で何とか抑え込まなくてはならないレベルまでマルチは追い込まれていた。
「しゃーないな。あかり、マルチをイカせてやれよ」
「え…でも」
「そしたら、すぐに俺のでしてやるから」
「本当?」
「当たり前だろ」
「じゃ、じゃあ…マルチちゃん、ちょっとの間我慢してね」
 ぐちゅ、ぐちゅ、ぬちゅるぅっ!
「ひ、ひあっ!?あ、あかりさんっ、やめてくだ…ひぅぅっ!?」
 マルチがあかりの上にまたがったまま、身を引きつらせる。あかりは思い切り腰を打ち付けて、ありたけの力で絞るようにマルチの肉棒を刺激していた。
「あ…あ…マルチちゃんの、こうするとすごくいいっ…」
「あ、あかりさんっ…ゆ、許してくださいっ…こ、こんなの…」
 マルチはあかりの腹部に両手をついて、涙をぼろぼろとこぼしながら懇願する。しかしあかりは妖しい微笑みすら浮かべて、マルチの肉棒を容赦なく責めていた。上になったマルチが、突き上げられるように犯されているとすら思える。
 その激しい動きは、肉棒のみならず秘裂の間に収まったクリトリスにまで刺激を与えていた。浩之の指によって芯を剥き出しにされたクリトリスは、上から間接的に打ち付けられるだけでも電撃のような快感をマルチに与えていたのだ。
 普通のものより遙かに敏感な肉棒と、それに追加される快感。マルチが長い間耐えられるはずはなかった。
「は、はうぅっ〜」
「マルチちゃん…中がひくひくしてる」
「イクのか?」
「私、イッ、イッちゃいますぅっ…」
 マルチは、はしたない言葉を言い切ると力無くあかりの動きに身を委ねる。
「ふぁっ、はぅあっ、ああああああああっ〜!?」
 そして絶叫と共に、マルチは身をびくんっ…と震わせて硬直した。
 びゅく、びゅく、びゅく…
「ひ、ひぃ…」
 射出感。自分の身体から、何かが飛び出る感覚。絶頂を迎えた紛れもない証拠が、少女でもあるロボットにもたらされる。愛液をにじませるのとは違う、より直接的で瞬間的な快感の証明だ。マルチの羞恥心はかつてない程に高まっているはずだった。
「マルチちゃんの…いっぱい出てるよ」
「うっ、ううっ…ううううっ…」
 マルチはあかりの中に白濁した液を放出しながら、苦しそうに震えている。感じているのは快楽に間違いないだろうが、この肉棒を責められての絶頂は苦痛の一歩手前の快感のようだった。
 だが未だ不満足なあかりの性器は、マルチの肉棒をさらに強く締め付け、マルチの絶頂をさらに激しく長いものにしていく。それによってマルチがびくびくと身体を痙攣させながらさらに悶えているのを、あかりはどこかいたずらな瞳で見つめていた。
「あかり、お前結構ひどい奴だな」
「だ、だって…浩之ちゃんがしろって言ったんだよ」
「自分がして欲しいからって…あかり」
「そ、それよりも…浩之ちゃん」
 浩之の言葉を遮り、あかりは媚びた視線を向ける。
「よし…マルチ、どけ」
「は、はぅぅ…」
 マルチはこてんと倒れるようにあかりの上から離れ、絨毯の上に横向きに寝転がった。そして目を閉じる。ほとんど気絶したようにも見えた。
「いくぞ?」
「うんっ」
 あかりに襲いかかる浩之。マルチは肉棒の先から白濁の液をこぼし、秘裂の間からも溢れるほどの愛液をにじませながら未だ絶頂の余韻の中にあった…



8/22
「気持ちいい風ですね…」
「…そうだね」
 少しの間を置いてから、あかりは答えた。
「これくらい涼しくなってくると、過ごしやすくなりますよね」
「そうだね」
 また相槌を打つ。あかりはちらっと琴音の横顔をうかがったが、琴音の方は正面を向いたままだった。割と広い公園、家族連れや子供達がいる方をながめている二人の高校生。仲良さそうにしているならともかく、多少距離を置いている二人の様子は平和そうな公園から浮いているようにも見えた。
 そして距離を置いているというのは、あかりと琴音の関係にとって比喩的にも実際的にも当てはまる表現である。
「えっと…」
 数十センチの距離を埋めるべきか埋めないべきか、あかりは迷っているようだった。琴音の方は世間話をあかりに振ったきり、黙りこくって何も言おうとしない。
 さらに、琴音は全くの無表情だった。
「あの、姫川さん?」
「………」
 あかりが話しかけても、琴音は反応しない。先輩を自分から呼び寄せ、世間話を一方的にしてからに無視を決め込むというのはどう考えても失礼な話だったが、あかりはそんな事で怒るような人間ではなかった。むしろ、この状況にどう対処すべきかを一生懸命に考えてしまう。
「なんの用で…私を呼んだの?」
「………」
 琴音が首だけを横に向けて、ちらとあかりに一瞥をくれる。
「あ、あの…何か、私姫川さんに悪いことしたかな」
「…神岸先輩」
「な…なに?」
 琴音が発する威圧感が増したような気がした。とても一年下の少女とは思えない。あるいは、あかりが人になじみすぎる外見と性格でありすぎるせいかもしれないが。
 …きゅ。
 膝の上に置かれていた琴音の手の片方が、握り拳の形に変わる。
 びっ!
「…え?」
 あかりは突然何かの破ける音が生まれたのを聞いた。同時に、身体に軽い衝撃が走ったのも感じられた。
 それがどこから聞こえてきた音なのか、どこに走った衝撃なのか、あかりはすぐには飲み込めなかった。あかりの視界の中では何も破けていなかったし、何もぶつかってきていなかったのだ。視覚情報と身体感覚の混乱によって、あかりは情報を整理するまでかなりの時間を必要とした。
「え?え?えっ?」
「破けています。ちょっとじゃありません。思いっきり破きました」
「ど、どういうこと?」
「そのままの意味です…」
 琴音は視線を動かさずにいた。一方のあかりはさらに混乱を深めている。
 衝撃は、あかりのスカートの中、ベンチに座っている状態で触れる事ができるはずもない場所、あかりの脚の付け根の辺りに走っていたのだ。そして、破けたのがそこということは…何が破けたのか、聞くまでもない。
「ど、どうやって…?」
「それを知る必要はないと思います」
「ひ、姫川さん…」
 何故、と聞く前に手段を聞くあかりは、緊張感に欠けすぎていたかもしれない。しかし琴音のぴしりとした声は、ただならぬ事態であるという事をあかりに自覚させる。
「見えもしない所を破けるということは、今スカートをまくり上げてしまう事も可能だということです。神岸先輩の手や足を押さえつけて動かないようにさせる事もできます。嘘だと思うなら試しますけれど…どうします?」
「お、落ち着いてっ…わ、私に分かるように、事情を話してっ」
 あかりは動転した。琴音の手をつかんで、必死に話しかける。
「事情…」
 びっ!
「きゃっ!」
「事情、ですか?神岸先輩」
「姫川さんっ…何も言われずにこんな事されても、私わからないよ…」
 今度は、あかりもショーツの生地が切り裂かれる感覚がわかった。もう生地はぼろぼろにされていることだろう。
「本気で…言っているんですか…」
「だ、だってわからないものっ…」
「…藤田先輩の家」
「え」
「あんな遅く…まだあの家には、藤田先輩しかいないはずです」
「い、いつの話?」
「先週の木曜日です」
「あ…あの日は、浩之ちゃんにご飯作りに行ってあげて」
「…!」
 琴音が殺気だった目であかりをにらみつける。
「だ、だって…電話で、浩之ちゃんが作って欲しいって言ったからっ…」
「その前に、神岸先輩が作ってあげるって言ったんじゃないですか?」
「で、でも…前は結構作ってあげていたし…そういうつもりで言ったら、浩之ちゃんが喜んでくれたから」
 いつの間にか、琴音は両手を握り拳にしていた。しかも、それを小刻みに震わせているようだ。
「そんな口実を作って、藤田先輩と…いやらしいこと」
「し、してないよっ!そんなこと!絶対にっ」
「あの日、11時くらいまで神岸先輩は藤田先輩の家から出てきませんでした」
「二人で、テレビ見ていただけだよっ…」
 あかりは怯えていた。まさか琴音があかりの事をつけていたなどとは思っていなかったのだ。しかも、夜に数時間も家の近くで待ち伏せしている執念。
「ひ、姫川さんにしてみれば嫌なことだったかもしれないけど…まさか、見ているとは思っていなかったし…」
「内緒にすれば全部いいってつもりなんですか?」
「そ、そうじゃなくてっ!ただ…」
「もういいです。聞きたくありません」
「そんなこと言わないで…姫川さん、誤解してるっ」
「私は、神岸先輩が二度と藤田先輩を誘惑したりしないようにするだけです」
「誘惑なんて…そんなこと」
 ぐにっ。
「えっ」
 ぐにぐにっ。ぐに…
「な、何してるのっ?姫川さん!」
「わかりませんか?」
 ぐにぐに。
「お、おかしいよっ…」
「私は、いつでも、かなり離れた所からでもこうすることができます。たとえそれが藤田先輩の前でも、授業中でも。でもはた目には神岸先輩が勝手におかしくなっているようにしか見えないでしょうね」
「や、やめて…姫川さん」
「やめる?そんなことしませんよ。今日は神岸さんにたっぷりとこれを味わってもらうために来て頂いたんですから」
「正気になってっ…姫川さん、普通じゃない…」
「私は、こんな力を持っている時から普通じゃないです」
「そう言う意味じゃないよ…私、姫川さんがそういう力を持っていても普通の女の子だって思うし…だから、変なことしない…だ、だめっ!そこはっ!」
「ここが弱いんですか」
「やめて、やめて…」
 あくまで、ささやくような小さな声のやり取りである。大声を出せば、すぐに公園の中の人間に注意を向けられてしまうのは間違いない。
 だから、あかりは次第に強くなる刺激にも、身体を動かすことすらせずに耐えなくてはならなかった。しかも一点のみの刺激ではない。いくつもの場所を同時に刺激されているのだ。
「藤田先輩に触られた時はどうでしたか?」
「だからっ…していないよぅっ…」
「それとも、いやらしい事を考えながら自分で…?」
「してないっ…」
「強情ですね。こんなにピンピンにして、固くしているのに」
「や、やめて…変になっちゃう」
 一際強くなった刺激。あかりは苦しげに訴えた。
「もう濡れているんじゃないですか?今スカートをまくったら、すごいものが見えるでしょうね」
「やめてっ!」
 あかりが鋭い声で言った。わずかながらも液体が染みだしているのは、わかっていたからだ。
「も、もうこんなの…」
「あっ…藤田先輩っ」
 …?
 唐突に琴音が叫ぶ。これまでのドロドロした行為とは無縁の可愛い声だった。
「よっ、琴音ちゃん。…あれ…なんであかりまでいるんだ?」
「たまたま会っちゃったから、少しお話していたんです。ね、神岸先輩?」
「え!?う、うん…そうなの」
 顔を上げてみると、確かにそこにいたのは浩之だった。琴音はぴょこんとベンチから立ち上がると、浩之の手を握ってしなだれかかる。
「藤田先輩、どこに行きましょうか?」
「そうだなぁ…あ、あかりも一緒に来るのか?」
「え、あの、私は…」
 ぐりぐりぐりっ。
「っくぅっ…」
「あかりは?」
「わ、わた、私はっ、ちょっと用事があるから、行けないと思うの。姫川さんと浩之ちゃんだけで行くといいよっ」
「そっか。じゃあ琴音ちゃん行くか?」
「はいっ。久しぶりのデートですねっ…」
「大げさだなー…たかだか2週間だろ」
「2週間もですよ…最近藤田先輩冷たいです」
「………」
 あかりはぐったりと顔を伏せたまま、二人が立ち去るのを待っていた。
 身体の疼きや羞恥心といったものもある。しかし何より、怖かったのだ。



8/4
「だ、だめだよ…こんなところで」
「誰も来やしないって」
「ひょっとしたら来るかもしれないよ」
「来るはずないだろ。こんな時間に」
 二人が問答をしているのは、暗がりに落ちかけている化学教室だった。
 帰り際に、浩之が筆箱を忘れたと言って一人でここに来ようとしたのに、あかりがついてきたのである。暗い校舎の中で独り待たされるのが嫌だというのが理由だった。
「で、でも」
「な?すぐ終わるって」
 浩之があかりの腰に手を掛ける。
「だ、だめだよぅ…浩之ちゃん」
「嫌なのか?」
「ひ、浩之ちゃんとするのが嫌なんじゃなくて…もし誰か来たら…」
「だから、来ないって」
 浩之はきっぱりと言い切る。
 あかりはドアの方を横目でうかがいながら、どうしようかと逡巡している様子だった。
「ぜってーすぐ終わる。約束する」
「じゃ、じゃあ浩之ちゃん…私がしてあげる…」
「あ?」
 あかりは手に持った手提げ鞄を床に置いて、浩之の前にひざまづいた。
「お、おい」
「電気、つけないよね?そうしたら、もし誰か来てもなんとかごまかせると思うから…」
 あかりは浩之のジッパーに手を伸ばしていった。
「ひょっとして、お前」
「だ、だめかな?」
「…いや。いいけど…」
「じゃあ、開けるね?」
 ジー…と音を立てて、浩之の学生ズボンのジッパーが下がっていく。あかりはそこに指を入れて、トランクスの裾から何とか浩之の分身を引っ張り出そうと試みた。
「取った方がいいだろ」
 浩之がホックを自分で外す。窮屈だった空間が開けて、半分飛び出していたペニスがあかりの前に思い切り突き出された。
「あっ」
「じゃ、あかり…」
「ひ、浩之ちゃん、これじゃ誰か来たとき困るよ…」
「だから、来ないんだって。それにもし誰か来たら、1秒で元に戻して見せるって」
「ほんとう…?」
「ああ、ほんとだ」
「ぜ、絶対だよ…?」
 あかりはそう言って、浩之の分身にそっと触れる。そして、ぺろんと舌で先端を舐め上げた。
 ぺろ、ぺろ…
 手で軽く固定した肉棒を、先端の部分を中心としてまんべんなくなめ回していく。一点に集中していないために快感は分散していたが、一回一回の間隔は結構短かったし、こするような強い舐め方のために加わる刺激も大きかった。
 ふぅ…
 浩之が鼻腔から小さく息を吐き出す。早くも、身体の底に確かな高ぶりを感じ始めていた。
「あかり、なんかすげー上手いよな」
「……」
 無言であかりは行為を続けていた。固定する手は片手ではなく両手になっており、垂れてきた唾液を使ってぬるぬると大きく撫でる。時折軽く肉棒を締め付ける動きや、袋の部分をくすぐったりする動きが加わる。舐める対象も、先端に集中してきた。どんどん浩之は高まっていく。
「なんだか…すげーや」
 感嘆の評価をして、浩之はあかりの行為に全てを委ねた。
 肉棒を恋人の口で愛してもらうという経験ははじめての時にしてしまっているから、その事自体による感激は少ない。だが、冷静にあかりのフェラチオを感じてみると、妙に上手いという印象を受けた。端的に言えば気持ちいい。
 だからと言って、すれている印象を受けるわけではない。いつもと同じようなひたむきさが、身体の奥まで響くような性感につながってくるのだ。
「あかり」
 浩之はあかりのショートカットをくしゃくしゃと撫でる。すると、あかりは浩之の肉棒をぱくりとくわえこんで、前後にしごく動きに切り替えた。
「ああ…」
 ちゅぷっ、ちゅぷという淫らな水音が化学教室に響く。辛気くさい薬品の香りをはねつけるかのように、浩之とあかりは熱気に包まれていた。
 しかも、あかりが鼻から漏らす息と前髪の先端が肉棒にこすれて、煽り立てるような刺激になっている。ペニス全体が、じーんと痺れるような感覚に包まれてきた。
「う…出ちまうっ…」
 だが、あかりは一向に行為の速度を緩めず、少しだけ潤んだ目で浩之の事を見上げた。
「…いいのか?」
 ちゅぷ、ちゅぶ、ちゅぶっ!
「わ、わかった…」
 その行為自体が、何よりの答えだった。それに、今引き抜いても思い切りあかりの顔面にぶちまけてしまうだけだろう。
 浩之は、ペニスを通り抜ける射精感があたたかなあかりの唇に包まれる感覚を目一杯に感じた。
 びゅっ、びゅっ、びゅっ…
 放出感がある。尿道口のすぐ近くにはねっとりとしたあかりの舌の感触があって、あかりの口の中に出してしまっているという感覚をより強めていた。
 …こく、こく…
 放出からやや遅れて、あかりが白濁の液を飲み下していく音が聞こえてくる。はじめての経験であるのに全く躊躇もなく、絞るように綺麗に飲み込んでいった。
「全部…飲んじゃったな…」
 ちゅる…
「うん…」
 肉棒を口から離し、口元をぬぐいながらあかりがうなずく。
「あかり…お前って、なんだかすごいな」
「え…だって、ここで外に出しちゃったらお掃除もできないし…」
「…なんだよ、あかり、お前俺のをそんな風に思ってたのか」
 肉棒を服の中にしまいながら、浩之が言う。
「えっ!えっ…そんな事ないよ、私浩之ちゃんのを飲めて、すごく嬉しかったよ…」
「ばーか、んな見え透いたウソ言ったってバレバレなんだよ。こんなもん飲んだって気持ち悪くなるだけだろ」
「ううん…嬉しかったのはほんとうだよ…」
 あかりは鞄を持ちながら、言った。こんな暗がりでも、頬を染めているのがわかる。
「ったく…」
 浩之は興味なさそうに言って、あかりに背を向けた。
「あ、浩之ちゃん待ってっ…」
「なあ、このまんま俺んち来るか?」
「え…」
「来るんなら来いよー」
 すたすた、と歩き出す。
「う、うんっ…私、行くよ…!」
 あかりは戸惑った声を上げながらも、嬉しそうに浩之の横に並んだ。


7/27
「あっ」
 あかりが前のめりに倒れそうになる。
「ちょ、ちょっと」
 抱きつかれていた志保も一緒に倒れそうになって、慌ててバランスを取る。あかりも、志保につかまるようにして何とか踏みとどまった。
「…あかり、ぼーっとしてちゃだめでしょ」
 志保は口元をぬぐいながら言う。
「う、うん、ごめん…それで志保、今みたいのでいいのかな…」
「そうねぇ…ドーテイ相手なら、上々なんじゃないの」
「よかった」
「それはいいんだけど、あかり、そろそろ手、離してくれない?」
 あかりは、志保に一方的に抱きついているような姿勢だった。二人の乳房が押しつけられて、密着の感を高めている。
「あっ…うん」
「子供じゃないんだから、そんなにぐいぐい抱きつかなくてもいいでしょ」
「でも、しているうちに不安になってきちゃって…」
「…ま、男の前ならその方がウケるかもしれないわね」
 志保はそう言って、あかりの身体をながめる。
「そうしたら、どうすればいいのかな」
 両手で身体をそっと隠しながら、あかりは訊く。
「えーっと…普通は、男が触る番よね…」
 志保は一歩あかりに近づいて、乳房の上に添えられているあかりの手に触れる。
「どかして」
「…うん」
 あかりはゆっくりと手を下ろした。その手をどこに動かすか迷った結果、両手で秘部を覆い隠す体勢になる。
「なんか、謝られてるみたいね」
「え、…そ、そう…だね」
 どこか間抜けな自分の体勢に気づいたらしかったが、それ以上に体勢を変える事はできないようだった。
「別にいいけど」
 志保はあかりの乳房を両手でつかむと、くっくっ、と速いペースで揉み始める。
「あ…」
「男は加減がわからないだろうから、強すぎたり弱すぎたりするだろうけど…そしたらきちんと言わなきゃだめよ」
 そんな事を言いながら、志保はマッサージ師のような慣れた手つきであかりの胸を揉んでいった。時々突起に指を引っかけるようにしていくと、たちまち先端が紅色に染まって、膨らみ始める。
「気持ちいいでしょ?」
「うん…」
「あと」
 志保はおもむろに片方の乳房に口を近づけ、突起をぷるぷると唇と舌でなぶり始めた。
「ん…志保…」
 あかりの頬が、ぽうっと熱に染まり始める。身体の前に手を合わせた直立不動のまま、熱に浮かされていく様子は少々可笑しかったが、志保もあかりもそんな事は気にしていない。
「もう…こうなっちゃうと、胸だけでも結構…」
 志保は顔を上げると、自分の唾液でぬめらせた部分を指先で強めに刺激する。
「あっ…うん…」
 あかりも肯定した。頬の上気も、段々と高まってきている。
「下、いくわよ」
「え…」
 志保がするっと体勢を低くした瞬間、あかりが戸惑いの表情を浮かべた。そして隠している自分の両手をじっと見つめる。
「このままじゃできないでしょ」
「だけど…」
 と、言葉での抵抗は見せたが、あかりは徐々に左右に手をどけていった。
 志保は自分の口に三、四本の指を左右の手で交互に突っ込んでべたべたにしてしまう。そして、ためらいもなくあかりの秘裂をぴろっと広げてしまった。
「は、恥ずかしいよ…」
「すごいキレイね…あかりのココ」
 志保はあかりの言う事になど耳を貸さず、濡れた指であかりの秘裂の中を確かめ始める。襞(ひだ)の間まで撫でるような細かさだったが、それはもちろん同時にあかりに対する愛撫でもある。
「最初っから、結構気持ちいいんじゃない?」
「す、すこし…」
 あかりは困惑した表情を浮かべながら言う。だが、うっすらと汗すら浮かべているあかりの様子を見れば、あかりの言っている事が間違いではないこと、恐らく実際にはそれよりも感じてしまっている事は明らかだ。
「それで、こっちの方にいくと?」
「ふぅんっ…志保、そっちは…」
「やっぱり…もうあかり、わかるんじゃない」
 志保はじりじりと指を動かしながら意地悪な笑みを浮かべる。
「だって…志保が上手すぎるからっ…」
「ほら、もうここまで来たわよ?」
「だ、だめだよ…志保っ…」
 そうあかりが言った瞬間、志保はぐいと指を進めて突起の上に指を移動させる。
「んんぅ…」
「ここ、一番すごいとこだから…こうするだけでビリビリきちゃうでしょ?」
 志保が優しく突起を押し込む。
「あ、あ…か、からだが…」
「大丈夫?立ってはいられるわよね?」
「な、なんとかだけど…」
 志保はその台詞を聞くと、徐々に指の動きを強くしていった。
「だ、だめぇ…志保…強すぎるよぅ…」
「でも、メチャクチャ気持ちいいでしょ?」
「でも…でもっ」
 あかりは、両手を腰の後ろで合わせて、背中をピンを張らせた体勢で耐えていた。何かの仕置きを受けているような体勢だったが、あかりの表情にはとろけそうな甘さが見え隠れしている。
「ほら…ほらっ」
 志保はもう遠慮する必要はないと見て取ったのか、指の腹を突起に押しつけて、上下に思い切りこすり立てていく。
「私…わたしっ」
 かくん…
「…あかり?」
 突如、あかりが膝を折った。そのまま、ぺたんと床に腰を落としてしまう。
「…来た?」
「なんだか…いきなり、何もわからなくなって…」
 はぁはぁと、かなり上がった息のままあかりは言う。視線も、焦点が合っていなかった。
「上出来、かしらね…」
「これで…大丈夫なのかな」
「まあね…あとは、女がやらなきゃいけないのって…あ」
 志保がぽん、と手を打つ。
「Fしてあげれば?」
「えふ?」
「フェラ。アレを舐めてあげたら、男は大喜びするわよ」
「え…舐めるの?」
「そ」
 志保はウィンクしてみせた。一方のあかりは、意外にもあまり動揺していないようだ。
「で、でも、どうやって練習するの?」
「そ、それは…実際に舌の使い方を訓練しなきゃいけないわよね…」
「うん…」
「それで、単に舐めるだけじゃなくて、気持ちよくさせているのがわかんなきゃいけないわけだし…」
 ちら、と志保があかりの方をうかがった。
「じゃあ、本番じゃないと無理かな…」
「え、えっとさ、あかり」
「なに?」
「気持ちよくなっているのがわかればいいわけよね?」
「うん」
「だ、だったら、相手が男でも女でもそんなに差はないとか、あかり、そう思わない?男相手に練習するわけにはいかないわけだし、気持ちよくなるのがわかるのは人間だけだし…実際、舌の使い方とか、そんなに複雑なわけじゃないし…要は、実際にアソコをぺろぺろ舐められるかって問題でしょ?それだったら…そ、そう、あたしが最初にしてあげるのでもいいし、なんだったらロクキューみたいにして一緒にしてみるのでもいいし…」


7/7
「な、なんで、浩之ちゃん、そんなの」
「いや…ちょっとこういうのも試してみて面白いかと思ったからな」
「い、いやだ…なんだか、怖いし…」
 あかりは浩之の手にあるものから目をそむけて言う。そこにあるのは、ごくごく小さなサイズをした、口紅よりやや大きい程度の大きさのローターだった。
「別に、痛いわけじゃないし、いいじゃねーか」
 浩之はそれをぽんっ、と宙に放ってから無造作につかむ。
「で、でも…」
「な?」
 浩之はあかりの膝の上辺りに陣取って、左手を太股の上に滑らせる。
「あっ、浩之ちゃん…」
「別に大していつもと違うわけじゃないって」
「でも…」
 浩之は右の手も同じように滑らせて脚の付け根の所に近づけていく。肌に、光沢のあるピンクの玩具を触れさせながら。
「あ…」
「な?別に触っても変な感じじゃないだろ」
「…浩之ちゃん、それ自分で買ったの?」
「え?」
「そういうの、浩之ちゃん、自分で買うの?」
「…な、なんでだよ」
「なんだか、浩之ちゃんそういうの自分で買わないんじゃないかと思ってたから」
 あかりは済まなさそうな表情になりながら言う。浩之はそれを見ていると、どことなく罪悪感のような物を感じてしまった。
「…プレゼントだよ」
「プっ、プレゼントなの!?」
 あかりは素っ頓狂な声を上げる。
「誕生日に、どっかのバカが『これで楽しみなさい』とか言って渡してきやがったんだ」
「…ひょっとして、志保?」
「知らねーよ」
 浩之はぶっきらぼうに言って、突然玩具をあかりの秘裂にあてがう。じわじわと近づけるような配慮などなく、ただいきなり真上から密着させた。
「質問、それだけでいいだろ」
「…志保が渡してきた時、それって箱に入っていたの?」
「は?」
「その…その、それ」
「箱?んなもん無かったぞ。ガッコで突然手の平に押しつけてきやがったんだ」
「それって、新品じゃないってことかな…」
「………」
「ご、ごめんなさいっ!なんでもないのっ」
「…ったく…」
 浩之は脱力した声を上げて、小さなボタンを押し込む。
 ヴィ…!
「あっ」
「どうだ?」
「な、なんだか…ブーンってなってる」
「…そりゃそうだろ」
 浩之はそのままあかりの割れ目をなぞるようにローターを動かしてみる。
「く、くすぐったいよぅ…」
 あかりは困った声を上げた。浩之は仕方なく、やや慎重になりながらも秘裂の中にそれを押し込んでいく。
「んん…やっぱり、少しくすぐったいみたい…」
「でも痛くはないんだな」
「うん、痛くはないよ」
 浩之はいつもしているように、粘膜の中心の部分を狙って刺激を加えていった。自分の指にも感じる振動が、どこかいつもと違う雰囲気を醸し出す。直接的に触れていないぶん、かえってエロティックな気もした。
「あ…」
 あかりが甘い声を出すと、蜜が媚肉の間からにじみ出す。
「いつもと変わんないみたいだな」
「浩之ちゃんの指の方が…私、好きだと思う…」
「たまには、こういうのも面白いと思わないのか?」
「で、でも、浩之ちゃんの指の方がもっとやさしいし、柔らかいし、ていねいだし…」
「………」
 反論するわけにもいかず、浩之は返す言葉を失う。
 かと言って今更やめる気もないのか、浩之はローターでぐいっと小粒の突起を撫で上げる。
「ううんっ」
 あかりが鼻に掛かった声を上げた。
「やっぱり、ここはこれでするとなんか違うだろ?」
「びりびりって来て…ちょっと強すぎるかも…」
「それもいいだろ」
 浩之はローターの先の部分をぴったりと突起に当てて、前後左右にほんの少しだけ揺らせる動きを続ける。時折顔を見せるピンク色の突起は確かに膨らみ始めていたし、あかりの漏らす透明な蜜も量が増えてきた。
「いつもより感じてないか?あかり…」
「だって、強いんだもん…」
「悪くないだろ?」
「うーん…」
 快感に頬を上気させながらも、あかりは明確な答えを出さなかった。
「…じゃあ、こっちはどうだ」
「え?」
 浩之はローターを、蜜のあふれ出す部分に当てる。
「えっ?そこも?」
「そうだ」
「で、でもこういうのって、最後にする時の前に気持ちよくなるために使うんじゃないのかな」
「せっかくもらったんだし、出来ることは全部やってみたいだろ」
「でも…」
 浩之が少し力を入れると、あかりのそこは簡単に受け入れていく。すぐに全部がすっぽりとあかりの中に吸い込まれていってしまった。浩之が指を離しても、中から抜け出す様子はない。
「な、なんだか…変な気分」
「でも、これはいつもじゃ出来ないだろ」
「だ、だけど…なんだか変だよ」
 あかりは自分で秘裂の周りに指を当てたりしながら、中から沸き上がってくる振動に困惑している。
「気持ちよくないのか?」
「中に当たってぶーんってなるから…気持ちいいと思うけど…」
「なんか、中途半端な返事だな」
「だって、こんなのはじめてなんだもの…」
 浩之は今一度秘裂を広げて、あかりの様子を確認した。蜜の量は間違いなく増えているし、固く尖った突起はいやらしい色に輝いている。浩之はそのまま人差し指を突起に当てて、ぐりぐりと擦った。
「あっ!浩之ちゃん…」
「どう見たって、感じまくってる時のあかりじゃねーか」
「だ、だって浩之ちゃんが触るから…」
「そうじゃなくて、俺が触る前からそうなってたろ」
「そんなことないよ…浩之ちゃんが触ったとき、ぐーんって気持ちよくなっちゃったし」
「…わかったよ」
 浩之はあかりの突起をバイブレーションするように刺激し続ける。あかりは溜め込んでいた衝動を吐き出すかのように身体を振って反応した。
「あっ、浩之ちゃん、浩之ちゃん!」
「どうだ…あかり」
「き、気持ちいいよっ、浩之ちゃんの指、すっごく気持ちいいよっ!」
「な、なんなんだよ、あかり…突然」
「だって、だって浩之ちゃんの指の方が何倍も気持ちいいんだもん」
「…はぁ、わかったよ」
 浩之はいつもしているような愛撫を始める。あかりの最も感じるその部分に対する、緩急や強弱の差をつけた集中的な愛撫だ。人差し指と中指で交互に、あるいは同時に行う指戯。
「浩之ちゃんっ!浩之ちゃん、浩之ちゃん!私、もう、もうだめぇぇぇっ!」
 ぷぢゅっ!
 あかりが溜まらずに蜜を吹き出させる。
 ビク、ビク…
 見てそれと分かるほどに激しくあかりは身体を痙攣させた。そこに入っていたのが己の分身だったなら、さぞ強く締め付けられた事だろうなどと浩之は思ってしまう。
「ひ、ひろゆきちゃん、これ、ぬいて…」
 息も絶え絶えになりながらあかりが言った。
「そうだな…」
 浩之は指をあかりの密壷に突っ込んだ。
「ふぁ…」
 それだけで、あかりは再びとろけた声を出してしまう。
「あ、あれっ?くそっ、なんだこりゃっ」
「え…どうしたの?」
「…とれない」
「え!?」
「なんか震えてるせいで、うまく指が引っかからないみてーだ…」
「ひ、浩之ちゃんっ!?」
「どうしたもんかな…」
「こ、困るよっ、私、とれないと…」
「…冗談だって」
「えっ?」
 ひょい、と浩之は蜜に濡れそぼったローターを取り出す。
「んなわけねーだろ」
「も、もう、浩之ちゃん、意地悪」
 本気で安堵したという声だ。
「お前が変に強情張って気持ちよくないとか言うからだ」
「嘘言ってないもの…私、浩之ちゃんの指がなくちゃ気持ちよくなんてなれないよ」
 あかりは絶頂の後のぼうっとした表情に戻って、そう言った。
「…じゃあ試すか?」
「ええっ!?」
 ずぶっ。
 浩之が再び震えるそれをあかりの奥深くに突っ込む。
「あ、ああっ!?」


6/20
「あ、あかり」
「いいの…浩之ちゃんは、じっとしてて」
「ってな…う、ごほっ」
 何か言おうとした瞬間、浩之はせき込んだ。
「ほら、じっとしていないと駄目だよ」
「でもなぁ」
 そう言う間にも、浩之の布団の中にあかりはもうもぐり込んできている。もぞもぞと動きながら、足の間を上に進んできていた。さらさらとした髪が内股を撫でながら上がってくる様子は、まるで何かの動物が布団の中に潜り込んできているようだ。
「熱いね」
 布団の中からくぐもった声がする。
「当たり前だろ、熱あるんだから」
「そうだね」
 言いながら、早くもあかりは浩之の足の付け根の所まで上がってきていた。足を押し広げられるような圧迫感は、どこか奇妙な感覚を浩之にもたらす。視界の中にあかりがいない事で、それはますます強くなっていた。
 ごそごそ、という音を立てて、あかりは浩之のトランクスに手を掛ける。狭いところで多少動きにくそうにしつつも、あかりはトランクスをしっかりめくり下ろしてしまった。
「あ…浩之ちゃんの、固くなってる」
 あかりの目には、薄い布団越しの蛍光灯の光に浮かび上がったペニスのシルエットが映っていた。
「仕方ないだろ、こんな事されちゃ…ごほっ」
「すっきりしたいよね、浩之ちゃん」
「風邪うつるぞ」
「大丈夫だよ、きっと」
 そう言って、あかりはペニスを柔らかくつかむ。
「しらねーぞ」
「ううん…はむっ」
 あかりは躊躇無く浩之のペニスを口いっぱいに頬張った。しばらく唾液を口腔の中に溜めつつ、わずかに舌先でペニスの先端をくすぐる。心得たもので、その刺激は浩之の官能を無理のない程度に膨らませていった。
 熱で消耗していた浩之の身体に、段々別の熱っぽさが生まれてくる。それは心地よい熱だった。
 十分に唾液を溜めると、あかりは少しずつ上下の運動を始めた。液体が溜まっているため、ほんの少し動かしただけでもちゅぽちゅぽという派手な水音がする。あたたかくぬめったあかりの口に表面を撫でられていると、浩之のペニスはより固く大きくなってきた。
 あかりは嬉しそうに目を細めながら、徐々に口の動きを大きくしていく。布団の中だと言うことを忘れたかのような激しい動かし方は、まるでペニスを絞り上げているかのようだった。
「あかり、相変わらずうまいな」
「んふっ…ひ、浩之ちゃんのだからだよ」
「いつもより激しいかもな」
「さ、最近してあげられなかったから…さみしくって」
 あかりは頬を真っ赤にしながら行為を再開する。濃厚な動きは前と変わらない。多少単調ではあったが、結局これが男の悦びを最も刺激するのだとあかりは知っているようだった。
「はぁ…」
 浩之が軽く腰を動かした瞬間、あかりはしごき立てのペースを突然早めた。浩之の限界が近いことを、それだけで悟ってしまったのだ。
 あかりの頭が上下に動き、口での締め付けは可能な限り強められている。ほとんど乱暴だとすら思える動きに、浩之は抵抗する気を全く起こさなかった。
「あかり、出るっ」
 びゅっ、びゅっ、びゅっ…!
 規則正しい放出を、あかりは全て受け止めて飲み込んでいった。愉悦の瞳でこくこくと飲み干していく姿は、まるで赤子のように純粋である。
 尿道口に残った精液すら吸い出し、ペニス全体をぐるりと舐めて綺麗にしてから、あかりはようやく行為を終えた。布団をまくって、中から出てくる。
「あは…なんだか、涼しい」
「当たり前だろ…ったく」
「すっきり、した?」
「あぁ、そうだな」
「でも、ちょっと早かったね」
「しゃ、しゃーないだろ、溜まってたんだから」
「そうだね…」
 あかりは乱れた髪を整えながら、浩之の事を見つめた。
「…あかり」
「なに?」
「こっちこい。お前のもいじってやる」
「え」
「お前だって最近できなくて寂しいんだろ。指で何とかしてやるから服脱げ」
「い、いいの?風邪引いてるのに」
「んなこと関係ねーって。口でしてもらって指で出来ないなんて事があるか」
「う、うん」
「なんだよ、してほしくないのか?」
「ち、違うよっ!」
 あかりはぶんぶんと手を振ってから、焦ったように服を脱ぎ始めていった。そして、
「お待たせ…」
 全ての着衣を脱ぎ去ってから、あかりはおずおずとベッドに上がる。
「別に、スカートと下着だけ少し下ろせばよかったんじゃないか」
「や、やだよそんなの、汚れちゃうし」
「そっか…もっとあそこを前に出せよ」
「う、うん」
 あかりが脚を大きく開き、ヘアのほとんど生えそろっていない秘裂を前に突き出した…




6/11
「うっ…や、やめろって言ってるだろ」
 浩之は動けない体勢のまま抗議する。履いていたはずのトランクスはいつの間にか脱がされてしまっており、着ているのは黒いTシャツだけという状況だった。それにしても腹のところまでめくり上げられてしまっており、勃起したペニスをそのまま晒さざるを得ない状況になっている。
 自分のベッドの上で昼寝をして、起きたらそういう状態だったのだ。ご丁寧に、身体のあちこちに縄跳びやらタオルやらの拘束がされてしまっている。へたくそな縛り方とは言え、目に入るところ全てが動けないようにされているような状況で、簡単に脱出できるはずもない。
「いーの。あかり、やっちゃいなさい」
「う、うん…」
「志保、何考えてんだっ!あかりもやめろっ」
 昼寝をしている時に、あかりから枕元に置いておいた携帯に連絡が来たのは覚えている。寝ぼけ眼のまま、カギは開いているから勝手に入ってこいと言ってまた眠り始めたのだが…
「あかり、どうせすぐに言うこと変わってくるんだから、構わずやっちゃうのよ」
「うん…志保」
 その結果がこうだ。
 視界の隅にいるあかりの頭が、自分のペニスに向かって伏せられていくのがわかる。反射的に浩之は身体をばたつかせようとしたが、やはり動く事はできなかった。
 ぺろっ。
「や…やめろって!」
 ペニスの先端に、おずおずとした刺激が走る。その不確かでなま暖かい感触は恐ろしく魅力的だったが、浩之は理性を振り絞ってやめさせようとする。何の前触れもなく幼なじみに性器を刺激されるという事態、しかも隣で別の人間が見ているという事態を、何とか止めようとする。
 ぺろ…ぺろ
 しかし、あかりは黙々と舌を動かした。単純に舌をべろんと出して先端に這わせるだけの、文字通り「舐める」動きだったのだが、それでも十二分に卑猥な行為であるのは間違いない。
「い…異常だぞ!こんなの」
 その行為に溺れそうになる自分を、叫び声で押しとどめる。
「あら、ヒロはこういうの嫌いなの?」
「嫌い…とかそういうんじゃなくて、明らかに正常じゃないだろ!」
 そういう間にも、あかりの行為は続いている。段々、膨れ上がってくる快感を無視できなくなってきた。行為自体が単調なだけに、上手く気をそらす事がかえって難しい。
「いいじゃない、あかりがヒロを好きだって言ったから、きっかけ作ってあげたのよ」
「だ、だったら別の方法がいくらでも…」
「だって、これほど効果的で、好きだってわかる方法ないでしょ?好きじゃない男にFなんて出来るわけないもん」
「………」
 あかりは何も言わず、舌を動かしていた。浩之からは見えなかったが、その頬は真っ赤に染まっている。感じずにはいられない恥ずかしさを埋めるかのように、あかりは行為に没頭していた。何をするにも真面目で一生懸命でセオリー通りというあかりのやり方がこういう行為に持ち込まれると、初めてこういう事をするとは思えないほどにねちっこいフェラチオになる。
「や…やめてくれ、あかり、こんなのおかしいだろ?な?」
 浩之の声にも余裕が無くなってきた。
「しつっこいわねぇ」
 志保はそう言うと、ベッドの上に自らも上がり始める。
「な…なんだよ志保!お前は関係ないだろ」
「特別大サービスだからね」
 そう言って、志保はあかりの横に肩を寄せていく。あかりは舌を出したまま志保の事を横目で見ると、少し左に寄って志保が入ってくるスペースを作った。
「んじゃあヒロ、もう観念しなさいよ〜」
「なっ…!?」
 志保が頭を浩之の股間に埋めていく…あかりと同時に。
 べろん、ぺろっ。
「うあ…あっ」
 浩之は思わず声を漏らしてしまった。二箇所に渡る舌での刺激。しかも、二人とも昔からよく知っている少女なのだ。理性にヒビが入る。
 志保のべろべろという舌でこねくり回すような刺激と、あかりの不慣れな優しい刺激は絶妙のコントラストだった。しかも志保はあかりと違って先端からふくろの部分まで動き回って責め立ててくるので、腰の奥底まで性の感覚が響きわたってくる。
「あ…」
「ね、あかり、ヒロも感じてるのがバレバレでしょ」
 浩之のペニスの先端から、唾液とは違う透明な液体が垂れてきていた。
「う…」
 指の腹で先端をくすぐられる感覚に、浩之はただうめくしかない。
「こうなったら、少しくらい乱暴にしても大丈夫だから、あかり一人でやってやるのよ」
「うん」
 志保は口元をぬぐってベッドから下りた。
 あかりは大きく口を開けて、浩之のペニスをくわえにいく。はむっ、という唇での柔らかいくわえこみの後、舌が触れるねっとりした感触が戻ってきた。
 そのまま舌をペニスの先端に当てて、あふれてきた液体をすくい取る。
「激しくね、激しく」
 ちろちろ、ちろちろ。
 志保の指示に応えて、その動きが速くなった。ペニスの先端をなで回すような強い刺激が幾度も繰り返される。あかりは無我夢中だった。
「あ…あかりっ、ちょい強すぎ…」
「いいのよあかり!ちょっと歯でも立ててやるといいと思うわ」
 ふにっ。
「あっ」
 ほんのわずかにあかりの歯が立てられた瞬間、浩之がらしからぬ声を上げる。
「ヒロ〜、めろめろじゃないの」
「ちっ…違うっ」
「んはっ…浩之ちゃん、なんだか今の可愛かった」
 一度ペニスから口を離して、あかりが言う。
「ばっ、バカ事言ってるんじゃ…な」
 ぺろっ。ぺろぺろっ。ふにっ。
 しかし、それは束の間の中断だった。すぐにあかりは行為を再開する。今度は歯での刺激もサイクルの中に交えた上に、こすり取るような強い刺激を、最も敏感な先端に加えていく。
「う…うわ…やばい、やめてくれ、アレが壊れちまうっ」
「そんなに簡単に壊れやしないわよ。女の初めての方が痛いんだから」
「そ…そういう問題じゃっ…あぐっ」
 かりっ、と音が立つほどに強い歯での刺激。血が滲んでいるかもしれない。
「た、頼む、あかり」
 だが、顔面を蒼白にして懇願しながらも、浩之の性感もまた限界に達しようとしていた。痛みが走る度に波は多少静まるのだが、その後に来るのはさらに強くなった性感の高まりである。必死で押さえ込もうとしても、無理だ。
「や、やめ」
「…!?」
 びゅっ!
「…う」
「ひ…浩之ちゃん」
 あかりは浩之のペニスから口を離すと、口を半開きにして、突然吐き出された少しの精液を舌の上に乗せたまま困惑した表情を浮かべる。
 びゅびゅびゅっ!びゅびゅびゅびゅっ!
「きゃっ!」
 一瞬遅れて、大量の精液が放出された。それは至近距離にいたあかりの顔に勢い良く飛び、口元から髪の毛までべとべとに汚していく。あかりは呆然とした顔をして、その放出を無抵抗で受け止めていた。
「あーあ、かっこ悪ぅっ。出す時は出すって言いなさいよ、しかも変な出し方したし」
 ぴゅっ…
 また遅れた精液が力無く飛んで、あかりの頬に飛ぶ。
「あかり、一度指でしごいて全部出してやんなさいよ」
 言いながら、志保はボックスティッシュをあかりに渡す。
「………」
 そのティッシュで口元の精液をぬぐってから、
「うん」
 とあかりは答えた。
 口の中の精液は、こくんと音を立てて飲んでしまった。そして顔にかけられた精液を、5枚重ねのティッシュで一通りふき取っていく。
 無論それだけで全部取れるはずもないのだが、あかりはまた新しいティッシュを取ると、浩之のペニスの上にかぶせた。水分を吸って、ティッシュがペニスにくっつく。それに構わず、あかりは二本の指で浩之のペニスをしごき上げ始める。
「い…いいって」
「でも…全部出しちゃった方がいいよ」
 出したばかりのペニスへの刺激は、それだけで痛みに似る。しかしそんな事を知らないあかりは、真剣な目で浩之のペニスを刺激していった。
 2分もしないうちに、浩之は再び絶頂を迎える事になる…
 そして、
「うぷっ」
「だ、大丈夫?浩之ちゃん」
 浩之の精液の後始末が終わってしばらく経った頃、あかりは浩之の顔の上に下着を脱いでまたがっていた。
「いいのよあかり。あれだけヤッてやったんだから、満足させてもらうまで許しちゃだめよ」
「うん」
 その答えに、最初よりも躊躇の色が薄くなったのは気のせいだろうか…?
 マヒした頭で考えながら、浩之は舌を動かし始めた。




5/26
 カッカッカッ…
 数式が黒板に次々と書き込まれていく。大半の生徒はそれをぼんやりとながめており、ごく一部の人間だけがそれを律儀に書き取っている。芸のない数学授業の典型だった。
 寝ている生徒、膝の上に置いたマンガを読む生徒と授業のやり過ごし方は様々だった。教室の最も左後ろの席に座っているあかりは…左手だけで持った、机の上の教科書にぼんやりと目を落としているようだ。
 いや、視線はもう少しあかりの身体に近い方に向けられているようにも見える。
 その原因は…少し注視してみれば明白だった。膝の上に置かれているように見えた右手は、実際にはスカートの中に潜り込んでいたのだ。目的もすぐにわかる。スカートの生地はちょうど足の付け根のあたりで盛り上がって、不自然なうごめきを見せているのだ。
 動きは非常に緩慢だったが、責めているのは核心の部分、あかりが最も感じることのできる部分だった。
 その刺激を、授業が始まってからすぐ始めたのだから、あかりの身体には隅々に性感が行き渡ってしまっている。乳首もブラジャーを突き上げるように尖っており、切なすぎる刺激をあかりに与えていた。
 あかりは落ち着かなさそうな表情で、しきりに隣の席をうかがう。その席には浩之が座っていた。浩之は何事もないような、飄々とした表情であかりの事を見ている。真横から見ているのだから、あかりの行為に気づかないはずはない。
 だが浩之は特に興味のあるような素振りは見せていなかった。しかし、視線をそらす事もしなかった。
 あかりは今にも誰かに気づかれるのではないかという危惧に震えながら、それでも行為を続けざるを得なかった。最低でも絶頂を一回迎え、かつショーツを愛液でぐっしょりと濡らさなくてはいけないのだ。
 びくっ…
 不意にあかりが痙攣し、かくんと頭を垂れる。
 キーンコーン…
 ほぼ同時にチャイムが鳴り響いた。
 「間に合った」という安堵感と、これから始まる褒美の期待に胸を高鳴らせつつ、あかりは席を立つ。
 椅子の上にはぬらりとした愛液のたまりが出来てしまっていた。