Daily-EROtic 香里

12/20
 長い影が公園の地面に映っていた。
 水銀灯の光が作り出す、手をつないだ男女のシルエット。縁のはっきりしない、ぼんやりとした影が公園の固い土の上で移動していく。
「………」
 そして、北川に手を引かれるようにしてふらふらと歩いている香里の中から…その影と同じくらいにぼんやりとした音が響いていた。注意しなければ聞き逃してしまうくらいの音だし、たとえ聞こえたとしても普通なら気に留めないような音だ。携帯のバイブ着信に気づいていないとか、原因に関する想像はいくらでも付けられる。
 まさか、その振動が香里の身体の中を一日中襲っていたなどと言う事は、誰も想像しないだろう…
「よし…香里、脱げ」
「………す、するの…?」
「当たり前だろ。この前だってしたじゃないか」
「………」
 香里はそう言われるだけで、続ける言葉を失ってしまっていた。一日中続いたバイブレーションは、香里の官能だけでなく理性も溶かしきってしまったようだ…
 とんっ…
 香里はハンドバッグを石のベンチの上に置き、茶革のかっちりした靴を脱ぐ。そして銀色をしたスカートの金具に手を掛ける。そのしっかりした生地の黒いスカートは、カチリと金具が外れると同時に締まった土の上に滑り落ちていた。
 紫色をした香里の下着は…水銀灯をバックにした、影に覆われた状況であっても明白なほどに濡れてしまっている。振動が始まって1分後には潤いを帯び始め、10分の後にはぐっしょりとなってしまった下着である。
 しゅるっ…
 香里がその下着を降ろすと、その内側に畳まれたハンカチが2枚ばかり入っているのが見えた。何とか下着の濡れを抑えようとトイレに入った時にした処置だが、その8枚重ねられた生地も今ではすっかり香里の淫液が染み込んでしまっている。
「すごいな…」
 香里がベンチの上に置こうとしたそれを、北川はパッと奪い取る。
「あっ!」
 じゅぅ…
 ぽたぽたっ…ぽた
 北川はそれを雑巾しぼりにしてのけた。軽く力を入れただけでも、そこからは淫靡な液体が大量にしたたり落ちていく。
「んー…」
「あ…北川君…」
 手の平にべっとりとついた液体を北川がぺろぺろと舐め取っているさまを、香里は恥辱に染まった顔で見つめていた。
「したくてたまんないって味だな」
「………」
「そうだろ?」
「………だって…こんなに…されたらっ…」
「こんな風にか?」
 ヴィィィィィ…
「ああっ!」
 北川が突然出力を上げる。公園の静けさの中に、大きな振動音が響きわたっていった。
「や、やめて…だめっ…こんな…」
 ヴィィ……ィィ…
「あ…ああ…」
「香里、自分で腰振れよ」
 そう言いながら、北川はポケットに突っ込んでいた手を出してジーンズを降ろした。トランクスも一緒に、ちょうどペニスが露出するだけの最低限度だけ…
 たんっ。
 北川は石のベンチに飛び乗ると、そこに身体を寝かせて香里の方を見つめる。
「………」
 香里は何も言わず股間に手を伸ばし、自分のドロドロになった部分へ指をつっこんだ。そして今もなお振動し続けているボール状の玩具をぬるりと取り出す。
「こ、これはどこに…」
「口ん中入れておけよ」
「…えっ!?」
「早くしろよ」
「そ…そん…な…」
 香里は言いつつも、自分の手にした小さなローターをゆっくりと口に近づけていく。
「ス、スイッチ…」
「そのまんまだ」
 北川は即答した。
「…あ…ああ…」
 嘆きのような憂いのような声と共に、香里はその濡れそぼった球体を唇の間から入れる。
「んんっ…」
 唇にブルブルという振動が加わったかと思うと、その振動は次の瞬間舌の上に移動していた。酸っぱい香気に満たされた口内を、ゆるい振動が伝っていく。
「うっ…んぅぅっ…」
 香里はその奇妙な物体を口に含みながら、石のベンチに上がった。
 そして北川の身体をまたぎ、ナイロンジャケットの下からのぞいているペニスを指でつかむ。そのまま腰を落として、潤いきった性器を近づけていく。
 ぬちゅり…
「ふんんっ…」
 水っぽい音がして、香里の中へと北川の肉棒が導かれていった。
 ぬちゅ、ぬちゅ…
「ん、んん、んん…」
 香里は靴下が滑りそうなつるつるした石の上で必死に身体を安定させて、腰を上げ下げする。香里の中は鈍い振動によってすっかり目覚めきっており、北川の固いモノでこすられる度にジンジンと快感を生んでいた。
「ぬらぬら光ってるのがよく見えるぞ」
「んんっ…んんーっ…」
 最近ようやく温かくなってきたこの街の風も、濡れた部分に当たると冷たく感じられる。その度に、ちょっと普通では考えられないほど濡れているという事を思い知らされてしまう。
 香里は北川に助けを求めるような悲しい目をしていたが、ローターが口の中にあって声は出せなかった。行為を早く終わらせるには、北川を一刻も早く満足させるしかないのだ。
 ぬちゅっ、ぬちゅっ、ぬちゅ
「んっ、んんっ」
 潤った秘部が露骨に見えてしまうのも構わず、香里は自分の出来る限りのスピードで腰を動かした。高ぶりきった香里の身体はすぐ絶頂に達しそうになってしまったが、それを抑えて何とか腰を上下させる。北川のモノに、濡れた粘膜での献身的な愛撫を伝えようとする。
 ぬちゅっ、ぬちゅ…ぬちゅっ、ぬちゅ…
 それでも、一日中なぶられていた香里と北川では差がありすぎた。
「んんーっ…」
 ひくんっ…ひくんっ、ひくん…
 香里は腰の動きを止め、がっくりと北川の身体に両手を突きながら膣内を収縮させる。今日何度迎えたか分からない、軽めのエクスタシーだった。
「なんだ…イッたのか」
「ん……うう…」
 憔悴しきった顔で、香里は北川に懇願するような目を向ける。前髪が汗で額にべっとり張りついていた。
 ぬぢゅっ! ずぐ…
「んっ、んぅっ!」
 北川は下から激しく香里を突き上げる。
「もう少しで俺も出すとこだったのに…根性なさすぎるぞ」
 ぬぢゅっ! ずちゅっ!
「んーっ、んううう、んうううーっ…んー!」
 香里は北川の身体に手を突いて倒れないようにするのが精一杯だった。北川の跳ね上がるような突き上げが、香里の最深部を襲ってくる。絶頂直後の敏感な身体の奥底から、また熱い脈動が膨れ上がってくる。
 ずぢゅっ! ぢゅぐぢゅぐっ!
「よし…出すぞ」
「んっ、んっ…んんんーっ!!?」
 びゅるっ、びゅっ、びゅ…びゅびゅ…
 ビクンッ…ビクンッ! ビクンッ、ビクンッ…! ビクッ…!!
「んあっ…ああーっ、あっ、はああっ…ああ…!」
 香里は口の中からローターをぽろりと落とし…一日中のくすぶった欲望を燃え上がらせるような大声を、公園の静けさの中に響きわたらせた…



11/22
(久々に例のシリーズです。良く分からんという方は栞過去ログ辺りで6/19から見てみてください。この際タイトルでもつけますか。「-Kanon Parallel Story- 私立仁成女子学院」(笑))

「………香里…怖いよ」
「なんで…?」
「…だって」
 名雪は力無く枕に横顔をうずめながら、遠い目をする。香里はその名雪のことを、思い詰めたような表情で見つめている。
 二人とも、服を着ていなかった。名雪は自分のベッドの上で、運動選手としての引き締まりと普段のぼやっとした雰囲気の中間のような、詰まるところは普通の少女としての裸体を晒している。香里は名雪の上に裸でのしかかっている状態で、その股間からは…少女にあるまじき肉の棒が固く屹立している。
「全然初めてじゃないんでしょ? 彼といくらでもしてたんでしょ?」
 香里は詰問するような口調で言うと、名雪の秘裂の間に指をつっこむ。
「あ…!」
 ぐに、ぐに…
 香里の指が、名雪の秘裂の中の敏感な部分を触り始めた。
「ほら、感じるでしょっ!?」
「か、香里っ…」
 官能を熟知した同性の厳しい責め立てに、名雪はこわばった声を出す。
 …ぷちゅっ。ぷちゅ…ちゅく
「もう濡れてきてるじゃない…」
「違うよ…香里、そうじゃないよ」
 名雪は少し頬を赤く染めつつも、遠い目をしたままに言った。
「倉田さんとの選挙…香里なんだから、応援したいとも思うし、私がやれることなら協力したいけれど…」
「…名雪」
「やっぱり、怖いよっ…私、怖い…」
 名雪はぎゅぅ…と目を閉じてしまった。
「来たんでしょ? 倉田の方の人間から、名雪に入って欲しいって話」
「………」
「わかるわよ…隠さなくても」
「香里…」
 気負いを感じさせなくなった香里の声に少し安堵を覚えたのか、名雪が目を開ける。
「確かに、私も名雪に入って欲しいって思った事はあるわ。でも」
 香里はぐっ、と体を倒して名雪の目の前まで顔を近づけた。
「やっぱりできない。名雪は危険に晒せない。これはあくまで私と名雪の間の、個人的な関係にしたいの」
「………」
「選挙の運動に関わってこなければ、名雪が危険になることはないわ。怖がらなくても大丈夫」
「…だけど」
「あとは…彼のこと?」
「……うん」
 名雪は頭を少し動かしてうなずいた。
「相沢祐一君には悪いとは思っているけれど、私は名雪を取って行くわよ」
「でも香里、祐一が東京の方に帰っているときに、何も言わないでこんなことをするなんて…」
「名雪、私が好きよね?」
「うん…」
「私も名雪が好き。本当に好き。独り占めにしちゃいたい」
「………」
「その気持ちは変わらないし、名雪が欲しくてたまらないの」
 香里が名雪の手をぱっとつかむ。
「あ」
「名雪、入れるわよ」
 一度は冷静な物になっていた香里の声に、情熱的な響きが戻ってきていた。
 そして、香里は名雪の返答を待たずに肉の棒の先端を名雪の秘裂の中へと割り込ませる。
「あ、香里っ…」
 ぬちゅっ…ぬちゅ
「うん…とっても濡れてるわね…名雪の体も、私のこれをほしがっているのよね」
 香里は軽く腰をグラインドさせながら言った。
「…私…」
「入れるわ」
 …ずちゅぅ…
 肉棒が押し出されると、名雪のヴァギナが大きな水音を立てて反応する。
「あっ…!」
「んん…名雪の中、すごい…」
「あ…香里っ…香里のがっ…」
 名雪はうわずった声で言った。やはり遠い目をしたままだった瞳にさっと潤みが生まれる。焦点が定まらないその瞳は、一体何を見ているのか。
 ずちゅっ、ぬちゅるっ、にちゅっ…
「うああっ…名雪っ…名雪の中、すっごいぬるぬるして、ぎゅうぎゅう締まるっ…」
「香里…強すぎるよっ…!」
「名雪も、いいんでしょ…!?」
 ずちゅっずちゅっずちゅぅっ…
「…あっ…ああっ!」
 その名雪の視線を、無理矢理自分に向かせようとしているかのように香里が激しい抽送を行う。だが幾多の少女を強姦に近いような形で犯してきた香里にとっては、それも普段と同じくらいの動きという事にしかならないだろう。
「くぅっ…名雪…名雪! 名雪っ!」
「ああっ…はああぁっ…!」
 ずちゅっ、ずちゅっ!
「名雪…もっと私を感じて、私のこれを強く締め付けてっ!」
「か、香里のっ…ごりごり…当たってるっ…」
 しかし名雪に対して呼びかける、深く求めるような声は普段の香里にはないものだった。香里は名雪の腰を強く抱きしめて、そこに思い切り自分自身を叩きつけるような勢いで腰を振る。
 ぢゅぐ、ぢゅぐぅっ……!
「はぁっ…! はぁっ…!」
 香里は息を荒くしながら、愛液に満ちた名雪の膣壁をえぐり続ける。そこがそれだけ濡れるようになったのも、香里の強いストロークを受け止められるほどにこなれているのも、恐らくは名雪と祐一が幾度となく交わった事によるものだろう。
 ぢゅぐ、ちゅぐ、ぢゅぐぅ…
 そこを自分の肉棒によって染め直そうとしているかのように、香里は熱っぽい動作で腰を激しく動かし続けていた。
「か、香里…私…もう…」
「名雪っ…!」
 香里は名雪が弱々しく言うと、叫ぶような声で呼びかけた。
「私の物だからっ…私、独り占めにするからっ…! 名雪を独り占めにするからっ…名雪を私に物にするからっ…!!」
「…う…」
「考えないでっ! 相沢君のことなんか、もう考えないでっ! 私だけを見つめてっ!」
「………」
 名雪の目からじわっと涙があふれてきていた。
「私の物っ…名雪、私の物よっ…!」
 それにつられるかのように、香里も目から涙をにじませる。香里が涙をこぼしたのなど、何年ぶりのことだろうか。
「誓ってっ…私の物になるって、誓ってっ…!」
 ぢゅぐ、ぢゅぐっ!
 しかしそんな感慨を深くすることはせず、香里は腰を振りながら名雪に向かって叫び続けていた。
「………」
 名雪の目から、どんどん涙があふれてくる。香里の目からも、少しずつではあったが耐えきれない涙がこぼれてくる。
「…うん」
 だが名雪は涙をあふれさせたままに、首をはっきりと縦に振った。
「なるよ、私…香里だけの物に…」
「名雪っ」
「祐一には、どうやって謝ったらいいのかわからないけれど…」
「やめてっ…今、そんな事言わないでよ…名雪」
「ごめん…でも、やっぱりそう思うから…香里にも、私がそう思っていたってこと知って置いて欲しいから…」
「………」
「それでも、香里、いいの…? 私で」
「…もう訊かないで」
 ぐぢゅぐぢゅっ!
「あっ…香里っ!」
「イッちゃいなさいっ…名雪、私ので思い切りイッて!」
「か、香里…あっ…あっ…あっ…ああーっ!」
 名雪が高い声を上げ、同時に膣内がぎゅぎゅっと締まる。
 ビクッ、ビクッ、ビク…ビク…!
「ううっ…名雪」
 …びゅっ、びゅるっ、びゅるるっ!
 香里は低い声でうめくと、名雪の中に思い切り白濁した半透明の液を放出していた。
「あ…はぁぁ…香里…」
 ぴく…ぴくっ
 びゅ、びゅ…
「名雪…名雪っ…私の…私の物よっ…」
 香里が放出しながら体を倒し、名雪と汗ばんだ白い肌をぴったりと合わせる。
「うん…私…香里の物だよ」
「離さない…絶対離さないから…私は、名雪を好きなんだから…!」
 深く繋がり合ったまま、香里は何度もその言葉を叫んでいた。



11/19
「…本当にやるのか?」
「やる」
「どうなっても知らないぞ…」
「美坂の味がどうなのか知りたいって言ったのは相沢だっ」
「言葉のアヤだった…はずなんだがな…」
 祐一も少々語気を弱くする。
「美坂と水瀬が日直になるチャンスなんて、もう二度とないぞ」
「あと20日後には回ってくるじゃないか」
「せ、席替えがあるかもしれないだろっ! それに…」
 北川が懐から怪しげな物を取り出す。
「これを買った以上、もう後には引けないっ!」
「いくらしたんだ…それ」
 祐一は北川の手にした黒いバイブレータを見て、半ば呆れ口調で訊く。
「俺の給料の一ヶ月分だ」
「お前バイトしてないだろ、きた…が……わ…」
「いくぞ、相沢っ」
 北川が教室のドアに手を掛ける。
 ぽん。
「え?」
 その時、北川の肩に手が置かれた。
「どうしたんだ、あいざ……わ」
 怪訝そうな声は途中で止まる。振り向いた所にいた人間は、祐一ではなかった。
「現行犯で逮捕するわ」
 そこにいたのは、香里。祐一はその横で表情を凍り付かせていた。
「みみみみ美坂っ!? なんでここに…」
「教室の中から出てきたからよ」
「ど、どこから」
「あっちからよ」
 香里がもう一つの方の教室のドアを指さす。
「しょ、職員室はこっちの方なのに…」
「だからってこっちから出てこなくちゃなんないってわけでもないでしょ」
「そ、そんな…」
 がっくりと落ちこむ北川の肩を、香里はぐぐぐと力をこめてつかむ。
「ま、話は署の方でゆっくり訊かせてもらうわ。ね、名雪?」
「え? 署?」
 香里の体に隠れるような位置にいた名雪が聞き返した。
「そうよ」
「か、勘弁してくれ…」
 逃げようとする北川を、香里はずるずると引っ張って歩いていく。
『………』
 残された祐一と名雪は一度顔を見合わせて、互いに少し気まずそうな表情になる。それから名雪がちょっと怒った顔で祐一の事をにらんだ。
「…お、俺は…」
 祐一はもごもごと言って、香里と北川の後を追う。名雪は多少膨れた顔をしつつも、祐一の横について香里と北川の後を追いかけ始めた。

「………なるほどね」
「ち、違う…相沢も、計画に乗り気だったじゃないか…」
「言い訳は無用」
 腕組みした香里が、一言の下に切り捨てる。
「あ、相沢の裏切り者…」
 うらめしそうに言う北川は既に服を全部脱がされて、素っ裸の状態で正座させられていた。そのやや横で正座している祐一は、トランクスだけは履いたままで許してもらっている。
 そして名雪は、自分のベッドに腰掛けてその様子を見守っていた。「取り調べ」の場所が名雪の部屋だと香里に聞かされた時、名雪はだいぶ不満そうな顔をしていたが、今もあまり興味はなさそうにぼんやりと裸に剥かれた二人を見つめている。
「さて、罰として何をあげるのがいいかしら?」
 香里は足元の床に転がしていた、押収済みのバイブを手に取る。
「これで女の子の気分を味あわせてあげるってのも…」
「そ、それって…」
「安心しなさい、何かで濡らして滑るようにしてあげるから」
「や、やめてくれーっ…!」
 北川が大声で叫ぶ。祐一の方も、顔を引きつらせて北川の体からずりずりと離れていく。
「………ま、それは冗談として」
「…本当に冗談だったのか…?」
「して欲しいの?」
「ち、ちがうちがうっ…!」
「…じゃあ…そうね…」
 香里が不敵な笑いを浮かべながら考え出す。
「…名雪、浮気しようとしていた相沢君に何かしたい罰はないの?」
「え…」
「なんでもいいわよ」
「突然言われても…………あ」
「何かあった?」
「………ええと…」
 名雪が少し顔を赤らめる。
「祐一、私には口でしろって言うのに、祐一の方はしてくれないんだよ…」
「へぇ…それは許せないわね」
 香里が祐一の正面に立って、じいっと見下ろす。祐一は名雪と香里のことをちらちらとうかがいながら、下を向いてうつむいてしまった。
「あ…じゃあ、それでいきましょ。名雪、服脱いで」
「う、うん…」
 名雪は割と素直にうなずいて、制服をゆっくりと脱ぎ始める。どうやら、それなりのレベルまで体の中に欲求不満を溜め込んでいたようだった。祐一が香里の味を知りたがっていると言い出したという北川の発言を信じるならば、祐一は名雪に口でしてあげるどころか普通の性生活すらもおざなりに済ませていたという可能性もある。
「北川君は、これ」
「………?」
 香里がポケットから取り出したものを見て、北川は不思議そうな顔をした。
 濃紺の色をした、髪留め用のゴムだ。飾りなどはついておらず、ただゴムの部分があるだけのシンプルな構造である。香里はそれを手に、北川の体の前にしゃがみこんだ。
「………うぇっ!?」
「動かないで」
 香里が、北川の正座した脚の間からぴょこんと飛び出ているペニスをつかむ。さすがに北川も香里の目的を察したようで、狼狽しきった表情を露わにした。
 ぐっ、ぐぐっ…
「や、やめてくれ…」
 そのペニスの幹の真ん中あたりに、香里はゴムをぐるぐると巻いていく。
 ぐるん…ぐるっ
 そしてほとんど余裕がないほどにゴムを伸ばしきった状態にして、ペニスをきつく縛り付けてしまった。北川のペニスが真ん中でくびれて、不自然な形になっている。
「い、痛い…」
「取っちゃダメよ。それから、自分で触るのもだめ。したら、今度こそあれを本当に突っ込むわよ」
「う…ううっ」
 北川は情けない声を上げる。しかし非道な仕打ちを受けているにも拘わらず、香里の細く冷たい指につかまれていたペニスは固く勃起し始めていた。そうなると、北川のペニスはますますきつく縛られている状態になってしまう。
「……さて、名雪」
「うん…」
 名雪は、もう服を全て脱ぎ終わって全裸の状態になっていた。香里が言うと、そのまま正座した祐一に向かって歩いていく。
「祐一…」
「な、名雪…うぷ」
 名雪は歩く動きの延長線上のような感じで、祐一の顔に自分の秘部を押しつけていた。
「相沢君、舐めなさい」
「んっ…んうっ」
 祐一は苦しそうな声を上げる。さらに名雪が祐一の頭を腕で抱えて強く腰を前に出すと、さすがに呼吸が苦しくなりすぎたのか、舌を出して名雪の秘裂の中に差し入れた。
「あ…祐一」
 名雪は少し腰を引いて、祐一の呼吸を助けてやる。
「んはぁっ……はぁっ…はぁっ…」
 祐一はしばし呼吸を整えていたが、そうしてばかりいるとまた呼吸困難に追い込まれると思ったのか、名雪の秘部の中に入れた舌を動かし始めた。
 …ちゅ…ぬちゅ…
「んんっ…祐一…」
 名雪が気持ちよさそうな顔で名前を呼び、祐一の頭をいとおしそうに撫でる。
 ちゅ、ちゅ…
 祐一は黙々と舌を動かし続けていた。あまり慣れていない様子だったが、名雪は子供と遊んでいるかのようにそれを優しい目で見つめ、自ら腰を動かすことで刺激を強める。次第に名雪の性器の中に、酸味を帯びた液体がにじみ出してきたようだった。
 ぬちゅ、じゅぅ…
「そ、そう…祐一っ」
 祐一がそのジュースを舌で舐め取ると、名雪は悦びの声を出して腰を震わせる。
「みっ、美坂…助けてくれ…」
「ダメよ…お仕置きなんだから」
 その様子を視界の端にうかがっていた北川が、また情けない声を出した。至近距離で繰り広げられる濃厚な情景に、北川のペニスは激しく高ぶってきている。しかしそうすればそうするほど、ゴムで締め付けられるのも強くなって苦しくなる。
「と、取ってくれ…!」
「ダメ」
 そう言って、香里は祐一と名雪の方に近寄る。
「………!?」
 名雪の中を舐める動きに次第に慣れてきていたように見えた祐一が、突然体をよじらせた。
 しゅくっ、しゅく…
「相沢君、私からもお仕置きしてあげるわ…」
 しゅっ、しゅる、しゅるっ
 香里は妖艶な声で言うと、祐一のトランクスの中に突っ込んだ手を巧みに動かし始める。下着の中で激しく勃起しているはずのペニスをしごいているのは間違いない。
「か、香里…!」
「いいでしょ、これくらい」
「…うー…」
 名雪は多少の不満を残した顔だった。が、香里の責めに急き立てられたのか、祐一の舌を動きが激しくなってくるとそれも消え、柔らかに名雪の粘膜をなめずる生暖かい感触に身を委ねていく。突起の部分を舌が通過すると、名雪はピクンと腰を震わせて反応していた。かなり快感が蓄積されてきているようだ。
 しゅっ、しゅっ、しゅっ…
 速いペースで香里の責め立てを受けている祐一も、相当なペースで高まってきていることだろう。香里の細くて長い、キラリとした冷ややかさを感じさせる指が本気になってペニスをしごいているのだ。
「………」
 名雪の秘部にうずめた顔が少し離れるたび、垣間見える祐一の目はもはや力を失ってきていた。そして名雪の方も、生まれて初めての口唇愛撫に相当感じている様子である。
「祐一…気持ちいいよ…」
「名雪、イケそう?」
「うん…私…もう、イッちゃう…」
「ふぅん…」
 しゅこ、しゅこっ、しゅくっ
 香里は会話しながらも、まるでペースをゆるめずに祐一のペニスをしごき立てている。
「…うっ…!」
 祐一は名雪の秘部に口をつけたままうめくと、ビクンと腰を跳ねさせた。
 びゅっ、びゅっ、びゅっ、びゅびゅうっ!
「う…ああ…あ…」
 香里の手の中に、白濁液が大量に放出される。そこからあふれ出た液体が、トランクスをべとべとにしていく。
「あ…私…私…!」
 …びくっ…
 その絶頂の直後、名雪が切なそうな声を上げると、秘部を祐一の顔に思い切り押しつけて全身を痙攣させた。
 びくっ、びくっ、びく…
「………ふたりとも、イッちゃった」
 香里は妙にさっぱりとした声と表情で言う。
「………ゆ、許してくれ…美坂…もう…しないから…こ、これじゃあ…もう…」
 未だペニスを拘束されたままの北川は、悲鳴に近い声で訴えながら顔面を蒼白にしていた。ペニスの先端から、ほんのわずかに透明な液体がにじみ出てきているのが苦しそうである。
「どうしようかしら…」
「な、なんでもしますっ、本当にっ…」
「そうねぇ」
 香里は北川の太股の辺りをつつきながら、悪魔的な笑みを浮かべて北川の顔をのぞきこんでいた。
「ゆ、祐一…」
「…名雪」
 そしてこちらの恋人同士は、普段と違う立場で行われた性行為に戸惑いを表しつつも、さらなる交歓を求めているのか互いにじっと見つめ合っている。名雪の目は、普段のぼうっとした様子からは想像できないほどに欲情に満ちてきていた。



10/28
「正直に言ってくれよ…!」
「い、いや! 来ないで!」
「そうなんだろっ…もう、ウソをつかないでくれよ!」
「ち、違うの…ただ、北川君とは普通の友達の関係でいたいと思ったから…だから…」
「俺も正直に言う」
 北川は教室の隅で瞳を震わせる香里からきっかり30センチの所に立って、香里の目を見つめた。
「俺の考えている事は間違いないって思ったから…相沢に頼んで、水瀬に訊いてもらった。そして、俺自身も直接水瀬に訊いて、それを確認した」
「…え…」
「だから、もう隠さないでくれ、美坂」
「な、なんで…名雪が…」
「そうする事が、お前のためにもなると思ったと言っていたんだ」
「ぜ…絶対に…言わないって…約束して…信じていたのに…」
「水瀬も、相沢も、そしてもちろん俺も、真剣なんだ」
 北川はじりっ、と上履きの先を擦らせてにじり寄る。
「だ、だって、そういうのって絶対に必要ってわけじゃあないでしょ? ましてや、私の場合…」
 香里は顔をそらせて、不自然なほどに軽い口調で言う。
「そうやって否定的にばかり捉えていて…」
「べ、別に否定的になんてなってないわよ」
「だったら、なんで俺には…」
「普通の友達でいたいって思ったから…本当にそれだけ…」
「美坂、誤魔化してる…!」
 ざっ。
「あ…」
 北川が、香里の片手をぱっとつかんで自分の方に引き寄せた。香里の瞳が不安定に揺れて、北川の事を見つめる。
 ぱさっ!
「!!」
 そして、北川は空いた方の手でスカートの裾を跳ね上げると、そこに手を侵入させた。
「い、いや…!」
 香里は叫びそうになったが、その声は途中で消え、両脚を固く閉じるだけにとどまる。香里は、何かを恐れているかのように周囲をきょろきょろと見回していた。誰かに見とがめられても明らかに被害者として見られるような状況にも拘わらず、だ。
 素早く這い上がった北川の手が、香里の下着部分に到達する。
「!」
 香里がぐっと表情を固くした。
 しゅくっ、しゅくっ…
 北川が下着の上からこすり始めると、小気味の良い摩擦音が立つ。香里の履いている下着は、やや大人びた高校生という普段の雰囲気に反して生地が厚めのブルマーだ。ナイロン製の平坦な生地は、北川の指の動きにぴったりと合わせた乾燥質の音を立てる。
「だ、だめ…そんな…したら…」
 香里は腰を懸命に引くが、後ろが壁では動けない。壁にヒップの丸みを押しつけて、わずかによじらせるくらいの事しか出来なかった。
「あッ…あああぁッ…いやああっ!!」
 やがて、香里が一声叫ぶ。同時に北川の指の先が何かの膨らみを捉えた。
「やっぱり…そうだったんだな…!」
 しゅくしゅくっ…
 北川は、その膨らみに沿ってさらに激しくブルマの生地をこすり立てる。その膨らみの大きさは、北川がこすり立てるほどに大きくなり、すぐに一点を中心としてテント状にブルマ全体を突き上げるまでになってきた。
 ぐっ…
「ああああっ…だめ…」
 こする動きを止めて、北川はつまむような指の形で膨らみの頂点を押さえる。そして、指でブルマの生地を押し込んでいくと、香里の股間に現れた棒状の器官を示唆する形状がはっきりと示された。
「美坂…」
「いや、言わないで…謝るからっ…だから、もうやめて…帰らせて…」
 悲哀を込めて言う香里。だが北川はブルマのゴムの部分から手を入れると、片手だけでブルマをべろっと引きずり下ろした。
「いやああっ!」
 ぷるんと震えて出てきた肉棒を手探りでつかむと、北川は手の平全体で包み込んだ小さな肉棒をぐにゅぐにゅと揉むようにまさぐる。固く、熱いながらも手の平に完全に収まってしまうサイズのそれは、北川の刺激によって少し大きさを増してきたようだった。
「お、お願い、もうこれ以上は誰にも言わないで。何でもするから」
「なんで、そこまで恥ずかしがるんだ…恥ずかしがる必要なんて、全然ない」
「だ、だって、そんな変な所を」
「俺は変だなんて思わない。誰かが変だって言うんなら、そいつを殴ってやる」
 北川はさらにぐにゅぐにゅと揉んでいく。すると、肉棒の先端の方からはぬるぬるとした液体が出てきて北川の手の方に垂れてきた。北川はその粘りと滑りを利用して、さらにぐにゅ、ぐちゅ、ぐにゅるっと香里の肉棒を追いつめるように愛撫する。
「…北川君…」
 香里の顔が、赤みを増してきていた。恥辱と悲哀だけではない、それ以上の何かを示す赤だ。目を濡らす涙液の理由も、肉棒の先端から垂れてきた液体の理由と恐らく同じだ。
「俺は美坂のこれを全然変だと思わない。好きだ」
「…でも」
「…証明する」
 北川は、香里の手をずっとつかんでいた方の手を離し、スカートをまくり上げた。途中までずり下ろされた紺色のブルマが露わになり、そして若々しい太股の間から、北川の指がつまんでいる薄ピンク色の肉棒が露わになる。
 先端のか細い先割れからは透明な雫が生まれていた。その雫は北川の愛撫によって肉棒全体に塗りつけられ、教室の中に一個だけ点けられた蛍光灯の光を少しだけ反射している。
「キレイだぞ」
「う…嘘よ」
「嘘なんかじゃない」
 北川は二、三回肉棒をしごいてにちゃにちゃという音を立ててから、スカートのよりウェスト部分に近いところを持ち直して身を屈めていった。
 それによって、北川は片手でスカートを完全にめくり上げたまま顔を香里の肉棒の近くに寄せていく。
「そ、そんなに見ないでっ…!」
「キレイだ。心配するな」
 にちゃっ、にちゃっと北川はスナップを利かせた手の動きで香里の肉棒を責める。
「で、でも…きゃっ!!」
 香里が、らしからぬ黄色い悲鳴を上げる。
「だ、だめ、そんな…汚い…!!」
 北川の口が、香里の小さな肉棒をすっぽりとくわえこんでいた。香里は両手で顔を覆って、ウェーブした髪をぶんぶんと振りながら熱い息を漏らす。
 ちゅぽ、ちゅぽっ。
「う…うふぅっ…」
 指で幹をこすりながら先端を唇で小刻みにゆする程度の動きだったが、香里はこみあげる熱い物を隠すことはできないようだ。手と手の間から、籠もった熱い息が少しずつあふれていく。壁に押しつけた細い腰が、かくかくと頼りなく揺れ始める。膝が笑い、ともすれば崩れ落ちてしまいそうになる。
 べろべろべろ…
「はぁっ…ああぁーっ」
 舌が先割れに近い部分をこねくり回すと、香里は身体を前傾させてかん高い声を出した。手の平の中で低く反響した音が香里自身の顔をくすぐり、香里に自分の露骨な反応を思い知らせる。
「うう、出ちゃう…出ちゃう…北川君、許して…恥ずかしい…」
「………」
 ちゅぽちゅぽ…ちゅぐぅっ
「い、いやいやっ、やめてっ! 本当に出ちゃうぅっ!!」
 香里の言葉は逆効果のようだった。北川はここぞとばかりに大きく肉棒をくわえて、唾液や透明な雫が口元から垂れ落ちそうな勢いで唇と舌を使う。
「で、出ちゃう…北川君…私…」
 ついに、香里の快感は一線を越え、後戻りできないゾーンにまで来てしまう。肉棒の根元から、熱い爆発がものすごい勢いでせりあがってくるのがわかった。
 放出を北川の目で確認され、その上家に帰ることが出来ないほどにスカートを汚してしまうのを避けるには北川を信用するしかない。北川が口を離した瞬間、香里は北川の目の前で自分の着衣をドロドロに汚すしか選択肢はなくなるのだ。
「北川君…ごめんなさい…私の…離さないで…」
 ぱんっ。
 北川は香里の太股を軽く打つ。香里は一瞬全身をびくっとさせたが、北川がこれ以上ないほどに口を動かし始めたのを見て、北川の意を悟った。
「あぁっ…出ちゃう…!!」
 …びゅくっ!
 香里の肉棒が、サイズに見合わないほど強く脈動した。
 びゅくっ、びゅくっ、びゅくっ。
 細い管から、激しい勢いでどろっとした液体が飛び出してくる。
「あっ…あっ…ふああっ…」
 一回の放出量が少ないせいか、香里の放出はかなり長く続いた。しかし、北川はそれをしっかりとくわえこんで、出された先から喉の奥に流し込んでいく。粘りはあったが、それほど臭気のない液体だった。それが香里のものだと思えば、全く気にせずに飲み込んでいくことができた。
「……んっ」
 ようやく香里の放出が止まったところで、北川は最後に思い切り肉棒を吸い上げてから口を離す。
「あんっ…」
 いつの間にか両手を顔から離していた香里は、甘い声を隠そうとはしなかった。
 …ぱたっ。
 北川はブルマを上げて、肉棒を中にしまってやる。唾液以外に、香里の着衣を汚しているものはなかった。そしてスカートを下ろしてやると、スカートに少しの皺が出来たのを除いて全ては元通りになっていた。
 もちろん、香里の内面には大きな変化があったのだろうし、顔は未だに興奮気味で赤くなっていたが…
「…これで信用できるか?」
「…うん…すごい恥ずかしかった…けれど…」
 香里がつぶやく。
「じゃあ、こないだのこと…」
「…うん。…いいわよ」
「そっか」
 北川はうなずいて、行為の後を感じさせない爽やかな口調で言ってのけた。
「…じゃあ、今日は久しぶりに一緒に帰ってもいいんだな」
「…私も、そうしたいから」
「よし、どっか寄って帰るか」
「うん」
 香里は、いつもの落ち着きとかすかな理知を湛えた表情で微笑んだ。
 そして北川は、これ以上ないほど勃起してしまった己の逸物を、膣に相当する器官を香里が持っていない事が確認できてしまった今どう処理したものか悩みに悩んでいた。
 くわえている間にこっそりと香里の秘部を指で探って目で確かめた結果、そこにあるのはただのひだひだだけで、何かが入っていくような穴など全くないのが分かったのだ。無論、香里の口に自分のペニスを押しつける勇気は北川にはなかった。



10/19
「や、やめてぇっ、香里…」
「名雪、こんなに濡らしてるのに言っても説得力ないわよ」
 ぐぐぐ…
「き…きついよっ」
「力を入れるからよ。もっと力を抜きなさい」
「うっ…うー」
 ぬぷっ。
「ほら、入ったわ」
「や、やだ、苦しいよ…」
 ぐぢゅっ…
「や、やめてっ…そんなに深く入れたら、取れなくなっちゃう」
「いいんじゃない? 四六時中ローターを入れっぱなしで歩くの。スケベな名雪にはお似合いよ」
「ひ…ひどい…う…ああ」
 ぶーん…
 香里がスイッチを入れると、すっかり名雪はおとなしくなってしまった。すんすんと鼻を鳴らしながら、悲しそうな目で香里の事を見つめる。
「感じてるじゃない」
「感じてなんか…ないよっ…」
 ぶぅぅぅぅん…
「あっ…あっ」
 名雪の目が一層うるんで、切なそうな吐息が大きくなる。自分の体を自分の腕で抱え込んで、何かに耐えている事が明らかな体勢になる。
「感じているわね?」
 香里はスイッチを見せつけ、今にも振動を強めそうな様子で名雪に言った。
「…う…感じているよ…」
「いやらしい。どこが感じるのよ?」
「ろーたーが入っているところ…」
「それはどこ?」
「あ、あそこ」
 ぶうううんっ…ぶううんっ…ぶううんっ…
「あ、あっ…! お、お○んこっ!」
 煽るような断続的な振動に、名雪は卑語を叫ぶ。
「名雪はいつもそこをどうしているの? 答えなさい」
 香里が冷ややかな目で見つめる。
「わ、私は、毎日自分のお○んこを指でさわって、おなにーしています」
「救いようのない変態ね…足を前に出しなさい」
「あ、足?」
「両足を私の方に。早く」
「う、うん」
 名雪はすらっとした脚を揃えて、香里の方に出す。香里はその両足首をつかんで、ぐいと持ち上げた。
「…???」
 意図が読めないのか、名雪は混乱した顔をする。ローターの挿入された、濡れそぼった無毛の秘裂をさらけ出しているというのに呑気なものだった。
 …ぐぢゅっ!
「うわっ…香里っ!?」
 ぐぢゅぐぢゅぐぢゅっ!
 香里は靴下を脱いだ足の裏を名雪の股間に押しつけて、激しい振動を加えた。名雪は反射的に腰を動かして逃げそうになるが、香里が名雪の足首を両方つかんで思い切り引き寄せているために逃げようがない。
 ぐぢゅぐぢゅ…ぢゅくっ!
「い、いやああ…やめてっ」
 乱暴な振動によって、名雪の中からあふれ出た蜜液が香里の足の裏でしきりに粘っこい水音を立てる。中に入ったローターを押し込むような、名雪の陰唇を無茶苦茶に変形させているような動きだった。
「この変態っ! こんなのでも感じるんでしょ!?」
「はぁんっ…そんなことっ…ないよっ…ううっ…」
「嘘おっしゃい! 感じてるくせにっ! あそこをぐちょぐちょにしてよがっているのに、よく言うわねっ…!」
「違うぅっ…そんなこと…ないっ…ああっ…はあああっ…」
 がくがくと揺さぶられて震える名雪の声。直接の刺激自体はそれほど大きいものではないのだろうが、勢いのある香里の責め立てと言葉の辱め、それに合わさってくるコンスタントなローターの振動が名雪の興奮をかなり高めているようだった。
「イキなさいっ! イキなさい、名雪っ!」
「いやっ…やだよっ…」
「我慢してもムダよっ…ほら、イキなさい、イクのっ!」
「いやあっ…やだ、やだ、やめて…はあっ…はああんっ…いや…イッちゃ…う…」
「ほらほらっ! もうおしまいね」
「あっ…だめ…イク…イク…イクぅぅぅぅっ!!」
 ビクッ…!
 その瞬間、香里は確かに足の裏へ名雪が昇天した痙攣を感じた。
「う…あっ…ああ」
 ばたっ。
 快感に震える名雪の両脚を、香里は乱暴に絨毯の上に放り投げた。
「はあ…はあ」
 名雪は数秒間そのままの姿勢でいたが、
「ふぅっ」
 不意に目を開くと、ぴょこんと絨毯の上に起き上がる。
「良かったよ」
 微笑みながら、絨毯の上に座った香里の横にぴったりと肩を並べる。そして、香里にしなだれかかるようにして密着した肌を押しつけた。
「…でしょう?」
 香里は頬を赤らめながら、口元に手を当ててこほんと咳払いする。
「うん。私も香里とおんなじくらい感じちゃったね。こんなにいいなんて、自分でも思わなかったよ」
「加減を知らずにやられたこっちはいい迷惑よ…全く、変なこと思いつくんだから」
「香里だって思いっきり私にしたよ」
「幅跳びやっている人間の足と一緒にしないで」
「やっぱり、それって関係あるのかな?」
「おおありよ…やられてみないとわからないだろうけど」
「ふうん…でも、自分の足で自分のあそこをぐりぐりするのは無理だね」
 言いながら、名雪は香里の秘部に手を当てて揉むようにまさぐった。そこにあるのは、名雪の中にあるのと同じ鈍い振動である。
「や、やだ、やめて…まだ敏感なんだから」
「だらしないよ。一回イッたくらいで」
「あっ…あっ…いや…そこはっ…!」
「香里、もっと慣れないとだめだよ」
「うあっ! あっ! あっ! …やめてっ…お願い…」
「今日は、とっくんだよ」
 名雪は香里の太股をがっちりとつかまえると、股間に顔をうずめた。
 ぺちゅっ。じゅるっ…
「い、いやああああっ…!」
 舌で紅に光る真珠の包皮を剥かれ、直接舐められると香里はそれだけでイキかける。だがそれは、数時間に渡って続く地獄のような快感の始まりに過ぎなかった。



9/30
「ちょっ…」
「美坂…」
「み、みさか…じゃなくて、北川君っ…ダメよ」
「なんでだ?」
 ころん…
 北川が力をゆるめた瞬間、香里は身を転がして北川の手から逃れる。
「もう…」
 香里は北川に引き出されたブラウスをスカートの中に戻しながら、ため息をついた。
「彼女の部屋に二人きりで、して悪いことはないんじゃないのか」
「あ、あのねっ…いま、家に私たちだけってわけじゃないんだから」
 乱れた髪を手ぐしで整えながら、香里は壁の方に視線を移す。
「別にいいだろ」
「良くないわよっ…」
 香里はぶんぶんと首を振りながら否定した。そして、座っていたベッドから立ち上がる。
「栞ちゃんだって、もう高2なんだし」
「高2でも小2でも、見せるようなものじゃないわよっ…!」
「まさか見には来ないと思うけどなぁ…」
「みっ、見るのでも聞くのでも、問題だって事には全然変わりないでしょ!」
「美坂の声の方が聞こえていると思うんだが…」
「…う」
 香里は黙りこむ。
「それに、俺が来たときからずっと部屋にいるのって俺達に気を使っているからじゃないのか?」
「き、気を使うって言ってもこんなことのために気を使っているってわけじゃ…ちょっとっ…」
 香里の両手を無造作につかんできた北川に、香里は弱った顔になりながら抗議する。
「それくらいは想像すると思うけどなぁ」
「し、栞はそんな子じゃないわよ」
「なんだ、祐一との話知らないのか?」
「…え゛」
「だから、栞ちゃんも理解してくれているんだって」
「ま、待ってっ…相沢君と栞がどうしたって言うのよ」
「美坂、本気で言ってるのか?」
「…あっ…相沢君に限って…そんなことは」
「随分とあいつも信頼されたもんだな」
 北川は香里がしまったブラウスの裾をまたスカートの中から引っぱり出す。
「ダ、ダメって言ってるでしょっ!人の話を聞きなさいよ…」
「聞いた」
 そう言って、北川は香里のブラウスをたくし上げてしまう。
「ダメっ!本当にダメよ!」
 香里はそれを下ろそうとする。すると北川は逆の手を香里のスカートの中に入れてしまった。
「あっ」
「なんか熱いぞ?美坂のここ」
「う、嘘言わないで…!」
 香里も自分のスカートの中に手を入れて、ショーツの上から秘部をさすり始めた北川の手を止めようとする。だが脱がすのをやめさせるのと違って、撫でられている動きを止めるのは至難のわざだった。一本指をはがしたと思っても、また別の指が性器を撫で始める。
「ちょっとぉ…」
 いつまで経っても指を止めない北川に、香里がいらいら気味の声を出す。しかし北川は構わず指を動かした。それどころか、その隙をついてショーツの中に直接指を入れる。
「あっ…何してるのよぉっ!」
「何って…」
 北川はヘアの間を縫って、香里の秘所に指を進めた。
「い、いい加減にして」
「ここまで来て嫌がることもないだろ」
「なし崩しで進めないでよ…もうやめてっ」
「このまま壁の近くですると、結構音が隣にはっきり聞こえそうだよな」
「しなければ聞こえないわよっ…」
「じゃあ、このままする」
「なんでそうなるのよ…あっ、あーっ!」
 ばさっ…
 北川が前のめりに倒れ込み、そのまま体重を掛けて香里をベッドに押し倒す。
「い、いやだって言ってるのに…」
 香里はずりずりと身体を動かして逃げようとするが、体重を掛けて押さえつけられているためにうまくいかない。しかも、逃げようとするとどうしても壁に、栞の部屋の方に近づいてしまう。
「やだ…やめてよっ…」
 ついに香里は逃れようとする動きを止めてしまった。北川は体重を掛けたまま、素早く指を自分の口の中で濡らして本格的に香里の秘所をまさぐり始める。
「あああ…」
 執拗な北川の愛撫に、香里も自分の中に熱が生まれてきたのを否定できなくなってしまった。
「…わ…わかったわ…わかったから、できるだけ栞の部屋と離れた方で…」
「そうか」
 北川は当然のように答える。それから数秒間香里の秘所を愛撫してから、掛ける体重を段々小さくしていった。
 どんっ。
「………」
 そして北川が身体をどけてベッドの下に飛び降りると、鼻に掛かった吐息を漏らしながら香里がベッドの上に身を起こす。そして気怠そうな様子で床に下り、すこし憂鬱さを感じさせる目で北川の歩いていく先を追った。熱っぽい沈黙が部屋の中に満ちる。
 …きぃ…
「え?」
 北川は、香里の机に向かって座っていた。椅子の背もたれがきしむ音がする。
「美坂、来いよ」
「来いよ…って言われても…」
 香里はそう言いつつも、机に向かって歩いていった。北川は椅子をくるりと回転させて、香里の方に向き直る。
「どうする気なの?」
「こうする」
 北川はハーフパンツに手を掛けて、少しだけ椅子から腰を上げるとそれを脱いでしまった。
「あ…」
 勉強をする時に座っている椅子に、恋人の裸が座っているのは何とも不自然なものだ。キャスターがついているとは言え、この椅子を別の場所に動かしたことがほとんどなかったので、香里はこの椅子には勉強机のイメージしか持っていない。
 そして勃起しているペニスの肉体的なイメージと、参考書と教科書が綺麗に並んでいる机のイメージはどうにもそぐわなかった。
「ほら、来いって」
「だ…だから来いって」
「この上に乗るの」
「…え…」
「床に寝っ転がるよりいいだろ?早く脱げよ」
「で、でも…」
「じゃあベッドで壁にくっつきながらやるか?」
「……はぁ……わかったわよ…」
 香里は既に疲れ気味の表情で、裾の出されたブラウスのボタンをひとつずつ外していった。それから、シャツ、スカート、それから二枚の下着と脱いでいく。かすかな衣ずれの音は、いかにも悪いことをしているようなこっそりとした響きを持っていた。
「よーし」
「………」
 自分の部屋で全裸になるというのも、普段はない経験だ。香里は自分の部屋の中を妙によそよそしく感じていた。一方の北川は余裕の様子。二人の態度を見ている限りでは、まるでここが北川の部屋のようにも見えてしまう。
「北川君、絶対大きな声出さないでよっ…?」
「美坂もな」
 そう言って、北川は椅子に深く座り直した。
 香里は目を少し細める。全身から「なんでこんなこと…」というメッセージを放っていた。
「じゃあ…乗るわよ」
「おう」
 北川が言うと、香里は北川に背を向けて椅子に座ろうとする。首を回して北川の方を見ながら、慎重に北川の膝の上にヒップを下ろしていく。
 からら…
「おっと」
 そして体重を北川に預けた瞬間、椅子のキャスターが少しながら動く。
「きゃ…こ、この椅子で本当に大丈夫なのかしら」
「たぶん大丈夫じゃないか?」
「もうっ…」
 香里は顔をしかめながらヒップを少しずつ後ろにずらしていった。膝の上から太股の上に移動し、さらに北川のペニスに身体を寄せていく。
「い…いくわよ」
「俺はいつでもOKだ」
 から…からら…
 何度か香里が腰を持ち上げようとするたびに、キャスターが動く。
「もっと思い切っていけ」
「わかってるわよっ…」
 からららっ…!
 香里はバランスを崩すのを覚悟で、肘掛けに手をついて大きく腰を跳ね上がらせる。そして、そのまま北川のペニスの上に腰を落下させた。
「うぉっ…」
「…きゃっ…ちょっ…これ…」
「い…いてぇ」
「仕方ないでしょっ…もう」
 キャスターが大きく動いたこともあって狙いは外れ、北川のペニスは見事に香里のヒップに押しつぶされた形になっていた。北川自身の脚の間に、ペニスが押し下げられたような形になってしまっている。
「少し腰上げてくれ…」
「こ、こんな面倒なことするくらいなら今日はしなくてもいいじゃない…」
「もう遅いって」
 北川が言うと、香里はしぶしぶながらまた肘掛けに手をついて身体を浮かせる。そうしてできた隙間を利用し、北川は手で香里の秘所に向かってペニスを直立させた。
 キャスターがまた動いて背もたれが机にぶつかるが、二人は何とかバランスを維持する。
「そのまま、ゆっくり腰落としてくれ。そのまま…」
「………」
 香里は言われた通りに腰を落とし始める。本人は慎重に動いているつもりのようだが、支えの部分が不安定すぎるためにあまり細かい動作はできないようだった。
 それでも北川のペニスは香里の秘所にめりこんで、さらに深く刺さっていく。北川が少し腰を揺らして位置を調整すると、先端がずっぽりと香里の中に入った。
「うう…」
「あとはそのまま落とせ」
 ず…ず…ずるっ。
「はぁっ…!」
 香里がため息のようなかすれた声を上げる。手で身体を支えるのに限界が来ていたのか、一気に腰を最後まで落としてしまったのだ。ずんっ、と北川のペニスに子宮口を叩かれる衝撃はかなりのものだった。
「動くぞ」
 きこきこきこ…
「あっ…ああ…」
 香里が熱気のこもった息を吐き出す。突かれるだけで、じんわりとした心地よさが生まれてきているようだった。香里は全身を北川にあずけて、心地よい結合感を味わう。
 きこきこきこ…
「椅子の上なんだから…そんなに動いたら、あの子に聞こえちゃうわよ…」
「気持ちよくなっているくせに、何言ってるんだ」
「か、関係ないでしょ…こんな音、変だってすぐ気づかれちゃう…」
 きこきこきこ…
 リズミカルに生まれるきしんだ音は、静かな部屋の中で滲(にじ)むようないやらしさを放っていた。腰の振動を直接音響化したような響きだ。水音でも身体のぶつかり合う音でもないのに、男と女の交わりを不思議なほどに予感させる音だった。
 きこっきこっきこっ…
「あぁ…!ダメ…もっと静かにして…!」
「いいだろ?奥まで来て」
「で、でもダメ…栞が…栞がぁ…」
 香里の声も、次第に締まりがなくなってきている。もしここが北川の部屋だったなら、だいぶ乱れ始めている頃合いだ。栞の存在という一点が、香里の理性に歯止めを掛けているようだった。
 きこっきこっ…
「あっ!」
 香里がびくんと身体を震わせて、はっきりとした大声を出す。
 ちろ…ちろちろ…
 背中に、ねっとりした感触が生まれていた。北川が波打つ長い髪の中をかき分け、香里の背中に舌を這わせているのだ。
 きこっきこっ…
 ちろちろ…
「うぅ…ダメっ…そんなとこ…舐めないで…」
 香里はささやく声に戻るが、今の叫びでだいぶ吹っ切れてしまったようだった。自分でも腰を震えるように動かして、北川の抽送に応える。膣内の愛液も、最初は必要最小限なだけといった感じだったのにだいぶ量が増えてきたようだった。
 その弛緩した感覚は理知的な香里にとっては恥じらいたくなるものだ。ゆるみきった所を他人に感じられていると感じただけで、顔がかあっと熱くなってしまう。しかしいくら我慢しようとしても、一度火のついた身体は全く収まることがなかった。
 っちゅくっ…ちゅくちゅく…
 きこ…きこきこ…
「ああああ…北川君…」
 淫靡な音の重なり合いに、香里は理性を溶かされていく。
「確か、今日はいい日だよな…」
「うん、大丈夫…」
 香里はだいぶ感じてきたようだった。感じると香里は素直になる。香里のプライドと性感は、綺麗に反比例していた。一度ボーダーを越えてしまうと、あとはどんどん乱れていく。
 きこ…きこっ
「い、いい…北川君の…」
「栞ちゃんも見てるぞ?」
「えっ!?」
 香里は反射的にドアと窓に目をやってしまう。
「へ、変な事言わないでっ…」
「信じるなよ」
 北川は笑いながら言って、さらにペニスで香里の中を突き上げた。
「うううぅっ…」
 冗談だと分かっても、香里の頭からは栞の視線が消えなかった。何と言っても、栞の部屋の方を向いてセックスしているのだ。壁に隔てられているとは言え、もし壁がなかったなら北川とつながっている部分が丸見えである。それを見せつけているような姿勢と言っていい。
「…すごい締まるぞ、美坂っ…」
「やだっ…そんなことない…」
「誤魔化しても仕方ないだろっ…」
 ずんっ…ずぶずぶっ…ずぐっ…
 北川はここぞとばかりに香里の中を突きまくる。椅子が本当に壊れてしまいそうなほどに激しく腰を振り、香里の強烈な締め付けの中を往復する。
「ああっ…ああ」
「美坂…出すぞっ!」
 香里の豊かな髪の中に顔を伏せ、香里の腰を抱きしめながら北川は叫んだ。
 どくんっ!
 北川のペニスが脈動した。
「あ…あ…ああ」
 どく、どく…
 香里の中に大量の精液が飛び出し、結合部分の隙間からこぼれて椅子の上にこぼれていく。香里の性器も、精液まみれで白く汚れてしまった。鮮紅色に充血した粘膜の上に精液がかかっているのは、正面から見られれば隠しようのない状態だった。
 どくっ…どぷ…
 未だに脈動している北川のペニスを受け入れたまま、香里はさざ波のようなエクスタシーを感じる。薄くなった意識の中には、栞の幻想が出てきた。ベッドに座って、興味津々の目つきで二人のエクスタシーを見つめている。
「見ないで…」
 幻想の中の栞は、小悪魔的に笑いながら淫らな姉の姿を見ていた…



9/8
「…なんでこうなるんだよ」
 一文字一文字を区切るようなこわばった声だった。全ての文字に一つずつ濁点が増えているように聞こえる。
「面白いんじゃないかと思ったのよ」
「北川さん、結構似合ってますよ」
「…栞ちゃん、それ全然フォローになっていない」
 にこにこしながら言う栞に、北川は涙を流しながら抗議する。
「今の、フォローだったの?」
「あんまり、そうじゃないつもりだよ」
「…むごい」
 同じ笑みを浮かべたまま栞が香里に告げた言葉を聞いて、北川の落ち込みがさらに深まる。
「だ、大体、なんで制服?」
「それが一番わかりやすいからよ」
「何が…?」
「みじめさが」
「……自分のいつも着ている制服だろ」
「北川君が着ているときと私が着ている時じゃ意味合いが違うでしょ?」
「…そりゃ」
 ハイソックスを履かされてスカートの丈を長めにしている状態である。割と生地自体はゆったりしているため、顔立ちをのぞくとあまり性別の区別がつかなくなる制服とも言える。それでもデザインには、どう考えても少女趣味が混じっていると言えるだろう。
 つまり、女の子が着ると女の子らしく見え、男が着ると少し女の子らしく見える。
「じゃあ、なんで外…?」
 夕方の校舎裏。夏休みなので人はいなかった。
「うちにはずっとお母さんがいるのよ」
「ホテルは…」
「見つかったらどうするつもり?」
「俺の家は…」
「ダメに決まっているでしょう」
 理由すら言わずに却下された。
「じゃ、じゃあ、栞ちゃんがいるのは…?」
「祐一さん、しばらく東京に行っちゃっていますから」
「それとこれと何の関係が」
「お相伴させてもらえるそうです」
「…おしょうばん?」
「だから変な気を起こしてもらわないためにもその服なのよ。その状態で栞に覆いかぶさっても間抜けなだけでしょ」
「ま、待てぃっ!相沢がそんなことOKすると思ってるのか!?」
「祐一さんは寛容な人ですから」
「寛容と言ってもだな…」
「もう半分は好奇心です」
「………栞ちゃん」
「さらに言えば、その服は口止めの効果も十分にあるわけよ」
「…なるほど」
 何が何やらだが、納得するしかなかった。こんな格好をした事を吹聴されたたら、北川は流氷に向かって身を投げかねない。もっともこの季節では生還してしまう危険性が大だが。
「説明はもういいですよね?」
「そうね」
「…う」
 姉妹そろって、ずいと一歩寄ってくる。
 香里と比べても北川の方が身長は高いが、北川の今の格好ではどう考えても力関係的に劣っていた。北川は両手を身体の前で合わせて二人の動きをうかがう。
「じゃ…」
「うん」
 香里が北川のスカートに手を掛ける。
「………」
 どうにも反応のしようがない。北川は硬直して、香里の次の行動を待つしかなかった。
 ごそっ。
「…うっ」
 香里はスカートの中に手を入れると、慣れた手つきで北川の肉棒を引っぱり出した。ショーツは面倒くさいという理由で回避され、トランクスを履いたままでいることは許してもらえなかったのだ。
「なにこれ…こんなんじゃダメじゃないの」
「そ、そんな事言っても…」
 北川のペニスは十分な勃起を見せていなかった。
「仕方ないわね」
 香里はスカートの中でぐにぐにとペニスをこねくり回す。
「う…うう…」
 パンの生地でもこねているような無感情な扱い方だったが、狭苦しい空間での手淫は段々と北川の興奮を高めていった。スカートの下からペニスに向かって風が吹き込んでくるのも、不思議な刺激となってくる。
 まるで電車の中で痴女にいたずらをされているような、内に向かう快感だった。
「ん…北川さん…きちんと大きくならなくちゃ…だめですよ…」
「栞ちゃん…」
 ふと栞を見ると、自らスカートの中に手を入れて自慰を行っている。逆の手はTシャツの上から小さな胸を転がしていた。服の上からではもぞもぞと動いているようにしか見えなかったが、もう息が荒くなっているところを見るとかなり激しく指を動かしている様子である。
 それが決定撃となって、北川のペニスは完全に勃起した。香里の手の中で、スカートを思い切り突き上げるほどに固くなっている。
「ちょっと触っただけでこんなにして…北川君っていやらしいわね」
「か、香里が触ったんだろ…」
「口答えする気?」
 ぎっ…
「あぐっ!や、やめてくれっ…俺が悪かった」
「全く…」
 香里は肉棒に突き立てていた爪に入れた力をゆるめた。中指一本だけだが、容赦のない力の入れ方だ。長くすれば、痕がついてしまいそうである。
 ところが、情けない事に北川はそれによってさらに勃起を激しくしてしまった。もう充血しきった亀頭が痛いほどだ。
 …しゅるっ。
「…栞ちゃん」
 その様子を見て、栞はスカートを穿いたまま白いショーツを脱いだ。靴を履いた足の先からそれを抜き取り、折り畳んで自分の持ってきたバッグの上に重ねる。
「少し、濡らしちゃいました」
「先に脱げばよかったじゃない」
「ゆ、祐一さんとずっとしていなかったから、思ってたより早く我慢できなくなっちゃって…」
 栞は頬を染めてうつむく。
「あれだけひとりエッチしといて何言ってるの」
「み、見てたの!?」
「見てなくてもわかるわよ、それくらい」
「…で、でも、ひとりでするのと祐一さんにしてもらうのはやっぱり…っ」
 栞が足と足をすり寄せる。
「どうしたの?」
「お、思い出したら…ますます」
 内股の歩きにくそうな体勢のまま、北川と香里の方に栞が近寄ってくる。
「寝て」
「え?あ…」
 香里がペニスを握りしめる手を離した。北川はアスファルトの上に身を横たえる。陰なのでひんやりとした感触が感じられたが、それはかえって全身の熱さを際だたせ、状況の異常さを深く認識させた。しかも、スカートの裾が足に触れる、生まれて始めての感覚も加わってくる。外で昼寝をする時の感覚とは、何もかもが違いすぎた。
「北川さん…」
「し、栞ちゃん」
 改めて、こんなところでこんなことをしていいのかという思いが生まれてくる。だが栞は性欲に火がついてしまっているようだし、止める事はもう不可能のようだ。
 何より、もう既に栞は腰をかがめて北川の上に乗ってきてしまっている。足を大きく開いた奥は逆光になってよく見えなかったが、光さえあれば高ぶった栞の秘裂が丸見えになっているはずだ。
 スカートのゴムとお腹の間に挟まれていたペニスを、栞がぎゅっとつかむ。
「くぅっ…」
 先の方を持たれたため、痛みも走った。だが、香里に比べても細く華奢な指先に自分のペニスが包まれているのを感じると、興奮せざるをえない。
 栞はスカートのゴムの部分をまくりあげるようにして、ペニスを空に向かって直立させる。そしてそこに、自分の秘裂をあてがっていった。
 欲望にたぎった瞳は、栞が小柄で幼く見えるだけに一層ぎらぎらと光って見える。普段おとなしそうにしている少女が、ここまで性欲を高鳴らせるものなのか…と北川は心の中で驚いていた。
 …ぬちゅる。
「んっ」
 先端が栞の性器に触れた。それだけで粘っこい水音が聞こえてくる。
 ぬちゅぅ…ぷじゅっ、じゅるっ…
「はぁっ…」
「くぅぅ…」
 あとは、一番奥まで飲み込まれていくだけだった。
「お、奥に当たってます」
 栞は北川の腹の辺りに手を当てて、呆然とした目で虚空を見つめている。一見すると、少女と少女が服を着たまま交わっているように見えた。栞のスカートは結合部分を中心としてふわりと広がり、二人がどのようにつながっているのかをまるで見せていない。
 じゅぶ、じゅぶ、じゅぶ。
 狭いながらも豊富な愛液で潤滑している栞の中と、北川のペニスがこすれ合う。
「はうっ…あああっ…」
「う…」
 栞が前にスライドさせるようにして腰を振る。その度に、くぐもった水音が響いた。外からではスカートに隠されてまるで濡れた様子が見えないのに、実際には結合した部分が熱い粘液をぬめらせているという奇妙な状態。
 じゅぶじゅぶっ。ぬちゅっ。
 腰を振られる度に、北川の身体は揺すられて後頭部や背中がアスファルトにこすられる。香里との性交で騎乗位には慣れている北川も、柔らかいベッドの上ではない場所でするとなるとまた違った気持ちになってくる。最近は感じなくなってきた、犯されているという感覚が生まれてきてしまう。
「はぁっ…はああっ…」
 栞は北川の事など構わずに、ショートカットを振り乱しながら思い切り腰を振っていた。ややもすると、北川の頭ががんがんとアスファルトに打ち付けられそうになる。脳が揺すぶられるような感覚だったが、北川はいつの間にかその感覚に身を委ねてしまっていた。
「もうそろそろなんじゃないの?」
 香里が冷静に言う。
「そ、そうだな」
 北川はふと理性を取り戻した。このまま中に放出するわけにはいかない。
「ん…んっ…」
 それでも動きを一向に緩めない栞のピストン運動と締め付けによって、あっという間に射精感はせり上がりペニスの根元まで達する。
「で、出るっ…栞ちゃんっ…」
「…っ!」
 栞がどんと北川の腹を押すようにして、身を跳ね上げた。
「ぐ…」
 その衝撃もかなりのものだったが、止まらない。
 びゅっ、びゅっ、びゅ…
「あ…う…」
 何もなくなった空間へ、精液が放出される。それは勢いを失って、力無く北川のスカートの周りに付着していった。身をぴったりと包む制服と、放出感とのアンバランスさが変な充溢感を北川に与える。
「汚したわね」
「え、うぇっ…だ、だったら最初からそう言ってくれれば」
「常識で考えればわかるでしょ?」
「そ、そんな…うぷぅっ!」
 ちゅぐっ。
「あっ…そこ、そこですっ!」
「ん…うぷぅっ」
 北川の顔に、突然栞の秘部が押しつけられた。息苦しさに北川が暴れて、愛液でべとべとになった敏感な突起に猛烈な刺激が加えられる。
「まずはその子をイカせてからね」
「はっ…はぁ」
「うぷっ…」
 栞のスカートの中の暗闇で、北川は涙を流していた。



8/23
「祐一さんの、すごいですね」
「この程度で驚いていちゃだめよ」
「うん、お姉ちゃん」
「ここの皮、こうすると」
「簡単に剥けて…こうなってるんだ」
「準備はこれで十分よね…そうすると」
「私が先でもいい?」
「こういうのは姉が先にいくものよ」
「お姉ちゃん、ずるい」
「すぐに栞の番になるから、大丈夫よ」
 香里が確かめるようにそそり立った肉棒を握る。
「固そう…」
「実際固いわよ」
「知ってるけれど…こうしてみると」
「確かに、少し違って見えるわね」
「…おい」
「でも、いつもと物が変わったわけじゃないんだから、怖がることはないわよ」
「怖がったりなんかしないよ」
「実際にするとなると…」
「そういうお姉ちゃんは?」
「別に、こんなのこうすればいいんでしょ」
「おい…」
 ちゅぷ。
「わっ、全部一気に…」
「おいっ!香里っ!栞っ!」
「ん…ふんっ」
 ちゅぷちゅぷちゅぷ…
「すごい…」
「ふぅっ…こんな感じでしょ」
 香里は口を一度離すと、得意げに言う。
「今のだけで…もうべとべと」
 栞が肉棒をつまんで、にゅるにゅると上下にしごく。
「こら、まだ栞の番なんて言ってないでしょ」
「えー、一度したのに…」
「今ので一度なんて言わないわよ。大人しく待ってなさい」
「はぁい…」
 名残惜しそうに肉棒をつついてから、栞が手を離す。
「じゃあ、今度は本気でいくわよ」
「おいっ!話を聞けっ!」
 すぅぅ、と香里が思い切り息を吸い込む。
「香里っ…」
 ちゅぷ。
「栞っ!」
 ちゅぷ、ちゅぷ、ちゅぷ。
「わぁ…」
 香里のリズムに乗ったしごき立てに、栞がぼうっと顔を赤くする。どうしてそうなったのか、よくは分からない。ただ興奮しているのは間違いない。
「お姉ちゃんばっかりなんて、やっぱりずるい…」
「………」
 ちゅぷちゅぷ…
 口の動きは止めずに、目だけで栞の事を香里が見る。
「もう、我慢できない…」
 栞がふらっと動いて、香里の横に並ぶ。そして、無理矢理口を肉棒に近づけていった。
「………」
「ん…」
 ぺろ。
 夢見るような顔で、隙間の空いた根元や袋に舌をねっとりと這わせていく。小さな唇と柔らかい舌の愛撫は、幹をしごくのとはまた別のタッチだった。
 ぺろ、ちゅぷちゅぷ…
 二人はそのまま顔を密着させるような状態で熱心に祐一の肉棒をしゃぶり合っていた。だが、さすがに幾度も頭をぶつけるような姿勢では集中できないらしく、ついに香里の方が顔を上げる。
「仕方ないわね…」
 ぺろぺろ…
 栞は自由になったのをいいことに、一人で舌をあちらこちらに這わせていた。
「栞、もっと左に行きなさい」
「?」
 ちろっと舌を出した状態で、栞は香里の顔をうかがう。
 つ、つ…
 栞は肉棒をぐるりと舐めながら、その言葉に従った。すると香里は栞と同じように、舌を出しての刺激を開始する。
「こうすれば、二人で一緒にできるでしょ?」
 こくこく。
 栞は頭を縦に振るだけだった。返事をする間も惜しいらしい。一番下から上までをなぞるように舐め上げていく。
「私も…」
 香里はその栞の動きに合わせた。二人で肉棒の左右を担当し、袋の部分から一番敏感な先端までの舐め上げを同じペースで行う。栞が袋を集中的に舐める動きを加えると香里も逆側を舐め、香里が雁首の所を盛んになぞり始めると栞も同じことをする。
 姉妹だからなのか、言葉によるコミュニケーションがないにも拘わらず息はぴったりと合っていた。
「う、うっ…」
『!』
 祐一が小さくうめいた瞬間、姉妹は跳ね上がるように顔を上に持って行く。
 びゅぷっ!どぴゅっ…!
 頬をくっつけた香里と栞の顔に向かって、白濁の液が吹き上げた。しかも、至近距離からである。たちまちのうちに、姉妹の顔はどろりとした液体だらけになっていった。
「んふぅ…」
「はぅ…」
 ひとしきり出きってしまうと、二人はそれぞれに精液を舐め取って、嬉しそうに飲み込んでいく。少しも嫌がっている素振りはなかった。
「うぉ…ちょっと待て…」
 そして、ほぼ同時に舐め終わると肉棒に残った精液を求めて二人は祐一の股間にまた顔をうずめていった。敏感な部分が再度激しい刺激に遭い、祐一は身体をよじらせる。
「一ヶ月前のお返しをもらっているんですから、我慢しなくちゃだめですよ」
「そうよ」
「信じられん…」
 三角関係というか、2人のセックスフレンドというか、普通ではない関係を構築してしまった事に祐一は少しだけ後悔していた。



8/17
 ふにふに。
 乳房が表面だけわずかに変形する。非常に迷いの多い指の動きだった。
「これで…いいのか?」
「さぁ、どうかしら?」
「ちょ、ちょっとくらいは何か言ってくれても…」
「非常に問題が多い、とだけ言っておくわ」
「う…」
 予想通りの答えが返ってきた。椅子に座ったままの香里は、余裕たっぷりの顔で北川の事を見つめる。椅子の横からおずおずと香里の身体に手を伸ばしている北川は、あまりに頼りなさげだった。
 香里はまだダークパープルのショーツと濃紺の靴下だけは履いていたから、何も着ていない北川がより貧相に見えるのかもしれない。勃起したペニスを椅子の後ろに隠そうとしている姿は確かに堂々としているとは言い難いだろう。
 だが、それ以上に問題なのは両者の心理状態にあるのは間違いない。誰の目にも北川が行為に不安を抱いており、香里は抱いていない事が明らかだった。
「そ、それじゃあ」
 北川が指先にぐっと力を入れようとする。
 …の瞬間、香里がにこりとした笑みを唇の端だけで浮かべた。
 へなっ。
 途端に力を失った指先は、また香里の乳房の表面だけをわずかに触るだけにとどまる。相手が余裕をなくしているか、自分の愛撫を無条件で受け入れてくれるような状況ならそれも繊細な愛撫の1パターンになり得ただろう。しかし今の香里がなぜるだけの愛撫で変化するわけもない。思い切り目下を相手に将棋か碁でもしているような、それもいたぶるように指しているような、そんな状態なのだ。
 じょ…
 状況を変化させるには、もっと積極的に動くしかない。これじゃ起死回生の逆転なんてあるわけない。
 麻雀で一発逆転した時の教訓を胸の中で繰り返す。あの時は倍満直撃だった。
「…あら」
「!」
 桜色をした先端に触れようとした瞬間、香里が突然声を出す。北川は反射的を手を引っ込めてしまった。
「風が出てきたみたい」
 がくっ。
 窓の向こうの闇で、木々の葉がざわめいているのが確かに見えた。だが部屋の中に音も聞こえてこないし、第一窓の方向は香里の視界の中でもっともどうでもよさそうな所だった。
「どうしたの?」
「なんでもないです…」
 内心涙を流しながらも、北川は気を取り直して香里の敏感だと思われる箇所に指を引っかけようとしていった。
「…あら」
「!」
 また手が引っ込む。
「あのビル、4階の灯りが今ので全部消えちゃったわ」
「………」
 そういう反応が返ってくるのは予期できても、香里の声にいちいち戦(おのの)かずにはいられない自分の習性。北川の内心では滂沱(ぼうだ)の涙が流れ始めていた。
 ビルの灯りが本当に消えているのかどうかなど確かめずに、今度こそ香里の乳首に指を這わせようとする。
「…あら」
 指は止めない。そのまま、柔らかく乳首をなで回してみた。
「北川君、意外と小さいのね」
 がくぅっ…
 無視しようと決め込んでいた台詞のダメージが大きすぎた。北川はがっくりと床に座り込む。
「うううぅ…」
「…意外と繊細なのね」
「ううぅ…」
「…冗談よ。身長の話」
「…うぅ」
 北川はそれを聞いて、なんとか顔を上げることができた。
「…ほんとうにか?」
「本当よ。本当に本当」
 香里がぱたぱたと手を振る。普段の香里とは違う言葉と仕草の雰囲気はとても演技臭かったし、そもそも北川と香里の身長差などもうとっくの昔に把握されている事なのだが、それに頼りでもしなくては北川は立ち直れそうになかった。
「…ぐすん」
 涙を拭く振りをしながら、北川が立つ。
「よしよし」
「………」
 さすがにそれは言い過ぎだったのか、北川の表情が少々落ち込む。
「い、いいわよ、もうしばらくは何も言わないから」
 こくん。
 北川はうなずいて、またさっきと同じ位置に戻った。心なしか、ペニスを隠す姿勢が露骨になったような気もする。
 くにっ、くにっ。
 さっき始めようとしていた行為をそのまま北川は再開した。乳首を指先で柔らかく捉え、微少な円を描くように刺激する。まずは左の胸だった。
 香里は何の反応もしない。香里自身の言った事を守っているということになるが、それはやはり北川にとって不安だった。性急すぎるのはわかるが、何か反応が欲しい。身体の直接的な変化でも、香里の心理の動きが分かる変化でもいい。
 くに、くに…
 あまりの時間の長さにペニスがしぼんでしまいそうな気がしてきた頃、ようやく香里の乳首がちょっとずつ粟(あわ)立ち始めた。始まるとそれは意外なほど素直に進行し、香里のそこは充血して薔薇色に深まった突起となっていく。
 指先で撫でる感触が前と明らかに変わった事に、北川は素直な喜びを感じた。よく見ると刺激していない右の胸も少しだけ勃起を始めている。これが香里の身体全体に生まれた変化なのは間違いないようだった。
「はい、ご苦労様」
 不意に香里が椅子から立ち上がる。北川はあまりに香里の裸身に集中していたため、突然の香里の動きにバランスを崩してしまったほどだった。
「今度は北川君が座るのよ」
「え?俺が…?」
 次に香里がどのような行動に出るか待とうとした矢先に、香里がそう告げた。
「………」
 多少釈然としないものを覚えつつも、北川は椅子の正面に回り込んで腰掛ける。ペニスを思い切り露出させているのは少々気恥ずかしかったが、今更隠すわけにもいかなかった。椅子に深々と腰掛け、身体全体を突っ張らせるようにして香里の事を見上げる。
 北川を見下ろす香里は、妖艶なほどに色気を振りまいていた。
 きめ細かな肌と綺麗なボディ・ラインは、ショーツと靴下だけが身につけられる事によって一定の秩序性を放っている。そこになかなかのボリュームの乳房がぽろりと露わになり、ロングのウェービィヘアが包み込むように裸身に巻き付いている。そして決して低くない背の丈(たけ)と余裕に満ちあふれた表情。まだ二十にも満ちていない少女とはとても思えなかった。シャワーを浴びてノーメイクになっているとは思えないほどだ。
「さて…」
 香里の放った一言で、北川の思考回路を次に至る行為の想像というジョブが走り抜ける。
 妄想のオンパレードとしか言いようのない出力結果を適当に破棄して―――それらは破棄するのが惜しいほどに興奮する妄想だったが、実現しそうにないのではどうしようもない―――、結局導かれたのはひとつの、ある意味ではありふれた想像だった。
 それでも、バージンの女の子の方から積極的にしてもらうなどという経験を出来るという幸運に、北川は背筋がくすぐったくなるような気がしてくる。
 自分で組み敷いて、破瓜の痛みに切ない声を上げたり取り乱したり、しがみついて頼りとなるものを求めてくる香里を見たいという願望もあった。だが、香里が表情の変化を見られないようにと平然としたふりをしながら自分の体重で北川に処女を捧げていくというのも、良い。いやとても良い。
「美坂…」
 期待感に満たされながら、北川は香里の名を呼んだ。
「よいしょ…」
「っと」
 香里はそのままの姿勢で椅子に乗ってきた。北川を踏まない位置に足を置いている。思い切りショーツをアップで見せられて、香里の身体の真下にあるペニスはびんびんと勢いを強くする。
 そのまま香里は少ない足場を使って、身体を反転させた。今度はショーツに包まれた、むっちりとした香里のヒップが目に入ってくる事になる。こぼれ落ちるような淫靡さに北川のペニスはさらに膨れ上がったが、次の瞬間香里は腰をかがめていた。
「…え?」
 そして、すとんと香里の身体が北川の身体の上に着地する。香里は北川とほとんど同じ姿勢で、北川の上に座っている事になる。割とゆっくり座ったためにペニスが変な押しつぶされ方をする事はなかったが、香里の股の下をくぐりぬけ、クレヴァスに沿ってペニスが上に飛び出たような形になってしまった。
「こ、これじゃ…」
 ペニスがショーツの生地に擦られる感触もなかなかだったし、香里の性器と生地一枚を隔てて密着しているというのも悪くなかった。何より、北川のペニスは今香里の視界の中に思い切り現れている。ペニスはこの上ないほどの勃起を見せていた。
 しかしこれでは香里の中に入れる事など出来ない。ショーツを脱いですらいないのだ。
 すりすり…
「えぅっ!?」
 素っ頓狂な声を出してしまった。
「こ、これ…」
「北川君も動かしなさい」
「こ、これで最後までやれと?」
「もちろんよ」
 本当に当たり前と言った感じの声だった。香里は北川のペニスをこするように腰をグラインドさせながら、そう言ったのだ。
「そんな…そんなのって」
 北川は本気で泣きそうになっていた。小遣いとバイト代を叩き込んだのがこんな結末で終わるとは…
 すりすりすりすり…
 それでも、香里の動きに合わせて腰を動かし始めてしまうのが男の悲しい性である。乾いたショーツで擦られ続けているのは快感だけでなく摩擦感の痛みもあったが、もはや北川はそんな贅沢を言っていられなかった。
「あ、言っておくけど。この体勢で出したら本気で怒るわよ」
「うぇ?じゃぁ、どうやっってっ…」
 身体を動かしながらのために、変な声になる。とはいえそれを気にしているわけにもいかなかった。香里は聞き捨てならない事を言ったのだ。
「出しそうになったら言いなさい。もし出したら、来月の北川君のお小遣いは0円になるものと思いなさいよ」
「…うぅ」
「わかったわね?」
「……はい」
 抵抗が身のためにならない事はわかっていた。香里の日記をほんの1ページのぞいたのがバレただけで、実際にそれを食らった事があるのだ。来る日も来る日も百花屋でおごり。あの月北川は同情の嵐を買ったものである。
 でも、誰にも金はもらえなかったが。
「………」
「………」
 すりすりすりすりっ!
 北川はほとんどヤケになって身体を動かしていた。性感があまり強くないために、達するためにはそうしなくてはならないのだ。そのぶん、当然痛い。香里はマイペースに身体を動かしている。
 それにしても…
 北川は嘆いた。まさか初体験で、自分の痛みを緩和するために早く終わらせようとしなくてはならないとは…
 いや、これって初体験って言えるのか?
 たぶん、北川はまだ童貞を捨てていないと言えるだろう。と言っても、男にとってそれは慰めどころか屈辱でしかなかった。
 すりすりっ!すりっ!
 やりようのない想いをぶつけるような行為。そして痛い。まるで苦行だった。
 それでも、ようやく北川は射精感が近づいてくるのを感じ始める。既に北川は体力を使い果たしていて、ペニスの表面はひどく痛んでいた。見るも無惨である。
「で、でそう…」
「そう」
 北川が言うと、香里はひょい、となんのためらいもなく腰を浮かした。肘掛けに手をついたのだ。そのままとんっ、とジャンプするように床に飛び降りる。
「ぜはぁっ…」
 荒い息をつきながら、北川は考えた。疲れ切ってはいたが、このあとどうなるかが気になって仕方ないのだ。
 最低のシナリオなら…トイレで、自分でしてくるとか…
 しゅっ、かしゅっ、しゅっ、しゅっ。
 その時、ティッシュを連続で箱から取り出す音が聞こえてくる。北川は反射的に、それを自慰で処理しなくてはならないという合図だと思いこんでしまった。
 と・ほ・ほ…
 ため息をつくのに、北川はたっぷり3秒かけた。
 ととと…
 香里が手に重ねたティッシュを持って、こちらの方に戻ってくる。北川はうなだれてそれを待った。
 …いや、んなこたないか…
 トイレにティッシュは流せないという当たり前の事実を北川は思い出す。
 そして香里は北川の座っている椅子の前にくると、床に脚をつけた。ちょうどペニスの前に顔が来る体勢である。
 くいくいっ…
「あっ…」
 突然、ひんやりとした感触が北川のペニスを襲った。
 香里がすらっとしたその指でそこを握り、しごき始めたのだ。あまりに突然の行為、純粋に気持ちいい行為に北川は何も考えられなくなる。もう限界まで高まっていた北川は、すぐ射精まで追いやられてしまった。
「み、美坂ぁっ…」
 ばさっ!
 香里がおもむろに北川のペニスにティッシュをかぶせる。
 ビクビクビクっ…
 北川は思う存分、その中にぶちまけた。
「はぁ…」
 思わず声を漏らし、背もたれに完全に身を預ける。恋人の手で導かれる射精がこれほど気持ちいいとは北川は夢にも思っていなかったのだ。途中経過がどうだったなんて、小さな事のような気がした。
「美坂…ありがとう」
「気持ちよかったでしょ?」
「…すごく」
「素直ね…」
 ティッシュを北川のペニスの上にかぶせたまま、面白そうな表情で香里は北川の顔を見上げていた。

 同じ頃。
「しかし、あの二人も仲良いよな」
 ずずっ。
「そうだね」
 ずずー…
「ああいう風でも仲がいい状態って出来ちゃうんですね」
 ずっ。
 ふぅー…
 三者三様にしゃべり、茶をすすり、安心しきった息を吐いた。
「でも祐一にも北川君にもいい相手ができて、私は安心だよ」
「本人がいる前で言うなよな…」
「私は嬉しいですよ」
「栞も言うなよ」
「…そういうの見せられている私も、ちょっと文句言いたい気分だけど」
「あー…あ、まあそうだな」
 祐一が言って、栞がコホンと小さな咳払いをした。
「お姉ちゃん達って、あんまりそういうの人に見せませんよね」
「どーだか。意外と二人っきりの時はアツアツだったりして…」
「祐一さん、時々古い表現使いますよね」
「そうだね」
「別にいいじゃんか」
「祐一と栞ちゃんには似合いすぎている表現だけどね」
「だから、当てつけた事言うなって…」
「もちろん冗談だよ」
 ずずっ。
「そろそろおいとましましょうか」
 ずずず…
「だな」
 ごくん。
「祐一がそーゆう風に言うのは変だよ、ここが祐一の家なんだから」
「だけど、今から出るわけだしなぁ」
 外はもう完全に暗くなっていた。
「そうですよね」
「最近、ちょっと多いよ…」
「んー、まぁ行ってくるわ」
「はい。お邪魔しました」
「…うん」
 そう言い残して、二人はそそくさと名雪の部屋を出ていってしまった。
「………寝ようかな…」


7/18
 がちゃ…
「あ…あ…ごめんなさいっ…ボク、あやまりますから…こ、これを…」
「…随分と素直になったわね」
「ごめんなさいっ、ボクが悪かったんですぅぅっ…だ、だから、もう、助けてください…」
 あゆは後ろ手に縛られて、足首も拘束された状態で床に転がされていた。ロープは香里の机の脚につながっており、ロクに動くことは出来ない状況である。
「あ、あゆちゃん、このままじゃ…早く抜いてあげないと…」
「いいのよ栞。もう少し思い知らせてやりましょ」
「い、いやだぁっ!謝りますっ、なんでもしますっ…こ、このままじゃボクおかしくなっちゃう…」
 あゆの秘裂からは…ピンク色のバイブレータが生えている。あゆの中で強烈な振動とうねりが発生しているのは、くぐもってはいるがかなり大きめのモーター音を聞くだけで明らかだ。
 最初は破瓜の激痛をもたらしたそれも、栞の丁寧な愛撫とクンニリングスを経て、すっかり快楽の道具と化してしまっていた。
「お、お姉ちゃん…このままじゃあゆちゃんが」
「うぐぅ…栞ちゃん、助けて…」
 思い切りバイブを突っ込まれたまま、スイッチを最強にされて数十分もの間放っておかれたのだ。あゆの顔は涎と涙でくしゃくしゃになっていたし、フローリングの床には愛液が水たまりを作ってしまっている。全身が小刻みにふるふると震えて止まらないようだった。
「頼む相手が間違っているわよ。栞は関係ないわ」
「あっ…。…お願いです、美坂先輩…ボクを許してください…」
「それ相応の誠意が必要ね」
「なんでもします、おち○ちんをなめるのもざーめんを飲むのもいやじゃありません…ボクの中に入れてもらってもいいです…」
「当たり前でしょ、そんなこと」
 香里は冷ややかに言い放った。
「じゃ、じゃあ…んああっ…」
 あゆが腰をよじる。
「お、おなにーを美坂先輩の前でしたり…」
「普通ね」
「そんな…あ、あの、外でおなにーしたり…」
「外の、どこ?」
「ひ、ひとがいなければ学校とか…夜の公園とか…ひぅっ…」
 あゆがまた腰をくねらせる。そのまま、しきりに身体をくねらせ始めた。
「……そうね」
「あっ…じゃあ、これを抜いて…」
「気が早いわよ。まず、私は美坂先輩の言うことならなんでも従いますって言うのが先ね」
「そっ、そんなこと言ったら…うぅ…何を言われても…」
「口答えする気?」
「ちっ、違いますっ…はあぁんっ…わ、わたっ、私はっ、美坂せんぱいのっ、言うことなら…あ…ぁ…!」
 あゆの息が急に荒くなる。全身がひくつき始め、あゆは何かに耐えるかのように身を固くしていく。
「最後にイカせるのも悪くないわね…どうせ今から抜いても、もう間に合わないし」
「た、助けて…」
 あゆがかすれた声で言うが、香里は冷たく笑みを浮かべてそれを見つめるだけだった。栞は心配そうに見ているが、口を挟んだりあゆを助けに駆け寄ったりする様子はない。
「うぅ…イクぅ…」
 ビクンッ…
 あゆが力無く背中を反らせた。
 ビクン!ビクン!
 あゆ自身に体力はほとんど残っていなかったようで、ぐったりとしたままにあゆは悶えた。だが、身体は勝手に痙攣したし、その痙攣の度に透明な雫がバイブの隙間から勢い良く吹き出している。数十分の責め立ての後にこうなるのだから、性への耐性はかなり持っているらしい。
「…気絶したみたいね」
 そしてついに動かなくなったあゆに歩み寄りながら、香里が言う。そして秘裂から引き抜いたバイブは、べっとりと初々しい愛液に濡れて光っていた。
「…あゆちゃん、このままで大丈夫なんでしょうか」
「いいんじゃない。とりあえず、セレモニーにはこの子を使うわよ」
「セレモニー…?」
「そろそろ、本格的に戦いが始まるって事よ…栞」
 香里は不敵な笑みを浮かべながら、ぺろりとバイブに付いた愛液を舐め取った。


7/8
「どういうつもりなの!?」
「ど、どういうって…」
 栞は面食らった表情で言う。激しく肩をつかんで叫ぶ香里の姿は、これまで栞が見たことのないものだった。
「聞いたわよ…あなた、倉田と」
「えっ…」
「一体、何を考えてるの!?よりにもよって、倉田なんて…」
「お、お姉ちゃん、落ち着いて…」
「落ち着いてられないわよっ!あなた、何をしたのかわかってるの!?」
「わた、私は、倉田先輩が優しくて好きだったし、だから…」
「はぁ…栞、あなた何もわかってないわ」
「何もって…」
「あの倉田がどういう女か、あなたわかっていないのよ」
 香里は吐き捨てるように言った。
「先輩は、途中から編入した私をいろいろ助けてくれたり、他にもいろいろ…それで、先輩って、その、お姉ちゃんと同じで、アレがあるから…それで」
 栞は顔を真っ赤にして、もごもごと言う。
「あのね、栞、あなた遊ばれているだけなのよ」
「え」
「わかってるだけで二十人以上…下手すりゃもっとね。川澄っていう女と組んだりもしてるらしいけど…」
「ま、舞さんが!?」
「そうよ」
「そんな…だって、舞さんは、普通の」
「ノーマルだからって、倉田に加担しないとは限らないでしょ」
「でも…」
「無口で無愛想な癖に、アッチになると倉田と同じくらいすごいらしいわよ」
「そんな、そんな、そんな」
「信じなさい…と言っても、ムリかも知れないけど」
「…うん」
「だから」
 ピシッ!
「きゃあっ!?」
 栞は床に転がる。香里が平手を張ったのだ。それほど強い力では無かったが、華奢な栞の身体にとってそれは十分な衝撃だった。
「力尽くでも信じさせてみせるわ」
「お、お姉ちゃん、なんでっ!?なんで、こんな事を…」
「私の実の妹が倉田側になるなんて許されないのよ!」
「な、なんで、そんな、私、倉田先輩側って」
「あいつを先輩づけで呼ぶのはやめなさい。それと、私にも敬語使ってしゃべりなさい」
「お、お姉ちゃん!?どうしたの!?こんなの、変だよっ…」
 ずんっ!
 香里が爪先で栞の脚を蹴る。靴下越しだが、鈍い衝撃は栞を戦(おのの)かせて動けなくさせる。
「いい?」
「は…はい…」
 栞は恐怖を顔に張り付かせて、うっすら涙を浮かべながら言った。
「あなたが自分で入り込んできたのよ。そうしなければ、私もこんな事をしないで済んだのに」
「私、私が、何を」
「今に分かるわ」
 香里が自らのスカートをつかみ、脱ぎ去る。そして、その下につけられた漆黒の下着も取り去ると、そこには栞をにらみつけるように屹立した肉棒が存在していた。
「舐めなさい」
「えっ…そんな」
「早くしなさい?それとも、この程度でもたもたしていたら、どうなるのか一回知っておいた方がいいの?」
「や、やります!やらせてくださいっ!」
「…少しはわかってきたみたいね」
 栞は震える身体を何とか起こして、姉の示す肉棒に恐る恐る触れる。
「こ、こんなに…」
「はじめて見るってわけじゃないでしょ」
「は、はい」
「まずはそのまま舌の先っぽで舐めなさい」
 つつっ…
 栞は言われたとおりにした。肉棒の最も先の部分を、舌の一部分だけで這うように刺激する。佐祐理に対してそういう行為をする事も栞は考えた事があったから、栞の舌は予想以上に滑らかに動いた。
「そう…それで、ぐるっと回してみて」
 ちゅるっ。
 唾液を絡ませながら、栞は先端部分を舌で一回りする。
「上手いじゃない…さては倉田に教わったのね」
「し、してませんっ!佐祐理さんのあれで、してもらっただけですっ」
「…まぁいいわ。そしたら、今度は口全体でくわえて」
 間髪入れず、ぱくり、と栞は香里の肉棒を口粘膜で包み込んだ。それほど匂いは強くない。むしろ、女性器の匂いに近いかも知れない。
 そう思いながら、栞はちゅくちゅくと上下の運動を開始した。
「そ、そうっ、いいじゃない」
 香里はぐっと栞の頭を押しつけながら、言った。まがりなりにも姉妹の間の背徳的行為、しかも香里はあらざるべき器官の持ち主だ。その異常な状況を楽しんでしまうほどに、香里は行為に慣れ親しんでいる。
 一方の栞は、無我夢中になって肉棒を舐め上げていた。上下の運動を基本にしながらも、舌を滅茶苦茶にこねくり回して、香里の肉棒に少しでも強い刺激が加わるように心がける。繊細さにはやや欠けていたが、怯えきった妹の献身的な行為は十分に香里を興奮させた。
「これだけ出来れば…すぐに実戦に行ってもいいわね」
「………?」
 口を動かしながら、栞は涙でいっぱいの目で香里を見つめる。
「ふふ…それはこの後のお楽しみよ…」
 香里はゆっくりと栞の頭を撫でた。
 栞は不安に駆られながらも、行為を止める事はできない。やがて肉棒の先端から出てきたほとんど無味の液体も、気づく事なく舐め取っていた。香里の表情に少しずつ余裕が無くなってきたのも、まるで気づかない。同じペースで激しいフェラチオを続けていく。
「っくっ…出すわよっ…」
 どくんっ!
「………!?」
 栞の喉の奥を、灼熱の液体が激しく叩いた。
 慌てて肉棒から口を離した栞に、
 どくどくっ!どく、どくどくんっ!
 容赦なく香里の放出した体液が襲いかかる。激しい脈動の度に半透明の液体が栞の顔面に降りかかった。あっという間に、栞の服から額まで、汚されたという表現が相応しいほどに欲望の液体が付着する。
 それは、ひとつの儀式的な姿だったのかもしれないが…
「うぁ…」
「どうすればいいのか、わかってるわね?」
 うめいた栞に対して、香里は冷たく言い放った。


6/21
「名雪」
「あ、香里っ…」
 香里が名雪の腹部を愛撫する。ごくごく柔らかなタッチであるにも拘わらず、名雪は敏感に反応して高い声を上げた。
「ここだけで、気持ちいいの?」
「き、気持ちいいっていうより、くすぐったいよ」
「でも、ちょっとこっちにすると違うでしょ」
「んっ!」
 秘裂に触れるぎりぎりの所まで香里が指を進め、またおへその辺りに戻って弱い愛撫を続ける。
「ほら…気持ちいい」
「い、いきなり触るから驚いただけだよ」
「じゃあ、じっくり触ってあげるわね」
「か、香里…」
 名雪が、か細い声を上げる。香里は妖艶な色を瞳に浮かべながら、今したように指を秘裂の方に近づけていった。ただし、今度の動かし方はとてもゆっくりとした、名雪の気持ちを少しずつ煽り立てるような動きである。
「ほうら、もうすぐよ」
「あ…香里、駄目だよっ…」
「聞こえないわ」
「あ、あっ!」
 香里の指が、名雪の秘裂の始まりのところにはっきりと指を触れた。表面に触れているだけだから、敏感なところには間接的な刺激しかいかない。それでも、名雪は核心を押さえられてしまったかのように弱々しい態度になってしまった。
「じわじわ、来るでしょ」
「か、香里…こ、怖いよっ」
「怖くなんてないのよ…私がしているんだから」
「で、でも」
「いいから。指を、しっかり感じてね」
 香里は決して焦らず、秘裂の割れ目に沿って指をゆるゆると滑らせる動きを繰り返す。そして、最も敏感な部分に近づいた時だけ、指をやや強めに押し込んだ。その度に名雪はかん高い嬌声を上げて、香里とつないだ右手を強く握り返していった。
「どう?素敵な気持ちでしょ」
「う…は、恥ずかしいよ」
「いいのよ、気持ちよくなる事は悪いことじゃないんだから」
 香里が秘裂を慎重に割り開いて、中をのぞき込む。そこには、きらっと愛液に光る粘膜があった。
「もう、こんなに濡れてる」
「恥ずかしいよ…」
「私は嬉しいわ」
 香里は愛液を指の先でにちゃにちゃとかき混ぜるような動きを加えてから、クリトリスの周囲にそっと触れる。
「ひっ」
「どう?痛い?」
「い、痛くはないけど」
「気持ちいいのね?」
「で、でも…なんだか、怖くなっちゃうくらい」
「それで、いいのよ」
 香里はクリトリスの周囲に小さな円を描くようにして、直接的な刺激の一歩手前である愛撫を延々と続けていく。次第にクリトリスはぷくっとした膨らみを見せ始め、包皮の下から姿を現しそうにすらなってきていた。
 頃合いを見て、香里は瞬間的にクリトリスを指の先でつつく。
「ん!」
「もういいわね」
「ん…はぁっ」
 香里はクリトリスに指の腹を当てて、段々と圧力を加えていった。最初は表面に触っているだけだったのを、少しずつ強く。やがて、はっきりとクリトリスに圧迫を加えている状態になる。
「い…いやあぁっ」
 名雪が声を上げて、かくんと頭を垂れた。
「名雪…イッた?」
「わ、わからないけど…今、何にも考えられなくなって、ふわっと身体が浮かんじゃうみたいになったよ」
「イッたのよ…」
 香里は満足そうに微笑んで、指を秘裂から離した。
「今日は、これくらいにしておきましょう」
「うん」
 名雪はぼんやりした瞳のまま答える。
「次は、いつ頃」
「あ…香里、前言っていたイトコの男の子が、7日に来ることになったの」
「そんなに早くっ?」
 香里が突然顔をしかめ、あからさまに不快そうな表情を見せる。
「う、うん…だから、こういうこと…あんまり、できなくなっちゃうかも」
「そう」
「ご、ごめんね…」
「いいわよ。名雪が悪いわけじゃないんだし…」
 香里は窓の外を見つめる。
「何か、方法は考えるわよ」
「うん…」




6/19
 あゆはゆっくりと自分のスカートを持ち上げていった。
「み、美坂先輩に、ボクのこと抱いてもらいたいんです」
 その前にいるのは香里だった。人気のない夕方の女子校の空き教室。あゆも香里も、同じこの高校の制服を着ていた。
「………」
「ボクのはじめて、あげます…だから」
「悪いけど、お断りするわ」
「あ…」
 香里はあゆに一瞥をくれると、横をすり抜けて教室を出ていく。
「美坂せんぱいっ!」
 あゆが悲しそうな声を上げるが、その時にはもう香里は教室の外だった。
 やや不自然な情景にも見える。だが、この女子高校においてはそれほど珍しい話でもなかった。あゆが「はじめてをあげる」と形容した事も。

「んしょっ…わ、わっ!」
 あゆはバランスを崩しかけて、慌てて近くにあった雨樋(あまどい)をつかむ。
「うぐぅ…怖い」
 泣き出しそうな表情をしながら、あゆは恐る恐る屋根を伝っていく。向こうに見えるのはひとつのベランダつきの窓。どうやらそこを目指しているらしい。道路や家の入り口からは見えにくい位置になっているとは言え、見つかれば厄介な事になるのは間違いないだろう。
 だが、あゆはその窓に掛かっているカーテンが、隅のところをわずかに残して閉められているのを見て、俄然元気を出す。
「ひょっとしてっ…い、一日目から大当たりかな…?」
 音を立てないように注意しながら屋根の上を歩き、やがて窓のところに手が触れそうな所までたどりつく。運動神経の鈍いあゆでも、何とか移動する事が出来そうだった。
「こ、怖いけど…」
 思い切って、ベランダに飛び移る。柵を越える時にも、何とか音を立てないで済んだ。
「うぐぅ…怖かったよ」
 ひとしきり胸を撫で下ろしてから、忍び足で窓に近づく。そして、そぅっと部屋の中をのぞき込んだ。
「わ…!」
 あゆの望んだもの…香里の裸がそこにはあった。何度も夢想したその姿に、あゆは生唾を飲み込む。
 しかし様子がおかしい。どうやら一人ではないらしい。
「そんな…美坂先輩、つき合っている人なんていないはずなのに」
 愕然としつつも、あゆは狭いカーテンの隙間から、何とかしてそれが誰なのか確かめようとする。
「えっ」
 香里が体勢を変えた瞬間、あゆの目にはっきりと飛び込んでくる。香里に組み敷かれて恍惚とした表情を浮かべているのは、香里の妹の栞だった。同時に、あゆのクラスメイトでもある。
「そ、そんな」
 呆然としたあゆに、声が聞こえてくる。窓越しとはいえ、十分に会話の内容は聞いて取れた。
「どう?栞」
「い、いいです…お姉ちゃん、私をもっとメチャクチャにしてください」
「仕方ない子ね。いやらしい」
「そ、そうです、私はお姉ちゃんのおち○ちんがなければ生きていけない、いやらしい女の子です」
「嘘おっしゃい、こないだはバイブであんなによがっていたくせに」
「それは…ああっ」
 激しい香里のストロークに、栞はしゃべる余裕を無くす。
「栞ちゃん…」
 あゆはつぶやいた。普段のおとなしく礼儀正しい素振りからはまるで想像出来ない姿だ。受け答えの内容を聞けば、香里がどれほど栞に性行為を強要してきたのかよくわかる。しかも、実の姉妹だ。
「不潔だよっ」
 あゆは吐き捨てるように言って、
「助けてあげなきゃ」
 決意の言葉と共に、肩から掛けていたピンク色のポシェットの中身を探る。そこからあゆが取り出したものは、銀色に光る小さなデジタルカメラだった。あまりあゆには似合っていなかったが、フラッシュを切って、カーテンの隙間から中の行為に焦点を合わせる。
 ファインダー越しに見える扇情的な性交を、あゆは次々とカメラに収めていった。本来、香里の自慰行為を撮影する事を目的として持ってきたカメラだった。香里がひとりなら、そのまま窓を開けてその場で証拠写真を突きつけても良いとさえ思っていたのだが。
 そして、香里が何事か叫んで、一気に栞のヴァギナから肉棒を引き抜くと、栞の顔前に突きつける。次の瞬間、栞の顔を勢い良く放出された白濁の液が襲った。
「すごい…」
 香里の肉棒が脈動する度、栞の顔に粘液が叩きつけられる。あっという間に、栞の顔はべとべとに汚れてしまった。髪の毛から口元まで構わず、放出された液体が垂れている。
「あれが、ざーめんなんだ」
 栞は放出された液体を指で丁寧にすくっては、それを口でくわえて飲み下していく。その敬虔な仕草を、あゆは大いに興奮してカメラに収めていった。撮るべき対象が間違っているのにも気づかない。既にあゆは自らの性器をいじりたくてたまらない衝動に駆られているほどであったから。
 とても全てを舐め尽くすことは出来なかったが、一通り舐めてしまうと今度は愛おしそうに香里の肉棒を舐めていく。自らの愛液と飛び散った白濁の液に濡れたそれを、綺麗に清めていく。
「まだまだ、こんなもんじゃ済まないわよ」
「はい…私も、もっとお姉ちゃんにいじめてもらいたいです」
 まだするんだ…
 あゆはカメラをゆっくりとポシェットの中にしまっていった。証拠写真は十分すぎるほどに撮っている。それよりも、自分の身体の疼きを処理しないとどうしようもない…
 そんな、肉欲の方に頭が行っていたからだろうか。
 がしゃん!
「!」
「誰っ!?」
 カメラを落とした音に、香里の鋭い声が上がる。
「あ…あっ!」
 慌ててカメラを拾い上げた時には、香里は窓まで来ていた。そしてあゆの姿を確認すると、裸のまま臆面もなく窓を開けてあゆの前に姿を現す。
「とんだ泥棒ネコがいたものね…」
「ご、ごめんなさい、ボク、そんなつもりじゃっ」
 凛々しく天を仰いだ肉棒が、ますますあゆを怯えさせる。
「言い逃れは出来ないわよ。こっちにいらっしゃい」
「うぐぅ…」
 あゆはびくびくしながら部屋の中に足を踏み入れる。部屋の中には生臭い性臭が漂っていた。
「あ…あゆちゃん!?」
「栞ちゃん…」
「このコ、のぞきしてたのよ。しかも栞の友達とはね…栞、友達はもっと選びなさいよ」
「あ、あゆちゃん」
「ごめん…ごめんなさい、許して下さい…」
 あゆは震える声で許しを請う。
「お仕置きしてあげなきゃいけないわね」
 冷たい声でそう言うと、香里は自分の机の引き出しを開けて何かを取り出した。それを床に放る。
「栞、それでこの子やっちゃいなさい」
「そ、そんな」
「や…いやだよっ!」
 グロテスクな隆起のついたバイブレータに、あゆはおののく。
「この子はじめてなんてどうでもいいらしいから、栞がそれでやってあげれば十分よ」
「そんな…ひどいよっ!」
「その写真で何をしようとしていたのかおっしゃい?これは当然の報復よ」
「う…うぐぅ」
「あ、あゆちゃんごめんなさい」
 栞はバイブレータを持ち上げると、身体を起こしてあゆに近づいてきた。
「し、栞ちゃんっ!」
「私、逆らえないんです…ごめんなさい」
「や、いやぁ…うぷっ!」
 絶叫を上げようとしたあゆの口を、香里がふさぐ。栞は素早くあゆのスカートに手を伸ばしていった…




6/16
「し…栞、気持ちいいっ?」
「う、うん、お姉ちゃん」
 戸惑うような声。問いかけた香里の声も、どこか躊躇のような、焦りのような感情がにじんでいるのが分かる。
「ちゃんと、私の指を感じて」
「だ、大丈夫だよ、気持ちいいよ」
 栞は目のやり場に困ったようにして、しきりに辺りをきょろきょろと見回している。そんな栞の事を、落ち着かない素振りで香里は見ていた。だが、その間にも指を動かすのは止めていない。
「本当に感じているのね?舐めてあげた方がいいのなら、そうするわよ」
「ううん、十分気持ちいいから気にしないでいいよ、お姉ちゃん」
 香里の指は、栞の秘裂の中にもぐり込んでぐにぐにと刺激を続けていた。くちっ、くちっとほんのわずかな水音も立っているのだが、香里の指の動きでほとんどかき消えてしまうほどのものだ。何より、栞が絶えず辺りを気にしている素振りが、性行為に没頭しているわけではない事を証明している。
 そんな栞をもどかしそうに見ながら、香里は執拗に栞のクリトリスを転がした。肉襞の間に隠れてしまいそうなその部分を、指の腹で幾度も幾度も責め立てる。栞はそれにじんわりとした快感は感じていたが、我を失って乱れるというほどのものではない。
「まだ、イケない?」
「ううん、もうそろそろ…」
「本当に?本当にね」
 香里は真剣な目で栞のクリトリスをいじくり立てる。栞はその指に自ら突起を押しつけるようにして腰を上げていった。
「ふぁ、ふぁぁっ…」
 栞は可愛く鼻に掛かった声を上げながら、ぴくん!と自ら身体を震わせた。
 かくんと頭を垂れると、息を荒くして、ぴくぴくと腰を痙攣させながら目を閉じる。
 どこか不安そうな顔をしながら、香里は妹の性器から指を離した。
 そのまま二人が佇んでいると、ドアが空気音を立てて開いた。そして、一人の初老の男が現れる。
「あ…」
 香里が立ち上がる。栞も、つられるようにして立ち上がる。
 つるつるとした秘裂からわずかに愛液がとろけ出しているのを恥ずかしそうにしながら、それでもその部分は隠さずに、直立した。香里と手をつなぐ。
「…どうでしょうか」
「そうだね」
 男は、非常に優しい声質をしていた。
「栞ちゃんのオナニーの最近の回数は?」
「4回…5回くらい?栞」
「大体3回です…疲れていれば、2回くらいですけど」
「そうだなぁ」
 男はあごに生えた髭を撫でながら、二人の事を交互に見つめる。
「栞、もう少し」
「お姉ちゃんの方にもきちんと見てもらうとかしてね。お姉ちゃんも大変だろうけど」
「はい、責任を持って見ておくようにします」
「うん」
「じゃあ、栞」
 香里が促し、二人は男に向かって礼をする。栞の礼は、脚を曲げないようにしているようなどこかぎごちないものである。
「頑張ってね」
「はい」
 栞は男の顔を見ないようにしながら、小さく答えた。




6/3
「い…嫌っ、やめて!」
 両の目からぼろぼろと涙をこぼしながら香里が訴えかける。その両手両足は細身のロープで何重にも縛られ、固定されてしまっていた。ヒップの部分だけが、辛うじて地面に着地する事を許されている。
 そんな状態では反発力など全く生かせるはずもなく、香里の逃げようという試みはロープをぎしぎしと軋ませるだけに止まっていた。M字に開脚された足の真ん中には、ぱっくりと無理矢理に露呈させられている紅の秘めた部分があった。
 ヘアは、ない。それなりに発達した恥丘を覆っているべき叢が全くない。香里の足元に落ちている安全カミソリと、ところどころに飛び散った白い泡を見れば何が為されたのかは明らかだった。
 香里に近づいていく、小さな影。
「ど…どうしてこんな事するの!?しおりっ…答えて!」
「………」
 闇の中から現れたのは、普段とは別人のように冷たく鋭い目をした栞の姿だった。香里と同じように、身には何一つとして纏われていない。しかし、その事を全く気にしていないかのような透明で黒い瞳が、香里のことを静かに見据えた。
「ひ…」
 実の妹の姿に怯える。
 ついさっきまで泣き叫ぶ香里を無視して、カミソリを操っていた少女なのだ。見慣れてきた身内の姿という事よりも、何をされるかという恐怖心の方が強い。
 栞の手には、白っぽく細長い棒があった。
 逆の手にはボタン式のライター。
「………!?」
 栞は白い棒の方をかざすと、ゆっくり香里の身体の上に近づけてくる。そして儀式的にライターのボタンをカチッ…と押すと、生まれた小さな火を棒に向けて移動させていった。
 その瞬間、香里は白い棒が何を意味するのか把握する。
「ゆ!?ゆるしてぇっ!?」
 香里の性器の直上に位置された白い棒を、火が舐めた…
 ……ぽたっ。
 永劫にも思える一瞬の後、
「ひぃぃぃっ!……あ……?」
 絶叫を上げた香里の声が、途中で止まる。
 感じられるはずの激烈な熱さはなく、そこにあるのはべとついた感覚だけ。見ると、落ちてきた液体はすぐに固まる事はなく、秘裂の間をつぅっと滑り落ちている。
 ぽた。ぽた。
 栞が白い棒の近くで火を滑らせる度、その液体はぽたぽたと滑り落ちて香里の秘裂に垂れ落ちた。
「な…なんなの…?」
 拍子抜けの感覚と、得体の知れない液体の恐怖が入り交じってくる。
 そして、香里の秘裂が完全にべとべとになってしまうと、栞は体勢を低くしていった。ライターだけを床に置くと、香里の性器にゆっくり顔を近づけていく。
 ぺろっ。
「んっ!?」
 突然、香里の秘裂をなま暖かい感覚が襲う。
 ぺろ…ちろっ。
 栞は香里の股間に顔をうずめて、クンニリングスを始めていた…
「や…やぁっ!栞、そんなこと、やめて!」
 香里は嫌悪感に身をよじらせる。同性ということ、近親ということ、二重のタブーの感覚が香里を襲う。
 すぐに栞の舌は秘裂の内側までもぐり込んできた。栞の舌は身体に相応して小さく細いものだったが、そのためにヒダのあちこちまで的確に滑り込んで刺激してくる。丁寧に丁寧に舐められてくると、香里は段々別の感覚を感じざるを得なくなってくる。
「ん…ん…いやっ」
 香里はふるふると頭を振って訴えた。しかし弱々しくなった声は、栞のさらなる大胆な動きを誘発しただけだった。
 女として最も弱々しくいやらしい部分を、栞の舌がつんとつついてくる。
「あうっ」
 じゅぷ、じゅぷとたっぷりと唾液を含ませた舌が動いて、突起を守っている包皮を強引に脱がせてしまった。後は、舌で転がされる度に激しい快感の波が腰の奥から襲ってくるだけである。栞の柔らかい舌が、何度も何度もそこを包み込んでこねくり回す。
 愛しい人に触られた事も、自分で触った事もある部分だ。性の感覚と、太い太い伝達神経で直結されている部分。そこを自分の妹に舐められている。
 屈折した快感すら芽生え始めた瞬間、ずんっ、と香里の腰に重苦しい感覚が生まれた。次の瞬間、それは痛みにも似た冷たさに変わる。
「ひっ…ひーっ!つ、つめたいっ!?」
 香里の密壷には、栞の持っていた白い棒が突き刺さっている。栞が持っていたと思しき部分には、木のバーがついていた。どこにでもあるミルクアイスだったのだ。ただし、温度は普通のものと比較にならないほど冷やされていたに違いない。
「あ…あくっ、うーっ、だめ…」
 香里はメチャクチャに身体を動かして抵抗したが、まるでダメだった。むしろそれは膣の自然な収縮を招き、ますます冷たい感覚が激烈に感じられるようになっただけだ。処女を奪われた時にも比せられる痛みだったが、それとは全く別種の痛みだった。
 しかも、痛みに加えて、栞の執拗なクンニリングスは続いている。香里は気が狂ってしまいそうだった。
「ご、ごめんなさいーっ、しおりっ」
「………」
「なんでもします、なんでもしますから…許してくださいっ」
 香里はくしゃくしゃになった顔で訴えかけた。言葉も、もはや妹に対して向けたものではない、懇願になっている。
 栞は、赤くなった姉の性器からゆっくりとアイスのバーを引き抜いた。表面がどろどろに溶けた白い棒が出てくる。しかし、中心部分は未だに溶けていなかった。
「あ…あ…あはぁーっ…」
 香里は放心したようになって、安堵の声を漏らす。
「お姉ちゃん」
「は…はひっ」
 もはや呂律(ろれつ)が回っていない。
「自分が、いやらしい女だと認めてください。それから、イク時に自分でイクって言ってください」
「はい…わかりました」
 ビクビクと、恐怖に打ち震えた目のままで答える。
 そして栞がクンニリングスを再開した。
「うっ…ひ、いいっ、あ、そこっ、いい、感じるっ」
 香里が涙をぽろぽろと流しながら、栞の舌の動きに反応して淫靡な声を漏らす。栞は依然として冷たい視線を維持したまま、黙々と舌を動かし続けた。
「あ、あ、そこ、そこですっ、もう、もう、だめですっ、いやらしいから、私、いやらしい身体だから、もうイッちゃいますっ」
 栞が行為を再開して30秒も経たないうちに、香里は言う。それを聞いて、栞はクリトリスをはじくような強い動きを連続して加えていった。同時に指を香里のヴァギナに挿入し、膣壁をこりこりとくすぐった。
「あぁっ…イクっ…」
 香里はびくんっ!と一度身体をわななかせると、ぐったりとしてしまう。
 栞は軽蔑したような目でそれを見ながら、指を締め付けてくるヴァギナの中をぐりぐりと刺激し続けていた。
「祐一さんに、どれくらい会いましたか?すぐ我慢できなくなって、欲しくなっちゃうんでしょう?自分の指で我慢するってこと、できないんですか?」
 そして尋問が始まった。




5/24
「あ…くっ、んっ、あいざわ…くんっ」
 感極まった声。
 ぬぢゅっ、とした淫靡な水音と共に、祐一の腰にまたがった香里はペニスを深々と受け入れていた。潤滑の液に濡れ濡れた香里の秘部は、まるで抵抗なく男の逸物を受け入れる。
「かっ、香里っ」
「うっ…相沢君の…奥まで当たってる」
 普段の理知などかなぐり捨てたような、直接的でいやらしい科白。成熟した肉体が、祐一の前にあけすけにさらけ出されている。
 ず…ずぶっ
「ひうっ、ああぅっ…」
 香里が大きく腰を動かし始めた。その度に、長いウェービィヘアが奔放に揺れる。自分で産み出した快楽に、ひっきりなしに愉悦の声を上げる。
 ずんずんと積極的にペニスで突かれる様子を見ていれば、香里がヴァギナからもたらされる性感に目覚めている事はすぐわかる。性交に関しては、それなりの経験を積んでいるようだった。
「あ…お姉…ちゃん」
 二人の様子を見ながら、乾いた声を上げる少女がひとり。栞だ。栞もまた身に何もまとっておらず、恥ずかしさと興味を兼ね揃えた瞳で激しいセックスの様子を見守っている。
 もじもじと両脚を擦らせているが、さすがに欲求をそのまま口に出す事はできないらしい。
「栞もっ…相沢君にっ…」
「え…でも」
「顔に、またがるの…」
「あ…」
 栞は顔を真っ赤にした。それでも、待ちかねたようにベッドに上がる。
「祐一さん…いいですか?」
「あ…ああ」
「ありがとうございます…」
 香里とは正反対に、乳房も性器も未発達な栞の体躯。陰毛が全く生えていない、つるりとした恥丘…
 ぺちゅ。
「ふあっ!?」
 祐一の舌が栞の秘部に触れる。驚いたような嬌声が上がる。
 ぺちゅ、ぬちゅ…
「く…んあうぅ」
 栞は夢見るような声を上げる。はっきりと気持ちいいらしい。割り広げられた秘裂の中は、既に愛の雫に潤い始めたピンク色の粘膜があった。
「し、しおりっ」
「お姉ちゃん…」
 二人は欲望に衝かれるままに、口づけた。姉妹であるという抵抗感など薄い紙のように破られる。ただ、背徳の念だけがぞくぞくとするような快感をもたらしていく。
 ぐち、ぐち、ぬちゅ、ぬち…
 みだらな水音に支配されながら、三人は快感をむさぼり合っていく。
「わ、わたしっ、もうだめです…」
「私も、私もっ、栞、一緒に…」
 二人は再び熱く唇を交わす。
『んんーっ!』
 そして、姉妹は同時に昇天した。