Daily-EROtic 琴音

12/24
(12/6の続き)
「佐藤先輩…」
「…!?」
 ぐったりと廊下の床に崩れ落ちそうになった雅史の耳に、聞き慣れた声が飛び込んでくる。
「こ、琴音ちゃんっ…」
 恐る恐るに顔を上げた雅史の視界にあったのは、果たして琴音の姿だった。浩之の部屋にいた時と全く変わっていない。一糸纏わぬ肢体も、その足の付け根から確実な勃起を見せている肉棒も…
 そして琴音は一人ではなかった。
「く、来栖川先輩もっ…?」
「姉さん…」
 じゅぷっ…
「あうっ」
 綾香が言いながら腰を引くと、雅史は不意の刺激に小さくうめく。
「こ、これは…どういう…」
 まだ物が挟まっているような秘部の感覚に眉をしかめながらも、雅史は芹香に問うた。リビングからちらっと見たときとは違い、裸の上にマントの状態である。
 ただし、芹香の裸体はごく普通の少女のままだった。幸いと言うべきか、この状況下ではもはやほとんど意味はないと言うべきか。平気で雅史の前に秘部を晒している事を考えると、まともな判断力を失っているという意味で綾香や琴音と同じと言えるかもしれない。
「…………」
「え? あの、もう少し大きな声で…」
「ごめんなさい、だって」
 綾香が通訳した。
「え、えっと、どうしてこうなったのか、どうやったら治るのか、状況を教えて欲しいんですけど…」
 返ってくる答えが怖かったが、雅史は訊く。
「魔力を集めるための実験だったそうです」
 応じたのは琴音だった。
「で、でも、なんでそのために僕が…こんな、身体になんなくちゃ…」
 雅史は言いながら顔が赤くなってくるのを感じる。しかしどうにも身の隠しようはなかった。綾香に突かれていた姿勢のまま、ぽつぽつと言葉を続ける。
「ほんとうは、こうなっちゃうはずじゃなかったらしいんですけれど…」
「…………………」
「琴音ちゃんが、佐藤君にもっと積極的に責めて欲しいから姉さんにお願いして…」
「そ、そういうわけじゃっ!」
 綾香の通訳を琴音が慌てて遮った。
「た、ただ、クリスマスに佐藤先輩と一緒になれたらうれしいなって…でも、みんながいるのにこのお家の中でするのって恥ずかしいですし…パーティに出ているみんなが、ちょっと酔っぱらっちゃったみたいな感じになったらいいなって…」
「きょ、今日は僕の家誰もいなかったのに…」
「え、えっ? そうだったんですか?」
「……うん」
 雅史は全身から力が抜けるような心地になりながら首を縦に振っていた。普通の状態の時に、雅史が自分の家に琴音を呼ぶ勇気があったかどうかはわからないが…初体験も、琴音の部屋だったのだから。
「で、それが魔力を集める実験にもなっていたから、一石二鳥って事だったわけね」
 こく。
 芹香がうなずく。
「ところが、集めなくちゃいけない魔力を大きく設定しすぎて、まだ全然足りてない…そんなとこかしら?」
 こくん。
「綾香さん、鋭いですね」
「伊達に長年妹やってないわよ」
「か…軽く言わないでくださいよ…僕は、どうしたら…」
「もっと佐藤君を気持ちよくさせたらいいんじゃないの?」
「あ、綾香さんっ!?」
 雅史の引きつった叫び。
「ええ、そうらしいです」
 それを軽く流し、琴音は芹香の方を見ながら答えた。
 …すると、ポッと芹香が顔を赤らめる。
「それが術を使った人と一緒になると、もっといいらしいですよ」
「じゃあ姉さんと佐藤君が一緒にイッちゃえば一番いいってこと?」
「正解です」
 琴音は芹香の横から抜け出して、綾香の方に歩いていった。
「ちょ、ちょっとっ…琴音ちゃんっ…! そ、そんなのっ…」
 自分の体の後ろに回り込もうとしている琴音に、雅史は必死に訴えかけた。だが琴音は全く意に介さず、綾香の横に並ぶ。
「綾香さんはさっき楽しんだんですから…私にさせてくださいね」
「琴音ちゃんだって、雅史君の中に入れたんでしょ? しかも初めての時に」
「佐藤先輩と私、恋人なんですよ? それなのに、綾香さん勝手にしちゃって…」
「…そうだけれどね」
「ふ、二人とも、そんな勝手にっ…あっ!」
 後ろを向いていた雅史。その視界の端が、すぅ…とかげった。
「く、来栖川先輩っ…」
 目の前に迫った秘裂から視線を上げていくと、芹香の身体が、そして欲情を映した芹香の瞳が雅史の目を奪う。琴音と同じくらいスレンダーでいて、豊満であるべき所は十分に発達している魅力的な肉体だ。芹香はそのどこをも隠さずに、雅史の目の前を支配していた。焦点のぼやけ気味の瞳は、あふれんばかりの性の欲望をふるふると雅史に訴えかけてきている。
「………」
 芹香が、雅史に聞き取れない何かをつぶやいた。
「いきますよ、佐藤先輩っ…」
 琴音の華奢な手が、がっしりと雅史の腰をつかんだ。
「あ…あっ…」
 雅史に出来た事は、判断停止のかすれた声だけで…
 …ぬちゅぷっ。
 ぐに…
「んんんっ…!!」
 ドロドロになった部分に固い物が侵入してくるのと、雅史の顔に柔らかな恥丘の膨らみが押しつけられたのは同時だった。
 ぬちゅるっ、ぬちゅっ、ぬちゅ…
「んっ…んーっ…」
「佐藤先輩の中、すっごいぬるぬるしてます…」
「んん…んん…」
 雅史はハイペースの琴音の抽送に、快感の曲線をぐんぐんと上げながら声を漏らす。雅史の柔壁は、もう固く熱い侵入物を悦んで受け入れられるようになってしまったようだった。綾香のモノよりは小さいが、小さいなりにあちこちをぐりぐりとこすり立ててくる。琴音の小柄な身体はネコのようにすばしこく動き、雅史の身体を蹂躙していた。
 ぐに…ぐにっ
「んふっ…んんう…」
 芹香はいつまで経っても責めてこない雅史に、腰をより強く押しつけて上下左右に動かす。
「ほらっ、佐藤君…姉さんもイカせてあげないと、何度イッても終わらないわよ」
「んっ…んうーっ…!」
 綾香は雅史の身体の横に回り込んで、胸の微細な乳頭部分を指でふにゅふにゅと転がしてきた。決して強い刺激ではないが、頭の先からつま先まで犯されているかのような感覚がじわーっと雅史を満たしていく。
「んっ…んふぅっ…!」
 ぬちゅ…
「………!」
 興奮が芽生えてきたのか、雅史が舌を芹香の秘裂の間に割り込ませる。芹香は一瞬顔をしかめてから唾をこくりと飲み込んでいた。
 ぬちゅ…ぬちゅ…ちゅく
「………っ………」
 芹香は口を半開きにして、腰を強く押しつけたまま腰をグラインドさせる。雅史はゆっくりと移動する芹香の秘部を追いながら、丁寧に舌で舐め上げていった。自分がさっき自慰をするときに発見してしまった敏感な突起を、集中的に舌の先で転がし続ける。
 じゅぷっ、じゅる…じゅぐじゅぐ
「ん…んんん…」
 雅史はそれを極力慎重な動きにしようとしていたが、琴音の激しいストロークの連続に段々コントロールできなくなってきたようだった。芹香の大切な部分に舌をべったりと当てて、べろべろと動物のように舐める動きになっていく。舌の真ん中に小粒の箇所が引っかかるのを感じながら、琴音の腰使いと同じくらいの勢いで芹香に口唇での奉仕を行う。
「……………!!」
 芹香が目を閉じて天井を仰いだ。
 ちゅぷ…
 雅史の舌の上に、酸味を帯びた液体があふれ出す。生まれて初めて味わうそのエキスを、今の自分も分泌しているはずのそのエキスを、雅史は従順に舐め取っていった。そうすればするほどに芹香の愛液は量を増し、雅史の舌が舐め取れないほどになっていく。
 ちゅる…ちゅく
 綾香の出した液体がそのままだから分からないものの、今の自分もそうなっているのだろうか?
 そう思うと、自分の体がじゅくっと熱い液体をにじませてしまったような気がした。
 じゅぐっ、じゅぐ…じゅぐ
「んふ…んっ、んっ」
 雅史はさらさらの前髪を芹香の下腹部に押しつけながら頭を左右に動かす。もう雅史の快感も爆発に近づいてきたようだ。
「…琴音ちゃん、ストップ!」
「え…?」
 綾香の鋭い声に、感極まったような顔で雅史に覆いかぶさっていた琴音が動きを止める。
「え…何、このロッド?」
「そんな…私、もうすぐだったんですよ…」
「そうしなきゃいけないって姉さんが言うんだったら、しょうがないでしょ。佐藤君の中で一回ずつしてあげたから、おあいこでいいじゃない」
「………」
 ぬぷ…
 琴音が肉棒を雅史の中から引き抜いた。相変わらず顔を芹香の秘部に覆われている雅史は、何が起こっているのかよくわからない。ロッドというのが何を指す単語なのか、雅史は記憶の中を探ったが正解は見あたらなかった。
「でも、私にさせてくださいよ」
「…ま、いいけれど。それより、琴音ちゃん、こうやって…」
「わぁ…なんだか、すっごくエッチですね」
 琴音がそう言い…
 …ぬぢゅぅぅ…
「っ!?」
 雅史の中に、巨大な何かが侵入してくる。
「んーっ! んんっ!」
 綾香のモノよりも、さらに大きくて固かった。そして、入ってきた部分の一番先だけが物凄く熱い。
 ぬぢゅっ、ぬぢゅぅぅ…
「んんー、んんっ! んっ!」
 雅史は悲鳴を上げそうになったが、芹香は雅史の頭を押さえ込んでクンニリングスを止めることを許そうとしなかった。
 ぬぢゅっ、ぬぢゅっ…
「んっ、んっ、んんっ!?」
 観念した雅史がまた舌の動きを再開すると、侵入してきた何かもまた前後の運動を始める。ところが中が裂けてしまいそうに大きいのに、熱い部分が雅史の中をこするとビリビリと痺れるほどの快感が生まれ始めた。
「んっ、んふぅぅ、んんーっ! んっ、んーっ、んーっ!」
 雅史は抗えない官能の連続に衝き動かされ、メチャクチャに舌を動かす。芹香はその雅史の奉仕に、かくんかくんと性交しているように腰を押しつけてきた。雅史の顔を強い圧迫が襲い、息苦しさが生まれる。雅史の顔は少女の欲望を溶かした液体でべとべとになっていた。
 ちゅる…べろっ…べろべろっ…ちゅく
 ぬぢゅっ、ぬぢゅっ、ぬぢゅうぅぅっ!
「んっ、んっ、んうううーっ!!?」
 雅史は芹香の身体にしがみつくようにして、全身を硬直させ…
 ビクンッ、ビクンッ、ビク…ビク、ビクッ!
 芹香と一緒に、少女の肉体を思い切りわななかせて絶頂に達してしまっていた。
 びゅびゅっ、びゅびゅびゅるるっ、びゅびゅ、びゅっびゅるる…
 どこからか自分の体になまあたたかい液体が大量に掛けられるのを感じつつ、雅史はまた意識を暗転させていた…


「うー…頭痛いわ…あんまバカして飲むんやなかったな」
「アタシも…こんなに遅くなっちゃったらDadに怒られちゃうヨ…」

「ふーっ…ビールやチューハイと違って、ワインってきっついのね…松原さんが30分で寝ちゃったのを見たときはまだまだアマイとか思ってたけど…これじゃあたしも人の事言えないわー…」
「ど、どうしよう…こんな時間になっちゃって、お母さんに怒られちゃいます」

「もうこんな時間! 良太達、心配してるだろうな…お酒なんて飲むの初めてだったから、こんなに眠くなっちゃうなんて思わなかったよ…」

「綾香さん、芹香先輩あっちにいましたよ」
「あ、ありがと琴音ちゃん。参ったなー…あのワイン、あんなに強いのだなんて思わなかったから…長瀬さん、目が三角じゃ済まないでしょーねー」

「あ、あれ…浩之ちゃん…?」
「えっ…おっ、おいっ!? あかり、これはどういう事だっ!?」
「ど、どういうって…わ、私も…ひ、浩之ちゃん、これはどういう…」
「俺はやってねーぞ! 知らねーっ!」
「私だってっ…知らないよぉっ…」
「た、確か、今日は12月24日だよな」
「う、うん…」
「俺ん家でパーティだったよな」
「うん…」
 あかりは周りをきょろきょろと見て、自分達が間違いない浩之の部屋にいる事を確認する。
「ワイン飲んで…それで…それで…覚えてないな…そしたら…」
「………そうしたら…それで、浩之ちゃんで…私が…」
 きゅ…
「うわっ! お、お前締めるなっ!」
「ご、ごめんっ…!」
「き、きついんだよっ…力抜けっ…」
 浩之が腰を後ろに引こうとする。
「で、でも…どうやったらいいのか…」
 きゅ、きゅぅ…
「あかり、お前かえって締めてるぞ!」
「ご、ごめんなさいっ!」

 雅史はたどりついた自分の部屋のベッドにがっくりと倒れ伏していた。
「………」
 体力的にはともかく、精神の方は部活で朝から晩までみっちりしごかれた時よりも疲れ果てている。家まで帰ってくる間に何度も転びそうになったほどだ。
 あの後、雅史が気を取り戻すと…藤田家にいる人間は全員気を失っていたのだ。芹香も綾香も琴音も、全員服を脱いだまま廊下に寝転がっていた。その身体はみんな普通の少女の物に戻っており、行為の痕跡を感じさせる体液のような物は綺麗さっぱり消えていた。
 雅史の身体も、ちゃんと元に戻っていた。
 そしてリビングにあった自分の服を身につけると、雅史は家中を回りながら裸で倒れ伏していた皆に服を着せていったのだ。浩之とあかりだけは例外だったが。
 いつ裸の女の子が目を覚ますかと恐怖しながら雅史はその難儀な作業を終え、逃げるようにして藤田家のドアを開けた。
 その時…芹香がちょうど目を覚ました。しどろもどろになる雅史に、芹香は全員記憶が飛んでいるはずだという事を告げた。
 それを聞いて、最低限の安堵を得てから雅史は誰もいない自分の家に帰ってきたのだ。
「はぁ…」
 雅史の前にある目覚まし時計が、24時を指そうとしている。
「メリー…クリスマス…」
 ほとんど自虐的にそうつぶやきながら、雅史はとんでもないクリスマス・イヴの幕を閉じていった…



12/8
「マ…マルチさんっ…!?」
 琴音が怯え上がった声を上げながら、腕を突っ張る。そうして、琴音の身体を押さえつけてきているマルチの身体を押し返そうとする。
「うっ…くうっ…ううっ」
 しかしその身体はぴくりとも動かなかった。琴音も身体が大きい方ではないし、力だって大した事はないはずなのだが、マルチはそれに輪を掛けて身体が小さいし、力もないはずだった。少なくとも、琴音が力一杯押し返そうとしても歯が立たないなどという事はないはずである。
「………」
「マ、マルチさんっ…私ですよ、琴音ですよっ!?」
「………」
 いつもと違う、機械的で虚ろな瞳が琴音を見つめていた。浩之がこの家にマルチを買ってきた時の、プログラムを入れ換えていなかった時の雰囲気にそっくりだ。
 だが来栖川の研究所から直々に送られてきたDVDディスクによって、量産型のHM−12にしか過ぎなかったはずのメイドロボは再びマルチとなり藤田家で働き始めたはずなのだ。
 琴音もマルチの憎めない性格のせいか、浩之を奪われるなどと考えてマルチに嫉妬したりはしなかった。高校時代はマルチの事を知らなかった琴音にとっては、浩之の友人と一緒に暮らし始めたような気分である。だからマルチが何度言っても、さん付けのですます口調になってしまう。
 そんな中でも、琴音とマルチはうまくやってきたはずだったのだが…
「マルチさんっ…わからないんですかっ!? 琴音ですよっ!」
 いくら琴音が叫んでも、マルチはリビングの絨毯の上に琴音を組み伏せたままだった。恐ろしいほどの無表情の中、目だけがきょろきょろと動いて琴音の身体を見定めているような感じである。
 その目は、やがて琴音の身体の一点を見据えてぴたりと止まった。
「え………マ、マルチさん…?」
 マルチが琴音を押さえつける腕を一本だけにする。それでも琴音はマルチから逃げ出す事はできなかった。明らかに今のマルチは暴走しているのだから、下手に抜け出そうとすると制御を失った力が無理矢理琴音を捕まえようとしてくる危険性だってあるのだ。今マルチの示している力を考えると、そうなったら擦り傷やあざくらいで済みそうにはない。
「っ…ま、まさか…」
 自由になった方のマルチの手が、琴音のパジャマの裾に近づいてくる。
「や、やめてください…マルチさんっ」
「………」
 琴音は思わず身をよじらせて逃げようとするが、マルチはぐっと腕に入れる力を込めて琴音を牽制した。
 …しゅる…
 化繊の生地がこすれる乾いた音がして、マルチの手がパジャマのズボンの中に入ってくる。もちろん、その手はすぐにショーツの中まで侵入してきた。
「あっ…だ、だめですっ」
 琴音はマルチから目をそらして言う。
 …ぷちゅっ
「んあっ」
 しかし、マルチの指がするりと秘裂に入り込んで秘核に到達すると、琴音はそれだけで熱い物をにじませてしまった。
 しゅる…しゅる
 マルチの手が動く度に、化繊のパジャマの密(ひそ)めくような音がする。
「ふぅんっ…ああっ…ああーっ…」
 琴音は絨毯の上に自分でもパジャマをこすらせながら、マルチの指に反応してしまっていた。指が動くたび、ぷちゅ…ぷちゅ…と果実が指でつぶされるようにして淫乱な蜜液があふれ出してしまう。
 浩之が親戚の法事ということで独り家からいなくなってしまってから、もう一週間。琴音がお預けを食っている間に身体を寂しくしてしまっていたのは否定できなかった。それがマルチの指であろうとも、丁寧な刺激を受けると身体がどうしても反応してきてしまう。
 ぎゅ…
「んっ…?」
 突然、マルチが琴音の手をつかんできた。
 マルチは琴音の秘部をいじる手を止めずに、もう一方の手を使って琴音の指を自分のパジャマの中へと導き入れようとする。
「………」
 琴音は目を少し不安そうな物にしながらも、その動きに抵抗しなかった。マルチが脚の上に乗っかっているだけの状態になっても、逃げだそうと画策しようともしなかった。
 ふにゅ…
 琴音の指に、マルチの無毛の恥丘が触れる。琴音はそこに走るスリットに、自ら指をゆっくりと差し込んでいった。
 びくっ…
 マルチがそうしているように琴音もクリトリスに触れてやると、見て分かるほどにマルチが身体を震わせる。
 じゅっ…
 同時に、琴音の指に粘っこい液体が噴き出してきた。
 くりゅ…くりゅん
 じゅぷっ…ぷちゅるっ…
 琴音が指を動かし続けると、琴音以上に激しい勢いでマルチの秘部が潤いを帯びていく。ほんの数回指を動かしただけでマルチのショーツの中は熱い液体でぐっしょりとなってしまい、琴音の手もぬるぬるになってしまった。
 マルチはどこか虚ろな表情のまま、顔を真っ赤にしてぴくぴくと震え始めている。琴音の秘部をいじる手もお留守になり始めていた。感情を顔にほとんど見せない状態で悶えているというのも奇妙な物だったが、琴音はその様子を見つめながら淡々と指を動かしていく。
 …ビクッビクッ! ビクッ、ビクンッ…
「あ…」
 その指戯に15秒も耐えられず、マルチは絶頂に達してしまった。
「もう…イッちゃったんですか…?」
 琴音はそっと問う。その瞬間、マルチの身体がくたりと琴音の上に倒れ込んできた。
「わっ…マルチさんっ」
 焦った声を出す琴音。しかし完全に制御を失ったわけではないのか、マルチが全体重で思い切り琴音にぶつかってくる事はなかった。普通に力が抜けたという感じで、琴音の上半身に覆いかぶさるようにして倒れてくる。
「…マルチさん」
 琴音は目の前にあるマルチの顔をじっと見る。
 目が閉じられてしまったマルチの顔は、普段と変わりなく見えた。琴音とキスできそうな近くまで顔を寄せた状態で、システムをダウンさせてしまったようである。
 そのあどけない寝顔を見て安堵すると同時に…琴音は自分の体に渦巻く煩悩を抑えきれなくなってきた。琴音はまだ満足しきっていない。禁欲が続いていたせいかいつもよりもずっと早くイッてしまいそうになったのだが、マルチが途中からほとんど指を止めていたために達することはできなかったのだ。
「………」
 くちゅっ、くちゅっ…
 琴音は頬を赤く染めながらも、腰を小刻みに動かし始める。上下左右に、そして上に乗ったマルチを腰で軽く跳ね上げるように。
「ん…はぁ…」
 マルチは気絶するときも指を琴音の秘裂から抜いてしまうことはなかった。マルチと琴音の身体の間に挟み込まれるようにして、マルチの指は未だに琴音の敏感な部分を捉えている。琴音が体を動かせば、その指がそれなりの刺激を与えてくるのだ。マルチと琴音の身体がぴたりと合わさっていることもあって、その指は少し琴音が動いたくらいでは抜けなかった。
 ちゅく、ちゅく…
「あうっ…ほぅっ…」
 琴音は天井を見上げながら、性欲に染まった淫らで退廃的な顔をして腰を振る。それは自慰に他ならない行為なのだから、琴音が気怠い表情を示すのもある意味ムリはないかもしれない。ひょっとすると、浩之が行く前に交わしたガマンの約束を破ってしまったという罪悪感に浸っているのかも知れないが。
 くちゅ、くちゅ…
「あっ…んあっ…はぁぁぁ…」
 やがて、琴音はだらしない声を出しながら腰を浮かせ…
 ビクッ、ビクッ、ビクッ、ビクッ。
「んっ…んぅ…ああ」
 久方ぶりに感じる絶頂に身を委ねてしまった。
 ブゥン…
 その時、マルチの中からモーターのような音が聞こえてくる。
「あっ…」
「あ…あ…あれっ…こ、ここは…あの、すいません、ここはどこなんでしょうか…?」
「お家…ですよ、私たちの」
「あ…あれっ、琴音さんっ!」
 マルチはびっくりした顔をしながら叫んだ。
「ご、ごめんなさいっ、すぐにどきますっ…あっ…あれ」
 慌てて上半身を跳ね上げたマルチは、ようやく自分と琴音の状態に気づいたようだった。
「こ、こ、これはっ…」
「マルチさん…」
「すっ…すっ…すっ…すいませ〜〜〜〜んっ!!」
 琴音に向かって、どこかにぶつけそうなほどの勢いでマルチは頭を下げる。
「覚えてます…? マルチさん、さっきまでのこと…」
「い、いえ…全然覚えていないんです…」
「じゃあ…前にもこうなったことがあったとか…」
「それもないと思います…」
「え? そうしたら、なんで今私に謝って…」
「ぜ、絶対悪いのは琴音さんじゃなくてわたしだと思いましたから…」
「………」
 否定できないだけに、フォローのしようもない。
「あっ…あっ、すいませんっ、こんな事ばっかり言う前に、どかないとっ…」
 マルチは腰を上げて、琴音の秘裂の中から指を抜こうとする。
「…マルチさん」
「すいませんっ、すいませんっ、わたしったら琴音さんにご迷惑をお掛けしてばっかりでっ…」
「……あの…」
「お、怒ってますか…琴音さん?」
「まだ、指を抜かないでもらえますか…?」
「…えっ?」
「マルチさんも、藤田先輩がいなくて寂しかったんですよね…」
「…わ、わたしはっ…」
「………」
「こ、琴音さんっ…!? はうううっ…!」
 再びマルチのパジャマの中に、琴音の指が侵入していく。
「気持ちよく、なりたくないですか…?」
「ひっ、んうううっ…あっ、あっ…琴音さんっ…でもっ」
「私も、気持ちよくしてあげますから…マルチさんも私にしてください」
 くりゅっ…くりゅ
「うっ…うあああっ…琴音さん…琴音さーんっ…!」
 マルチはピクピクと反応しながら、琴音のパジャマの中に指を突っ込んだ。
「うっ…、マ、マルチさんっ…いいですっ…」
「こ、琴音さんの指…すごく気持ちよくて…わたしっ…わたしっ」
 互いの指が、最も弱い部分を責め合う。主人を不在にする藤田家に、少女と少女の濃厚な性愛の響きは夜も更けるまで響き続けていた…



11/18
「………」
「こら、あかり、あんまりそっちに行ったら雅史達に見えないぞ」
「で、でも…」
「ほら、こっち来いよ」
 浩之が、壁に沿って置かれたベッドの隅の方で小さくなっているあかりの体を引っ張る。あかりは壁の方に体を向けてタオルケットで身を隠していたが、浩之は力任せにあかりの体を動かしてベッドの中央まで持ってくる。
 …ばっ。
「あっ…だ、だめっ…!」
 浩之がタオルケットを取り上げようとすると、あかりが必死にそれを押さえて抵抗する。
「今さら何言ってるんだ」
 ベッドの脇で正座している雅史と琴音。二人の方を見ながら、浩之はタオルケットをぐいぐいと引っ張る。
『………』
 雅史と琴音は、浩之とあかりのやり取りに対して両方とも沈黙していた。ただし雅史はほとんど顔を伏せてしまっているのに対して、琴音はしっかりと顔を上げて浩之とあかりの事を見つめている。
「雅史もちゃんと顔上げないと、見えないぞ」
「う…うん」
 浩之がうながすと、おずおずと雅史が顔を上げる。
「ま、雅史ちゃん…」
 ばさっ。
「あっ!」
 雅史の方にあかりが気を取られた瞬間、浩之はタオルケットを一気に引っ張って奪い取る。そしてそれを後ろの方に放ると、一糸まとわぬ姿のあかりの体にのしかかる。
「み、見ないでっ…」
「ばか、見てもらわなきゃダメなんだって」
「あっ、やだ、やだよぉっ…」
 浩之があかりの体を雅史と琴音の方に向けようとすると、さすがにあかりは抵抗を見せる。
「ずっと裸でいるより、さっさとした方がいいだろ?」
「う…」
「それとも、1時間ぐらいたっぷりかけて雅史達にレクチャーしてやった方がいいか?」
「………わかったよ…浩之ちゃん…」
 あかりが、顔をそむけつつも体を雅史と琴音の方に向ける。さすがに秘部と胸は手で覆おうとしたが、浩之に遮られた。
「あ、あんまり見ないで…」
「だから、何度言ったらわかるんだ」
「でもっ…」
 ほとんど涙目のあかり。それを雅史と琴音は、申し訳なさそうに見ていた。ただし、雅史は本当に申し訳なさそうに見ているだけなのに、琴音は申し訳なさそうに見つつもあかりの体の様々な所をしっかりと観察しているという違いがここでも出てきている。
「じゃあ、よーく見とけよ。まず、する前にちゃんと濡らさなきゃだめだよな」
「はい…」
 琴音が返事する。あかりと雅史がぼっと顔を赤らめる。
「まず、指を少し濡らしておいて…」
 浩之は口に指を二本ばかり突っ込んで、べろべろと舐めた。そして、その濡れた指をあかりの秘部に向ける。
「この中の、ここ…」
「あっ!」
 割れ目が左右に広げられると、あかりは悲鳴のような声を出して目を固く閉じてしまった。
「ここだな。この、粒みたいな所。おい雅史、お前が見なくちゃだめだろ」
「え…う、うん…」
 いつの間にかまた下を向いていた雅史が、顔を上げる。
「ここだ。ここ」
 浩之がぐいっと大きく秘裂を広げて、雅史に示した。雅史は顔を赤くしながらも、そこをじっと見つめる。
「敏感だから、最初は軽く触ってやるくらいにして…」
 つん、つん…
「………!」
 浩之はあかりの突起を指の先でつつく。
「こうやって、色々に触っていく感じだな」
 くりゅ…くりゅっ
 撫でる動き、つまむ動き、転がす動き、浩之は比較的ゆるめのタッチで何パターンか示す。
「それで、段々強くしていって」
 くりゅ、くりゅ、くりゅ…
 浩之が言葉の通りに指の動きを強めていく。
「ひ、浩之ちゃあんっ…!」
 くりゅくりゅっ…
「ほら、最初よりもおっきくなってきただろ?」
「はい…」
「ひ、姫川さんっ…」
 あかりは恥ずかしさに思わず叫んでいたが、うなずいただけの琴音を非難しようがない。
 ぐり、ぐり…
「や、やだ…だめっ」
 浩之が指の腹で押し込むような強い圧迫を加えてやると、あかりが腰をよじらせる。しかし背中を浩之の体がしっかりと押さえていて、前には雅史と琴音がいるという状態では逃げようがない。
「だめっ…!」
 あかりがピクンと体を震わせる。
 ちゅ…
「ほら、濡れてきた」
「はい」
「雅史も見えるよな? ほら」
「う、うん…」
「や、やだよぉ…見ないで…」
 ヴァギナの入り口を指で広げられたあかりの秘部には、きらめく液体がはっきりと見えていた。
「もっとしてやってもいいけど、あかりは感じやすいから…これくらいで十分だろ」
 浩之が指を離す。そして、あかりの体を転がしてまた仰向けの姿勢に戻す。
「入れる場所はもうわかってるよな? あとは普通に入れてやるだけだから…」
 そう言うと、浩之はあかりの腰をつかんで持ち上げ、ペニスをあかりの秘裂の中に割り込ませる。そして、ヴァギナの入り口にペニスを当てて腰をスライドさせ、ぬちゅぬちゅという音を立てる。
「こう。雅史も力は弱い方じゃないし琴音ちゃんは軽そうだし、腰の下に枕とか入れてやらなくても大丈夫だろ」
 浩之は琴音と雅史の方に顔を向けて説明した。琴音はこくんとうなずく。雅史も、あかりが仰向けになって直接顔を合わせなくてもよくなったためか、しっかりとあかりと浩之の体の位置関係を観察しているようだった。
「で、入れる…」
 ずちゅ…
「あっ…」
 ずちゅぅぅ…
 粘っこい水音を立てて、浩之のモノがあかりの中に埋没していく。
「ほら、ラクに入る」
「あ…ふあっ…」
 ずちゅっ、ずちゅっ!
「あ、あっ、浩之ちゃん…!」
 あかりが鼻に掛かったあえぎ声を出した。
「で、こいつもちゃんと気持ちよくなっているわけだ」
「ひ、浩之ちゃん…」
「なんだよ、違うってのか?」
 ずちゅ、ずちゅ…
「あああっ…!」
 あかりが目を閉じたまま、ピクピクと体を震わせる。
「な」
 浩之が琴音と雅史を見てウィンクした。
「……佐藤先輩…」
「えっ?」
 そこに、琴音が口を開いて、雅史の脚の上に手を乗せる。雅史は緊張のためか、ビクッと体を震わせてから返事をしていた。
「え…こ、琴音ちゃんっ…!」
「な、なんだか藤田先輩達のを見ていたら…」
 雅史は慌てた声を出す。琴音の手はいつの間にか琴音のスカートの中にもぐりこんでいたのだ。スカートの生地越しにも琴音の股間の辺りがモゾモゾと動いているのが分かる。何をしているのか、訊くまでもない。
「うわ…琴音ちゃん」
 ベッドの間際にまで正座している二人が近づいていたため、浩之もそれには気づいていなかったようだった。浩之は呆れ気味の声を出しつつも、興味深そうに琴音と雅史を見守る。
「わ、私は準備OKですから…ちゃんと…今の内に、確認しませんか…?」
 琴音がスカートのホックに手を掛ける。
「で、でも…! 浩之達の前で…」
「雅史、こっちだって見せてるんだからおあいこだろ? やっちゃえよ」
「浩之…」
 そう言う間にも、琴音はスカートを脱ぎ始めている。そして、雅史が琴音と浩之の顔を交互に見比べて困った顔をしている間に、琴音は下半身の着衣を脱ぎ払ってしまっていた。ヘアが薄目のあかりよりも、さらに無毛に近い琴音の秘裂が露わになる。
 しかしその秘裂からは、既に透明な雫が少しだけだがにじみ出していた。
「ほら、佐藤先輩だけ服来ているのずるいですよっ」
 琴音は淫らな目で雅史のことを見つめながら、秘裂に指を差し込んで自慰行為を続ける。ちゅく、ちゅくという水音がはっきりと雅史の耳に響いてくる。
「そうそう。雅史も脱げ」
 ずちゅ、ずちゅっ…
「ああっ…! 浩之ちゃん…!」
「……浩之、琴音ちゃん……あかりちゃん……」
 雅史は場を覆う異様な雰囲気に飲み込まれてしまったようだった。どこか遠い目をしながら、学生ズボンを静かに脱いでいく。そして真っ白な色をしたブリーフをずり下げて脱ぎ、その二つを綺麗に畳んで床に置く。
「佐藤先輩、来て下さい…」
 それを見届けると、琴音は指を秘裂の間から抜いて絨毯の上に身を横たわらせた。雅史はちらりと浩之達の方に目をやってから、琴音の体の上をまたいで立ち、そのまま体を屈めていく。
 ぐっ。
 雅史が、浩之がしているように琴音の腰をつかんで持ち上げた。琴音は無垢な乙女のように雅史の腕に体を完全に委ね、切なそうな目をする。
 そのピュアーな印象には不相応に濡れ濡れてしまっている琴音の秘部へ、雅史は慎重にペニスを近づけていった。そして、秘裂の中にペニスを入れてヴァギナの入り口を探る。
 ぬちゅ、ぬちゅ…
 琴音の性器は、雅史がそうして探るだけで濡れた音を返してきていた。雅史のペニスの先端は挿入前から熱い粘液に絡まれて、ますます熱を帯び固くなる。
「…いくよっ…」
「はい…佐藤先輩…!」
 …ぬぢゅ…!
「ああっ…!」
 雅史は一気にペニスを琴音の中に突き入れた。
「あっ」
 あまりの勢いに、バランスを崩して転びかける。
「慌てなくていいぞ、雅史」
「う、うん…」
 ぬちゅっ。
 琴音の中にペニスを完全に挿入しきった雅史は、拍子抜けしたような顔をしていた。それだけ、普段琴音と交わる時と違ったということなのだろう。
 ぬぢゅ、ぬぢゅ、ぬぢゅ…
「あ…先輩…佐藤先輩っ…!」
「こ、琴音ちゃんっ…」
 雅史は自分でしている行為が信じられないといったような不安さを顔に浮かべながら腰を動かしていた。
 ぬちゅ、ぬぢゅるっ
 琴音と雅史の結合部分は非常に滑らかにつながっていて、雅史は浩之の最初の動きと比べてもかなりスピーディに腰を動かしている。それが、雅史には信じられないらしい。
「なんだよ雅史達、上手いじゃねーか」
「え、ええと…」
「いつもは、こんなにうまくいかないんです…」
「やっぱり、琴音ちゃんが濡れ足りなかったってことだな」
「ええ…そうみたいですね」
「これからは、雅史が入れる前に琴音ちゃんがオナニーしていればいい」
「そ、そんなの嫌ですよ…佐藤先輩、これからはちゃんとしてくださいね」
「う、うん…」
 ぬちゅぅ、ぬちゅ…
 雅史はうなずきながら腰を振り続ける。
「んっ…んんっ…いいです…」
「良かったね、雅史ちゃん達…」
「…あ、あかりちゃんっ!?」
 いつ目を開けたのやら、あかりが雅史達の結合を見ていた。雅史は思わず腰を止める。
「い、いやです…止めないで下さい…!」
 ぎゅう…
「あ…琴音ちゃん…」
 琴音のヴァギナがきつく締まって雅史を求めてくる。
「よっし、こっちも再開するか」
 ずぢゅっ、ずぢゅ…
「あ、ああっ…浩之ちゃーんっ!」
 あかりが高い声を出して身をよじらせる。
「………」
 ずちゅ、ずちゅ…
「あっ、あっ…佐藤先輩…佐藤せんぱいっ!」
 雅史は何かに衝かれるようにして再び琴音の中をえぐり始めていた。琴音の中が、小刻みにきゅっきゅっという収縮をし始める。
「ひ、浩之ちゃんっ…私…もう!」
「あかりっ…俺もだ…」
 ずちゅ、ずちゅ…
「さ、佐藤先輩、私も…!」
「う、うん…!」
 何かの波動のように、絶頂への流れがひとつにまとまっていく。雅史もその流れとは無縁ではいられなかった。ペニスの根元に熱い脈動がどんどん溜まって、爆発寸前になる。
『あーっ!』
 あかりと琴音、二人の黄色い喘ぎ声が合致した。
「んっ…!」
 …びゅっ、びゅっ、びゅっ…
 それが引き金になって、雅史は琴音の中に白濁液を射出してしまう。雅史はこれまで味わった事がないほどに大きな快楽に包まれ、これまでないほどに大量に琴音の中に出してしまっていた。
 ビク、ビク…
 琴音の膣内も痙攣している。そして、表情は見たことがないほど恍惚とした満足そうなものになっている。雅史はそれを見ていると、背筋がゾクリとするような気がした。
「んっ…んんっ…浩之ちゃん…」
「ちゃんと、舐めろよ」
「う…うん…」
「…え?」
 雅史は聞こえてきたやり取りに、浩之達の方を見る。そして、ぎょっとする。
 あかりは全身のあちこちに白い液体を付着させていた。浩之はあかりの中に出さずに、外で射精してあかりの体に思い切り精液を掛けたらしい。
 …ぺろ、ぺろ…
「あ、あかりちゃん…」
「こういうのをさせるのも楽しいぞ? 雅史」
「ま、雅史ひゃんっ…み、みなひで…」
 あかりは顔を真っ赤にしながらも、体に付着した精液を少しずつ指でこそげ取って口に運んでいた。恥じらいの素振りは見せているが、嫌がっている様子はない。
「あかり、俺のはどうなんだ?」
「お、おいひいよ…浩之ひゃんのせいえき、おいしひよ…」
「…佐藤先輩」
「え!?」
 琴音が静かな声で雅史を呼ぶ。
「私は、口でそのまましてあげます」
「え? え?」
「ふぇらちお…って言うんですよね、そういうの」
「こ、琴音ちゃんっ!!」
 雅史は大胆な発言をする琴音に思わず叫んでいたが、琴音の目に宿ったかすかな嫉妬の色は消えないようだった。



11/10
(雅史登場率急上昇中)
「せんぱいっ…」
「こ…琴音ちゃんっ…」
 ばふっ…
 雅史の肩が、ベッドの布団の上に押しつけられる。
「佐藤先輩…もう…私…」
「お、落ち着いてよ、琴音ちゃん」
 ぐいぐいと体を密着させてくる琴音の体を、雅史は何とかして押しのけようとした。薄紫色の下着だけになった琴音の肢体が押しつけられているのに、そのまま放っておくわけにもいかない。
「あ、あれ…?」
 しかし、琴音の体は全く動かない。いくら上から体重を掛けられていると言っても、雅史と琴音の力の差は歴然としているはずなのに、雅史を押さえつけている琴音の体はびくともしなかった。
(あのお酒…)
 雅史は自分の体が変調をきたしていることを、ようやく自覚し始めた。
「んっ…んんっ」
 頬ずりしてくる琴音も、雅史自身も、頬がほんのりと赤く染まっている。それがアルコールによる物なのは間違いない。浩之の家でのクリスマス・パーティーということで、綾香がこっそり家から持ち出してきたという飲みかけの高い赤ワインをみんなで舐めるような量だけ飲んだのは確かだった。
 しかし、それは雅史でも飲むことに躊躇をしないほどのごく少ない量のはずだし、その後雅史はずっとジュースしか飲んでいなかったのだが…
「ちょ、ちょっと琴音ちゃんっ! ここ、浩之の部屋だよっ…ちょっとっ…」
「先輩…」
 琴音の手が、雅史のシャツのボタンをひとつずつ外していく。雅史は改めて琴音の体を押しのけようとするが、やはり琴音の体は動かない。雅史と同じ物を飲んだと言うのに、琴音の力は普段通り、あるいはそれ以上に強くなっているようだった。
 ベージュ色のシャツをすっかり脱がしてしまうと、今度は琴音の手がランニングにかかる。
「琴音ちゃんっ…琴音ちゃん!」
 雅史は何度も琴音に呼びかけたが、琴音は全く聞こえていない様子だった。
「…んんーっ」
 そして、ランニングがめくりあげられて両脇から脱がされそうになる。雅史は顔をすっぽりと綿の生地で覆われて苦しげな声を出したが、琴音は何も気にしていない様子で片方ずつ雅史の腕を上げさせ、ランニングも脱がせてしまった。
「ダメっ…ダメだよっ…」
 いくぶん雅史も小声になる。ここまで来ると、誰かに見とがめられた時の事が雅史も怖くなってきた。パーティでみんなが集まっていたリビングからは、ひとりまたひとりと人がいなくなっていったのだ。それが全員琴音のような状態になっていたとすれば、二階にある浩之の部屋に突然やってきたとしてもおかしくはない。
 ぺろっ…
「あ…」
 ぺろ…ぺろん…じゅうっ
「こ、琴音ちゃん、だめっ…だめだよっ…」
 雅史の小さな乳首を、琴音の舌が転がす。
 普段は意識もしないような場所なのに、いざ刺激されてみると意外なほどそこは敏感だった。そこを、琴音が少しだけ出した舌の先で幾度もつつき、転がしていく。雅史の体から、残っていた力が全て抜けていってしまうようだった。
「…はぁっ…」
 数分間も二つの小さな突起を刺激されている間に、雅史の意識はまた混濁してきた。リビングでふらついた時に、琴音が介抱してくれると言った所までは記憶がある。そこから、琴音に手を引かれて歩いている間、雅史の記憶はほとんど飛んでいた。気づくと浩之の部屋のベッドの上で、突然琴音がのしかかってきたのだ。
 かちゃ…かちゃ…
 ベルトを外され、ジーンズが下げられていく音がどこか遠く聞こえる。きちんと足の先まで下ろされ、脱がされていっても雅史はもはや抵抗しなかった。霞んだ目で浩之の部屋の天井を見つめているだけである。
 …ぐっ。
 琴音が、雅史のブリーフをつかむ。
 そして、ゴムが伸びそうな勢いでそれを下にずりずりと降ろしていった。それでも、やはり雅史は抵抗しない。ついにブリーフまで爪先から抜き取られ、靴下だけの姿になってしまっても天井をぼうっと見つめていた。
「…佐藤先輩…」
 琴音はブラジャーとショーツをやや興奮気味の手つきで脱ぎ、雅史の体に迫る。
 …ぬちゅ
「えっ…?」
 その時、脚の付け根に走った未知の濡れた感触に、雅史の意識が現実に引き戻される。
 ぬちゅ、ぬちゅ…ちゅく
「えっ…えっ!?」
 雅史は、ありえない場所を触られている事にパニックになって自分の下半身に目を向けた。琴音が指を使って愛撫している所…そこにあるはずの、男としての性器がない。
 ぬちゅっ、くちゅっ
 本来ならペニスの根元に当たる部分、そこを琴音の指が直接触っていた。閉じた唇を誰かの指で開かれているような感触が、股間に生まれている。そして、その中のぬちゅぬちゅとした部分を指で愛撫されているのがはっきりとわかる。
「な、なんで…こんな」
 雅史にも、それが女性器の形状であるという事はわかった。琴音と一度だけ性交した経験が雅史の中によみがえる。
 その代わり、裸になった琴音の脚の付け根の部分は、かつて見たような女性器の形状をしていなかった。多少色白な男性器があって、思い切り勃起している。まるで、生殖器官の部分だけ琴音と雅史で入れ替わってしまったようだった。
 ぐりゅっ…
「んうっ…!」
 琴音が雅史の性器の一点を押し込んでくる。
 ぐりゅ…くりゅっ、くりゅ…
「あっ…あああっ…」
 今までのぼんやりした快感とは違う、目の覚めるような鋭い快感が雅史を襲った。ペニスの先を刺激されているような、それを凝縮したような快感だ。しかし、体の外にはっきり飛び出た部分を刺激されるのと、体の中の方にある器官を刺激されるのでは気分が違う。体の中に何かが溜まっていくような、不思議な快感だった。
 ぬぢゅっ。
「んっ…くぅっ!」
 琴音が指を一本、雅史の中に入れてくる。
「あっ…あ…」
 雅史は、自分の中に何かが入ってくるという気持ちを、それを反射的に締め付けてしまうという気持ちを生まれて初めて思い知らされた。
 ぬぢゅ、ぬぢゅ
 その上に指を抜き差しされると、自分のそこが濡れているという事も自覚せざるを得ない。雅史は顔を真っ赤にしてしまった。こんな異常な状況下でも、恥ずかしさという感情を消し去る事はできなかったのだ。
 ちゅぽっ。
「先輩…いきますよ…」
「えっ…」
 指を抜いた琴音が言うと、雅史は小さく声を上げた。
 ぐいっ。
「あっ」
 琴音は、両腕で雅史の腰をつかむとやすやすと持ち上げてしまう。雅史の体は完全に弛緩しきっているのだから、持ち上げるには琴音自身の力しか使えないはずだ。それを簡単に持ち上げてしまうのだから、琴音の力が普段通りでない事は容易にわかる。
 ぢゅる…
 濡れた部分に、熱くて固い物が押しつけられた。
「せんぱいっ…」
 ぐぐ…
「あっ…」
 ぐぐっ…ぐぐぐ…
「うっ…あっ…琴音ちゃんっ…!!」
 それは指とは比較にならないほど、大きくて熱を帯びていた。
「あっ…あああ…」
 濡れそぼった部分を、琴音の肉棒が押し広げていく。雅史は体の中に違う物が入ってきているという感覚をこの上ないほど思い知らされていた。息が詰まるような、不快と快をごちゃ混ぜにしたような、狂おしい感覚が雅史の全身を満たす。
 ずんっ。
「あうっ…」
「全部…入りました」
 雅史にもそれはわかった。体の奥が固い物で衝かれたのだ。
「あっ…」
 反射的に、雅史の体は目一杯に入ってきた肉棒を締め付けてしまう。痛みはなかったが、息苦しさに似た感覚はあった。
「動きます…ね」
 ぢゅぐっ…ずぢゅるっ!
「あっ!」
 琴音が一度腰を引いて、一気に突き出す。再び身体の奥が衝かれる。
 ぢゅぐっ…ずぢゅるっ! ぢゅっ、ずぐぅっ! ずぐぅっ、ずぐっ!
「あっ…あーっ…はぁっ…はああぁっ…琴音ちゃんっ…!」
「せ、先輩の中…あたたかくて、ぬるぬるしていて…きついです…」
「こ、琴音ちゃんっ…琴音ちゃんっ…」
 ずぐっ! ずっ!
 雅史はもう止めて欲しいというつもりで琴音の名を呼んだのだが、何度も奥底を衝かれている間に雅史の中からこみ上げるような快感が生まれてきて、止めてという言葉は喉の奥にはさまったままになる。
 ずぐっ、ずぐっ!
「あっ…ああーっ…琴音ちゃんーっ…!」
 さっき性器の一点を触られた時とも違う、全身を段々と溶かされているような甘い感覚。ごりごりと性器の中をこする肉棒の荒々しい感触にも拘わらず、それが一番深い所を激しく叩く度に果実がはじけるような快感が生まれた。
「う…うう…」
「せんぱい…私、もう出ちゃいそうです…」
 半泣きのような顔をしている雅史の顔を見つめながら、とろけきった顔で琴音が言う。
 ずっ、ずっ…
「あぅっ…あぅっ!」
 雅史は衝かれる度に、体が跳ね上げられる衝撃をそのまま感じさせるような声を出した。それでも、琴音は容赦なく動き続けてぐちょぐちょに濡れた雅史の中をえぐり続ける。
「先輩っ…でますっ!」
 ずんっ!!
「あっ!」
 雅史は一声叫んで、身を硬直させた。
 びゅっ、びゅっ、びゅっ…
「ああっ…先輩…先輩の中に…いっぱい…」
 びゅっ、びゅっ…
 熱い液体が内部に吐き出される。それに灼かれるように、雅史の快感がじわりじわりと全身を満たしていった。
「はぁっ…あ…あ…」
 琴音がゆっくりと腰を左右に振る。
 びゅ…ぴゅっ
 最後の一滴まで出そうな程の長い射出のあと、ようやく琴音は腰の動きを止めた。
「………」
 雅史の意識を、巨大な高波が満たしていく。それがひとたび通り過ぎると、雅史の頭は真っ白になって、感じられるのは快感だけになってしまった。
 ビクン、ビクン…
 膣の部分が痙攣している。それが琴音の肉棒を締め付ける快感、琴音に組み敷かれている快感、精液に膣内を満たされた快感、犯されたという快感…それが全てストレートに雅史の体を満たす。
 ビクッ…ビク…
「んぅぅんっ…んっ…先輩っ…良かったです…」
 琴音の声も、もう雅史の耳には聞こえない。
 そして、痙攣が鎮まった頃に雅史は完全に気絶してしまった。


 同じ頃、リビングでは一人になってしまった芹香がいた。
「………」
 ソファに小さく座りながら、困り顔でピーナツをつまんでいる。
 いつもの魔術師ルックは、どうやらパーティの余興のためだけの物でもないようだった。




11/7
 ぐぢゅっ、ぐぢゅっ…
「くっ…締まる…」
「あっ、あぅっ、あっ…琴音ちゃん…強すぎるよぅ…」
 美紀の体が、ぽんぽんとリズミカルに跳ねる。その半裸の肢体は、浩之の怒張によって下からぐさりと突き刺されていた。
 しかし、美紀が浩之の体に手を突いておらず、空中でふわふわと上下に移動している事を見ても、その騎乗位のピストン運動は美紀の意志によるものではない。
「だいじょうぶ、美紀ちゃんあんなに濡れていたんですから」
「で、でもっ…きゃぅぅっ…」
 確かに、美紀と浩之の結合部分から立っている派手な水音を聞くだけでも美紀がしとどに濡れていることはよくわかる。しかも、美紀の秘裂はつるんとして外からの視線に全く無防備だった。外にあふれだしてきた透明な液が、浩之にも琴音にも丸見えである。
 ちゅぽ、ちゅぽっ…
「あっ…琴音ちゃん…」
 いや、その様子を見ることが出来る位置にいる人間がもう一人いた。
「ふふ…佐藤先輩も、もう我慢しなくていいですよ」
「で、でも琴音ちゃん…」
「藤田先輩も、もういいですよね?」
「ああ…もう、俺もだな」
 じゅぐじゅぐじゅぐ…
「うわああっ…あっ、あっ、あっ…琴音ちゃーんっ…」
 浩之が答えると同時に、美紀の体はこれまで以上に激しく上下運動を開始した。
「あっ…はふっ…うああ」
 その激しい突き立ての運動に、ついに美紀も観念したようだった。自分のブラジャーをずりあげて、淡い膨らみを自らぐにぐにと揉み始める。小粒ながらツンツンに尖った蕾を、指の先で切なそうに転がし始める。
「じゃあ、佐藤先輩、覚悟しちゃってください」
 琴音はその美紀の姿を見てくす、と笑みつつ雅史に告げた。
 じゅるじゅる…ちゅぷっ…
「だ、だめだよっ、琴音ちゃん…」
「我慢したって、むだですよ…もう佐藤先輩の、ぴくぴくしてます」
「あっ…あっ」
 雅史の顔が、一気に緊張を増す。
「だ、だめぇっ…わ、私…私っ…」
 美紀が泣きそうな声を出して、背中をぎゅんと反らせる。束ねた髪が、勢い良く後ろに振れる。
 ぐいっ。
「えっ…こ、琴音ちゃんっ! 何を…」
「美紀ちゃんに、佐藤先輩のをたくさんあげてください」
「だ、だめだよっ…そんなっ…琴音ちゃんっ!」
 ちゅくちゅく…
 美紀の顔に突きつけられた雅史の肉棒を、琴音が唾液の滑りを使って軽快にしごき立てる。雅史は慌てて体を動かそうとしたが、その時には完全に琴音の呪縛のコントロールの中に入っていた。動かそうとしても、ぴくりともしない。
「あ…」
 美紀が、視界の隅に雅史の肉棒をとらえた。しかし、美紀はもはや呆然とした瞳でそれを見る事しかしない。
「あっ…ああっ…」
 びゅっ!
「きゃ…」
「くっ」
 びゅぐっ!
 浩之と雅史、二人の上げた小さな声と同時に美紀の体を二つの射出が襲った。
 びゅっ、びゅるっ、びゅびゅっ、びゅくんっ…どぴゅる…
「ふあっ…んんーっ」
 美紀の眼鏡のレンズを、雅史の放った白濁の液体がとろりと伝う。半開きになった唇に、べっとりと精液が付着する。
 そして結合部分からは、浩之が美紀の中に放った濃濁な精液が大量にこぼれだして、無毛の美紀の秘部をいやらしく彩っていた。
「あっ…ご、ごめん…僕は…」
「美紀ちゃん、佐藤先輩のと藤田先輩の、どうだった?」
 ぬちゅり…
 琴音が言うと、美紀の体が浩之のペニスから抜け出してふわーっと宙に浮く。そして、三人の視線が集まる位置でぺたんと着地する。
「あ…」
 白い物がついたままのレンズの奥の瞳が潤んでいた。
「あうぅ…すごーい…すごーいよぅ…」
「もっと欲しい?」
「う、うん…もっと…」
「じゃあ、先輩達にお願いしなくっちゃ」
「え…」
 琴音が言うと、わずかな躊躇のあとに、美紀のちょっと上目遣いの視線が舐めるように精を放った二人の雄を見つめる。そして、ブラジャーを改めてずりあげて乳房をしっかりと露出させる。
「わ、私に…もっと、たくさんかけてください…お願いです…」
 欲望に満ちた声が、二人の欲望の器官を再びたぎらせた。



10/18
「はぅぅっ…こ、琴音さんっ!」
 ちゅぷ…
 琴音ちゃんの唇がマルチのアレをくわえた。マルチは飛び上がりそうなほど体を震わせて、自分の体を自分の手で思い切り抱きしめている。
 ちゅぷぅっ…ちゅぷ
 大きさや固さを確かめるような感じで、琴音ちゃんはゆっくりと唇を前後に動かしていた。俺のとは違う形をしたマルチのアレを、どうやって舐めればいいのかチェックしているみたいだ。「本物」に比べれば少し小さいし、形も直線的で変化がない。
 ちゅううっ…
「はわっ…だ、だめですっ…そ、そんなに強くっ!」
 琴音ちゃんはマルチのアレをすっぽりと口の中に入れて、全体を強く吸った。
 ぺろっ…ぺろ
「ふああああ…あああっ…」
 そして、今度は舌を使って先っぽをこねくり回す。吸い上げる刺激よりは弱くなったためか、マルチがわずかながら安心した顔になった。
 どうやらマルチのアレはどこを刺激しても同じような快感がもたらされるタイプの物のようだ。琴音ちゃんもそれに気づいたようで、全体をくわえ込みながらまんべんなく舌を這わせ始める。
「ふっ、あっ、ふあ」
 マルチは口をだらしなく開けて、琴音ちゃんの舌が動く度に喘ぎの声を出した。
「そのままじゃイッちゃいそうだな…琴音ちゃん、俺の方にしてくれよ」
「んふっ…はい、藤田先輩」
 俺が言うと、琴音ちゃんはちゅぽっと音を立ててマルチの肉棒を解放した。
 琴音ちゃんの手は、さっきからずっと俺のアレをしごき続けている。マルチのアレをくわえながらだと言うのに、スナップを利かせて強くしごいたりさわさわと手の平だけで撫でたり、実にバリエーションが広かった。この手淫だけでも十分に出せるくらいのシロモノだったが、やはり最後は琴音ちゃんの口で出したい。
「いきますよ…?」
「ああ」
「はぁっ…はぁっ」
 琴音ちゃんの口が、透明な雫を垂らし始めている俺のアレに寄せられる。マルチのアレはやっと琴音ちゃんの口から解放されたわけだが、刺激から自由になったわけではない。琴音ちゃんはマルチのアレを自由な方の手でつかんだままぐにゅぐにゅとした軽い刺激を加え続けていた。
「んっ」
 じゅぽっ。
 勢い良く琴音ちゃんが頭を振って、俺のアレをぱくりと口にする。マルチにフェラをしている間に口の中は唾液でいっぱいになっていたようで、ぬめぬめとした温かい刺激が強烈に俺のアレを襲ってきた。
 じゅぽ、じゅぽっ…
「うん…琴音ちゃん、やっぱり上手い」
 最初からハイペースで飛ばす琴音ちゃんの頭を俺は撫でた。激しく揺れるロングヘアーをつかまえておくのは大変だったが、俺のアレに琴音ちゃんの顔を押しつけるくらいの勢いで琴音ちゃんの髪を押さえて強引に撫でる。
 琴音ちゃんの手で既に高まっていた俺が達するのは、あっという間だった。ハナから琴音ちゃんもそのつもりだったようで、一切の手加減をなしに俺のアレを舐め続ける。マルチのアレにするのとは違って、敏感な先端を中心に舌先でなめ回してくる。
 ぶぴゅっ! ぴゅっ、ぴゅるっ!
 俺は予告ナシに琴音ちゃんの口の中に射精した。
「んっ、んっ」
 出すそばから琴音ちゃんが吸い立てて、飲み込んでいくのがよくわかる。射精のタイミングは完全に読まれていたようだ。少しくらい慌てさせてみたかったが、もう琴音ちゃんは俺の快感のメカニズムを把握しきっているらしい。
「ふぅっ…」
 一通り舐め終わると、琴音ちゃんは舌なめずりをしながら顔を上げた。
「琴音ちゃん、マルチに続きをしてやってくれ」
「はい」
「ふぅっ…うう…はうぁああっ!?」
 琴音ちゃんの手淫にぴくぴく震えながらうめき声を出し続けていたマルチが、琴音ちゃんのフェラの再開に叫び声を上げる。間断なしの快感に、注意力を失っていたようだ。
「だ、だめでっ…ひああああああっ!?」
 マルチが歯をくいしばりながら腰をぎゅっと後ろに引く。
 どくんっ! どくっ、どびゅるぅっ…!
「きゃ…!」
 琴音ちゃんが片目を閉じて、驚きの声を出した。その顔に、マルチのアレから飛び出した白い液体が思いっきり掛かっていく。
「はぁぁあああっ…はあああああぁぁあああっ!」
 どくっ、どぴゅっ、びゅるっ
 マルチのアレは、延々と白い液体を吐き出して琴音ちゃんの顔を救いようのない程に汚していった。琴音ちゃんは開けていた片目も薄く閉じて、呆然と熱い液体のシャワーに身を任せている。まさかくわえた瞬間にイッてしまうとは思わなかったのだろう。しかも、マルチが逃げたために被害はよけい大きくなった。
「はぁ…ふああっ…」
「…すごい…ですね…これ…」
 マルチの放出が終わって、琴音ちゃんの第一声はそれだった。
「ほら、琴音ちゃん」
 俺は琴音ちゃんにティッシュの箱を渡してやる。いくらなんでも舐めているには時間も労力も掛かりすぎるだろう。
 琴音ちゃんはそこからティッシュを何枚も抜き取って、顔全体に掛かった液体をこそげ取っていく。とりあえず拭き終わったと言える状態になるまでには、大きなティッシュのボールが3つも出来ていた。
「マルチ、勝手に琴音ちゃんの顔にこんなに出して…これはお仕置きだよな」
「うう…すいませぇんっ…突然だったもので…」
「で、琴音ちゃんはご褒美か…琴音ちゃん、後ろからしてやるよ」
「はい、先輩」
 琴音ちゃんはにこ、と笑うと何のためらいいもなく俺の方にヒップを突き出す。スレンダーな脚の間から見える膨らみは、既にぬるぬるして濡れていた。
「琴音ちゃん、して欲しくて仕方がなかったんだろ?」
「は、はい、先輩のが欲しいです」
「よーし」
 俺はアレを琴音ちゃんの股の間から割れ目の中に侵入させる。出したばっかりだと言うのに、ちっとも勢いは衰えてなかった。
「先輩、来てください」
「琴音ちゃん…」
 ずぷっ。
 溢れるほどに濡れている所に、俺はアレを突き刺す。
「はぁ…はああっ…せんぱぁいっ…」
 ずぷ…ずぷっ。
 俺が一番奥まで入れるだけで、琴音ちゃんは鼻に掛かった声で喘いだ。髪の毛に覆われた背中がぷるぷると震えているのがわかる。
「気持ちいいか?」
「はい…先輩の、固くて奥まで当たってて…あっ、あ、あっ」
 ずぷずぷ。
 琴音ちゃんの一番反応する辺りをアレの先でごりごりとこすり上げると、琴音ちゃんの喘ぎはひときわ大きくなった。アレに絡んでくるぬるぬるの量もどんどん増えてくる。
「マルチ、琴音ちゃんの前に立って、手を後ろに組め」
 俺達の激しい結合を見て、目を丸くしていているマルチに俺は命令した。
「えっ…は、はい、浩之さん」
 戸惑った声を上げながらも、素直に俺の言葉に従う。後ろから俺に突かれている琴音ちゃんの顔の前にマルチは直立し、両手を背中の所で組ませる。
 琴音ちゃんは、何も言わずとも俺の意を理解したようだった。
 じゅぷっ。
「はわっ!? こ、琴音さんっ!!? も、もう許してくださいぃっ!」
 じゅぷ、じゅぷ…
 琴音ちゃんはマルチのアレを片手でつかまえると、そこに口づけ始める。
「今度は琴音ちゃんの口の中に出すんだぞ。出来なかったらもう一回だ」
「うっ…はっ…はいっ…浩之さんっ…くふぅぅ…!」
 マルチは見て分かるほどに後ろに組んだ手に力を入れ、目を閉じ歯を食いしばって琴音ちゃんの2回目のフェラに耐えようとしていた。恐らく、放出したあとに敏感になるのは普通のアレと同じはずだ。さっきよりもさらに強い、悪寒にも似た快感がマルチを襲っている事だろう。
 じゅぷっ。じゅぷじゅぷ。
 しかも、琴音ちゃんは俺が後ろからガンガン突いているのに一定のリズムで口と舌を動かしているようだった。さらに、俺の動きに合わせて腰をしっかり振ってくれている。その並行作業の見事さには脱帽するばかりだった。
 きゅっ…
 いや、俺のアレをコンスタントに程良い力で締め付けてくるアソコの事も考えると、三重の並行作業なのかもしれない。
 俺もそのテクニックに敬意を表して、抽送の動きを続けながら琴音ちゃんの大好きなクリトリスをこっそりと撫でてやった。
「んふっ」
 マルチのアレをくわえたまま、琴音ちゃんがくぐもった声を漏らす。
 ころころとクリトリスを転がしていると、見るからに琴音ちゃんの動きは鈍っていった。口からかすれたようなうめくような吐息を漏らしながら、俺の指とアレの攻撃に耐えるだけで精一杯になってきたようだ。
「はふっ…はぁ…」
 琴音ちゃんの舌の動きが弱まって、マルチは安心しきった声を漏らしている。俺は琴音ちゃんのクリトリスに指をあてがったまま、リモコンのように琴音ちゃんを操る事を試みた。このままだと、俺とマルチが一方的にイカされそうだったのだ。
「ふぅっ…うーっ…うー」
 効果はあったようで、琴音ちゃんはアソコをひゅくひゅく痙攣させ始める。イキそうになっている証拠だ。マルチも、琴音ちゃんのフェラの動きが鈍ったとは言え、ずっと琴音ちゃんの温かな口の中にアレを入れていると言うだけでもう十分すぎるほど高まっているに違いない。そして俺も、二度目の射精を迎えようとしていた。
「琴音ちゃんっ…!」
 俺はクリトリスから指を離し、ここぞとばかりに琴音ちゃんを突きまくる。琴音ちゃんも、最後の力を使ってマルチのアレをねぶり始めたようだった。
「あっ…はぅっ…う、うあああぁぁ〜っ!」
 マルチのかん高い声が、合図となる。
 びゅっ…びゅっ…びゅっ…
 どぴゅっ、びゅっ、びゅるぅぅっ…
 俺が琴音ちゃんの中に射精すると同時に、マルチもまた琴音ちゃんの口の中に激しく液体を吐き出した。
 ビクン、ビクンッ…
 琴音ちゃんも、エクスタシーを迎えて体をびくびくと震わせている。それでもマルチの中から出てきた液体を一滴もこぼさず、口の中で受け止めて飲み込んでいるようだ。
「んっ…ふぅ」
 最後の一滴まで絞り出してから、琴音ちゃんはマルチのアレを解放した。
「はぁぁっ…」
 マルチは琴音ちゃんの高度なフェラテクを経験した上に二回に渡って放出し、すっかり脱力してしまったようだ。ぱたん、と力無く床の上に座り込む。
「琴音ちゃん、すごいな。びっくりした」
「ふふふ…私も、三回も口でしてあげたのは初めてですね」
「そうだな。一人でそんなにしてもらうわけにもいかないもんな」
「でも、私は…一人で三回でも、四回でも欲しいですよ」
「そっか。女の子は何回でもイケるもんな」
 限界と終わりを知らない性欲に、俺は苦笑する。
「よし…じゃあ、俺は少し休憩したいからマルチの上に乗ってやれよ」
「え…」
「先輩…あとで先輩もしてくれないと嫌ですよ?」
「もちろんだ」
「あ、あの…」
 マルチは俺達の間に交わされたやり取りに、身を小さくするだけだった。



10/6
 ぴた、ぴた…
「ど…どうなんですか?」
 ぴた…ぴた。
 芹香の手に握られた、黒い吸盤のようなものが琴音の額や頬に当てられる。材質の出自はいかにもいかがわしそうだが、平凡な光沢を放っているところを見るとただのゴム製のようだ。もっとも、ロウソクの光しかない部屋の中ではそれなりに不気味な道具に見えるのは間違いない。
 琴音はそれが顔に当てられる度に目をつむったり首を動かしたり、落ち着かない様子だった。実際、あまり心地よい感触ではないだろう。しかも、浩之の勧めでこのオカルト研究会に入ってからと言うものの、琴音は芹香の魔術実験で何度かおかしな目に遭ってきた。冗談で済まされるようなものばかりだったが、突然ずぶ濡れにされたり30センチばかりの空中歩行をさせられてからひっくり返されたりと、琴音本人にとっては決して楽しいものではない。
「………」
 芹香が吸盤をポケットにしまう。そして黒いとんがり帽子を頭から取って、部屋の脇にある棚の上に置きにいった。
「終わったんですか…?」
 琴音は芹香の後ろ姿を見て、自分の額と頬を撫でながら訊く。
 ぱさ…
 芹香はマントも脱いだ。普段通りの制服姿になる。それを丁寧に畳んで棚の上に置こうとしているのを、琴音はもどかしそうに見つめていた。しかし芹香はいつまで経っても返事をしない。
「あの…」
 その時、くる、と人形のような動作で芹香が振り向く。
 琴音が黙ると、芹香は身をかがめて上履きを脱ぎ始めた。
「??」
 上履きにとどまらず、白のソックスも脱いでしまう。琴音は芹香が何をしようとしているのか予想がつかず、不思議そうな目でそれを見ていた。
 ぴた、ぴた。
 そして、芹香はさっき吸盤を押し当てていた時のような音を立てながら、ワックスの掛かった床の上を歩み寄る。琴音は何とはなしに嫌な予感を覚えたが、状況が分からない以上どうする事もできなかった。
「あの、さっき飲んだ種…もうこれでいいんですよね」
 おずおず、と琴音は問う。芹香は、嘘をつくようなタイプではない。
「………、……、……」
「え…!? あの…先輩? なんで呪文…」
 芹香が不意に目を閉じてかすかな声で詠唱を始め、琴音は慌てふためく。
「な、なんの呪文なんですかっ…教えてくれないと…」
「………」
 琴音が芹香の手をつかもうとした所で、芹香の詠唱は終わってしまった。琴音は不安そうな顔で自分の身体をきょろきょろと見回す。見えるところには、表面的な変化が起こった様子はない。
 しかし…
「えっ…え…う、うそっ…これ…な、なんですかっ…これは…」
 びくり、と琴音が身体を震わせる。恐怖と、それから身体の中に生まれた奇妙な感覚のせいだ。
「い、い…いやっ…」
 一瞬の躊躇のあと、琴音はがばっと両手で自分のスカートを覆い隠す。というより、その最も中心の部分、ショーツに包まれている辺りだ。
 ぐ…ぐぐ…ぐぐぐっ
「きゃ、きゃあっ! う、うそっ…先輩…や、やめてくださいっ! 止めてくださいっ!!」
 ぐぐぐ…ぐぐ…しゅぽんっ!
 何かが狭い所から飛び出したような音がする。その瞬間、琴音は顔を蒼白にした。
「な、なんでっ…こんなの…」
 琴音は凍り付いた表情で食い入るように自分の手の押さえている部分を見つめている。そこは、両手で押さえきれないほどに大きく膨らんでいた。テントのように、一点を頂点として生地が張りつめている。
「………」
「そ、そんな」
 芹香が何かを短く言うと、琴音は悲痛な声を出した。
「…………」
「だ、だったら、最初から言ってくれるのが…」
 琴音は沈んだ声で言う。嘘をつかないタイプだが、説明が足りない事はある。故意にしろ、そうではないにしろ。
「…こっ。こんなのってひどすぎます…」
 かなりの長い沈黙の後、琴音は泣きそうになりながらも自らスカートに手をかけて、それを下ろしていく。その下に見える薄いピンクのショーツは、はち切れんばかりの膨らみを見せていた。
 芹香も全く同じようにスカートを下ろすが、もちろん芹香の恥丘はいたって普通の膨らみしか見せていない。ショーツも、何事もないかのように脱いでしまう。
「うっ…いや…こんなの…」
 だが琴音はそうもいかない。スカートを脱いだ時に比べれば3倍以上の時間をかけて、やっとショーツを下ろす。その下から、窮屈そうに押し込められていた巨大な肉棒が一気に飛び出した。固く勃起して熱を帯びたそれは、琴音の華奢な肉体と比べればあまりに不釣り合いだ。
 重そうに伸びているそれを引きつったまなざしで見ながら、琴音は床の上に身を横たえる。芹香はその横に回ると、琴音の身体とは逆向きになって覆いかぶさった。
「そ、そんなにじっと見ないでくださいっ…先輩…」
 視界が芹香の身体によってふさがれる。自分で見つめているのも恥ずかしいが、自分が見えないのに他人がじっくりと見ているというのはもっと恥ずかしい。しかも、芹香の目は覆いかぶさろうとしている時に不自然なほどうっとりとしていた。そんな目で異形の肉棒を観察されているのかと思うと、琴音はいたたまれなくなる。
 ちゅるん…
「ひやっ…」
 琴音はピクッ…と身体をひくつかせる。芹香の舌が、肉棒の先の部分を回すように舐めたのだ。
 ちゅるん……ちゅるん……
「う…あ…」
 味見をするように何度も舐められると、未知の快感がジンジンと伝わってきた。微細な一点をこねくり回されるのではなく、ある程度の大きさを持った部分を舌でこねられるというのは恐怖感に似た快感だった。相手に無防備な部分を晒しているという思いを強くしてしまう。自分が隠している所に相手が中へ中へと侵入してくるのなら諦めもつくが、今の状況はまるで触って欲しいと自分から敏感な部分を露出しているようなものだった。
 つつーっ…じゅる。
「っ…ふぅぅぅぅっ…!」
 芹香は口で思い切り肉棒を覆うことはせず、舌先を使って肉棒の一点一点を移動していくような刺激を加えてくる。琴音はいたぶられるような刺激に、背筋を通る快感をどんどん高鳴らせてしまった。そうすると、身体の中から肉棒に何かが流れ込んでいくような気がしてくる。
 初めの内は糸のように細い流れだったのが、次第に鉛筆くらいの太さになり、それと共に琴音は息苦しさのようなものを覚えていった。何かが吸い取られていくような気分だ。
「せ、先輩…くるしい…ですっ…」
「……………」
「えっ…えぇっ…」
 芹香が何かを告げると、琴音ははぁはぁと呼吸を乱しながら、目の前を呆然と見つめる。そこには、布地に覆われていない芹香のヒップがあった。
「はぁっ…はぁっ…んっ…」
 ちゅぷ…
 琴音はそこに顔を近づけて、芹香の恥丘に唇を押しつける。そして、ぐりぐりと中の粘膜の辺りまで口を押し進めると、
 ちゅうっ…じゅる…じゅるる…
 苦しげな顔をしながらそこを吸った。すぐに芹香の中からは透明な蜜がしたたって琴音の乾いた口の中を潤していく。その酸味がかった香りが口腔を満たしていくほどに、琴音は段々と息苦しさがなくなってくるのを感じていた。
 じゅる…じゅるっじゅっ…じゅるる…
 酸素ボンベでも求めているかのように、琴音は一生懸命になって芹香の蜜を吸う。それだけではなく、ふと思いついたかのように指を秘部に這い込ませると芹香の勃起した突起を撫でる。
「…………」
 琴音が生やされた肉棒とは比べ物にならないほど小さな部分だが、快感を産むという意味では勝るとも劣らない部分だ。芹香は凝縮された官能に腰をくねらせながら、ますます琴音の肉棒を大胆に舐め立てる。汗でぺったりと何本かの髪を額に張りつけながら、真っ赤な舌を操る芹香の顔は恍惚としたものになってきていた。
 じゅる、じゅる。
 琴音自身の努力にもよってますますあふれ返る芹香の蜜液に、琴音は息苦しさをほとんど感じなくなってきていた。何かが肉棒に流れ込む感覚は消えていなかったが、それが今度は甘美な快感に感じられてくる。琴音は肉棒に何かが蓄積されつつあるのを感じつつ、夢中になってべろべろと舌を動かした。
「くぅ…ううっ…うううっ…先輩…私…なんだかっ…」
 舌の動きは琴音も慣れたものだったが、普段している行為により近いぶん芹香の方が有利だった。芹香は顔色ひとつ変えずにフェラチオを続けているのに、琴音は声を出して最期を訴える。
 ちゅぽ、ちゅぽ、ちゅぽ。
 すると、芹香は琴音の肉棒をぱっくりとくわえこんで上下に顔を振った。生き物のような動きを見せる口腔に擦られ、琴音は瞬間的に追いつめられてしまう。
「い、いやああああ…私…私っ」
 琴音は芹香の秘部を舐める事を放棄し、快感に身を任せてしまった。
 …びゅびゅびゅっ! びゅっ、びゅく、びゅくぅっ!
 激しい勢いで脈動した肉棒からほとばしった白濁の液体。芹香はそれを、深々と肉棒をくわえこむ事で一滴残らず受け止めた。そして、嬉しそうに、本当に嬉しそうにそれを飲み込んでいった。
「はぁ…はぁっ…はぁぁっ…はぁ…」
 激しい運動の後のように琴音は放心状態になっている。
 ちゅうっ、ちゅうう…
 段々と縮み、琴音の身体の中に消えていきそうになる肉棒を芹香は追うようにして残った液体を求めようとした。
「う…うう…うっ」
 琴音は放出後の敏感な部分を刺激され、うめくような声を出す。
 そんな悲惨な絶頂でも、琴音に救いがあるとすれば、最近浩之を感じることができずに欲求不満になっていたということだった。芹香もまた、浩之を口の中に感じなくなって久しかった。
「………」
「はぁ…」
 お互いの思惑を感じているのかいないのか、二人は逆さまに絡み合ったまましばし動かなかった。



10/2
「いいじゃないですか…」
「だって…駄目なのは琴音ちゃんの方じゃないのか?」
「私はいいですよ」
 琴音が浩之の身体に完全に肩をあずけ、それから浩之の前に回り込むように身を転がす。そして浩之の胸に顔をうずめると、そのままだらしなく浩之のシャツの上を滑り落ちていった。
「おいおい…琴音ちゃん」
 仔猫がじゃれているようなその姿に、浩之は呆れた声を出す。しかし琴音の表情はあどけない少女の物とは言い難かった。
「んん…」
 ジーンズの辺りで滑り落ちるのが止まると、物欲しそうな顔をしながら浩之のズボンに顔をすりつける。そうして額を何度も押しつける間に、琴音の顔にはジーンズの生地を押し上げる固いものが触れるようになってきた。
「ほら…先輩も」
「でもなぁ…」
 ちろっ…ちろっ。
 琴音は舌をちょっと出すと、ジーンズの上から隆起の頂点をくすぐるように舐める。それほど強い刺激ではないが、段々ジーンズが濃い色に変色してくるのに従って浩之のペニスの先端にもしっとりとした唾液の感触が伝わるようになってきた。
「ちゃんと入れてもらわなくてもいいです。先輩のにしてあげるだけでも、私満足できると思いますから…」
「…そりゃ、舐めるだけでいいってのなら俺は全然構わないけど、琴音ちゃんはそれでいいのか?」
「ええ」
 琴音はそう言うと、浩之の次の言葉も待たずにジーンズのホックを外し、ジッパーをもどかしそうに下ろした。
「あは…」
 露骨な隆起を示しているブルーのトランクスの上から、肉棒を幾度か手の平で包み込むように撫でる。それによってさらに勃起を強くした肉棒を、琴音はトランクスを下にべろんと引き下ろして露わにした。
「こんなになっているのに…藤田先輩ったら、もう」
 琴音は子供のような手つきで肉棒を撫でたり指先で叩いたりする。のぞき込むような位置にある頭からは髪の毛が垂れて、浩之の腹部からペニスにかけてをまんべんなく細やかにタッチしていた。好奇心のままの無邪気な行動にも見えるが、あるいは計画的なものかもしれない。
「あーん…」
 自分でそう言いながら、琴音は口を広げる。その柔らかい粘膜のホールの中に、浩之の肉棒を迎え入れていく。
「ん…んぅんぅ…んむぅ…」
 ぱっくりと根元までくわえこんだペニスを、口腔の粘膜と舌でぐにぐにとねぶる。それを10秒ほど続けると、琴音はちゅぅぅぅぅっと音を立てて唇で肉棒をしごき上げた。
 そこまでがウォーミングアップだったようで、琴音は先端だけをくわえたまま手をペニスに添える。唾液でねとねとしている表面をしなやかな指で大切そうに撫でてから、指を筒のような形にしてペニスを包んだ。うさぎのように白く愛らしい指が、黒光りする肉棒にぴったりとなじむ。
 くちゅくちゅ…
「ん…んん」
 その筒状の部分で、琴音は肉棒を上下にしごく。スピードに乗った速い動きだ。固くて熱い器官の隆起をさらに高めようとしているかのように、琴音は勢い良く肉棒をしごき続けた。口の方は先っぽの部分をくわえて、舌と唇の柔らかい部分を使いながらぐにゅぐにゅと揉むように刺激した。
 粘っこく敏感な部分を責める口の動きと、速く激しく全体を刺激する指の動きは効果的に浩之の快感を高めていく。
「…あ…なんだ、琴音ちゃんも気持ちよくなれるってそういう意味か?」
「…え、これは、あの…」
 突然の浩之の声に、琴音が口を止めてしどろもどろに答える。
「そりゃそっか、自分のもしないと気持ちよくはなんないよな…」
 浩之の目は、琴音のスカートの方に向いていた。
 琴音の左の方の手が、いつのまにかスカートの中にもぐりこんでいる。
「い、いえ…藤田先輩のをしているだけでも…藤田先輩の、たくましいにおいが好きなんです…」
 そう言って琴音は右手を上下にぐにゅぐにゅと動かしたが、左手の方はスカートの中から出てきていなかった。
「いいって…一週間我慢すれば、またできるんだから。無理しなくても」
「え、え…」
 琴音は右手を動かしながら、困惑した表情になる。物欲しそうな表情は、どう見ても始める前より強くなっていた。
「じゃあ…」
「ま、待ってくださいっ…」
 浩之が腰を引こうとすると、琴音がペニスを追いかけながらストップをかける。
「お願いです、SEXしてください…先輩」
 琴音は雌猫のような直接表現で浩之に求める。
「うーん…」
「今日、一ヶ月で一番安全な日なんですよ? 中でも大丈夫です」
「…あー、いや、それはどっちにしてもきちんとつけてしないとヤバそうだけど」
「先輩…」
 琴音がどことなく悲しそうに言う。
「……わかったよ、してもいい」
「本当ですか? 先輩っ…」
 ばっと顔を上げて琴音が満面の笑みを浮かべる。
「いいけどさ…いつから、琴音ちゃんそんなにエッチになったんだ?」
「藤田先輩のせいですよっ…」

「で…いつもの通りで大丈夫なのか?」
「それはそうだと思いますよ」
 浩之は裸の琴音の上にまたがりながら、躊躇した表情を見せている。
「こういう経験は初めてだからなぁ…」
「別に身体がおかしくなっているわけじゃないんですから…それに、先輩ゴムつけたじゃないですか」
「そうだけどさ」
「私はいいって言ったのに…」
「用心に越したこたないだろ」
 と言って、浩之は皮膜に包まれたペニスを琴音の秘部に近づけた。
「じゃあ…」
「はい」
 浩之はややおぼつかない手つきで、琴音の秘裂を広げる。
「…と…」
 壊れ物でも扱っているような慎重さで浩之はペニスを秘裂の中に侵入させ、膣孔にペニスの先端を押し当てた。
 ぐぢゅぅ…
 粘液質の音がする。
「ふぅ…」
 浩之は汗をぬぐった。別に琴音の中を見るのに慣れていないわけでもないし、SEXをするのに慣れていないわけでもない。
 ただ、今の粘っこい音はいつもの慣れている音と微妙に違っていた。
 ぐぢゅる…
「あっ…ふぁぁ…」
 浩之がペニスを押し込むと、琴音がいつもと同じ満足げな嬌声を上げる。
 ぐぢゅ…ぐぢゅる
 しかし、ペニスにまとわりつく粘液の感触と摩擦の時の音がだいぶねっとりと重い物になっていた。浩之はすーっと歯の間から息を吸い込みつつ、ペニスを最後まで挿入する。
「あっ!! …くっ…いいですっ…先輩の…」
「そっか…」
 上気した熱い息を吐き出している琴音と、緊張した面持ちで汗をぬぐっている浩之の間には微妙なずれがあった。
 ぐぢゅ、ぐぢゅ…
 それを振り払おうとするかのように、浩之はピストン運動を開始する。
「あっあっ…ああーっ…お、奥まで来ます…!」
「くっ…っつ…っと…」
 何も考えずに腰をよじらせて快感に悶える琴音に対し、浩之は危なっかしい声を出しながら辛うじて一定のリズムを維持していた。腰を突き出す度に、浩之が神経をとがらせるのがよくわかる。短かったとは言え琴音の濃厚なフェラチオでペニスは敏感になっていたが、それがないならば気を使うばかりでセックスを楽しんでいる場合ではなかったろう。
 ぎゅ…ぎゅうう
「ああっ…すごい…もっと…もっとください…」
 琴音のヴァギナは、いつもと全く同じ力でペニスを絞るように締める。中まで吸い込まれてしまいそうな勢いは快感だったが、今の浩之にとってはそれ以上にリズムを乱されるのが怖かった。何とかぎりぎりの所でタイミングを取りながら、できるだけ静かに腰を動かして一番奥に差し込む時だけ全力で叩きつける。
「ううっ…ふあーっ!」
 その強烈な叩きつけに、琴音は満足しているようだった。弱々しく潤んだ瞳も、切なそうな呼吸も琴音が快感を感じている時の特徴だ。浩之は琴音のオーガズムを見越しながら、ぐいぐいと腰を動かす。いつもならこの辺りで腰の動きを速くしたり秘核をマッサージしてやったりする所だが、そういう余裕は今回はなかった。浩之は着実に腰を動かし、琴音の快感がこらえきれないほど膨らんでくるのを待つ。
 ぐぢゅ…ぐぢゅ
「ああっ…う…ああ…」
 琴音が目を閉じ、喉を反らせて腰を揺さぶるように振った。そして泣き出しそうな喘ぎ声を出し始める。もうそろそろ、近づいてきたらしい。
 浩之は自分のペニスに神経を集中させて、琴音の締め付けてくる快感を感じるように努めた。閉じていたバルブを開いたように快感が膨れ上がって、浩之の射精感に火がつく。
「せ、せんぱあいっ…もう…私…気持ちよすぎますっ…」
「俺も…いい」
「い、いやあっ…いいっ…い、いいっ…先輩のが…あそこに入ってて…おっきくてあついっ…!」
 ほとんど泣き声になりながら、琴音は恥ずかしい言葉を吐く。そして両脚を浩之の腰の後ろに回して、浩之の身体を挟み込んでしまった。浩之の身体を逃さないという欲情があふれんばかりの姿勢である。
「琴音ちゃんの中も気持ちいい」
 浩之はペニスを深々と突き刺すと、小刻みに震えるようにして琴音の中を突く。
「はぁぁぁっ! いやっ…私、イッちゃう…イキますっ…!」
 琴音は口を大きく開けて、高い叫び声を出した。細い腰が、ペニスを求めて淫らにがくがくと動かされる。浩之の腰に回された脚が、ますます強く浩之の身体を押さえつける。
「琴音ちゃん…!」
 浩之はもう一つのバルブを解放して、快感の奔流に身を委ねた。
「いやああっ!!」
 びく…!
 琴音が震え上がるように全身を硬くして、浩之のペニスを締める。
「うあっ…」
 そしてがくんと崩れ落ちると、琴音の膣内はひくひくと痙攣して浩之のペニスを刺激した。
 びゅくん…びゅく、びゅく…
 それがとどめとなり、浩之もゴムの中に白濁した液をほとばしらせる。
「う…うう…」
 琴音は目を閉じたまま、苦悶しているようなうめき声を出していた。だがしばらくすると段々と呼吸が安らかになる、
「んあっ…はぁ…すごく…よかったです…先輩…」
 ぱちっと開いた目は、悦びに満ちて浩之を見つめた。
「俺も、良かったかな…」
「ほら…やっぱりしてよかったじゃないですか」
「まぁな」
 浩之は苦笑する。赤黒くなった結合部分に気を使っていたぶん、出したときに解放感がすごかったのだとはとても言えない。
「でも、こういう時って不機嫌になったり何もしたくなくなったりするんじゃないのか?」
「うーん…先輩だからいいんです」
「そっか…」
 浩之は、恋人のからっとした笑顔に複雑な笑みを返した。



9/14
「…あ」
 顔をベッドにうずめたまま、琴音がこもり気味の声を漏らす。
「前、向いてくれよ」
「でも」
 琴音は枕の上に顔を乗せた状態で、うつぶせになっていた。長い髪が背中に流れて、幾筋かはベッドの上にこぼれている。
 その横に座っていた浩之は、ベッドと身体の隙間から琴音の胸に手を差し入れた。
「ああ…」
 琴音がまた声を漏らす。ベッドの上に押しつけられていても、乳房のサイズが決して小さくはない事はわかった。琴音の身長を考えれば、むしろ大きめと言えるかもしれない。
 そこを、浩之の手が探るようにまさぐる。もちろん大胆な動きはできなかったが、悪戯するような触れたり離したりのバランスと真っ暗な視界が琴音の興奮を少しずつ煽る。それは、枕に吸い込まれていく琴音の吐息が段々と大きくなってくる様子を見れば明らかだった。
「なんでだ?前は見せてくれたのに」
「あの時は、緊張していたせいでかえって何も考えられませんでしたから…」
 琴音がつぶやくように言う。
「そうなのか?琴音ちゃん、最初から積極的だったから全然緊張してないのかと思ったぜ」
「そ、そんな風に見えましたか?」
「うん。俺もちょっとびっくりした」
「………」
 琴音はぎゅぅと顔を枕に押しつけてしまった。というより、身体全体をベッドに押しつけているように見える。
「いや、別にそんなに気にしないでいいって」
 浩之は、琴音の胸とシーツの間に挟み込まれた手を抜きながら苦笑した。
「わ、私、そんなエッチとかじゃないんです」
「別にそんな事思ってないから、気にしないでいいんだよ」
「でも。…でも」
 琴音が頭だけを少し動かし、わずかに振り向いて浩之を見る。
「このままじゃなんもできないだろ?」
「それは…」
 少しだけ琴音の力がゆるんだ。その隙に、浩之は再び手を胸の下に滑り込ませる。
「起こすぜ」
「藤田先輩…」
 琴音は手をこぶしに握って身を縮めたが、ゆっくりと身体を仰向けに戻される動きに抵抗する事はなかった。
 ベッドの上にさらけ出した身体を、一瞬隠そうとして、しかし手が止まる。琴音は動きかけた手をおずおずと身体の両側に持って行った。そして両脚を固く閉じたまま、浩之の事を焦点のぼやけた目で見る。
「ほら、綺麗だから大丈夫」
「………」
 その言葉に琴音は瞳をわずかに揺らすが、それ以上の反応を見せる事はなかった。
「落ち着いてくれよ」
 浩之はそう言いながら、固く密着している琴音の内股の部分に指を伸ばす。
 はっきりとわかるほどに琴音は身を緊張させたが、浩之はゆるゆると脚の合わさったラインに沿って上下に指を動かした。初めの内こそ無反応だったものの、ずっとやっている間に琴音の脚に入っていた力が抜けてくる。指が脚と脚の間に入りそうになってきたのを見計らって、浩之は指を動かす位置を段々上に動かしていった。
「っ」
 秘裂の下端に触れた瞬間は琴音もぴくりと身体を震わせたが、そこまでに十分愛撫をしていたせいか過剰な反応はしない。浩之はそのまま上下の移動のラインを琴音の秘裂に合わせていった。ヘアをかきわけるようにして、琴音の合わせ目をほぐすように撫でていく。
 やがて浩之が指を秘裂の中にうずめていっても、琴音は自然に受け入れていた。はぁはぁと息を荒くして、ぼんやり宙を見据えている。
 …ちゅぱっ。
 浩之が一度指を唾液で濡らす。そして粘膜の辺りまで指を達させても、琴音はそのまま受け入れた。
 指の向かった先は琴音の入り口の部分、まだ慣れていないはずの小さい肉孔だ。放射状に広げるような愛撫を展開させたり、指の先をほんの少しだけ入れてみたりする。決してムリはしていなかったが、それほど慎重な動きというわけでもなかった。
(…あ)
 そうして数十秒も経ったろうか。琴音の入り口から、透明なものがにじみ出てきた。初体験でショーツをぐしょぐしょにしてしまった琴音のことだから、驚くほどの事ではない。しかし、琴音が自分の身体の変化に気づいていないように見えるのはちょっとした不思議さがあった。
 浩之はあえて何も言わず、液体にあまり触れないような愛撫を繰り返しながら片手だけでトランクスを下ろす。だいぶ注意力が下がってきているのか、琴音はそれに気づいていないようだった。
 そしてトランクスを足の先から振り払ってしまうと、浩之は素早く自らの肉棒を琴音の秘裂に近づけていく。
「…あっ?」
 琴音が気づいて声を上げたときには、浩之の肉棒はぴたりと琴音の入り口にあてがわれていた。その瞬間、ちゅく、と小さな水音が立つ。
 …じゅく…ぐちゅ。
 それ以上の反応を返す前に、浩之は自分の腰を押し出していた。三回目の琴音の中はかなり柔軟に広がって浩之を受け入れていく。
「私…」
「琴音ちゃん」
 浩之はほんの少しだけ微笑気味の顔で言った。琴音がどう取るかはわからない。何となくそうしただけだ。
 ぐっ。
 浩之の肉棒が完全に埋まると、琴音が少しだけ顔をしかめた。まだまだ琴音の中には狭さもあるし、異物感への慣れも小さいのだろう。しかし、潤滑の液は既に十分で、琴音に不必要な刺激を与える事はほとんどなかった。
 ちゅく…ぢゅっ。ちゅく…ぢゅっ。
 浩之は多少余裕を持たせたペースで琴音の中に抽送を開始する。
「ああ…」
 琴音がため息のような声を出した。苦痛を感じさせる声ではない。もちろん乱れきった声というわけではにが、どことなく満足感を感じさせる声だった。
「琴音ちゃん、気持ちいいか?」
「その…」
「こんな事で嘘つかなくていいって。正直に言ってくれた方が俺も嬉しいし、感じているならもっと嬉しい」
「…その…気持ち…いいです」
 浩之の促しに、琴音が頬を染めながら言う。
「そっか。じゃあ、琴音ちゃんの方でも腰動かせる?」
「こ…こうですか?」
 ぎごちなくだが、琴音が腰を前後にスライドさせ始める。偶然か故意かそれはちょうど浩之の抽送の動きとタイミングが合っていて、浩之が腰を突き出すと同時に琴音も腰を突き出し、深々と琴音の奥に刺激を与える形になった。
「あ…あ」
 次第に琴音が上げる声の感覚が短くなり、腰の動かし方も積極的になってくる。それは浩之にも絶妙な刺激を与えていった。腰を動かし始めたせいか、中の締め付けのリズムも合ってきて、ぎゅっぎゅっと浩之の肉棒が中まで突き刺さった瞬間に最も強い刺激が返ってくる。
「こ…琴音ちゃん」
「藤田…せんぱいっ」
 琴音は浮かされたように言った。
「こ、こんな私でも嫌いにならないでくださいね…こんな…」
「そんなわけないだろ。俺はどうなっても琴音ちゃんが好きだ」
「う…嬉しいです」
 琴音が締め付けをひときわ強くする。同時に琴音の脚が伸びて、浩之の腰をしっかりと挟み込んでしまった。
 思わず可笑しくなりそうになりつつも、浩之は最後の瞬間に向けてストロークにスパートをかけていく。
「あっ…あっ、藤田…先輩!」
「琴音ちゃん…俺はそろそろだけど」
「わ。私も、私もっ…です!」
 琴音はばさっ、ばさっと髪を乱しながら叫んだ。腰も無我夢中で前後に動かして、結合部分の隙間から半透明の液体がにじんでしまっている。
「よし…琴音ちゃん」
 浩之は全力を込めて琴音の奥底を突き続ける。ひくっひくっと琴音の中が痙攣し始めるのがわかった。もう来ているのだ。
 じゅくっ…ぐぢゅっ!
「あ、あああーっ、あああああーっ!!」
 そして、琴音は絶叫に近い声を上げながら、あえなく絶頂してしまった。
 びゅっ…びゅく、びゅく。
 同時に浩之も達し、琴音の腰を抱きかかえながら激しく琴音の中に放出していった。

「お邪魔…しました」
 琴音がちょっと顔を伏せながら言う。
「ああ。また来てくれよ」
「ええ…あの」
「なに?」
「私…その…エッチですか?」
「どうだろーな。敏感なのは間違いないよな」
「そ、そういうのは…藤田先輩は」
「もちろん、大好きだぜ。琴音ちゃんだから、ってのが一番の理由だけどな」
 浩之は臆面もなく言い切った。
「先輩…」
 琴音は靴を履こうとしていた状態から振り向いて、両手を身体の前で合わせる。そして、そのまま目を閉じた。
「…ん」
 浩之は軽く琴音の腰を抱き寄せ、額にキスをする。それから琴音の頭を人差し指でこつんとこづいて、もう一度キスをした。


8/22
「気持ちいい風ですね…」
「…そうだね」
 少しの間を置いてから、あかりは答えた。
「これくらい涼しくなってくると、過ごしやすくなりますよね」
「そうだね」
 また相槌を打つ。あかりはちらっと琴音の横顔をうかがったが、琴音の方は正面を向いたままだった。割と広い公園、家族連れや子供達がいる方をながめている二人の高校生。仲良さそうにしているならともかく、多少距離を置いている二人の様子は平和そうな公園から浮いているようにも見えた。
 そして距離を置いているというのは、あかりと琴音の関係にとって比喩的にも実際的にも当てはまる表現である。
「えっと…」
 数十センチの距離を埋めるべきか埋めないべきか、あかりは迷っているようだった。琴音の方は世間話をあかりに振ったきり、黙りこくって何も言おうとしない。
 さらに、琴音は全くの無表情だった。
「あの、姫川さん?」
「………」
 あかりが話しかけても、琴音は反応しない。先輩を自分から呼び寄せ、世間話を一方的にしてからに無視を決め込むというのはどう考えても失礼な話だったが、あかりはそんな事で怒るような人間ではなかった。むしろ、この状況にどう対処すべきかを一生懸命に考えてしまう。
「なんの用で…私を呼んだの?」
「………」
 琴音が首だけを横に向けて、ちらとあかりに一瞥をくれる。
「あ、あの…何か、私姫川さんに悪いことしたかな」
「…神岸先輩」
「な…なに?」
 琴音が発する威圧感が増したような気がした。とても一年下の少女とは思えない。あるいは、あかりが人になじみすぎる外見と性格でありすぎるせいかもしれないが。
 …きゅ。
 膝の上に置かれていた琴音の手の片方が、握り拳の形に変わる。
 びっ!
「…え?」
 あかりは突然何かの破ける音が生まれたのを聞いた。同時に、身体に軽い衝撃が走ったのも感じられた。
 それがどこから聞こえてきた音なのか、どこに走った衝撃なのか、あかりはすぐには飲み込めなかった。あかりの視界の中では何も破けていなかったし、何もぶつかってきていなかったのだ。視覚情報と身体感覚の混乱によって、あかりは情報を整理するまでかなりの時間を必要とした。
「え?え?えっ?」
「破けています。ちょっとじゃありません。思いっきり破きました」
「ど、どういうこと?」
「そのままの意味です…」
 琴音は視線を動かさずにいた。一方のあかりはさらに混乱を深めている。
 衝撃は、あかりのスカートの中、ベンチに座っている状態で触れる事ができるはずもない場所、あかりの脚の付け根の辺りに走っていたのだ。そして、破けたのがそこということは…何が破けたのか、聞くまでもない。
「ど、どうやって…?」
「それを知る必要はないと思います」
「ひ、姫川さん…」
 何故、と聞く前に手段を聞くあかりは、緊張感に欠けすぎていたかもしれない。しかし琴音のぴしりとした声は、ただならぬ事態であるという事をあかりに自覚させる。
「見えもしない所を破けるということは、今スカートをまくり上げてしまう事も可能だということです。神岸先輩の手や足を押さえつけて動かないようにさせる事もできます。嘘だと思うなら試しますけれど…どうします?」
「お、落ち着いてっ…わ、私に分かるように、事情を話してっ」
 あかりは動転した。琴音の手をつかんで、必死に話しかける。
「事情…」
 びっ!
「きゃっ!」
「事情、ですか?神岸先輩」
「姫川さんっ…何も言われずにこんな事されても、私わからないよ…」
 今度は、あかりもショーツの生地が切り裂かれる感覚がわかった。もう生地はぼろぼろにされていることだろう。
「本気で…言っているんですか…」
「だ、だってわからないものっ…」
「…藤田先輩の家」
「え」
「あんな遅く…まだあの家には、藤田先輩しかいないはずです」
「い、いつの話?」
「先週の木曜日です」
「あ…あの日は、浩之ちゃんにご飯作りに行ってあげて」
「…!」
 琴音が殺気だった目であかりをにらみつける。
「だ、だって…電話で、浩之ちゃんが作って欲しいって言ったからっ…」
「その前に、神岸先輩が作ってあげるって言ったんじゃないですか?」
「で、でも…前は結構作ってあげていたし…そういうつもりで言ったら、浩之ちゃんが喜んでくれたから」
 いつの間にか、琴音は両手を握り拳にしていた。しかも、それを小刻みに震わせているようだ。
「そんな口実を作って、藤田先輩と…いやらしいこと」
「し、してないよっ!そんなこと!絶対にっ」
「あの日、11時くらいまで神岸先輩は藤田先輩の家から出てきませんでした」
「二人で、テレビ見ていただけだよっ…」
 あかりは怯えていた。まさか琴音があかりの事をつけていたなどとは思っていなかったのだ。しかも、夜に数時間も家の近くで待ち伏せしている執念。
「ひ、姫川さんにしてみれば嫌なことだったかもしれないけど…まさか、見ているとは思っていなかったし…」
「内緒にすれば全部いいってつもりなんですか?」
「そ、そうじゃなくてっ!ただ…」
「もういいです。聞きたくありません」
「そんなこと言わないで…姫川さん、誤解してるっ」
「私は、神岸先輩が二度と藤田先輩を誘惑したりしないようにするだけです」
「誘惑なんて…そんなこと」
 ぐにっ。
「えっ」
 ぐにぐにっ。ぐに…
「な、何してるのっ?姫川さん!」
「わかりませんか?」
 ぐにぐに。
「お、おかしいよっ…」
「私は、いつでも、かなり離れた所からでもこうすることができます。たとえそれが藤田先輩の前でも、授業中でも。でもはた目には神岸先輩が勝手におかしくなっているようにしか見えないでしょうね」
「や、やめて…姫川さん」
「やめる?そんなことしませんよ。今日は神岸さんにたっぷりとこれを味わってもらうために来て頂いたんですから」
「正気になってっ…姫川さん、普通じゃない…」
「私は、こんな力を持っている時から普通じゃないです」
「そう言う意味じゃないよ…私、姫川さんがそういう力を持っていても普通の女の子だって思うし…だから、変なことしない…だ、だめっ!そこはっ!」
「ここが弱いんですか」
「やめて、やめて…」
 あくまで、ささやくような小さな声のやり取りである。大声を出せば、すぐに公園の中の人間に注意を向けられてしまうのは間違いない。
 だから、あかりは次第に強くなる刺激にも、身体を動かすことすらせずに耐えなくてはならなかった。しかも一点のみの刺激ではない。いくつもの場所を同時に刺激されているのだ。
「藤田先輩に触られた時はどうでしたか?」
「だからっ…していないよぅっ…」
「それとも、いやらしい事を考えながら自分で…?」
「してないっ…」
「強情ですね。こんなにピンピンにして、固くしているのに」
「や、やめて…変になっちゃう」
 一際強くなった刺激。あかりは苦しげに訴えた。
「もう濡れているんじゃないですか?今スカートをまくったら、すごいものが見えるでしょうね」
「やめてっ!」
 あかりが鋭い声で言った。わずかながらも液体が染みだしているのは、わかっていたからだ。
「も、もうこんなの…」
「あっ…藤田先輩っ」
 …?
 唐突に琴音が叫ぶ。これまでのドロドロした行為とは無縁の可愛い声だった。
「よっ、琴音ちゃん。…あれ…なんであかりまでいるんだ?」
「たまたま会っちゃったから、少しお話していたんです。ね、神岸先輩?」
「え!?う、うん…そうなの」
 顔を上げてみると、確かにそこにいたのは浩之だった。琴音はぴょこんとベンチから立ち上がると、浩之の手を握ってしなだれかかる。
「藤田先輩、どこに行きましょうか?」
「そうだなぁ…あ、あかりも一緒に来るのか?」
「え、あの、私は…」
 ぐりぐりぐりっ。
「っくぅっ…」
「あかりは?」
「わ、わた、私はっ、ちょっと用事があるから、行けないと思うの。姫川さんと浩之ちゃんだけで行くといいよっ」
「そっか。じゃあ琴音ちゃん行くか?」
「はいっ。久しぶりのデートですねっ…」
「大げさだなー…たかだか2週間だろ」
「2週間もですよ…最近藤田先輩冷たいです」
「………」
 あかりはぐったりと顔を伏せたまま、二人が立ち去るのを待っていた。
 身体の疼きや羞恥心といったものもある。しかし何より、怖かったのだ。



7/31
(Dailyって、最初はこういうのを書いていく場にしようと思っていた気もするなぁ…物足りないデスカ?)
「ふぅ…」
 琴音は穏やかに息を吐き出した。
 うつぶせの体勢で、枕に横顔を押しつけている。まだ完全には乾ききっていない髪の毛が、枕を湿らせていた。服は上下ともピンク色をしたパジャマで、風呂上がりにそのまま寝てしまいそうになっているといった様子である。
 髪の毛が痛んでしまうと思いつつも、琴音は身を起こすのが億劫(おっくう)だった。全身がほのかに熱を帯びていて、このまま寝てしまいたいという欲望に満ちている。彼女のようなロングヘアーでそうする事はまず出来ないのだが、心地よい眠気にはなかなか抗し難かった。
 する…する…
 琴音は無意識のように脚を動かす。
 その間にはクッションが挟まれていた。パジャマ越し、下着越しとは言え、琴音の脚の付け根の所にクッションが当たっているのは間違いない。
 する…するするっ…
「ふわ…ぁ…」
 琴音がゆっくりとしたあくびをする。今にも眼を閉じてしまいそうな状態だった。それを必死にこらえつつも、睡魔の誘惑はどんどん大きくなっていく。脚を動かすのも、それを紛らわすのに十分ではない。ほとんど無意識でやっているようなものだし、そこには抱き枕の延長線上のような安心感もあった。
 快感でないわけではない。ただ、それはとても微細なものだったし、琴音はあまりにこの行為を長年繰り返してきてしまったため、習慣のようになってしまって、興奮も緊張もないのだ。
 性器に直接触る自慰は…怖くて悪い行為のような気がしてしまって、好きではない。そもそも、琴音はクッションを挟む事をオナニーだとは思っていなかった。誰かに聞かれれば、自信を持ってしていないと答えるだろう。
 それでも、これをする時にはドアの鍵をしっかり掛けている。
「ん…」
 完全に半開きになってしまった目で、琴音は床に転がるドライヤーを見る。そこまで行かなくてはという思いと、寝てしまわなくてはという思いを比較すれば、どう見ても後者の方が大きかった。
 ぎゅっ、と強めに琴音がクッションを挟み込む。
「はぁ…」
 生まれた快感に、思わず目を閉じてしまった。
 琴音の意識はますます薄くなっていく。もはや、琴音は半分以上諦め始めていた。明日の朝早起きしてシャワーを浴びなくてはならないかもしれないが、仕方がない。今このまま眠る事が出来る方が何倍も魅力的だった。
 でも、クッション挟んで寝ると、いつもエッチな夢見ちゃうのに…
 そう思いながら、琴音は吸い込まれるように眠りに落ちていった。


7/17
 ふわり、と琴音の身体が浮いた。
「あっ…あっ!」
 琴音は取り乱して手足を動かすが、空しく宙に泳ぐだけだった。ほとんど空中で溺れかかっているような感じだった。
「これくらいなら、君でも出来るかも知れない…」
「た、助けてください…なんで、こんな事を」
「でも、他人の力を打ち消すことは出来ないだろうね。やってみなよ、自分の身体を動かして、僕の力から逃げてみればいい」
「や、やめてください…」
 しかし琴音は能力を使おうともせず、ただ懇願しただけだった。
「ふん…無抵抗か。つまらないな」
「て、抵抗なんてしませんっ。だから、もうやめてください…」
「知らないね。…他にも、こんなこともできる」
 びりっ。
「あっ!?」
 嫌な響きを持った、大きな音がする。
 びり…びりびりびりっ
「あっ、やっ、やめてっ!」
 琴音のシャツが、まっぷたつに裂けていた。身体の正面を、縦一直線に切り裂いていく。ブラジャーの紐の部分も、「力」が通ると簡単に切れてしまった。
「二種類の力を同時に使うってのはできないだろう?それに、ここまで力を小さい範囲に集中させて、正確に使うってのも難しいはずだ」
「な、なんで…い、いやですっ!やめてくださいっ…」
 その力は、琴音のスカートの所まで来ても止まる事は無かった。シャツに比べればかなりの厚さがあるはずのスカートが、薄桃色をしたショーツと一緒に、破かれていく。琴音の秘裂が、あっという間に空気の下へさらけ出されてしまう。
「いやっ!」
 琴音は自分の手でそこを覆い隠した。はずみで破かれたシャツとブラジャーが身体から滑り落ち、琴音は慌てて逆の手で乳房も隠す。
 びっ…
 最後にスカートの裾まで「力」が到達すると、スカートとショーツも力無く床に滑り落ちた。床の上に重なったぼろぼろの布地を見て、琴音は息をのむ。
「なかなかの見物(みもの)だろう?」
「も、もう…許してください…」
「何言ってるんだい、これからが本番なんじゃないか」
 くにゅっ。
「ひっ…!?」
 琴音は驚いた顔をして、自ら押さえつけた乳房を見つめた。
 くいっ…
「えっ…えっ!」
 今度は、信じられないといった目で秘部の方を見る。
 手で隠しているために見えないが、琴音の身体感覚は間違いなく秘裂が左右に広げられているという事を伝えていた。
「さっきよりもつまらない芸当かもね。でも、見えないはずのところに触られるのって、結構びっくりするんじゃないかな」
「や、やめてくださいっ…」
「当然、二箇所同時もできる…」
「あっ、あっ!」
 琴音の乳房がくにくにと変形する。秘裂の中の粘膜に、ゆるりとした刺激が加えられる。琴音は、身体の奥で性的な感覚が目覚めるのを感じていた。
「さらに、四箇所」
「うくっ…」
 乳頭とクリトリス。敏感な部分への刺激が琴音を襲った。まだ身体が高ぶっていない状態でそうされれば痛みを伴ってもおかしくはないのだが、刺激が比較的小さかったこと、琴音の身体が性的刺激に敏感だったことが重なり、必ずしも痛みにはならない。じわっと甘い快感が琴音の中に生まれてしまった。
「どうだい?普通の人間じゃ、なかなかこんなのは出来ないだろ」
「やめて…ください…」
「随分元気が無くなって来たじゃない。大人しく、『して下さい』って言えばいいのに」
 調子に乗って強い刺激を加えてくる。しかし、それすらも琴音は愛撫として感じてしまった。普通ならば痛めつけにも等しいはずの乱暴な行為を、琴音は性感帯への激しい刺激として認知してしまっていたのだ。
「あ…」
 琴音が震える声を出した瞬間、だらだらと透明な液体があふれ出した。指の間からもすり抜けて、ぽたぽたぽたっ、と続けて雫になって落ちたそれは、琴音自身の着衣の上へとしたたり落ちる。
「もう、こんなになってる…」
「ゆ、許して…もう、十分でしょう…」
「五箇所目」
 じゅぷっ。
「んうっ!」
 今し方欲望の雫を吐き出した部分に、何かが挿入される感覚がある。
 じゅぷぷっ…
「あ…はぁっ」
 それはあっという間に琴音の身体の一番奥に侵入してきた。
 しかし、実際に何か異物が入れられた様子はない。
「中から押し広げているだけだけどね。本当に入れられているみたいだろ?」
 すぐに説明が為された。それに合わせて、異物感がヴァギナの中を前後に移動する。ちょうど抽送運動をされているのと同じ感覚だった。ちゅぷちゅぷという水音が立って、ヴァギナの入り口から愛液がにじみ出す。すぐにまた指では受け止められなくなって、隙間からしきりに粘っこい液体が垂れ始めた。
「エッチ…」
「い、いや…」
 琴音は弱々しく首を振る。だが、乳頭やクリトリスにも刺激が加えられている状況で、快楽から逃れられるはずもない。二つの突起は痛いほどに勃起して、琴音に直接的な快感を与え続けていた。
「最後に…」
 ブ…ン
「ひいぃっ!?」
 琴音が情けない声を上げて、身体をのけぞらせた。身体の奥底を振動で揺すぶられるというのは、未知の性体験だった。
「実際には空気が振動しているだけだけど…下手なバイブよりも、ずっと小刻みでいろんな動きが出来る」
 ブブ…
「あっ、そこは、そこはっ!」
 琴音の膣壁の一箇所に、集中して強い振動が加えられ始めた。愛すべき人の肉棒に開発された、琴音の最も弱い部分だ。
「だ、だめぇ…ふ、ふじたさんっっ!」
 …ビクッ!ビクッ!…ビクビクッ!
 琴音は空中で激しく痙攣した。隠していた手が離れると、秘裂からおびただしい量の愛液が溢れて琴音の服を濡らしていく。目をつぶった琴音は、まるで何かを夢想しているようだった。
「あの男かい?」
「………」
「忘れさせてやるよ…そんな奴」
 どこか憎悪のこもった声だった。しかし、琴音はかえって安心するような感情すら覚えて、絶頂の余韻に身体をひくつかせていた。


6/29
 ぐちゅっ。
 琴音がブルマを半分下ろしてそこに指を入れてみると、もはや誤魔化しようの無いほどに恥ずかしい液体があふれ返っていた。
「……」
 嫌悪に顔を歪めながらも、琴音は指で秘裂の中をかき回し始める。ちゅぷちゅぷ、ちゅぷっという派手な水音が立って、甘美すぎる感覚が琴音の背筋を這い上がっていった。それでも、琴音は少したりとも愉悦や淫乱の表情を浮かべる事はなかった。ブルマや体操服が愛液で濡れるのを神経質そうに避けながら、黙々と指を動かしている。
 だが本人の意思を無視して、愛液はとめどもなく生まれ。滴り落ちるのを防げ無さそうになってくる。薄暗い校舎の裏の空間に、甘い愛液の香りが漂い始めた。
 ごそ…
 やむなく、琴音はブルマを完全に下ろし、アスファルトの上に四つん這いの姿勢になって指を繰り始めた。あふれかけていた愛液が、堰を切ったようにたらりたらりと糸を引いてアスファルトの上に落ち始める。
 片手と両足で体重を支えながら、琴音は右手を必死に動かしていた。恥辱感を感じながらも、琴音は自らの敏感なポイントに可能な限り強い刺激を与える。校舎の裏とは言え、誰も来ないとは言い切れないのだ。自分を出来る限り速く追いつめなくてはならないのだ。
 くりゅっ…くりくりっ
 聴覚を最大限に研ぎ澄ませている琴音の身体は、性感においても鋭くなっていたようだった。ついに琴音の身体が解放される瞬間が近づいてくる。琴音は絶対に認めようとしなかったが、それは白昼の野外自慰という異常な状況が生んだ興奮であったかもしれない。
「………!」
 琴音は顔をぐっと下げ、歯を噛みしめながら最後の刺激を与えていく。
 びくっ…!
 ぷぢゅっ。
「ふぁ…!」
 琴音がかすれた声を上げたのと、痙攣したのと、液体が勢い良く噴き出したのは同時だった。
 力つきたように、琴音はアスファルトの上に倒れる。秘部をべっとりアスファルトにつけているのも気にしなかった。
「ふじた…さん」
 たかだか小さなケンカで数日会っていなかったことと、琴音の超能力がまだ完全にはコントロール出来ていないこと。琴音のわがままが生んだ、あまりに皮肉な罰だ。クラスメイトの女の子達の前で気づかれないながらも秘裂を濡らし、こんな所でオナニーに耽る羽目になったのだから。
 バレーボールをしているコートに帰る気力は、なかなか琴音には戻ってこなかった。


6/13
『こ…琴音ちゃん、何する気だ?』
「藤田さん、じっとしていてくださいね」
 琴音は受話器を右手で持って、耳に当てたまま言う。
 そして、すっと目を閉じて徐々に精神を集中させていった。
『な、なんなんだ?説明してくれよ』
「少し…静かにしていてください」
『あ…ああ』
 電話の向こうの浩之はそれきり黙り込んだ。
 受話器の向こうにかすかなホワイトノイズと浩之の呼吸の音を感じながら、琴音は段々と深いコンセントレーションに入っていく。
 やがて、琴音はゆっくりと口を開け始めた。
 半開きから、少しずつ大きく…はっきりと「あ」を発音する時のような口の開き方をしていく。
「藤田さん」
 琴音は口を開けたまましゃべった。やや不明瞭な声になる。
『な…なんだ?』
「驚かないでくださいね」
 そして琴音は一気に口をすぼめていった。
『うぉっ!?』
 浩之の驚いた声が聞こえる…
 琴音の口の形は、完全には閉じずに何かをくわえこんでいるような形でとどまっていた。そのサイズは…いや、琴音の口の中に感じられている感触を考えれば、それが何を意味しているのかは明らかだ。
『こ…琴音ちゃん、なんだこりゃ』
 ちゅるん、と唾液をぬめらせてしごき上げるようにしながら琴音は口を引く。
「藤田さん、汚れるといけませんからズボンと下着脱いでください」
『なんなんだこりゃ!』
 浩之は困惑と驚きが入り交じった声で問う。
「超能力でこういう事も出来るのがわかったんです」
『そ、それって』
「すごいですよね」
『そ、そりゃすごいけど』
「脱がないなら、このまましちゃいますよ?」
 琴音は再び唇を前に突き出し、不可視のペニスをくわえこむ。
『うぁ…ま、待ってくれ!』
「んん…」
 その声には答えず、琴音はちゅくちゅくと音を立てながら前後に頭を振り始めた。
 受話器の向こうから、受話器が投げ出されて床に転がっているとおぼしき音が聞こえる。浩之が慌てて服を脱いでいるらしい。
 目だけを可笑しそうに笑みの形にしながら、琴音は前後の運動を続けた。どこか小悪魔的に見えない事もない。心なしかさっきより少し膨らんだように思える浩之のペニスを、琴音は遠隔の地点から的確に刺激していった。
『こ、琴音ちゃん』
 しばらくして、やや息を荒げた浩之の声が受話器に戻ってくる。琴音は答える事が出来なかったが、受話器を耳に当てたまま行為に励んだ。次第にしごき立てるスピードも速くなっていく。唇で締め付ける力も相当に強い、大胆なフェラチオだった。ぐちゅ、ぐちゅと唾液の絡む音が、琴音の長い髪がさらさらと揺れる微細な音にかぶさっていく。
『琴音ちゃん、ちょ、ちょっとすごすぎ』
「んは…」
 琴音はその声を聞くと、再びペニスから口を離した。
「もう…藤田さん、溜まっていたんでしょう?」
『仕方ねーだろ…』
 確かに、受験が忙しくなってきた浩之は琴音ともう2週間も抱き合っていなかった。だからと言うこともないのだろうが、電話での会話の途中に猥談が混じり、そしてこういう結果になったわけだが。
「だから、我慢しないで言ってくれれば私はいつでも駆けつけるって言ってるじゃないですか」
『でもなぁ』
 浩之の家には既に両親が帰ってきている。
「藤田さんの家じゃなくても、公園とかいろいろありますよ」
『すごい事言うな、琴音ちゃん』
 半ば呆れたような苦笑の声だった。
「だって藤田さんが好きですから…だから、久しぶりに口でイカせてあげますね」
 琴音はぺろんと舌を出し、宙のペニスに這わせる。
『くっ』
 尿道口に近い辺りをピンポイントに舌先だけでくすぐる動きだ。しばらくそれを続けたあと、段々刺激する部分を広くして、亀頭全体を舌で包み込むような動きにしていく。浩之の最も敏感な部分を、巧みに刺激していった。
 口元から唾液をつっと垂らしながら、琴音は夢見るような瞳で熱心に行為を続ける。
『う…出るっ』
 電話の向こうの浩之が宣言した。
 そして、はぁはぁという荒い息だけが聞こえてくるようになる。
「んっ…イキました?」
『ああ…イッた』
 浩之は呆然とした声で答えている。
「そうですか」
 琴音は少々不服そうな声で答えた。
「やっぱり、目の前で出してくれないと実感が湧きませんね」
『仕方ねーよ…』
「でも、すっきりしました?」
『それはそうだけど。サンキュ』
「わかりました…じゃあ、私は藤田さんの事を思いながら自分で自分を慰めていますねっ。おやすみなさい」
 古典的な言い回しを使いながら、琴音は少々すねた声を出した。
『なぁ、琴音ちゃん』
「…なんですか?」
 ほのかな期待の入り交じった声。
『電話しながら、してみてくれよ。俺、琴音ちゃんがしてる声聞きたい』
「もう…藤田さん、エッチですね」
『いいだろ?』
「いいですけど…恥ずかしいから…あんまり聞かないでください」
『そんなわけにはいかないって』
「エッチ…」
 琴音は小さく笑みながら、未だ維持していたコンセントレーションを解いていく。そして自らの指を用いた行為を始めていった。