Daily-EROtic 繭

10/17
「ど…どっ…どういうこと…?」
 留美は動揺を隠せない声で、問う。
 その手足は、縄跳びのような物で重い金属製の棚やカゴに縛り付けられていた。完全に無防備な肢体が、裸電球のくすんだオレンジの中に浮かび上がる。
 留美の体は、全く衣服を身につけていなかった。縄が、直接肌に食い込んでくる。身を隠しているのは長く下げた髪だけ、それも体の後ろ半分という何とも哀れな状態だった。
「わけがある」
「何なのよ…」
 最初はパニックになってわめき散らしていた留美だったが、目の前にいる浩平が落ち着き払っているせいで上手く反応ができなくなってしまっていた。誰にも見せたことのない部分を晒している恥辱と、普段の浩平の馬鹿っぷりが変に混ざり合ってどうしたらいいのかわからないのだ。冗談ではあり得ないのに冗談であるように思えてしまう。現実逃避しているのだと薄々気づきつつも、そう思わずにはいられない。
「椎名」
「みゅー…」
「ふえっ!?」
 聞き慣れた声に、留美は思わず素っ頓狂な声を上げていた。
「ど…どっ…どういうこと…?」
「見れば全てわかる」
「見れば…って…あっ?」
 浩平の後ろから姿を見せたのは確かに繭だった。それは間違いない。留美がまた声を上げてしまったのは、繭が留美と同じように裸だったからだ。胸の部分もほとんど膨らんでいないような幼いボディラインが暗がりの中に見える。
「な、なんでこの子が裸なのよ」
「よく見ろ」
「見たわよ」
「本気か? これを見ろ」
 浩平は、繭の体の一点を指で指し示す。
「………」
 留美はその指し示された部分を食い入るように凝視した。
 繭の股間の、本来なら筋が通っているべき部分にあったのは、白い色をした肉の棒。しかも、天井の方を向いて勃起した肉棒だった。繭の体の大きさに比例したサイズだったが、健康的なまでに固くなっているのは見ればすぐわかる。
「ど、どうして」
「俺に訊くな。俺が訊きたいくらいだ」
「そ、そりゃそうかもしれないけど」
「うー…」
 浩平がいつまで経っても指さしたままなので、繭は少し恥ずかしそうにして浩平から離れる。
「単刀直入に言う。椎名はもう元の学校に戻るそうだ」
「え」
「長森から聞いた。うちの学校にいるのは今日までだ」
「ず…随分急な話ね…」
「俺も驚いた。そこでだ」
「うん」
「このまま椎名を元の学校に戻すのはあまりに不安だ」
「…そうね」
「そこで、椎名に自信を持たせてやりたい」
「なるほどね」
「だから、七瀬が椎名を男にしてやってくれ」
「……………は」
「よし、椎名、行け」
 浩平が繭の尻を軽くはたく。
「…みゅ」
 すると、その勢いに押されるようにして繭は留美の方に歩き出した。
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっとっ!! ナニ考えてるのよっ!?」
「こいつの将来の事だ」
「あたしの将来はどう考えてるって言うの!?」
「献身的精神がないと、大きな人間にはなれないぞ」
「ち、小さかろうが大きかろうがそんな事はどうでもいいわよっ!! い、一生に一度の乙女の純潔を…だ、第一この子は女でしょっ!? 男にするってナニそれっ…!」
「まぁ、それは、なんだ、あれだ」
「あれって何よっ!! …よ、寄るなぁっ!!」
「みゅー…?」
 繭は叫び声を上げた留美をぱちぱちとまばたきしながら見ただけだった。大開脚させられている留美の秘部に、妙に慣れた腰つきで股間のモノを押し当てる。
「や、やめ、やめなさいっ!! 鬼、人でなし、アクマっ! 変態っ!」
「成仏を祈る」
 浩平が両手を合わせる。
「勝手に殺すなぁっ!! ………ひぎゃあああっ!!?」
 ずぶ…
 食べ物に手でも伸ばしているかのような罪悪感のない顔で、繭が腰を前に突き出す。留美の中に、固く熱いモノが侵入してくる。
 ずぶ、ずぶ、ずぶっ
「はうっ…くっ、ひぃっ…!!」
 体操のような動きで繭がかくかくと腰を振ると、留美は涙で目をいっぱいにしながら苦しみを訴えた。
「どうだ椎名? 七瀬の中は」
「…みゅっ♪」
「痛い、やめて、許して、あたしが悪かったっ、繭、やめてぇぇっ…!」
 留美が苦痛を訴えている間にも、繭はどんどん要領をつかんできたようで腰の動きをさらに速くしてきた。繭の表情も、いつもの喜んでいる時とも怒っている時とも違う、じんわりとした嬉しさのようなものをにじませた物になってきている。
 とても無邪気な顔だったが、それだけに腰の動かし方に容赦はなかった。留美の苦痛を全く考えず、ただ肉棒に摩擦が大きくなるような動かし方をする。留美の膣壁は、それだけ傷つけられる。
「みゅーっ…みゅうっ」
 はぁ、はぁと呼吸を荒くしながらも繭は嬉しさを声で表現した。
「ううっ…痛いよぉっ…」
「耐えるんだ。七瀬ならできる」
「ふ、不条理…すぎっ…」
 留美は処女を失ったという事をいまひとつ認識できていなかった。あまりに留美のイメージしていた物とは違いすぎると言う事もある。場も、時も、相手も。
「みゅ…ふみゅっ…!!」
「ぎゃあっ!」
 そして繭がぎゅうっと目を閉じると、ひときわ強く、えぐるように腰を打ち込む。同時に繭の肉棒の先端から灼熱の液体がほとばしって、留美の中を満たしていった。


「はっ……!!」
「みゅーっ」
「ついに我慢も限界を迎えたか…」
「え、え、えっ…」
「みゅー」
 痛かった。
 留美は反射的に自分の股間に埋まっていたはずのモノの事を想起するが、少し冷静になってみると股間は全然痛くない。むしろ、痛いのは…
「どきなさいっ!!!」
「…うみゅーっ」
 留美が怒号を上げて椅子から立ち上がると、繭がびっくりした顔になって髪から手を離す。
「感動した。今の椎名のぶら下がりに30秒も耐えるとは思わなかったぞ」
「そんなことで感動するなっ!! じゃなくて、止めさせなさいよっ、保護者っ!!」
「寝ている方が悪いと思うんだが」
「お、乙女の…」
「前聞いたぞ、それ」
「くうううううっ…あたし、外の空気に当たってくるわ」
「みゅー」
「ついてくるなぁっ!! この変態っ!!」
「変態?」
「う、うううううううううううっ…ほっといてよ」
 留美はがっくりと肩を落としながら、とぼとぼと教室を出ていった。



8/30
 ちゅくちゅくちゅく…
 浴室の中へ、ひっきりなしの水音が響いていく。
「はぅーっ…」
 ぼうっとした目の繭が、息を吐き出したような、何かの感情を表現したような微妙な声を出した。
 浴室の床に脚をぺたんとついて、大きく広げた状態。膝の辺りに泡にまみれたタオルが乗っかっていた。髪も濡れっぱなしの状態がそのままになっていて、湿気を取っておこうというような配慮など全く見えない。そして、身体の後ろ半分は泡だらけで、前半分は綺麗になっている。
 ちゅくちゅく。
 どうやら、前半分だけを流してそのままにしているらしい。
 興味が散漫な繭にとってはよくあることだが、浴室では他に興味を引くようなものなどあまりないし、普段は洗っている途中に別のことを始めるなどという事はない。
 ちゅくちゅくっ。
 ただ、自分の身体自体に興味が移ってしまったのであれば、それは仕方ないことだろう。繭はつるんとした割れ目の中に指を突っ込んで、小さな突起を無心にいじり回しているのだ。
 水音がしているのは流した時の湯が残っているだけの話だ。真水なので多少滑りの良さには欠けていたが、繭の指を潤滑させるには十分なようだった。逆に言えば、それだけ繭の性器が性感に敏感になっているとも言える。
「んー…うー…」
 指を動かしながら、繭はたまに声を出す。それは顔をしかめながらであったり、ほわっとゆるめながらだったりしたが、どうやら嫌な感情よりも嬉しい感情の方が全体には勝っているようだった。
 ちゅくっ…
 周囲の状況をかんがみる能力においては繭は未だ不十分だったが、これをするのはなぜか浴室に限られていた。繭は個室というものを持っていない。だから初めての時は廊下の隅で始めそうになったのだが、なにかむずがゆい感覚を覚えて、浴室の中に飛び込んだのだ。
 それ以来、浴室の中でこれをするのが日課のようになっている。
「んっ…みゅーっ…」
 突然繭がぽかんと口を開けて、声を出した。
 …にちゃっ。
 動いてなかった左手が性器に触れると、粘っこい液体が絡む感触がある。
 にちゃにちゃ、くちゅくちゅ。
 繭はそこを指の先で触りながら、突起を同じペースでいじり続けた。繭の突起はまだ未発達ではあったが、それなりに勃起して包皮から剥けている所を見ると、繭はかなり気持ちよくなっているのは明白だった。
「みゅ、みゅ…」
 段々、何かをこらえるように繭が身体をよじり始める。それと同時に、繭が手を動かすスピードも上がり始めた。いつもの要領を得ない動きとは違う、無駄のないスムーズな動き方だ。
 繭の秘裂は、透明な雫でしとどに濡れていた。それはぽたぽたと垂れては床に広がった湯と混ざり合っていく。見た目には区別できなかったが、もう床にはかなりの量の愛液が混ざっているはずだった。
「みゅーっ!みゅーっ!」
 最後にひときわ大きく叫んでから、繭が自分の突起をぐいぐいと押し込んで脚をじたばたと動かす。
 それからしばらくの間、繭の幼い肢体は、快感にぴくぴくと打ち震えていた。
「はうぅー…」
 石鹸の泡が繭の背中からほとんど滑り落ちそうになった頃、繭がぶるっと震える。湯冷めしてしまったようだ。
「んしょっ…」
 繭は浴槽から湯桶に水を汲んで、思い切り背中にかける。
 ばしゃあっ!
 そして、泡と繭のオナニーの証拠は排水溝に流れ落ちていった。
「みゅっ」
 湯がまだ流れきらないうちに、ざぶん、と繭は浴槽に飛び込む。そしてほとんど口元まで湯につかって、身体を温めていた。
 最初はなんでこんな行為を始めたのか、繭には分からなかった。ただ、すごく気持ちいいのは間違いないので続けてきただけだ。それでも、最近はそれとは別の、何か懐かしいような感覚を感じるようになってきていたのだ。
「みゅー…」
 繭はどことなく寂しそうな声を、湯煙の中に吐いていった。