Daily-EROtic 美咲

12/19
「ふ…藤井くんっ…」
 美咲が、怯えているような声を出す。
「………まだ慣れない?」
「な、慣れるとか…そういう事、なのかな…?」
 冬弥の顔を見下ろしながら、美咲は途切れ途切れに言った。見下ろさなくてはならないのは、美咲の手で隠している部分に冬弥が顔を近づけているからに他ならない。
「美咲さん、手、どけて」
「………や、やっぱり…恥ずかしい…よ」
 冬弥が言うと、美咲は逆に胸と足の付け根を覆う力を強めた。しかしそれがかえって不自然な事に気づいたのか、美咲は指を広げたり閉じたりと混乱した様子を見せる。
「なんか美咲さん、エッチな事してるみたいだよ」
「…藤井君っ…!」
 美咲は半分怒った顔になったが、違うとも言い切れないのか手の動きをぴたりと止めていた。
「ほら、美咲さん、落ち着いてさ」
「藤井君が…意地悪するから…」
「わかったよ、もう何も言わないから…だから、手どけてよ」
「…………」
「美咲さんって、そういう少し怒った顔が一番可愛い気がするな」
「…も…もう何も言わないって藤井君言ったじゃないっ…」
「あ、そうだったね」
「藤井君…やっぱりすごく意地悪だよ…」
「だって、美咲さん好きだから」
「そういうのって、他の人に言ってもらう事だと思う…」
「本当だからね」
 冬弥は美咲の手の甲に自分の手を重ねる。
「あ…」
 そのまま冬弥は美咲の手を動かそうとした。美咲は一瞬だけ手に力を入れ直したが、やがて手の力がくたりと抜ける。
 冬弥はその手を太股の所まで移動させて、そこに固定させようとするかのようにしばらく美咲の手を押さえつけた。
「……さてと」
 そして軽い口調で言いながら無造作に前髪をかき上げると、すっと唇を美咲の秘裂に寄せる。
 ちゅう…
「あっ」
 冬弥は表面に吸い付くような口づけをしてから、舌をぬるりと差し入れていく。美咲は困った弟を見るような顔でその様子を見守っていた。眉の端を下げて困惑した顔、それなりにわがままな冬弥に呆れた顔、恥ずかしい部分に触れるなまあたたかい感触に戸惑う顔。性交渉に及んでいるというより、何かきわどいゲームでもしているかのようだった。
 ちゅっ…ちゅっ
 あちこちに唇で吸い付くような刺激を加えながら、冬弥は細く丸めた舌で美咲の秘唇の内部をくすぐる。その舌先は時々美咲の慎ましい突起をかすめた。その頻度は徐々に上がり、美咲の反応を引き出そうという意図が見え見えの露骨な舌戯になっていく。
「はぁ……はぁっ……」
 美咲は全身にうっすらと汗を浮かべながら、手をこぶしの形にしてその刺激に耐えていた。少しでも反応を抑えようとする美咲と、何とか反応を引き出そうとする冬弥の根比べのような感じだ。
 ちゅ…くにゅくにゅ…くちゅ
 しかし時間が無制限では、明らかに冬弥の方に分がある。
 とろけ出す愛液を抑え込もうとしても、蜜壷の中にいっぱいにあふれた状態になってしまってはムリだった。
 ぷちゅ…ぷちゅ…
「ああ…!」
 ついには噴き出すようにしてあふれ出し、かえって美咲は恥ずかしい思いをすることになる。
 じゅる…、じゅる
「い、嫌だよ…音立てちゃだめ」
「美咲さんの、おいしいからね」
 冬弥は口元をぬぐいながら、小悪魔的な笑みを浮かべた。
 じゅっ…じゅる…
「んっ…ふ、藤井君っ…」
 かくっと美咲の膝が折れそうになる。
「もう美咲さん、立ってられない?」
「…うん」
「じゃあ壁に手ついてよ」
「…う、うん…あんまり、見ないでね…」
 美咲はゆらっと倒れ込むようにして四つん這いになると、リビングの白い壁紙に両手をついた。廊下につながるドアの、すぐ横である。
 …かちゃっ。
「え?」
 冬弥は美咲の体勢が整うのを見届けてから、そのドアを開け放した。暖房が行き渡っていた部屋の空気に、廊下のひんやりとした冷気が混ざってくる。
「藤井君、なんで……あっ」
 美咲が問おうとすると、冬弥が後ろから覆いかぶさってきた。
「なんか、誰かが出てきそうに見えるかなって」
「もう…藤井君、変なことばっかり考えるんだから」
「劇でも想像力は大切でしょ? 美咲さん、そこから誰かが見てるって思いながら声出してよ」
「そんな、いい加減な事…」
 ぬち。
 冬弥のペニスが、潤った美咲の恥丘に触れてくる。
「いくよ」
「ぜ、絶対、変な想像したりなんかしないから」
「じゃあ俺だけ想像してようかな。美咲さん、誰かに見られているとこんなに濡らしちゃうんだって」
「もうっ…」
 美咲はそれ以上文句をつけるのを諦めたようだった。改めて壁についた手にぎゅっと力を入れて体勢を安定させ、前を向いたまま冬弥の挿入を待つ。
 ぬちゅ…ぬちゅ
 冬弥は粘膜に絡みついた愛液をかき混ぜるようにして腰を動かしてから、ゆっくりペニスを美咲の膣孔に押し入れていった。
 にちゅ…
「あ…」
 粘っこい水音がして、美咲の中を冬弥のペニスが満たしていく。
 にちゅっ、にちゅっ
 冬弥は前後に何度かペニスを揺さぶりながら、美咲の奥まで入ってきた。身体の中に、冬弥自身が深々と感じられる。恥ずかしさはあるものの、結合の深さという意味では美咲と一番フィットした体位のようだった。
 ぬぢゅっ、じゅぐ…じゅぐ、じゅぐ
「あ…ああ…」
 美咲は髪を壁に押しつけてしまいそうな位置まで近づけて、悩ましい声を出す。自らの熱い呼吸が壁に反射してくるようにすら感じられた。
 じゅぐっ…じゅぐ
 それによって、廊下から流れ込んでくる冷気がより鮮明に染み込んでくる。
 冬弥の言うような妄想はさすがに引き起こされなかったが、自分の体が熱くなっているのが強く感じられるのは確かだった。美咲は冬弥の体温を求めるかのように、腰を前後に振り始める。
「美咲さん、いい?」
「う、うん…藤井君の、奥まで入って…こすれてる…」
「美咲さんの中も、すごい濡れてる」
「だって…」
「いつもよりも感じるから?」
「そ、そんなの変わらないよ」
 きゅう…
 だが、言った瞬間に自然と膣内が収縮してしまう。
「美咲さん、言われて感じてるんだ」
「ち、違うよ…これは」
 きゅっ…きゅ
「んっ……」
「身体が一番ショウジキってやつだよね」
 ぢゅぐっ、ぢゅぐっ…
「ん…んうう…藤井…くん」
 冬弥の大きくかき回してくる動きに、美咲の身体はふわーっと浮き上がってしまいそうになった。美咲は頬を赤く染めながらも、その動きに合わせて前後に腰を大きく動かす。回転運動と直線運動が合わさり、美咲の膣内はぐりぐりと強くこすられた。
「ああ…もう…私…」
「俺も出すよ…いいんだよね?」
「うん…大丈夫…」
 美咲は熱い吐息の混ざった声で冬弥に答えた。普段は清楚の印象が強いだけに、息が上がってしまっただけでも随分とギャップがある。
「くっ…あ…ああーっ…」
「…美咲さんっ…」
 じゅぐっ!
 冬弥が強く腰を打ち出す。その瞬間、美咲の中で何とかまとまっていたものがパチンとはじけた。
 びゅるっ、びゅっ、びゅ…びゅ…
「ん…あ…はぁ…」
 美咲は潤みきった目で放心する。何か大きな物に押し流されてしまいそうな感覚の中、冬弥の出した熱い液体がほとばしるのが心地よく感じられていた…



8/11
 湯煙が立ちこめている。
 シャワーを流し始めてから、もうかなりの時間が経っていた。美咲の髪はそこまで長くないのだから、洗っているとしても少々長すぎる。事実、もう美咲は自分の髪にタオルを巻いてしまっていた。そして洗面器の中には濡れたタオル。身体も洗い終わっていると考えた方が良さそうだ。
 なのに、美咲は浴槽に戻ろうともせず、シャワーも流しっぱなしである。普段から電気やらガスをこまめに節約している彼女の性格から考えると、不自然な行動だった。
 だが単調な水音の先がどこに向けられているのかを見れば、事態は概ね見えてくる。
「はぁっ…」
 温水と湯気で紅に染まりつつある美咲が、大きく息を吐き出した。いや、温水と湯気のためだけというのは間違いだろう。
 シャー…
 シャワーの湯は、洗い流すのとは明らかに違った目的で美咲の恥ずかしい部分に当てられていたのだから。それも、かなりの長時間。
 ぴしゃぴしゃと絶えず跳ね続ける水によって、その部分がどうなっているのかは覆い隠されていた。しかし脚がそれなりの間隔で開かれているのだから、シャワーが止まってしまえば豊富な水分をたくわえた秘部が中まで露わになってしまう事だろう。
 変形し続ける不安定なヴェイルは、美咲の身体を隠す最後の抵抗であると同時に、美咲の身体を辱める道具でもあった。相反しているような働きの共通点は、そのどちらも美咲が望んでいるということだ。
「あ…ああぁ…」
 震えた声が出た。それに共ずるように美咲の身体がぷるぷると震え、シャワーのノズルを動かそうとする。その度に美咲は、辛うじて思いとどまっていた。
「だ、だめ…」
 だが今回は理性がギリギリの所まで追いつめられていたようで、自ら制止を口に出し、左の手でノズルを持った右手を押さえていた。
 美咲がしそうになりつつ踏みとどまっている行為とは、水流をやや上の方に当てる事に他ならない。そうすれば、水流は美咲の官能をはっきりと引き出すはずだった。無論それはオナニーの誹(そし)りを免れる事が出来ない行為である。
 それを抑え込んでいるのは、美咲のプライドに加えて、脳裏に浮かんでいた人間の顔である。
「助けて…ふじい…くん」
 震える唇から滑り出る言葉。
 意識から張り付いて離れない人との想い出は、たった一度の性交を美咲に思い出させずにはいられなかった。しかし、それは冬弥に対する冒涜でしかないと美咲は思っていたのだ。
 それでも冬弥の事は忘れられないし、冬弥のことを思い出せば性交の記憶が美咲の中に甦(よみがえ)り、身体の奥に疼く炎を産み出す…激しい拘束状態は、美咲の気力をあっという間に奪っていく。
 ひとつの言葉が美咲を助ける事は、彼女自身がよく知っていた。そして、それが誤魔化しに過ぎない事も美咲は熟知していた。
「あぁ…」
 泣きそうな顔になりながら、美咲が顔を右に左に振る。
「わ、私…最低…だよね」
 誰に言ったのかも分からない言葉…
 その瞬間、意思とは無関係にシャワーのノズルは上を向いていた。
「ひぅ…あ…ぁ」
 一瞬美咲は身体を跳ね上がらせたが、その後は満たされたような、惚けたような表情が生まれてくる。直接感じる部分に水が当たる感触は、端的な快感を美咲に与えた。
「や…いやだよ…」
 美咲は目をつぶり、言う。何も見たくはなかったのだ。
 だが照明がわずかな明るさをもたらしている真っ暗の視界の中に、浮かんでくるのは冬弥の顔だった。
「た、助けて…もう…」
 美咲の身体感覚は、シャワーの湯とは違う熱い液体が生まれつつある事を教えていた。そのぬめった液体は一瞬にして水流に紛れていったが、いつまで経っても止まる事がない。弛緩しきった美咲の秘部は、恥ずかしい液体の分泌を抑える事が出来ないのだ。
 かと言って、水流の中途半端な刺激でエクスタシーに達する事ができるはずもない。しかし指で直接触れる事は、美咲には絶対に出来なかった。理由はわからない。ただ、間接的ではない、直接的なオナニーに手を出した瞬間に何かが崩れる気がしていたのだ。
「あ…ぅ…」
 熱気で意識がもうろうとするのを感じつつも、美咲は水流を止める事が出来なかった。


7/11
「美咲さん…?」
「ふ、藤井君、そのまま横になって」
「え?」
「あの…あのね…」
「…うん、わかったけど…」
 冬弥は美咲に覆いかぶさろうとした姿勢から起きあがる。そして、美咲と並ぶ形でベッドに横たわった。入れ替わるように美咲が身を起こす。
「どうかしたの…?」
「ごめんね」
 美咲は座ったような姿勢のまま、顔を冬弥に向けて言った。
「…今日の事?」
「うん…本当に、ごめんね…口で謝るだけじゃ足りないくらい…」
「だから、俺は全然気にしていないって言っているじゃない…」
「ううん…私、本当に悪かったって思っているの」
「美咲さん、気にしすぎだよ…」
「だ、だからねっ」
 美咲が身体を反転させて、冬弥の両足の上に乗る形になる。そういうアングルで美咲の肢体を見つめる事など冬弥は無かったから、少々どきりとしたものを覚えてしまった。形良い胸がかすかに揺れているのがわかる。
「あの…」
 声を小さくしながら、美咲は冬弥の腹部の辺りを見つめた。そして、ついには意を決したように身を屈めていく。
「…!?」
 冬弥は、驚きの念を隠しもしなかった。美咲の顔が、勢いよく自分の股間に近づいてきたのだから。
「あ、あの…こういうの、男の子って好きなんだよね」
 美咲は口を半開きにした形で言った。それが、美咲の伝えようとしている行為を端的に伝えるジェスチャーになる。
「い、いいの?美咲さん…」
 冬弥はいつになく鼓動が速くなるのを感じた。
「う、うん、こんなのでお詫びをするのって、卑怯かもしれないけど…」
「だ、だから、俺は何にも気にしていないよ。で、でも…少し嬉しいかな」
「ほんとう…?」
「そ、そりゃあ」
「じゃあ…するね」
「うん…」
 冬弥は生唾を飲み込む。
「あっ…あの、出したくなったら出してもいいし、それから…もし、私の顔にかけたいんだったら言ってくれたらそうするから…」
「そ、そこまで」
 してくれなくていいよ、という言葉は継げなかった。
「え、えっと、先っぽの所と、こっちの根元のところと、あ、あとそれからここの先っぽが終わっているところと、どれがいいのかな…」
「み、美咲さんの好きでいいんじゃない?」
「そ、そうだね、ごめんね。こういうのって、する人間の方が決めなきゃ駄目だよね」
 我ながらとんでも無いことを言ったと後悔した冬弥だったが、美咲は真面目に受け答えした。
 …ぺろん!
「うっ…」
「ご、ごめんなさい!?痛かった…よね…」
「い、いや、全然そんなことないよ。気持ちよかっただけ」
「そうなの…?」
「当たり前だよ、普段はもっと激しく動いていても大丈夫なんだし」
「そ、そっか…じゃあ、今みたいな弱いのじゃ全然だめだよね」
 美咲は焦った表情で口を大きく開けた。そして、ぱくりと冬弥のペニスをくわえこむ。
 冬弥の身体を、ジーンと痺れるような感覚が走った。普段しているよりも、何倍も気持ちいい。美咲の口の中は綿のように柔らかで、温かかった。
 ちゅぽ、ちゅぽ、ちゅぽ…
「うわっ…」
 次の瞬間、美咲は激しく頭を振りながら上下の運動を開始した。柔らかなブラウンヘアーがひっきりなしに揺れ、乱れる。美咲の顔は恐ろしく真剣だった。
 ちゅぼっ、ちゅるるっ…
 だからこそ、清楚な顔立ちとのギャップが際だつ。必死の様子で淫行に励む美咲の姿は、普段の姿からは想像できないほどにいやらしかった。髪の毛があちこちを向き、幾筋かが汗で頬や首筋に張り付いているのがどことなく色っぽかった。
 美咲の口の周りからは唾液がたらたらと流れ、口元をべとべとにしている。その濡れた唇は、時折呼吸をするために開いたが、次の瞬間にはペニスを強くくわえ込んで離さなかった。その力強い締め付けが雁首の段差を通る度に、冬弥にびりびりとした性感を与える。
「す、すごいよ、美咲さん…すごいエッチで、気持ちいい…」
 そう冬弥が告げると、美咲はますます行為のピッチを速めた。単調だと言えるかもしれないが、行為自体の勢いでそれをカバーしてしまっている。もう疲れてしまっているだろうに、美咲は一向に勢いを落とそうとしなかった。ほとんど執念のように、慣れないフェラチオで尽くしていく。
 冬弥の身体に限界が訪れるのにも、それほど長い時間は要しなかった。それでも1,2分の間激しい抽送を繰り返したのだから、美咲の表情にはさすがに憔悴が見えてくる。しかし、美咲は休もうとすらしなかった。
「お、俺、そろそろ出しちゃいそうだけど…美咲さんが、どうするか決めていいよ…」
 冬弥はそう言った。判断を下す度胸が無かったとも言える。あるいは…
 ぐちゅ、ぐちゅぐちゅっ!
 美咲が最後のスパートを、まるでペニスを追いつめていくような勢いで掛けていく。
「…美咲さんっ!」
 冬弥が叫ぶと、美咲は唇を素早く離した。
 どびゅっ…びゅびゅっ、びゅくんっ…びゅくんっ…びゅくんっ…
 見る間に、美咲の顔が汚されていく…普段よりもずっと多い精液の量を冬弥は感じていた。勢いよくほとばしるそれを、美咲はむしろ積極的に顔で受け止めるようにしている。嫌そうな様子は微塵も見えなかった。
 そしてついに脈動がストップすると、美咲はがくんと力つきたように腰を下ろした。
「さ、最高だったよ、美咲さん」
「舐めて…あげなきゃいけないよね、これも、冬弥君の中に残っているのも」
「み、美咲さん…」
 美咲は丁寧に顔についた液体を指でこそげ取り、ひとつひとつ口の中に運び始めた。どこか、夢想しているようだ。
「おいしいよ…冬弥君の、これ」
「む、無理しなくてもいいよ…」
「本当だよ…冬弥君のなら、私、何回でも飲める…」
「みさきさん…」
 そして、美咲は冬弥のペニスを清めるべく、再び身体をかがめた。