Daily-EROtic 理奈

11/24
「ゆっ…由綺っ!?」
 理奈ちゃんが驚いた声を上げた。
 原因は、俺が気持ちよくなっている理由と同じ…要するに、俺のペニスを由綺がくわえた事に理奈ちゃんが驚いたのだ。
「んんっ…」
 由綺は理奈ちゃんの驚きを気にせずに、舌を使い始める。先の部分を舌で舐め転がす動きを、由綺らしい丁寧さで何度もしてくる。
「うん…由綺、もっと」
「と、冬弥君」
 理奈ちゃんは俺の方を向いて困惑した顔をしていた。
 ぬちゅぅっ…
 由綺はその間にも、口の中にくわえこむ部分を大きくしていく。そして根元までずっぽりとくわえこんだ状態で、口をすぼめたり開いたり、上下に小刻みにしごいたりの動きをしてくる。
 少しだけ憂鬱を感じさせる表情で上目づかいに俺を見る由綺は、なかなか大人っぽく見えた。いつもは冷静な理奈ちゃんが動揺しているせいで、それがますます際だっている。
 ちゅぽ、ちゅぽっ…ちゅる
 理奈ちゃんは由綺が俺のペニスを愛しているさまを、かなり長い時間呆然として見守っていた。実際、エッチについて由綺と理奈ちゃんを比較したならば由綺の方が大胆なような気がする。というより、理奈ちゃんが意外なほど奥手というか保守的なのだ。3人でしてみようと言った時も、由綺は割と抵抗がなさそうだったのに理奈ちゃんは結構戸惑っていたようだった。
 ちゅる、ちゅくっ、ちゅぷっ
「ゆ、由綺…! どいてよ…!」
「………」
 しかし、理奈ちゃんも置いてけぼりにされているのが限界になったみたいで、由綺にそう言う。
 ちゅぽん…
 由綺は俺のペニスから、いったん口を離し…そのまま舌を伸ばしてぺろぺろとペニスの先を舐め始めた。
「ゆ、由綺っ…!」
「理奈ちゃんも、一緒にしようよ」
「…えっ」
「ほら…こっち側を私がするから、理奈ちゃんはそっち側をしてあげて」
 由綺が微笑みながら言う。
「そ、そんなの…」
 ぺろ、ぺろ…
 由綺は理奈ちゃんの返事を待たずに、俺のペニスの片側を舌で舐め始めた。
「理奈ちゃん、冬弥君にしてあげないの?」
「で…できるわよ、私だってそれくらい…!」
 少し焦った声で理奈ちゃんが言う。そして、由綺の横に顔を寄せるような形で俺のペニスに口を近づけてくる。
 …ちゅっ
「………」
 理奈ちゃんはキスしている時のように軽くペニスの先を吸い立てて、不安そうに俺の表情をうかがった。
「うん、理奈ちゃんそれでいいよ。由綺みたいにしてくれる?」
「う、うんっ…」
 ぺろっ…ちゅ…ちゅく
 理奈ちゃんが舌を動かし始める。と言っても、由綺のテクニックには程遠い、吸ったり舐めたりの不安定なやり方だ。由綺はその横で、俺のペニスの左半分を根元から先端まで執拗に責め続けてくる。
 ちゅ、ちゅぅ
 だが、由綺の濃厚なテクニックと、理奈ちゃんの不慣れな動きはすごくいいコントラストになっていた。半泣きのような表情で俺のペニスに舌を這わせる理奈ちゃんの顔が、俺の欲情を沸き立てる。
 ちゅく、ちゅぽ、ちゅる…
 二重の快感に、俺の中から熱い物がせり上がっていった。
 …びゅるっ! びゅっ!
「ああっ…!」
「んんっ」
 その熱い液体が降りかかった瞬間、理奈ちゃんは処女を失ったときのような表情と声になった。一方の由綺は、相変わらずの大人びた余裕の表情の中に精液の射出を受け止めている。
 びゅ、びゅる、びゅっ
「………」
「うっ…うあっ…あっ」
 無言で射出を受けている由綺。ひとつ白濁液がほとばしる度に顔に不安を浮かべ、逃げてしまわないように耐えているのがわかる理奈ちゃん。由綺が微妙にペニスの角度をコントロールしているようで、俺の精液は見事なまでに交互の順番で由綺と理奈ちゃんの顔に掛かっていく。
 やがて放出が収まる頃には、二人は顔中を白い液体でべとべとにしてしまっていた。
 ちゅる、ちゅる…
 由綺はごく自然と顔に手を伸ばし、精液をこそげ取って口の中に運んでいく。理奈ちゃんもそれを見て真似し始めたが、明らかに由綺よりペースは遅い。表情もこわばっていて、本当に泣き出してしまいそうである。
 ちゅ…ちゅる
 …それでも理奈ちゃんは、由綺の倍ほどの時間を掛けながらも、俺の出した精液を最後には全部舐め取ってしまった。
 俺は、元アイドルの二人に、自分の出した欲望の液体を舐めさせてしまったのだ。
 そう思うと、改めて俺が色々な物を奪ってきてしまったのだということを痛感させられる。
 あの冬の日、暗いスタジオの中で口論をしていたふたり。新進ながらも、トップアイドルと言って差し支えなかったはずのふたり。その原因が俺、しかも二人の恋心の対象になってしまったためだったというのだから、恐ろしい。
 そこで由綺と理奈ちゃんが互いに手を出してしまった時、隠れていた俺が飛び出してしまったのが全ての始まりだったのだ。出て行くな、という英二さんの忠告にも拘わらず。俺も事態を泥沼にすることしか出来ない自分に、ほとほと嫌悪を感じてしまったものだ。泣きじゃくる理奈ちゃんと由綺を自分の胸に抱きかかえながら。
 しかし結果的には、由綺と理奈ちゃんと俺の誰が身を引くこともなく、今のこんな関係が出来てしまった。
 英二さんの忠告にミスがあったのか。それとも、英二さんはこうなってしまう事を予期して俺にストップを掛けたのか?
 実際、俺は英二さんから由綺と理奈ちゃんの両方を奪った。恋人としても。実力に満ちあふれたアイドルとしても。「音楽祭」の終了後、理奈ちゃんと由綺は相次いで芸能界から去ってしまったのだから…ボディ・ブローの一発や二発で済む問題ではない。
 それでも、英二さんの性格か、理奈ちゃんが何かしたのか、俺に降りかかってきた物はテレビ局でADのバイトが出来なくなったことくらいだったのだが…あとはマスコミの取材。しかし理奈ちゃんは俺と由綺に手取り足取りでそれからの逃げ方を教えてくれた。
 もう1年半が経っている。
 恐らく、ひとつだけ確かなことは、英二さんも俺も、ひょっとすると由綺や理奈ちゃんも予期していなかったくらいに、由綺と理奈ちゃんが一対一の恋愛関係に固執しなかったということ。
 あれだけインテレクチュアルな人でも、西洋的恋愛観が時に脆く崩れ去る事を実感として抱くことはできていなかったようだ。まして、俺などができるわけがない。
 …だが今俺は、現に二人の裸の女の子を目の前にしている。
「理奈ちゃん、ありがとう」
「え…あ」
「口でするの初めてなのに、由綺と同じようにしたんだからすごいよ」
「だ、だけど、由綺の方が…」
「ご褒美をあげるよ。こっち来て、理奈ちゃん」
「こっち…?」
 理奈ちゃんがおずおずと俺の方に近づいてくる。
「俺も、舐めてあげる」
「…えっ!」
「俺の顔の上にまたがってよ」
「…と、冬弥君…」
 理奈ちゃんは顔を真っ赤にした。しかしそのまま四つん這いの姿勢で俺の方にやってくる。そして、ベッドのスプリングをキィッと言わせながら俺の顔の上にまたがった。
「ゆっくり、腰落としてね」
「う、うん」
 理奈ちゃんが少しずつ腰を下ろしてくる。俺は陰になっている彼女の秘裂に、顔を上げて口づけた。
「あっ…!」
 予想していたよりも少しだけ早いはずの刺激に、理奈ちゃんが太股をぶるっと震わせる。
 ちゅぅ、ちゅっ…れろっ…れろっ
「あ、あ、あ…! 冬弥君っ…!」
 俺は理奈ちゃんの一番弱いところを目指して舌を伸ばした。理奈ちゃんも理解したのか、体を少し前に倒し、秘裂の上の方まで俺の舌が届くようにしてくる。
 つんっ…つん…れろっ、れろ…
「ああっ! ああっ、冬弥君っ…いい!」
 理奈ちゃんが綺麗な声を上げながら、悶える。舌の上に、彼女の恥ずかしい液体がとろりとろりとあふれ出してきた。
 その時、俺のペニスがつかまれる。由綺だ。
 見えないところで騎乗してこようとしている由綺を想像しながら、俺は理奈ちゃんの小さな突起をしつこく舌で責め続けた。
 …ぬちゅっ。
 ほどなく、俺のペニスはあたたかくてぬるぬるした由綺の中へと導かれていく。由綺には前戯なんか何もしていなかったのに、由綺の中はもうたっぷりと濡れていた。俺の視界から消えていた間に、何をしていたのやら…
 ずちゅっ、ずちゅっ…
「あ…あっ、冬弥君っ…いいよぉっ…!」
 由綺が腰を振り始める。俺のペニスが由綺の中で締め付けられ、きつい刺激を受け始める。さっき出したばかりだと言うのに、理奈ちゃんのあそこを舐めている間にすっかり復活してしまっていたようだった。
 ぐっ。
 俺は理奈ちゃんのヒップを押さえて、軽く持ち上げる。理奈ちゃんは俺の腕の力に逆らわず、そのまま腰を浮かせた。
「ねぇ由綺…理奈ちゃんの胸を揉みながらキスして上げて」
「えっ…!」
「と、冬弥君…」
「そ、そんなの…あっ!」
 俺がまた顔を上げてあそこをひと舐めしてあげると、理奈ちゃんはかくんと腰を落としてくる。俺はいくぶん息苦しさを感じながらも、再び理奈ちゃんの敏感な部分を目指して舌を伸ばし、そこを念入りに転がし始めた。
「理奈ちゃん…」
「ゆ、由綺っ…だめよっ…そこは…んんんんっ…!」
 二人の声が途絶える。キスしているのだ。女の子同士で。きっと、由綺は胸も揉んでいる事だろう。
 ちゅく、ちゅっ…れろっ、れろ…れろんっ
「んんっ、んんーっ、んんんっ!」
 理奈ちゃんが苦しげな声を上げている。しかし声の端々には甘さが感じ取れたし、俺の舌の上には理奈ちゃんの愛液がどんどんあふれてきている。理奈ちゃんは元々敏感な方だ。三ポイントの同時の刺激に感じないはずがない。
 ぐぐ。
 俺はまた理奈ちゃんのヒップを押さえて持ち上げる。
「うん、由綺、もういいよ」
「んふっ…」
「ぷはっ…はぁ…理奈ちゃん」
「由綺…私…」
 二人の声は嫌そうな物を何一つとして帯びていなかった。女の子同士でキスして、純粋に感じる事ができていたのだ。
「理奈ちゃんっ。由綺のあそこの…俺の今舐めていた所を指で触って、こすって」
「え…」
「わかるよね?」
「ク…クリトリス」
「そう…」
 俺が言わずとも、理奈ちゃんが言ってくれた。そんな言葉を理奈ちゃんが発するなんて、1年半前に想像できただろうか?
 しばし沈黙が生まれ…
「……あっ! 理奈ちゃんっ…!」
 由綺の嬌声が上がる。
 ちゅぱっ、ちゅる…
「んんぅっ…!」
 俺はまた理奈ちゃんのあそこを舐め始める。二回目だというのに、やはり理奈ちゃんは不意をつかれたような感じで腰をかくんと落とした。
 ずぐっ、ずぐぅ…
「あ…ああーっ…冬弥くんっ…!」
 そして由綺の中を突いてやる。止まっていた由綺の腰が、がくがくと動き始める。
 ちゅぱ、ちゅぱっ…ちゅぅ…
「あっ、あっ、ああー…理奈ちゃんっ…理奈ちゃん」
「ゆ、由綺…気持ちいいの?」
「う、うんっ、うん…理奈ちゃんの指、気持ちいいよぉっ」
 由綺の乱れっぷりが、俺の耳にもはっきり届いてくる。
「…私も…冬弥君の舌で、感じちゃうっ…!」
 そこへ、理奈ちゃんが叫んだ。
 じゅわっ…
 同時に、俺の舌の上へ大量の愛液がにじみ出てくる。
「と、冬弥君の舌、気持ちいいっ…もっと…もっと、舐めて…!」
「り、理奈ちゃん…わ、私も気持ちいいっ! 冬弥君のおち○ちん、気持ちいいっ!」
 ぢゅぐ、ぢゅぐ…
 由綺の熱い粘膜が俺のペニスを激しく刺激してきた。俺の中から、また熱い物がせり上がってくる。
「と、冬弥君…もう…私、ダメっ」
「わ、私も、私もっ、イクっ! 冬弥君、私イッちゃうよ…!」
 二人は互いを煽るかのように叫び続けていた。
『イ、イクーっ…!』
 そして、二人の声が美しいハーモニーを形成し…
 ビクンビクンビクンッ…
 びゅっ、びゅっ、びゅっ。
 俺は絶頂した由綺の中に、激しく射精していた。
「あっ…冬弥君っ…冬弥くんっ」
 ビクッビクッ…と痙攣しながら、理奈ちゃんは俺の顔にあそこを押しつけてくる。
「わ、私も中に出してくれなくちゃ嫌よっ…冬弥君…由綺だけ出してあげるなんて…ずるいっ」
 そう言う理奈ちゃんの言葉を聞いても、理奈ちゃんに人一倍独占欲や嫉妬心があるのは確かなはずだ。由綺はどうなのかわからないが…
 なのに、どうして俺は二人を愛し続けている事ができているんだろう? この状態が、維持され続けているんだろう?
 その正解はわからなかったけれど…俺はただ、この今の皆でつながっている感覚に身を委ねていくことにした。



10/25
(10/16続きですね)
 …ぽたっ。
 …ぽた…
 誰もいない楽屋に、秘やかな水滴の音が響く。静かな水面を叩いて、その水面の下にゆらゆらと混ざり合っていく音だ。水面も、水滴も、共に透明。そして水面は、それほど大きくない容器の中に閉じこめられている。
 弥生の手にしたスポイトから垂れ落ちる雫は、極めて静謐な形で容器の中の液体に交じり、その痕跡を失っていった。スポイトの中にある液体が全て水面の中に混ざってしまっても、混ざる前と全く変わった様子はない。
「………」
 手にしたスポイトをハンドバッグの中にしまい、弥生は何事もなかったかのようにねじ式になった容器のフタを閉めていった。フタの先がストロー状になっていて、そのまま中身を飲めるタイプの軽い水筒だ。白地に、スポーツドリンクの商品名とメーカーの名前が青い文字で印刷してある。
 …きゅ。
 最後までフタを閉めてしまうと、テーブルの上に乗っていたその水筒は、弥生がこの部屋に入ってくる前と全く同じ状態になってしまった。恐らく、弥生が手を触れたと言うことに誰も気づく事はできないだろう。
 強いて言えば、スポイトの中の水滴にはかすかに匂いがついているというのが微細な痕跡かもしれない。しかしそんなものは、スポーツドリンクのほのかに甘く酸味をもった香りの中へと完全に混ざり込んでしまっていた。
 コツ、コツ…
 ハンドバッグを手にし、ヒールの音を響かせて、弥生は楽屋の入り口に歩いていく。いつも通りの、無機質な歩き方だ。
 …がちゃ。
「…あ」
「あら…」
 その時、不意にドアが開く。その向こうから、ステージ衣装に身を包んだ理奈が顔を出していた。
「緒方さん、収録では?」
「…次の収録の予定が押しているから一度帰ってきたんです。篠塚さんは?」
「由綺さんの忘れ物を取りに参りまして」
 弥生はハンドバッグから、小さな髪留めをのぞかせて理奈に示す。
「今日は由綺、後ろで縛っているはずじゃ」
「いえ、これは由綺さんの私物です」
「…そうですか」
 理奈はそう言うと、弥生の横をすり抜けて楽屋の中に入っていく。理奈の手にした、テーブルの上に乗っているのと全く同じ型の水筒はカラカラとストローの揺れる音を立てていた。空になっているのは間違いない。
 …きぃっ…
 少し乱暴に理奈が押し出したドア。そのノブを弥生は滑らかにつかんで開き、その隙間から楽屋の外に消えていった。
 …かちゃん。
 微かな音を立てて、楽屋のドアは綺麗に閉まった。


 カンッ…
 照明がほとんど落ちた、暗がりに満ちたスタジオ。
 そこに、決定的な意志を感じさせる強い足音が響いた。恐らく普通のスニーカーか何かのゴム底なのだろうが、あまりに沈黙に支配されている闇の中ではそんな音でも極めて硬質に、固く響く。防音の設備が整えられているスタジオの中なのに、とても大きく響く。
 また、その音がこの暗がりの中で唯一ライトの当たっている辺りから響いてきたという事も、その音の意志性を強く感じさせるのに一役買っていた。明と暗をきっちりと分けるには程遠い、やんわりとした暖色系の光。それがひとつだけ、一段高くなったステージの横を照らしている。
 その音が闇の中に消えていくのに合わせて、光の中で二人の人間が向き合った。
 背丈からすれば、片方が男でもう片方が女。二人とも、このステージが昼間扱われているような華やかさを感じさせる服装ではなく、趣味の良さは感じさせるものの普段着と言って間違いない服を着ていた。
 冬弥と、理奈だった。
『………』
 少しずつ冬弥が顔を理奈に近づけていくのに合わせて、理奈の目が閉じていく。その理奈の唇に冬弥はそっと己の唇を合わせた。
 しばしの間、二人は無音的に口づけ合う。時が止まったような、静かで落ち着いたキスだった。だがそれはゆるやかに崩れ、理奈が冬弥の背中に手を回し、冬弥が理奈の背中に手を回しする間に二人の情熱が高まっていく。より深く唇が重なり合い、わずかながら冬弥の舌が理奈の唇の間に差し込まれて蠢く。
 そうされると、理奈は鼻腔から感極まったような呼吸を漏らした。腕に入れた力が抜けて、ややもすると膝からかくんと崩れ落ちてしまいそうだ。そんな理奈を、冬弥はよりしっかりと支えてさらに深く舌を差し込んでいった。
 冬弥の舌はぎごちないながらも積極的に理奈の舌をなぶり、腕は力強く理奈の背中を抱きしめる。無我夢中のままのディープ・キッスだったが、理奈は完全にその虜になってしまったようだった。普段の気の強さなど、全く感じさせないほどに弱々しい瞳が揺れる。
「…んはぁ…」
 長いキスを終えて唇を離すと、冬弥は何か大仕事をしたかのようなため息をついた。
「…はっ…! はっ…! はぁっ…!」
 そして理奈は、それとは比べ物にならないほどに呼吸を荒くしていた。泣きかけているかのような、かすれた速い吐息が冬弥の心を打つ。それに加えて、冬弥の腹の辺りには理奈の心臓の鼓動が激しく響いてきていた。
 冬弥は、思わず少し乱暴な手つきで理奈のスカートに手を伸ばしてしまう。
「…あっ」
 理奈が、一瞬身体を引いた。
「…ご、ごめん」
 冬弥も、我に返ったような声を出して身を引いてしまう。
「い、いいの。ごめんなさい…」
 だが理奈は謝りながら、自分の体を冬弥の体に押しつけた。そのまま、求める瞳で冬弥の事を見上げる。
「…嫌だったら、言ってよ」
 冬弥は、今度は少し冷静な手つきで理奈のスカートの裾に手を伸ばし、そこからまくり上げるようにして手を侵入させる。
 ぴと…
「…あ…!」
 目測で動いているために、イレギュラーな動きをする冬弥の手。それが太股の部分に触れると、理奈は冬弥が少し驚いてしまうほどに脚を痙攣させた。
「大丈夫だから…理奈ちゃん、大丈夫だから」
「う、うん」
 冬弥は言って、そのまま太股に張りついた手をゆっくり上にスライドさせていく。そこをたどっていけば、目的の箇所に間違いなくたどりつけるという確信があった。
「…あ。………あ…」
 理奈はその冬弥の動きに、脚をもじもじと動かす。
「大丈夫、だよね?」
「う、うんっ…」
 冬弥の声に、理奈はかくかくと首を縦に振る。何かを怖がっているかのようなその理奈の反応を訝しがりながらも、冬弥は理奈がこういう事に慣れていないのだと思って納得した。
 …ふにゅっ。
「!!」
「あっ」
 その時、冬弥の手に柔らかい生地で包まれた、さらに柔らかな部分の感触が生まれる。いつの間にか、理奈の脚の付け根までに到達していたのだ。
 じゅん…っ
「…え?」
「あ、あっ…いやああぁ…」
 生暖かい、湿った感触。冬弥は自分の指の先に生まれたそれを理解するのに、かなりの時間を要した。
「ち…違うの…私…なんだか…」
「り、理奈ちゃん、落ち着いてよ」
「違うの。私、こんなじゃない…なんで…」
 理奈は唇を噛みしめながら、肩を震わせている。目からは涙があふれそうになっていたが、吐息は相変わらず荒いままで、頬は弱い照明の中でもはっきりわかるほどに紅に染まっていた。
「…大丈夫。俺を信じて、理奈ちゃん」
 何を信じさせるのか自分でもわからなかったが、冬弥はできる限り強さを感じさせる口調で言う。
「………うん…」
 理奈はうつむいてしまったが、それでもかすかにうなずいた。
「ねぇ、自分で…脱げる?」
「え…」
「俺が…やってもいいんだけど…」
 冬弥は言いにくそうに言った。
「…わかったわ」
 理奈の声に、冬弥はいったん背中に回していた腕と、濡れたショーツから少しだけ退いていた指を戻して理奈の体から離れる。
 …しゅるっ。
 照明の中央から少し離れた所で、理奈がスカートの中からショーツを脱ぐ。程良く装飾がほどこされた乳白色のそれから目をそらしながら、理奈はショーツを半分に畳んでステージの上に置いた。それから、降り積もった落ち葉のような色をした厚めの生地のスカートを脱いでいく。
 おそらく、ショーツを先に脱いだのは、明らかに一部分が変色して理奈の反応を露骨に示している下着がはっきり見えてしまう事を恐れたからだろう。ぴったりと体にフィットした下着は、スカートを脱いだ状態では液体がどのような形で付着したのかを明白に示してしまうはずだ。
 …ぱた…
 理奈はスカートも畳むと、濡れたショーツの上に重ねた。隠そうとしている意図は明らかと言える。
「…こ、これでいい?」
 暗がりの方から、前の部分を隠して理奈は問う。
「うん…理奈ちゃん、座って、それで床に手をついてくれる?」
「…え…」
「い、いや、その方が服が汚れないだろうし、それに…」
「うん…」
「理奈ちゃん、こういうコトするの…」
「は、はじめて…なの」
 冬弥の声に、理奈は顔をさらに赤くしながらもすぐうなずいた。まるで、冬弥が別の判断を示すのを怖がっているかのようだ。
「う、うん、そういう時は、後ろからの方がいいんだって聞いたことあるから…ウソかもしれないけどさ…」
「あ、あ…そ、そうなんだ」
「理奈ちゃんがいやだったらいいんだけど」
「う、ううん、わかった、そうするわ」
 こくり、とうなずいて、こくんと唾を飲み込む。
 そして理奈は明かりからやや遠ざかった位置のまま、冬弥に背を向けて、膝を立てて床に座った。そのまま、体を前に少しずつ倒して、腕を前についた四つん這いの体勢になる。
「こ、こう…?」
「うん…」
 両脚をぴったりと閉じた理奈の体は、位置関係の差もあってとても小さく儚いものに見えた。それだけに、突き出された丸いヒップの露出はエロティックな物として冬弥の視界に飛び込んでくる。
 冬弥はそれを見ながら、自分のペニスを隠している着衣を手際よく取り去っていった。金具や衣擦れのかすかな音を、理奈はどんな風に聞いているのか。あまりにも弱々しく見える理奈の肢体は、冬弥にそれを想像させる事を拒んでいた。
「理奈ちゃん…少しだけ、脚、開ける…?」
 暗がりの中に冬弥もまた足を踏み出して、そう訊く。
「…こ………これ…くらい…?」
 ほんの少し、指が一本通るか通らないかといった広さにだけ、理奈が脚を開く。
 冬弥も不十分だとは思ったが、それ以上理奈に要求するのは酷だと思い、理奈の後ろに座るような体勢から指を伸ばしていく。
 くにゅっ。
「あ…」
 弾力のある太股の隙間を通過すると、理奈が息を吐き出した。
 そのまま、指をもっと伸ばして、理奈の恥丘の膨らみを触りにいく。
「あっ…ああっ…!」
 指一本の長さで何とか到達できるところまで伸ばして、揺さぶるように動かすと熱く潤った部分を指がかすめた。
 …ちゅ…ちゅく
 冬弥は指を何回か跳ね上げて、そこを叩くように刺激しながら理奈の力が抜けるのを誘う。案の定、理奈はすぐに脚に入れる力を失って、冬弥の手全体が脚の間を通るのをやすやすと許した。
 ちゅく…ちゅくちゅくっ、くちゅんっ
「い、いやああ…やだ…恥ずかしい…」
 ヘアの間から侵入した指が秘裂の中をかき回すと、あふれかえるような水音が立つ。何も知らない冬弥が指を動かしているだけだと言うのに、理奈の割れ目の中はお湯のようにどろどろと溶けてしまっていた。理奈は悲痛な声を上げながら、自分の痴態に涙する。
「も、もう、いい?」
「…はっ、はぁっ、はぁぁぁっ…はぁっ」
 冬弥は指を止めて訊くが、理奈はしばらくの間呼吸を整えるだけで精一杯といった様子だった。
「こほっ…はぁ…う、うん…いい…」
「…じゃあ。いくよ」
 そう言いながら、冬弥はペニスを理奈の濡れそぼった部分に近づけていく。全体が濡れに濡れてしまっているために入り口を探すのは一苦労だったが、今の愛撫の間に冬弥は何とか肉の隙間らしき物を淡い光の中に見つけだすことができていた。
 ぬちゅ。
 先端が当てられただけで、理奈の秘部は濡れた音を立てる。
「力、抜いてね」
「うん…」
 数秒間、理奈の熱い呼吸が暗闇の中にただ響きわたった。
 …ぬぢゅっ…!
「う…んっ」
 ふんだんな熱い潤いの中にペニスが侵入していくと、理奈が小さくうめく。
「力、抜いて…」
 ぬぢゅ…ぬぢゅぅっ…ぢゅ
「あっ…あっ…あっ!」
 理奈の声がソプラノに高まり、そして鋭く裏返った。
「あ…ああ…ああぁぁっ…ぁ…」
 脱力した理奈の声、潤いの中を伝う確かな赤い筋。理奈は確かに処女だった。それを、冬弥に今捧げた。
「…痛かったでしょ…ごめん」
「だ、大丈夫…冬弥君、好きに動いて…」
「…ごめん」
 冬弥はもう一度謝ってから、ペニスを半分まで抜いて、再び差し込んだ。
 ぬぢゅ…ぢゅぐっ
 重く愛液と破瓜の血液が絡み合い、理奈のヴァギナの中を脈流のように駆け巡る。理奈は小さい悲鳴を上げた。
「痛い…でしょ?」
「…うん…少し」
「我慢しててね…速く終わるようにするから」
 ぬぢゅっ、ぢゅぐっ、ぬぢゅっ…
 冬弥は心を痛ませつつも、理奈の腰をぎゅっとつかんで腰を前後に動かし始めた。
「う…あ…ああ」
 理奈はうめきともため息ともつかない、詰まった声を漏らす。冬弥はそれを気にすることなく、自らのペニスがより強く刺激を感じるように動くことにした。どのように動けば痛みが薄れるかという知識がない以上、そうするしかなかったのだ。
「理奈ちゃん…痛いよね。俺は、すごく気持ちよくなっちゃったけど…」
「い、いいの…大丈夫だから」
 理奈の声が、体全体を揺さぶられて少し震えていた。
 ぐぢゅっ、ぐちゅ…
「う…理奈ちゃん…」
 実際、理奈のヴァギナ中は女性の体を初めて感じる冬弥にも、大きな魅力を感じさせるほど快感だった。処女のためか狭く、締め付けがきついのにあふれてくる粘液はとてつもなく豊富で、尽きる事を知らない。それが、美しく才気に富んだ理奈の体の中なのだと思うだけでも冬弥は激しい興奮を覚えた。
「と、冬弥君…私…私っ…」
 あっという間に射精感まで導かれてしまった冬弥に、理奈が叫ぶ。
「冬弥君が、好きっ…! 本当に、どうしようもないくらいに好きっ…信じて…!」
「理奈ちゃん…俺も…愛しているっ…」
 情熱的な理奈の声が、冬弥をさらに高ぶらせ、激しく理奈の中を衝く動きをもたらした。
「あっ、あああああーっ…ず、ずっと…ずーっと、一緒にいたいの…だから…こんな私でも、嫌いにならないで…お願いっ…! 好きなの…! 冬弥君が、好きなの…!!」
「俺も…ずっと理奈ちゃんを愛しているっ…!!」
「ああっ…もう…わからないっ…冬弥君、好き…! 好き、大好…き…」
 理奈の中が、ぎゅうううっと強烈に締まる。
 ビクッ…ビクゥッ…ビクン…!
 知性と美を兼ね揃えた相貌が快感に乱れ、すらりとしたヴァージンの肢体が勢い良く飛び跳ねる。理奈は、はじけ飛ぶような激しい絶頂を迎えていた。
 …びゅっ、びゅっ…びゅ
 その締め付けに耐えきれず、冬弥もまた理奈の中に放出する。
「はぁ…はぁ…」
「うっ…ひくっ…うぅっ…」
 理奈は、未だにピクピクと全身を震わせながらしゃくりあげるような音を出していた。冬弥はその中にペニスを入れたまま、感慨と憂いに浸っていた。その感慨のひとつには、処女の理奈をイカせてしまったという事実があったのには間違いない。
 それを「緒方理奈」をイカせたという事実にすり替えるという甘美な誘惑を、冬弥は必死に諌めていた。


 …かしゃっ。
 小型のヴィデオ・カメラの中から、テープが取り出される。
 闇の中で、弥生はペンライトの明かりを頼りにそのテープをケースに閉まった。そして、闇の中でわずかに口の端をゆがめて、笑みを浮かべる。
 コツ、コツ、コツ…
 暗いスタジオの中で、あまりに純粋な靴音とでも言うべき物を響かせて、弥生は特殊なヴィデオ・カメラの見聞きしたものを大切そうにハンドバッグの中にしまった。



8/13
 右手の指で挟み込まれたニプルが、ぷるぷると弾かれて揺れる。
「んん…」
 その快感を固定するかのように、理奈は数回乳房を揉んだ。サイズは特別に大きいというわけではないが、白く滑らかで張りがあり、形良く整っているバストだ。水着姿のグラビアなどで、ごく稀にその一部分が目に触れるだけの場所…そこを、理奈自身がいじくっているなどと純粋なファンは想像しないだろう。
 だが白とベージュを基調にした、柔らかな照明に彩られる部屋の中で理奈は独り全裸になっていた。髪も完全に下ろしている。普段の、演出で映えている彼女とは全く違う極めて普通の20歳の女性としての姿である。私服であっても理奈自身のハイセンスに基づく演出が介在してしまう以上、その束縛から解放されるためには全裸しかあり得ないのだ。
「あ…」
 もっとも、それを理奈が望んでいるかどうかは別問題である。
 左手がクレヴァスに触れた瞬間、理奈が見せた表情は恥ずかしさの中に憂鬱をたっぷりと湛えたものだった。もしそれが服に身を包んだときの表情だったなら、部屋のムードと相まって品の良いドラマのワンシーンのように見えた事だろう。
 しかし、ややつり目がちの美女が落ち着いたコーディネートの部屋の中でソファーに座りながら自慰をしていた場合、そのちぐはぐさはどこに行き着くのだろうか?
「あ…!あ…!」
 指がクレヴァスを開いて、一点を集中的にこすり始めると、理奈が目を固く閉じて押し殺した声を出した。
「うっ…うっ、ああーっ…はぁっ」
 右手で胸を揉む動きと合わせて、左手が性器を責める。動きは右手の方が大きかったが、感じ方は左手のもたらす方が断然大きい。胸は少し熱くなるような感覚が生まれるだけだが、性器のもたらす快感は理性を奪っていくような強烈さがあるのだ。
 見た目にも、理奈が段々指の動きを強めていく様子は、性器の生む快感に理性を奪われていくプロセスに感じられる。どんなにハードなスケジュールや、ライブの後でも残しているはずのクールさと余裕というものが、今の理奈には全くなかった。
 だから、身体の変調にも気づけなかったのだろう。
 くちゅくちゅっ…
「…え?」
 少しずつ顔をそらせ、行為に溺れていく状況の中で生まれた水音。理奈は我に返って、自分の性器を見つめる。
 ちゅく…
「………」
 性器から抜いた指は、粘った液に濡れていた。
 おそるおそるクレヴァスをくつろげてみると、ピンク色の粘膜がぬめりのある透明な液体に濡らされているのがわかった。まじまじと怖いものを見るように見つめている様子からすると、初めての経験だったらしい。理奈の顔が真っ赤になっていた。
 実際二十歳の誕生日を処女で、性に完全に無垢で迎えた理奈にとっては愛液を見る経験が初めてであっても不思議ではない。
 ぽた。
「あっ、あっ…」
 理奈が慌てて腰を持ち上げる。クレヴァスの間から、液体が糸を引いてソファーの表面に垂れたのだ。
 ぽた、ぽた。
 しかし、それでも少量ながら液体は垂れ続けた。ミルク色のソファーの上に、小さなシミができる。理奈は手で液体が垂れるのを何とか防ぎながら、立ち上がった。
「………あぁ…」
 ちょっと身長が高めのはずの理奈が、とても小さく見える。きちんと直立していないという事もあるのだろうが、それ以上に弱々しく見えるのだ。
 くちゅ。
 再び理奈が秘裂の中に指を戻す。
 くちゅ…くちゅ、くちゅくちゅ…
「んぁ…」
 激しいこすり立てを始めながら、理奈は淡い光を放っている天井の照明にぼんやりとした視線を向けた。垂れてくる液体は右手で受け止める。あまり量は多くなかったために手の平からあふれるという事はなかったが、あられもない理奈の姿は何かを強制されているかのような惨めさがあった。
 いつもと違ったぬるぬるした感触が秘核を責める。理奈は、興奮するのを禁じ得なかった。ねばねば、ぬるぬるという感覚はおよそ理奈の美的センスからは遠いものだが、それゆえに狂おしいような性感が理奈を襲うのだ。
 2分もしないうちに、理奈は昂(たかぶ)りきってしまった。
「ひぃっ…」
 ぐりっと秘核を押し込んだのをとどめに、理奈は絶頂を迎えてしまう。ビクビクと腰が震えるのが自分でも分かった。軽い痙攣なら経験した事はあるが、全身が崩れ落ちてしまいそうな痙攣など初めてのことである。
「あ…ああっ…あぁ…」
 痙攣が収まってから、理奈はやっと顔を下げた。
 ちゅぷっ。
 左手を出して、テーブルの上にあったティッシュを数枚連続で引き抜く。何枚かはあっという間に液体で湿ってしまったが、枚数を重ねていくうちに乾いた部分が残るようになってきた。
 理奈はそれでまず右手を拭いた。そして右手が綺麗になると、クレヴァスの周りを拭き、それから中の方もそっとふき取る。
 終わる頃には、巨大なティッシュのボールが出来上がってしまっていた。
「…はぁ」
 冬弥に抱かれるのが近いと思っていたときに始めていた習慣だけが残り…冬弥は去っていった。
 他にも残ったものはある。由綺との友情、私情を優先しないというプライド、アイドルとしての名声、兄。積み上げていった時に、冬弥と比べてどちらに天秤を傾けるのか迷ったもの達だ。
 理奈が知らなかったのは、手に入らなかったものは重みを永遠に増し続けるという事である。
 それに比例して、副次的な習慣もまた重みを増してしまったのだ…


6/6
 くちゅ、くちゅ、くちゅ、くちゅ。
「ふ…ふぁ」
 水っぽい音に、切なげな声が重なる。
 控え室に置かれたベッドに座って脚を開いた由綺。その秘裂には、すらりと細い二本の指が侵入してひっきりなしに刺激を与え続けていた。かなり手慣れた愛撫である。乱暴さと繊細さを巧みに織り交ぜており、動きのバリエーションも豊富だった。
 由綺は惚けた顔のまま、与えられる快楽にただ身を委ねている。背を少しだけ反らせて両手を後ろについた体勢は、為されるがままといった印象が強い。
 愛撫をしているのは…理奈だった。
 自らも身に何も纏わず、右手だけで由綺の秘部をいじくるタッチ。どこかダンサブルなイメージすらある。確かに、女性の身体を責め立てて嬌声を引き出す営みは、どこか楽曲的な営みに似ているかもしれない。それを知ってか知らずか、理奈の指の動かし方は極めてリズミカルだった。
 理奈自身も、無刺激で奉仕的な愛撫をしているわけではない。左手はしっかりと自らの秘裂に当てられており、思うがままの刺激を与えていた。由綺に負けず潤滑の液は豊富であり、四つん這いになった太股には透明な液体がたらたらと伝ってしまっている。
 万が一他人に見られたなら、スキャンダラスというだけでは済まない情景だった。だが、この部屋の外では弥生が見張りを続けているのだ。二人に誰かが入ってくるのではなどという心配は全くなかった。
「由綺…もう…いいかしら…」
「う…うんっ、理奈ちゃん、私、もう欲しい」
 こくこく、と由綺が頭を縦に振る。
「私も…もう我慢できないわ」
 理奈ははいずるようにしてベッドに上がった。由綺は身体をベッドに倒して理奈を待つ。
 枕の側に頭を置いて寝転がった由綺に対し、理奈は逆の方向に頭を置いて、同じように寝転がった。そして身体をゆっくり由綺の方に近づけていく。
 すぐに脚と脚が絡まっていき、身体同士の密着度が増していった。必然的に濡れそぼった部分の距離も縮まっていき…
 ぬちゅっ。
「………!」
「うっ…」
 ついには、密着する。いわゆる松葉の体勢で、二人は身を交わらせたのだ。
 ぬち…ぬちっ
「あ…ああ」
「い、いいっ」
 二人は悦びの声を上げながら、微妙に身体をスライドさせ合って秘裂がこすれ合う快感をむさぼった。目の前に来た互いの脚を抱きしめるように強くつかみ、必死で腰をくねらせる。直接的な刺激ではないにしろ、先ほどの愛撫でクリトリスを露出させている二人にとってそれは十分な性行為だった。
 ぐり、ぐりっと理奈が強烈な動きを加え、由綺がぴくぴくという痙攣にも似た動きでそれを捉える。その度に重なり合った秘裂はいやらしく変形し、愛液がほとばしって互いの身体に垂れかかった。
「由綺…私、もう」
「私、私も」
 お互いの確認の声が上がると、腰の動きがますます強くなる。ぐちゅぐちゅ、と粘膜の絡まり合う音が響きわたっていった。同時に、熱いものが腰の奥からせり上がってくる。
「あ…ひっ、駄目っ!」
「いっ…いっちゃう」
 ひくひくっ…と腰が震えたと思うと、ビクンっと二つの絶頂が合一した。
「あ…あ」
「はぁ…はぁっ」
 二人はその体勢のままで、恍惚とした表情を浮かべたまま余韻に浸っていた。
 その時、まさか二人は巧妙に隠されたレンズが一部始終を記録していたなどとは思っていなかっただろう。弥生があらゆる事に水の漏れる隙間もないほどの管理をしていると、二人は彼女を信頼しきっていたのだから。
 やがて身体を起こした二人は、深い口づけを交わして行為を終えた。