Daily-EROtic 詩子

12/22
 かちっ…かち…
 詩子が二回電灯の紐を引っ張り、部屋は淡いオレンジの光だけに満たされる。
「お休みなさい…」
 そして、先客のいるベッドの布団に詩子はもぐりこんだ。
 既に半分眠りかけている、その小さな体躯は澪である。
「柔らかいベッドだよね」
「………」
 澪がこくんとうなずく。
「ゆったりしていて、おおきいし…」
 確かに詩子と澪が寝転がっても、まだ十分にスペースが余っていた。ダブルベッド並みの大きさがある、しっかりした作りのベッド。浩平の叔母、由起子の部屋に置いてある物だった。
 二人がこの部屋で寝ることになった理由は…浩平の家での、泊まりがけのクリスマスパーティだ。浩平と茜が、二階にある浩平の部屋で寝ることになるのは暗黙の了解である。残った詩子と澪は、由起子の部屋で寝る事になった。由起子はクリスマスだと言うのに、家に帰ってきていない。
「折原君と茜…今頃、もう…」
「……?」
 詩子がつぶやくように言うと、澪は何回か目をしばたたかせた。
「澪ちゃん…そっか、わかんないか」
 こく…とうなずいてから、澪は枕元に置いてあったメモ帳に手を伸ばした。スケッチブックを置いておくのは邪魔すぎるという事で、リビングにあったメモ帳とペンを持ってきて置いたのだ。
『寝る、って言ってたの』
「そだね…寝てる、だろうね…」
『お酒を飲んだら眠くなるって言ってたの』
「茜は強いし…折原君も、結構途中から抑えていたし…」
 はぁ…と酒気を帯びた吐息を澪の髪の毛に当てながら、身体を寄せる。
「お楽しみの真っ最中…かな…」
 詩子が言うと、澪は少し考えてから、メモ帳のページをめくってペンを動かした。
『遊ぶの?』
「うん…遊んでる…だろうね」
『ずるいの』
「ずるいね…」
 詩子は澪の頭を撫でながら言う。澪はしばらくそのまま詩子に身を預けていたが、
『遊ぶの』
 不意に詩子の手から抜け出ると、メモ帳にそう記した。
「澪ちゃん…」
『遊ぶの』
 澪が、メモのページを詩子の目の前にぐぐっと押しつけてくる。いつもに増して子供っぽいその仕草は、澪の身体にもアルコールが回っている事を思わせた。
 明日になれば、今日の事などすっかり忘れてしまうかもしれない。
「遊びたいの…澪ちゃん…」
『遊ぶの』
 ページを見せつけながら、うんっと大きくうなずく。
「私も…澪ちゃんとなら、遊んでもいいかな…?」
『遊ぶの』
 澪がもう一度メモ帳を見せてから、それを枕元に置いてベッドから立ち上がろうとした。
「待って、澪ちゃん…ベッドの中で、遊ぼうよ…」
「…??」
「澪ちゃんの知らない遊び方…教えて上げるから…」
 詩子は毛布を顔の近くに引き寄せながら言う。首筋を撫でる柔らかい毛の感触が、アルコールで熱くなった身体をぞくぞくと痺れさせた。
 …こくん。
 澪は頭を縦に振り、詩子の方に引っ張られた毛布を自分の方に引き戻すようにして布団の中へ戻る。
「…澪ちゃん…」
 詩子は澪の無垢な好奇の瞳を見つめながら、澪の体にぴったりと身をくっつけた。そして、澪の背中に腕を回して抱き締める。
 …ちゅ…
「…!?」
 そしてすぐ近くまで迫っていた澪の唇へ、詩子は口づけた。
 ちゅっ…ちゅく
「っ……っっ………」
 澪が二、三度身体をよじらせて逃げようとする。しかし詩子が優しく舌で澪の唇を舐め上げていると、澪の身体からするすると力が抜けていった。
 ぬる…
 詩子がやや強引に舌を割り入れると、澪の唇は防ぎきれずにその侵入を許す。
 ぬっ…れろ…れろん…
 甘いアルコールの香りに満ちたその口内を、詩子は舌で静かに撫でた。澪の柔らかな舌を、ときほぐすように少しずつ舌でくすぐる。こぢんまりと整った前歯を、溶かしてしまいそうなほど何度も何度も舐める。
 ぬちゅ…ちゅく、ちゅく
 詩子が唾液を送り込むと、澪は耐えきれなくなったようでそれを素直に飲み込んだ。詩子の肌が、サッと汗ばむ。とてつもない悪事をしているような、極めて自然な事をしているような、その二重の感覚に詩子は囚われていた。
「んっ…んんっ…んふ…」
 ぬちゅっ、ぬちゅ…
 あまり豊かでない胸の膨らみを、互いに押しつけ合う。そう、澪は舌を動かして応える事はしなかったものの、詩子の乳房の圧迫には身体を前に押し出すことで応えていた。詩子のニプルは、控えめなブラジャーの下でたちまちにピンと尖っていく。
 詩子は、澪の胸がどういう状態になっているのかを確かめたいという欲望に逆らえなかった。唇と唇を軽く合わせた状態を維持しつつ、詩子は澪のパジャマの胸元に手を入れる。
 ボタンのついていないゆったりとした澪のパジャマは、詩子の手の侵入を簡単に許した。詩子はその先にあったすべすべした生地のブラジャーの中に指を滑り込ませ、ずらす。詩子よりも未熟な膨らみを包んでいたブラジャーは、詩子が少し手を動かすだけで簡単に外れてしまった。
 くりゅっ…
 しかしそのほのかな膨らみの先は、詩子に負けないほど固くしこっている。詩子は指先でそこをつまみ、くにくにとしごき始めた。
「んっ…ふぅ…ん…」
「……っ………ん…」
 荒くなった呼吸と呼吸が唇の隙間で混ざり合い、漏れている。あたたかな存在感を持ったその気体が、澪の胸の所までこぼれ落ちて染み込んで行くかのようだった。詩子は激しく興奮し、澪の股間に己の敏感な部分をすりつけ始める。
 しゅっ…しゅ
 澪はすぐに詩子の動きに合わせて腰をくねらせ始めた。ナイロンのパジャマ同士が擦れ合い、隠蔽され乾いた響きを薄暗い部屋にもたらす。しかしその乾いた摩擦音の中で、詩子のショーツはじっとりとした潤いを帯び始めている。
 胸と同じように澪のその部分の状態を確かめたいという欲望が詩子の中に生まれるまで、そう長い時間は必要としなかった…
 ちゅる…
「………」
 詩子はいったん唇を離し、澪の胸元から手を出す。
 澪は不安に満ちた顔をしながら、濡れた唇から熱くなった吐息を漏らしていた。自分の体の中にある興奮は澪自身にもよくわかっているようだ。
 それについて、問いを発しようとしたのか、澪がメモ帳に手を伸ばそうとするが…
 しゅぐっ…
「!」
 詩子が乱暴な手つきで澪の下半身に手を伸ばすと、澪はびくっと身体を震わせて手を止めてしまった。
 しゅぐっ、しゅぐ…ぐしゅ…
「…! …!!」
 ショーツの上から指でこすり立てると、不自然にくぐもった音が響き始める。詩子は澪の身体が確実に官能を示しているのを見て、ますます激しく指を動かした。その食いつくような荒々しい愛撫に、澪は腰をビクッビクッと跳ね上げながら反応する。
 詩子はたまらず、自分のショーツの中へと指をつっこんだ。ぬるぬるした液体に濡れたヘアをかき分けて、自分の最も気持ちいい部分を澪にしているのと同じくらい激しくこすり始める。
 ちゅくちゅく…ちゅく
「うっ…うう…あ…」
 低いうめき声を出しながら、詩子は一瞬にして自分が高まっていくのを感じていた。
 まるで当然のように、澪のショーツを詩子の指がずりさげ…スリットの部分を直接触る。
 びくっ!
 無毛の柔らかい秘唇を詩子の指が割り開くと、澪はメモ帳を握りしめながら身体を跳ねさせた。詩子は指先に伝わってきたにゅるんという瞬間に、澪の幼い性器の形状をこれ以上ないほど感じさせられる。
 くりゅっ、くりゅ…くりゅくりゅ
「っ…!! っ!!!」
 幼いながらも懸命に勃起した秘核をいじめ立てると、澪がいやいやをするようにリボンを解いた髪を振りたくった。指先に絡みつくさらさらした愛液をたっぷりとそこに塗りたくって、詩子はぐりぐりっと強烈なバイブレーションを加えていく。
「…………!!?」
 澪が思い切り背中をぐぐーっと反らして、メモ帳をくちゃくちゃになるほど強く握りしめて…ビクンッと決定的な一瞬を迎える。
 ビクッ、ビクッ、ビクンッ…ビクンッ、ビク…!!
「ううー、うっ、ううーっ…」
 詩子は首を前に思い切り曲げて、声を出しながらの絶頂に達してしまった。澪の身体にも伝わっていきそうなほどに、全身が激しく痙攣している。
 ビクッ、ビク…ビク、ビク…ビク…ビクン…びくびく…
「う…うう…澪ちゃん…澪ちゃん、可愛いよぉ…」
 詩子はぼろぼろ涙を流しながら、未だ捉え続けている澪の小さな秘核を撫でた。
「っ! っっ!」
 澪はその度に身体をまた跳ねさせてしまう。メモ帳とペンをどうにかしてつかもうとしても、詩子が意地悪な動きを加えるだけで手を離してしまうようだ。
「ね、ねえ…まだ、遊ぼう…澪ちゃん」
「………」
 澪は涙に濡れた目で詩子を見つめ返し…やがて、震える手でくしゃくしゃになったメモ帳の紙を広げ始めた…



11/21
☆☆☆注意:こみパじゃないです(笑)☆☆☆
「迷ってる?」
「な…」
「南君、思いっきり迷ってる顔してるよ」
「…柚木さん…」
「そりゃあそうだよね」
「う…」
 けろりとした顔で言われても、俺はそう簡単にうなずくことなどできない。
「私だって、そりゃあ迷うよ」
「……えっと…」
「あ、南君ショック受けた」
「うう…」
 俺は頭を掻きむしった。
 どうして柚木さんがここまであっけらかんとしていられるのかさっぱりわからない。俺と柚木さんは裸だ。しかも俺がアレを出した状態で、柚木さんの体の上に覆いかぶさっている体勢。いつ挿入が始まってもおかしくない。
「私だって初めては茜にあげようと思っていたのに…折原君に取られちゃったんだもん」
「あげる、って…」
「冗談言っているように見える?」
「いや。わかんないからいい」
 ふぅぅ、と俺はため息をつく。
「里村も、折原みたいなののどこがいいんだか…」
「悪趣味だよねー」
「机を何段積み上げられるかに挑戦して、ひっくり返したときに俺の机にヘコミ作ったり…もう馬鹿かと思ったよ」
「すごいね」
「本当にアホかと思ったよ。4段だよ、4段」
「南君の愚痴また始まったね」
「あ……」
 俺は調子に乗って喋りだしていた事にやっと気づく。どうも里村と折原の話になると、俺は前後を見失ってしまうようだった。柚木さんにとっても共通の話だから、ちょっとしたきっかけでするすると話が伸びていってしまう。
「気が済んだ?」
 柚木さんがにこにこしながら言う。元から薄れていたムードは、ますます台無しになってしまったようだった。
「…ごめん」
「縮んだ?」
「…ないない」
 柚木さんに言われると、本気で縮んでしまいそうな気すらしてきてしまう。妙に得意げな顔をしてそんなことを言えるのは彼女くらいのものだろうが…
「じゃ、入れてもいいですか?」
「なんでですます調なの?」
「…なんとなく」
 多少空気が変わるかと思って勿体ぶった口調にしたのも、柚木さんにはまるで効果がなかった。
「………」
 もう俺は諦めて、柚木さんの体に自分の分身を何も言わずに近づけていく。
「固いっ」
「…そう」
 あそこの上にそれを押しつけた瞬間、柚木さんが驚いた声で言った。俺はもう諦めて、それには反応せずに柚木さんのソコを指で広げる。
「………」
 多少は動揺してくれることを期待していたのだが、その桃色の部分が見られても柚木さんは平気な顔をしていた。俺は本当に柚木さんがしたいのかと問いたかったが、ここまで来てそうするだけの踏ん切りの良さを俺は持ち合わせていなかった。
 …ひょっとすると、折原ならそれくらいやらかすかもしれないが。
「熱い〜」
 柚木さんがパタパタと足を動かす。
「………」
 俺は位置を微調整して柚木さんの入り口の所にまで動かしていたアレを、思い切り押し込んだ。
 ぐぐぐ…
 ちゃんと入るのか心配だったが、それは大丈夫だった。柚木さんの中は激しい抵抗を返してきていたが、俺が押し込もうとする動きで何とか進んでいけるくらいのものだ。
 ぐぐっ…ぐぐ
 あれだけ平気な顔をしている柚木さんの中がこれだけ必死な感じの抵抗を返してくるというのは、随分アンバランスな感じだ。柚木さんは俺が入れていってもやっぱり平気な顔を…
「あは、あはは…入ってくるね」
 している…のか?
 笑っている声はまぁ入れる前と同じと言っていいかも知れないが、表情にはさっきほどの余裕があるようには思えない。というか、明らかにちょっと引きつってきている。
「柚木…さん? 大丈夫?」
「え? 何言ってるの?」
「辛そう…」
「そんなことないよ、南君のおっきいけど」
「………」
 ぐぐっ…ぐぐ
 ぷち、ぷちと切れていくような感触が伝わってくる。とても痛そうだ。
「…ウソついてる」
「そんなことないよー」
 柚木さんが手をひらひらと振る。
「………」
 ぐぐ…ぐっ
 俺は心配に思いつつも、結局最後までアレを入れてしまった。
「入ったね」
「うん…」
 笑っている様子を見ていると、やはり柚木さんの処女を奪ってしまったという実感は湧いてこない。
「動かないの?」
「動いて良いの」
「とーぜんだよ」
「…わかった」
 罪悪感もあったが、これからどうするにしても一度ペニスは引かなくてはならないのだ。俺はやっと入ったと思ったペニスを抜いていく。そこでまた、ぷちぷちと切れていくような感触が伝わってくる。どうにも痛々しかった。
 でも気持ちがいいのは紛れもない事実だ。
 里村のような美人タイプとは違って、割とありふれたタイプの顔だけど、胸も小さいけれど、柚木さんは誰の目から見てもかなり魅力的だ。その中に俺が入っているというのは結構すごい事だと思う。そういう見た目の働きがどれくらいあるのかはわからないけど、メチャクチャ気持ちいいのは確かだった。
「中途半端なとこで止まって、何考えてるのかなっ」
「…柚木さんのコト」
「なまいきー」
「………」
 ぐぐぐっ…
 俺は半分照れ隠しもあって、柚木さんの中にペニスをまた押し込んでしまう。
「あ」
 柚木さんが、また表情を少し苦しそうにした。もちろん、彼女はそれを何としてでも隠そうとしているみたいだったが…
 俺は何か出来ないものか考える。
 ないことはなかった。
「………何するの?」
「ちょっと…」
 そう言いながら、俺は柚木さんと繋がっている部分の近くに指を伸ばした。割れ目の中の、ある部分。自分の知識に従って、そこをちょこちょこと触ってみる。
「何してるの?」
「ここ、どう?」
「なに? ひょっとして、えっちなこと考えてるの?」
「えっちなことって…」
 今さらそんな言葉を言われるとは思わなかった。俺は半ば呆れつつも指を動かし続ける。
 柚木さんはぷくっと頬を膨らませたまま俺をにらんでいた。そしてそのまま何も言わなくなる。ちょっと意外だった。
 静かになった空気を久々に楽しみながら、俺は指を動かす。柚木さんの前でお互い何も言わずにいることなんて、会ってから初めてのような気がした。
 黙っていると、いつもとは違った可愛さがあるように思える。そもそも裸なのだから、いつもと違ったものを感じるのは当たり前なのかもしれないが…いつもと同じようにやり取りしていたせいで、そういう普段と違ったものを感じさせることすらなかったのだ。
「え、えっちっ…」
「え?」
「南君、えっち」
 突然柚木さんが言い出す。俺は何を言っているのかよくわからなかった。
「どういうこと?」
 俺はそのまま指を動かし続ける。
「えっちぃ…」
「だから、どういう…」
 その時、俺はペニスをくるんでいる感触がさっきよりもずっと熱くなっているのに気づく。ほんの少し前まで、そんなに熱さを感じさせる風ではなかったのに…
「もういいよ…普通に動いてよう」
「ん…でも」
 俺は言いながら、軽く腰を揺すった。
 ちゅくっ…
「あれ?」
「もう、大丈夫だよ、きっと」
 ちゅく、ちゅく…
「これって…」
「…ぶぅ」
 柚木さんがまた頬を膨らませる。
 俺は慎重に腰を引いてみたが、さっきよりも柚木さんの中はずっと滑らかになっていた。さすがに、俺も何が起こっているのか理解する。
「感じてたんだ…」
「えっちっ」
「柚木さんの方がえっちだよ」
「南君の方がえっち」
 なんだか、柚木さんの目が潤んでいる。そんな物を見るのは初めてだ。
「柚木さんの方だよ」
 ちゅくっ、ちゅくっ。
 俺はさっきよりも格段に動かしやすくなった柚木さんの中で、アレを動かしていく。柚木さんのねばねばしたあそこの中に擦られていると、ずっと柚木さんの中に入りっぱなしだった俺のアレはたちまち限界まで追いやられてしまった。
「………でるっ!」
 …ちゅぽっ。
 俺は一気に柚木さんの中からアレを引き抜く。
 びゅ、びゅ、びゅっ…
「うわ」
 びゅ、びゅ…びゅる
「……はぁ…」
 柚木さんの下腹部から胸辺りに掛けて精液を出し尽くしてしまうと、俺は脱力した声を出した。動いている時間は少なかったのに入っている時間が長かったせいか、妙に疲れた気分だ。
「いっぱい出たね…」
「うん…」
「南君、えっちだね」
「それとこれとはあんまり…」
「南君、えっちだね」
 柚木さんは言い続ける。
「…柚木さんもね」
「今度4人で甘い物屋さん行きたいね」
「そんなとこ、普段行ったこと無いな」
 脈絡のない柚木さんの台詞にも、俺は自然に答えていた。
「でも、行こうよ。4人でね」
「…うん」
 互いの初体験を終えた後のやり取りとしては、あまりに変だったかもしれない。
 でも、俺のアレやシーツにちょっと血が飛んでいて、本当に柚木さんは初めてなんだということをしっかり示している。
「………」
「ぼーぜん…」
 柚木さんは自分でそんなことを言いながら、体に飛んだ精液も拭かずに目を閉じてしまった。



11/12
(7/1の続きです)
「うぉっ…」
「んふぅぅ…」
 のしかかってきた詩子の顔が、眼前に迫る。
「やめろ、やめ、やめ、お前はやめろ」
「なんでぇ?」
「まずい、お前はまずいっ」
「なんで澪ちゃんがよくてあたしはだめなのよぅ」
「お前は、お前はシャレにならんっ」
 浩平は詩子に簡単に押し倒されてしまうほど鈍い動きしかしない体を、必死によじらせる。今にもキスされてしまいそうな詩子の顔から、何とかして顔をそむけようとする。
「なんでぇっ?」
「うーっ…ううう」
 唇が至近距離にまで迫って、アルコールを帯びた詩子の吐息が直接口の中に入り込んでくるほど近くに感じられる。何をしでかすかわからない不安定な瞳が浩平をじぃっと見つめる。
「お前はどう考えてもアウトだっ、あとあと冗談じゃ済まされない…」
「なんでよぉ」
「だめだっ、だめだっ、だめだめだめっ」
「…けちぃ」
 詩子が、顔を上げる。
「…そ、そうだ、こんな事やめろ」
 意外と素直な反応に、浩平は胸を撫で下ろす。
「よいしょ…」
 詩子はそのまま、浩平に背中を向けて胸の辺りにまたがる姿勢になった。
「く、苦しいぞ…お前、早くどけ」
「澪ちゃぁん?」
 浩平の言葉を聞いているのか聞いていないのか、詩子は間延びした声で澪を呼んだ。
 とてとて…
 少し離れた所で顔を拭いていた澪がやってくる。まだ白い液体が顔のところどころに残っていたが、べとべとというほどではなくなっていた。テーブルの上には、拭き取るのに使ったティッシュの巨大なボールが出来ている。
「澪ちゃん、こっちおいでっ」
『わかったの』
 まだ酔いは全然醒めていないようで、平仮名だというのに読みとりにくい事この上ない。
「スカートとパンツ、脱いでぇ」
「おい!?」
『わかったの』
 さっき書いたスケッチブックのページを、また澪が見せる。
 しゅるる…
 そして澪は、子供が服を脱ぐときの仕草そのままでスカートとショーツを一緒にずり下ろしてしまった。
「み、澪、こいつの言うことを聞くなっ!」
 浩平の位置からは詩子が邪魔になってよく見えないが、澪が本気で脱いでしまったのはわかる。澪の状態を見れば、詩子の言葉と好奇心だけで何をしでかすかわからないのは一目瞭然だ。
「そうっ、そしたらぁ、私の前に来て」
『わかったの』
 またスケッチブックを見せる。今の澪には、そのページくらいしか用はないようだった。
 とてとて…
 また澪が危なっかしい足取りで歩いている音が聞こえる。
「柚木っ! どけっ! 離せっ!」
「離さないもぅん」
「こっ…あっ…み、澪…」
 詩子とやりあっている間にも、澪は詩子の体の真っ正面の位置に来ていた。浩平の腰の辺りをまたぐ状態で立っている。詩子の体があるから、浩平に見えるのはリボンをつけた澪の頭と、全然焦点が定まっていない瞳くらいだが…
 もし詩子の体が邪魔していなければ、澪の素っ裸の下半身が見えてしまうはずだった。
「………」
 浩平は自分の言うことを聞かずにムクムクと頭をもたげてくるペニスを悟られないよう、出来る限りの平然を装う。あろうことか、そのペニスは澪の体の直下にあるのだ。今の状態で詩子が気づいたなら、何をされるかわかったものではない。
「澪ちゃぁん…」
 しかし詩子はそれについて何も言わず、澪の体に抱きついていく。詩子の方は座っているから、澪の腰の辺りに抱きついていく感じだが…
「!!」
 澪が、体を一瞬飛び跳ねさせる。
「ゆっ…ゆずき…」
 浩平は思わずうめくような声を漏らしてしまった。
「ん…んんっ」
 詩子は顔を正面から澪の体に押しつけていた。顔を横に向けて頬ずりしたりしているわけではなく、鼻先をぐりぐりと押しつけるような状態だ。
 ちゅ…ちゅっ
「!!!」
 澪が切なそうに目をぎゅっと閉じて、詩子の頭をぐいぐいと押さえ込む。詩子の頭がいくぶん前に行ったため、澪の上半身は浩平にもだいぶ見えるようになっていた。もちろん、肝心の部分は詩子の頭に隠れてしまって全く見えない。しかし、
 ちゅっ…ちゅぅ…ちゅく、ちゅく…
 ねっとりした水音と、詩子の頭の動き方と、息を荒くしながら詩子の頭を押さえ込んで悶える澪の反応を見ていれば、何をしているのかは明らかだ。
「んふぅ…澪ちゃんっ、気持ちいぃ?」
「………」
 かくかくと澪が首を縦に振る。
「ここはぁ?」
 ぺろ…
「!!」
 澪が舐め始めの時のように、大きく体を跳ねさせた。
 ぺろっ。ちゅく、ちゅく…
「……!!」
 詩子の頭を押さえていた手を、澪は片方口元に持っていた。そして舐めずる音がする度に、ピクンピクンと小刻みに体を震わせる。澪の顔はもう真っ赤だった。
「もう…こんなになってるぅ…澪ちゃん、びんかん…」
 じゅる、じゅる…
 舐める時に立つ音が、最初よりも相当派手になってきている。
 じゅっ。じゅううう…
 …ぽたっ。
 浩平のペニスに、温かい液体がしたたり落ちてきた。
(うっ………)
 ぽた。ぽた…
 また落ちてくる。恐らく、澪の中からあふれてきた液体なのは間違いない…
 じゅ…じゅる。
「んぅ…澪ちゃん、もうびしょびしょだぁ…」
 詩子の声が、それをさらに確信に近づける。浩平は、ペニスがいきり立ってくるのをどうしても鎮められなかった。
「澪ちゃん、しゃがんでっ…」
 こくっ。
「え!? お、おい! 柚木!?」
 思わず雰囲気に飲まれ掛けていた浩平が、一瞬で我に返る。だがその時にはもう澪は身を沈めていて、浩平の視界から消えていた。
「そうっ…そう、そうするのぉ…澪ちゃん…わかってるぅ」
 ぬち…
「うっ」
 ペニスの先に、熱くぬらぬらとした感触が生まれる。詩子が言う前に、澪が自分で腰を落としてきたようだった。
「動かないようにお○んちん手で持ってぇ、それでゆーっくり入れていってねぇ」
「待て、柚木…待て…」
 ぎゅっ。
 澪の小さな指が、ペニスの剛直を不器用につかむ。
「だ、だめだって…澪」
 ぬち…ぬぢっ…
 だいぶ弱々しい浩平の制止と同時に、浩平のペニスが濡れた柔らかい肉壁の中へと少しずつ埋まり始めた。
「そうっ…頑張って、澪ちゃんっ…」
 ぴち…ぴぢっ…
 ある程度まで入った所で突然澪の中から返ってくる抵抗が大きくなる。それでも澪が腰を落としてくると、何かを無理に剥がしているような感触と共にペニスがめり込んでいく。
 痛々しい感触だ。だが浩平にとっては、熟れたリンゴの皮に爪を立てるような甘美で新鮮な感覚だった。
 …じゅぐっ。
「うん…澪ちゃん、よく頑張ったね」
 澪がはぁ…はぁ…と少し苦しそうに息をしているのが聞こえる。
 アルコールが抜けていない浩平にとって、すっぽりとペニスが媚肉にくるまれる感触はひどく遠い所にあるような、あるいはものすごく近くにあるような、むしろ全身を柔らかな物でくるまれているような、不思議な感触だった。
「でも、もう少し頑張ろうね」
 詩子が言うと、澪が腰をずずっ…と上げる。
 …ずっちゅっ!
「ううっ…」
 そして、一気に落ちてくる。浩平のペニスは、狭いながらもそれなりに潤滑の液をたくわえた澪の膣壁の刺激をたっぷりと感じてしまう。
「うん…そう」
 ずず…ずちゅっ! ず…ずちゅ!
「澪ちゃん、キスしようっ…」
 詩子が言い、
「んっ…ふぅ…ん」
「………」
 ちゅ…ちゅる…ちゅる…
 ずず…ぢゅくんっ! ずずず…ぢゅっ!
 少女同士の唾液が絡む音と、澪が腰を上げては落とす音がただただ響き続ける。
「んっはっ…澪ちゃん…」
「!」
「痛いけれど、ここを触るとやっぱり気持ちいいでしょっ?」
「…! …!!」
「あははっ、澪ちゃんのココ、ピンピンになってるぅ」
 浩平のペニスに、詩子の指がぶつかる感触がある。詩子は澪の感じるところを刺激して、痛みを中和してやっているようだった。
 ずじゅっ…じゅぐぐっ!
 澪の中が、ますますぬるぬるした液体でいっぱいになってくる。狭くてきついのに、かなりスムーズに澪の腰を上げ下ろしが行われるようになる。
「う…うっ」
 もちろん、浩平はそのぶん快感を味合わされてしまう。
「もっと…もっと、もっと、澪ちゃん…もっとっ」
 ずじゅ…じゅぐっ! ず…じゅぐっ!
 詩子が急き立てるように言うと、澪の動きがさらに速まった。浩平の腰の奥から、きゅうぅぅっと熱い物が急激な勢いでせり上がってくる。
「だ…だめだっ! 澪、柚木、どいてくれっ!」
 浩平は慌てて叫ぶが、体はのろのろとしか動かなかった。詩子と澪の体重にしっかりと押さえつけられ、動けないままに浩平の限界の瞬間が刻一刻と近づいていく。
「ほら、澪ちゃん…澪ちゃんっ」
「!!」
 詩子が浩平のペニスに何度もぶつけながら指を小刻みに震わせ始めた。
「くぅぅ…」
 …びゅっ! …びゅっ! …びゅっ!
「あ…折原君、出した」
「う…」
 びゅびゅびゅ…びゅ、びゅ、びゅっ、びゅっ…
 詩子に宣言されてしまうと、タガが外れたように精液が澪の中に噴き出していく。
「気持ちよかった?」
「お、おい、柚木………お前、本当に酔ってるか?」
「え? 何言ってるのぉ? あたひ、酔ってなんかいないよぉっ?」
 詩子がふらっ、と今にも倒れそうな勢いで浩平の方を振り向く。
「あ…なんだか、あたひも眠くなってきちゃったぁっ、茜と一緒に寝てくるねぇっ」
 おぼつかない足取りで、詩子が浩平の上から起き上がる。
「お前…」
 千鳥足のくせにいやに速いスピードでリビングから出ていこうとする詩子を、浩平は何か言いたそうな目で見送った。
 つんつん。
「あ…」
 その時、浩平の胸を澪がつつく。
『もっときもちよくなりたいの』
 片手で、スケッチブックを示しながら…
「おい、澪っ…」
『ここをさわってほしいの』
 恥ずかしそうに目を細めた澪が、ヘアに全く覆われていない自らの秘裂を指で広げる。
 行為の間もずっと浩平の目に触れる事のなかったそこは、綺麗なピンク色をしていて、透明な雫によって驚くほど濡れていた。そこに浩平のペニスが突き立って、隙間から桜色の液体が流れだしている。
 澪の指さしたのは、割り広げた部分の上端近くにある、見逃してしまいそうな小さな突起だった。
「…澪…」
 浩平は、幼い性器と結合している事実に改めて唾を飲み込みつつも、吸い込まれるように指を澪の秘部に伸ばしていった。



10/9
「茜…出すぞ!」
 …どくんっ! どくんっ、どくっ…
「ああぅっ…ひぃぃっ!」
 茜が背中を大きく反らせて、濁った目で宙の一点を凝視する。何かに身を貫かれたような顔で、体を支えている両手を床に思い切り突っ張りながら、傍目に見えるほど全身を痙攣させる。その茜の膣内に、浩平の出した白濁液が激しくしぶいた。
「あ…うぁぁ…うぁ…」
 ひくひくと震える茜の前には、裸の詩子が立っている。ふっくらとした恥丘は、茜の唾液とおぼしき液体でかなり濡れていた。
「だめだよ、茜」
 詩子が手を伸ばし、液体でべとべとになった茜のあごをくいと持ち上げる。茜自身の涙液と汗、それから浩平と詩子への口唇奉仕による愛液と精液。額から口元まで、汚される事から逃げている部分は全くなかった。
「ふぅぅ〜っ」
 ばつんっ…ばつんっ
「あぐっ…あうっ!」
 浩平の強烈な突きに、茜は前にはじき飛ばされそうなほどの衝撃を受ける。絶頂の余韻に未だ震える身体はそれに耐えることができず、茜はがくりと床に崩れ落ちた。
 じゅる…
 少し浩平が腰を引くと、結合部分の隙間からあふれた白濁の液体がこぼれ落ちる。ほんのわずかな動きでも、媚肉の間からはあふれるように精液と愛液の混合物が垂れ落ちてきた。茜の濡れ方も、浩平の放出もおびただしいものだという事が分かる。床にはあちこちに半透明の液体が水たまりを作っていた。放出も、茜の絶頂も、一回で済むものではない。かなりの長時間にわたって茜が責め抜かれているのは間違いないだろう。
 ぢゅぐ、ぢゅぐ…
「ああっ!? も、もう許して…許してくださいっ…!!」
 それにも拘わらず、浩平は放出がまだ終わっていないペニスを再び抜き差しし始めた。絶頂が未だ続いている茜にとっては、膣壁をこすられる刺激はもはや苦悶と言っていい。たしかに、ヴァギナの中はごぷっ、ごぷっという水の入ったコップを振り回しているような大きな音が立つほどに液体に満たされていたから痛みなどはカケラもなかった。が、快感も延々と続いていれば喉を締め付けられるような苦しみに近くなってくる。
「まだ出るの? 折原君、何回目?」
「さーな…4回目か5回目か?」
「もうわかんないの? ずるいよー。私なんてまだ1回もイッてないのに」
 詩子が茜の頭を無理矢理持ち上げて、自分の股間を顔に押しつける。
「う…うぷっ」
「ほらっ、茜も折原君とおんなじくらいイッてるんだから。私にもちゃんとしてよ」
「うー…う…う」
 茜はぼろぼろと涙をこぼしながら、申し訳程度に舌を動かす。秘裂の中にもほとんど入っていかないような軽いクンニリングスで、詩子が満足するはずもなかった。
「だめっ、だめっ。全然だめっ」
 ばしっ…ばしっ!
 詩子は浩平の叩きつけるような抽送も利用して、茜の口を自分の性器にできるだけ強く押しつけるようにする。腰を上下させて、一番気に入っている所に舌が当たるような工夫もする。しかし肝心の茜が息も絶え絶えのような状態では、いくら詩子が努力しても強い刺激は得られなかった。
「どうしよう…こんなんじゃ私、全然だよ」
「そうだなぁ。柚木も我慢の限界か」
「だって、ずーっと私だけお預けはひどいでしょ」
「…じゃあここはどうだ」
「!!?」
 二人の会話の間、束の間の休息を感じていた茜の顔が一気に引きつる。
「やっ…やめてくださいっ…浩平!」
 茜が目の前の詩子の性器に、必死になって唇を押しつけた。
「そ、そうっ! そんくらいしないとだめだよっ…」
 詩子が嬉しそうに顔をしかめて、茜の頭をぐぐっと強い力で押さえる。それでも茜は頭をぐりぐりと前に押し込んで、詩子の秘裂の中でメチャクチャに舌を動かした。黙っていてもクリトリスに強い刺激が走り、詩子は待ち望んでいた痺れるような官能を得る。
 浩平の指は、茜のすぼまった後ろの穴の付近を警告するようにまさぐっていた。未知の恐怖感に、茜は無心で舌を動かしながら許しを請う。
「う…うう」
 やがて浩平が指を少しずつ離していくと、茜の舌の動きも収まってきた。
「だめっ!」
「!」
 しかし詩子の鋭い声が飛ぶと、浩平の指が動く前に茜は舌の動きをまた大きくしようとする。もはや体力的には限界が近づいていたので強い動きはできなかったが、酸味の強い液体を丁寧に舐めとっては飲み込み、進んで詩子のクリトリスを探り出してぺろぺろと優しく舐める。
「そう…うまいよ」
「ふぅぅっ…くぅぅぅ…」
 ばじゅっ…じゅぐるっ…
 そうしている間に、茜は早くも新しい絶頂を迎えそうになってきた。一度苦しみを越えてしまうと、また甘美すぎる快感が全身を包んでくる。そうなると、全身が高ぶっていたぶん意識が飛びそうになるのもあっという間だ。
「よし…茜、またイキそうだな? 俺もだ」
 明らかに常態とは違う精力を身につけている浩平が、圧倒的に宣言する。茜の細腰をつかんで、巨大なペニスを勢い良く抜き差ししていく。
「すごーい」
 詩子はにこにこしながら、ぐいぐいと貪欲に腰を動かして茜の舌から少しでも快楽を感じようとしているようだった。
「うん…やっと、私もイケそう」
「よかったな」
「うん」
 ぐぢゅ、ぐぢゅっ、ぐぢゅっ。
「うっ…ううっ、ううーっ」
 拘束されて会話を奪われているようなくぐもった声を出しながら、茜は詩子の性器に奉仕し続けた。
 ぐいっ!
「あっ…くはあああああっ!?」
 浩平が茜にのしかかるようにして、茜の胸を乱暴につかむ。そして、腰をがつんと押し込みながら激しく胸を揉みしだく。
「あっ、あっ、あっ…ああーっ!!!」
 崖っぷちでよろけるような数瞬のあと、茜は一気に快楽地獄へと引きずり落とされた。触手のように全身が快感に絡め取られ、頭の中が真っ白になる。
「うっ…!」
 そして、茜の最期の力を振り絞ったような強い口づけに、詩子もがくんっと全身を震わせて昇天する。
「よし…出すぞっ! これで最後だっ!」
 それと同時に浩平が茜の胸をつかんだままペニスを抜き、茜のヒップに押しつけた。
 どぴゅる…どぴゅっ、どぴゅっ…
 ヒップのラインに沿って砲台のように天をにらんだペニスから、放物線を描いてどろりとした精液が飛ぶ。そして、茜のロングヘアの掛かった背中にぽとぽとと降り落ちていく。
「…、…、…」
 茜の全身に、長い髪に、これでもかというほどの白濁の液が付着している。その状態のまま、幾度めとも知れない激烈な絶頂に身を震わせている。決定的なまでに汚された茜は、床に顔を突っ伏して半分以上気絶していた。
「ふぅ。もう俺も限界かな」
「そんなこと言わないでよ。私がまだ残っているよ」
「今、イッたんだろ?」
「まだ1回だもん…」
「ま、茜はもう限界かもな。柚木、上になれよ」
「うん…ほら、茜こっち向いて」
「う…」
 詩子は茜の身体を両手でつかんで、仰向けの状態に起こす。
「ほら…茜、見える? 私の」
 そして、ほとんど光を失いつつある茜の顔の上に秘部が来るようにして、茜が後ろから突かれていたのと同じような四つん這いの体勢になった。
「じゃあ、折原君、来てよ」
「…ああ」
 浩平はにやりと笑って詩子の後ろに回り、未だ硬度を保っているペニスを秘部にあてがった。顔面上で展開されようとしている性交、既にぽたぽたと落ちてきている愛液と精液。茜の顔は、もはや理性というものを示していなかった。



8/31
「…くぅっ!」
「大丈夫か?」
「へ…平気だと思うよ」
 詩子が顔をにこにこと笑みの形にする。
 それは滑稽でもあったが、目に涙が浮かべられてしまった以上無視するわけにもいかない。浩平はしばらく逡巡してから、シーツを掴みそうで掴んでいない詩子の手に自分の手を重ねた。
「な、なに?」
「お前、手震えてるだろ」
「か、感動してそうなるのかな」
「もう無理するなって。強がってても苦しいだけだろ」
「つ、強がりなんてしてないよっ」
 詩子はますます表情の笑みを強調してみせたが、それはほとんど張り付いた笑みのように見えた。何かあればすぐ崩れてしまいそうな、そういう不安定な表情である。
「だから、そうしてると俺がかえって気使わなきゃいけないんだって。痛いんだったら痛いって言えよ」
「い、痛くないし」
「いいんだって。俺を信用しろ」
 詩子の手の甲へ重ねた手に、力を入れる。力強く、それでも繊細になるように浩平は心がけた。
「折原君、別にあたし」
「いいから黙れ」
「だ、だって…」
「いいんだって。お前は口数が半分くらいになった方が可愛いんだよ」
「え゛」
 詩子がちょっとすねたような顔をしながら、ぼっと頬を赤くする。
「な、なにそれ、なんだかそれってっ…んっ」
 目を大きく開いて、硬直する。
『………』
 ごくわずかな沈黙の後、浩平は重ねた唇を離した。
「折原君…」
「そういや、してなかったと思ってな」
「不意打ちは反則だよ」
「知るか」
 浩平は詩子の頬を撫でながら、ゆっくりと身体を動かした。
「…つっ…あ…」
「そしたら、少しガマンしててくれるか」
「だ、だから大丈夫だって…」
「今はっきり痛がったろ。誤魔化さなくていいって」
「……」
 ず…ずっ。
 詩子はぷーと膨れて口を尖らせていたが、身体の方は固くしていた。どれだけ言おうと、浩平が動けば傷口がこすられているようなものなのだ。その中で無反応でいる事は、詩子であっても出来ないらしい。
「折原君は、気持ちいいの?」
 多少しおらしい声になって、聞く。
「ああ。すごい気持ちいい」
「ちょっとずるいよね」
「そういうもんだからな」
 ず、ず…
「はぁ…」
「どうした?」
「ううん、なんでもないよ」
 ず…
「…柚木、ほんとに後悔してないんだよな?」
 浩平が詩子のお腹を見ながら言う。
「してないよ」
「嘘は言わないでくれよ。嫌だっていうのなら、今すぐにでもやめるし俺は全然怒らない」
「違うよ…あたしは折原君にして欲しいって思ってるよ」
「…信じるぞ」
 ず、ず、ず…
 しばらくの間、二人は無言になった。浩平が詩子の中で動く、鈍い音と二人の乱れた呼吸音だけがする。
「…あのさ」
「…なに?」
 切り出したのは浩平だった。
「何度もしてれば、お前も気持ちよくなるようになるのかな」
「そういう風には言うよね」
「そうだな」
「なんか、それってあたしは実感ないけれど」
「…なんでだ」
「なんでだろうね」
 詩子はかすれた声で言いながら微笑んだ。
 ず、ず。
「お前って自分のペース崩れるの嫌がるからな。だからじゃないのか」
「そうかも…」
 浩平の顔の、10cmほど前方を見据えながら詩子はつぶやく。
「折原君、なんでそんなこと聞いたの?」
「いや、別に」
「ひょっとして、そろそろガマンできなくなりそう?」
「…なんでそうなるんだ」
「なんとなく」
 浩平は同じペースで腰を前後に動かしていった。
「………まぁ、そうかもしれない」
「思ってたより男の子ってだらしないんだね」
「うっさい。こういうもんなんだから仕方ないだろ」
「中、いいよ」
「え…えっ?」
「大丈夫だから。嘘言ってないよ」
「柚木…」
「いいよ」
 詩子はベッドの上に身を委ね、髪をさらっと上げながら言う。
 ず、ず。
「………」
「………」
 また二人は無言になった。互いを見つめながら、荒い呼吸で性交は続く。浩平は同じペースで腰を動かし続け、詩子はそれを受け止める。
「……っ」
 びゅ、びゅ…。
 とても静かに、詩子の中へ浩平は射精した。
「折原君のが出てる…」
「…ああ…」
 浩平は射精しながら身を倒して、詩子の上に重なった。
「熱いね…」
「お前の中も…熱い」
 それからさっきのようなゆるい口付けを交わし、浩平も詩子も目を閉じる。眠りにつくわけではない。ただ、何かから本能的に、無意識的に目をそらしたくなったという感覚だけは共有している。
 説明のつかない不安のようなものは、浩平の射精がいつの間にか終わっていてもわだかまって消える事はなかった。



7/1
「ほらぁ、ここだって、こんな、なってるでしょぉぉ?」
「や、やめろ、やめろっ、お前酔いすぎだっ」
「いいじゃないのぉ、折原君っ」
「くんづけやめろっ」
「なんでぇ、あたし、いつもそうやって呼んでるよぉ」
「猫なで声で言われると鳥肌が立つっ…」
「じゃあもっと言って上げるぅ、折原君、折原君、折原君のここ、かたいぃ」
「ぐあぁっ…み、澪、こいつ止めろっ」
 ほとんど期待はしていないが、藁にもすがる思いだ。
 案の定、澪は理解していない目でこちらを見ながら、アルコールにふらつく足取りで浩平達の方にやってきた。どう見ても役に立ちそうにはない。
「茜が気づいたらどうするんだっ、あいつ素面(しらふ)だぞ」
「起きてこないわよぉ、そんな簡単に」
「だ、だからって、万が一起きてきたら…み、澪、何考えてるんだっ!」
 すりすり…
 澪までが詩子の行為に参加し始める。ほとんど詩子の真似といった感じで自発的にやっているものかどうかは分からないが、浩平はパニックに陥らざるを得ない。
「やめ、やめるんだ、二人とも」
 浩平は後ろにずり下がる。動きが鈍くなった身体ではそれが精一杯だった。
 がしっ。
「ゆ、柚木っ!」
 いつの間にか後ろに回り込んでいた詩子にがっちり身体を押さえられる。簡単なはがいじめだったが、予想以上に力は強かった。それだけ浩平の力が弱くなっていたとも言えるだろうが、不思議なほど押さえつけるのが詩子は上手い。
「澪ちゃん、折原君のズボンきつそうだから脱がしてあげるといいよぉ」
「や、やめ…」
 しかし澪はためらいなく浩平のズボンのチャックに手をかけて、完全に下ろしてからボタンの方もはずしてしまった。それから思い出したように傍らに置いてあったスケッチブックとペンを取り上げて、
「わかったの」
 判読が極めて難しい、ぐねぐねと曲がった字で書いた。
「わ、わかるんじゃないっ!澪」
「澪ちゃんにまで手を出して、この色男ぉ」
「俺には何の責任もないだろ!頼む、澪、やめてくれ」
「もっとして欲しいって頼んでるよぉっ」
 こくこく。
 妙な納得顔で澪はうなずいて、トランクスとジーンズを一気につかんでずりずりと引き下ろしてしまった。身体の小さい澪がやると滑稽にも見えるが、浩平にとってはたまったものではない。
「こんなもの女の子の前に見せて、恥ずかしくないのぉ」
「お前らが…澪、さわるなぁっ」
 澪は正に興味津々といった様子で浩平のペニスをもてあそんでいた。既に固く屹立しているその部分は、その刺激を敏感に受け止めていく。アルコールのせいか、身体が浮かび上がるような変わった性感が感じられた。
 鈍くなった思考はそこに引き込まれていきそうになったが、浩平は必死で耐える。しかし、耐えるのが精一杯だった。もはやこの状況に引き込まれていると言った方が正しいかもしれない。
「そこ、ぺろぺろしてあげると折原君喜んじゃうよぉ」
 はむっ。
「わっ、うわっ、澪っ!」
 詩子が言うと同時に澪は反応していた。小さな唇で精一杯に浩平のペニスの先端をくわえこんでいる。浩平は腰が溶けていきそうな感覚を覚えた。
「だ、だめだ…そこはっ…」
「ほらぁ、段々良くなってきたんだぁ」
「ちが…ううっ」
 澪はそのままの状態で、舌をちろちろと動かす。先端だけの刺激とは言え、感覚が鋭敏な部分だ。小さな舌が小刻みにペニスの先を撫でる度、この上ない快感が浩平を走り抜ける。
「澪ちゃん、もっとたくさんくわえて、ちゅぽちゅぽ出来ない?」
「……」
 澪は何とかそれをしようと試みたが、どうにも上手くいかないようだった。涙目になりながら詩子の事を見つめる澪に対し、
「いいよぉ、折原君、澪ちゃんにぺろぺろされただけですぐに出しちゃうからぁっ」
「っ〜〜〜」
 首を曲げて詩子の事をにらんだ浩平を、詩子は目を細めた余裕の表情で見つめた。そうすると、何も言えなくなってしまう。図星だったからだ。
 澪は一生懸命に舌の動きを考えて、試しているようだった。そのひとつひとつが浩平の性感を高め、追いつめていく。その取り組み方は普段の澪の姿勢と変わらなかったが、こういう方向に向けられるとは浩平は夢にも思わなかった。どう考えても、少なくとも澪は、こういう行為の経験があるはずがないのだ。
 その無垢な純粋さに、とうとう浩平は屈した。
 びゅっ!
「!!」
 澪が満面を驚きにして、唇を離す。
 びゅびゅっ、びゅっ…
 呆然とする澪の顔に、白濁の液は勢い良く襲いかかった。たちまち澪の顔は浩平の出した精液でべたべたになってしまう。唇から髪の毛のリボンのところまで、所構わず白く汚れていく。
「はい、浩平君の負け〜」
「ま、負けってな…」
 浩平は思わずつぶやいた。
 澪は精液もふき取らずに、ペンとスケッチブックに手を伸ばしている。
「あ、澪ちゃん、ティッシュティッシュ」
 詩子はそれを制止し、ボックスティッシュを取りに行った。
 しかし澪は何か書いている。浩平からでは文字がさかさまにしか読めなかったが、何を書いているのかわかった。
「びっくりしたの」
「お前なぁ…」
 浩平は深いため息をつく。この後どうするかという事より、今の脱力感の方が大きかった。


6/9
「ふ…!?は…うぅっ、うっ、うっ」
 股間に埋めた顔が上下左右に激しく動かされる。
「あ…ちょ、ちょっと強すぎるよっ」
 やや余裕を無くした声が上がり、茜の頭に軽く手が添えられる。
「ほら、もっと優しくやってよ」
「んん…ん、んっ!」
 詩子の声の言うことなどまるで気にせず、茜は秘裂の間に差し込んだ舌を無茶苦茶に動かした。不慣れな動きではあったが、何かから逃れようとするような切羽詰まった動き。それは、茜に痛みとぎりぎりの強い快感をもたらしていく。
 それとは別に、じゅぶっ、じゅぶっというくぐもった水音が聞こえてきていた。茜は背後から犯されているのだ。ついさっきまでは未経験であったはずの茜のヴァギナには十分すぎるほどの愛液が溢れかえっており、男のペニスをやすやすと受け入れてしまっている。
「うっ…締め付けるな」
 その声は浩平だった。
「ちょっと前まで処女だったのにね」
「う…ううっ、ううっ」
 アイマスクがつけられている、視界が遮られた状況。その状況で背後から突かれている。
 そういう異常な状態であるにも拘わらず、膣壁がこすられる度に恐ろしいほどの快感が走った。茜が自ら性感を開発してきたクリトリスでは感じられなかったような、別種の快感が次々に生まれていった。
 「詩子」が飲ませた媚薬のせいだとわかっていても、その感覚を無視する事は出来ない。嫌だと思っても腰が動いて、ペニスの動きに応えてしまう。その事を忘れようとする衝動が、無意識のうちに「詩子」への激しいクンニリングスになっていった。
 もはや、茜の理性は飛んでいる。
「………っ」
 突然、後ろから突かれる動きが止まった。
「…あっ…浩平、やめないでくださいっ」
「欲しいのか?」
「は…はい」
「茜、すごいこと言ってるよ」
「結局、いつもこうされたくてたまらなかったってことだろ」
 じゅぶっ。
「ひーっ…ああっ」
 悲鳴のような嬌声の後の、安堵しきった声。
「ほら、なめるの止めちゃだめ」
 詩子の声に応えて、クンニリングスも再開する。
 じゅぶっ、じゅぶっという重い音とぺちゅぺちゅといういやらしい水音が重なっていった。茜の身体の奥底から、熱いものがせり上がってくる。これまでに何度も絶頂に導かれていたが、その中でも最大の波がやってくる。
 次第に、茜のヴァギナがひゅくひゅくと震え始めた。
「…イクのか」
「茜、イクの?」
 茜は腰と舌の動きを強くする事でそれに応えた。
「…………っ!!」
 ビクンッ!ビクンッ!
 茜の性感が爆発した。
「あ…ふぁ…あっ」
 力つきたように「詩子」の秘部から唇を離し、茜は力つきる。
「まだ、わたしイッてないのに」
「俺もだ」
「罰だよね」
「そうだな」
「まずはオナニー見せてもらうってのがいいよ」
 声だけが、茜の脳裏に響いていった…




5/28
「やめて…やめて、ください」
「どうして?」
「こ、こんなのおかしいです」
 茜は後ろ手に縛られ、足と手を柱にくくりつけられた体勢のまま訴えかける。顔には真っ黒のアイマスクがつけられていた。
「いいじゃない」
「だめです…」
「すぐに言うこと変わると思うよ」
「そんなはずありません!」
「嘘ばっかー。じゃあ試してみよっか」
「やめてくださいっ!」
 茜の懇願も聞き入れられず、つぅっと秘裂に指が一本添えられ、割れ目に沿ってなぞり上げられる。
 ぷちゅ。
「ひぅっ…」
「ほら…軽く触っただけなのに」
「ちっ、違いますっ!」
「私が触っているから気持ちいいんでしょ?茜」
「違います!あなたは詩子じゃありません!」
 しかし、確かに声は詩子だった。
 茜はがんがんする頭の中で必死に記憶を探る。詩子の買ってきてくれた紅茶のペットボトルに、さらにガムシロップを入れたものを飲んでいる間に意識がなくなってきて…
「でも、茜だったから楽チンだったなぁ。薬入れても甘さで全然わかんないんだもんね」
「な…なんの薬ですか」
「睡眠薬と、気持ちよくなれる薬」
 ぬぷ。
 指が無遠慮に秘裂の中に侵入してくる。ぬるぬるした液体の潤滑で、その指は自在に動き回りながら茜の秘部をいじくり回った。
「あっ…あ…あ!」
「茜のクリ、けっこー大きい…ひょっとして触ってる?意外ー」
 茜はアイマスクの下でぼろぼろと涙を流しながら、頭を必死で振って否定した。しかし、それで指の与える刺激を忘れられるわけではない。細いしなやかな指の感触が、最も感じる部分を容赦なくこすり立てる。
「茜…やらしい」
 いつもの友人のままの脳天気な声に、貶められる。それがとどめだった。
「うっ…うう…」
 何かが崩壊する感覚を味わいながら、茜は身体をびくびくっ…と震わせていた。