Daily-EROtic 由綺

12/12
(10/25続き)
「………」
 とさり、という軽すぎる音が立って片耳だけに付けられていたイヤホンが落ちる。
 そのコードの先は、まだ再生中であるウォークマンにつながっていた。由綺の元に音を届けなくなった今もなお、くすんだ音を立てながらテープだけはグルグルと回り続けている。
 元々両耳のぶんのイヤホンはついていない、安物のウォークマンだった。15年前から価値だけを著しく落下させてタイム・スリップしてきたような無骨なデザイン。テープを入れる部分も手で開け閉めするような物だった。
 それが弥生の手から渡された。
 たんっ…
 由綺は腰掛けていたベッドから立ち上がり、床を叩くような強い音を立てながら浴室の方に向かって歩いていく。


 サー…
 均一で強い水流が、シャワーノズルからほとばしり続ける。そのぬるめの流れの中にずっと由綺は打たれていた。
 その耳には、水を吸い込んだ髪がべっとりと掛かっている。浴室の狭い空間の中で、さらに由綺の音響空間は狭められていた。さっきのテープの内容にいたたまれなくなってシャワーを浴び始めたのに、ここでも由綺はイヤホンを付けているときと同じ心地にならざるを得なかった。
 しかも、視界も半ば以上遮られているのだ。必然的にその空白に入り込んでくるのは由綺の憂鬱を招いた原因である物に他ならない。
 茶封筒に入れられた数枚の写真と、46分テープの入れられた安っぽいウォークマン。封筒は折り目もついていなかったし、ウォークマンは買ったばかりの物で電池も新品のマンガン電池が入っていたが…弥生のイメージにあまりそぐわないのは間違いない。
 弥生はそれを由綺に渡す時、「藤井さんの事をこれで判断してください」と言った。
 もちろんそこに表情の変化など無かったのだが、そんな渡され方をして安心していられるわけがない。しかもそれを見て、聞いて、由綺が知ったのは予想をはるかに上回っている事態だった。
 予感がなかったと言えば嘘になってしまう。それでも、最後の最後まで冬弥と理奈の事を信じてしまうのが由綺で…その最後の一線をためらいなく崩してしまうのが弥生だった。
 そしてそうなったとしても、理奈と冬弥の事を素直に憎んでしまう事は由綺にはできない。弥生の事を恨むというのも筋違いだ。結局、そのやりきれない感情は自分を責めてしまう。冬弥に気を使う事ができなかった自分、冬弥に一方的に依存していた自分…という所に悲しみが向いてしまう。
 ……ざっ
 由綺は額に張りついていた髪を一気に上げた。
 弥生もフォローしなかったわけではない。「決して、由綺さんが責任を感じられる事ではありません」という、最も端的な形で由綺に諭していた。その後二人で、『エコーズ』とは違う喫茶店に行って長い時間を掛けながらハーブ・ティーを飲んだ。
 あのBMWで送られ、マンションの入り口で別れた時、由綺は弥生に「大丈夫だから、弥生さん心配しないで」と微笑んでいる。
 演技が下手な由綺にしては上出来の笑顔であったはずなのだが…弥生は、長いコートに迎え入れるようにして、由綺を抱きしめてきたのだ。
 ……きゅぅっ。
 ぽたっ…ぽたっ…
 由綺はシャワーの水流をようやく止める。水滴の音すらも、それなりの大きさを持って由綺の耳に伝わってくる。
 シャンプーさえ済まさぬままに、由綺はその音から逃げ出すようにして、浴室から出ていってしまった。


 由綺はまたベッドに戻ってくる。
 既に夜間着に着替えてしまっていた。一応ドライヤーは当ててきたようだが、まだ髪は生乾き気味だ。だが由綺はそのままベッドに上がって布団の中にもぐり込んでしまう。そうしたかと思うと、すぐに目を閉じた。
 それだけ由綺が疲れているのは間違いない。眠気に勝てず、やるべき事を出来ない子供のような行動パターンに従うしかないほどに。
 …それなのに、一度目を閉じてもすっと眠りに入り込んでいくというわけにはいかなかった。
 まるで由綺が聴覚と視覚の領域を自ら好んで空白にしようとしているように見えてしまう。本当はそれから逃れようとしているのに、結果的には由綺が憂鬱な記憶から逃げることはできないのだ。それは由綺の性格による所も大きいだろうが、たとえそれを自覚していたとしても状況が変わるわけではない。
 何も、しなかったならば…
 ………
 由綺が、布団の中に収まっている手を小さく拳にした。
 この状態でも、何かすることができないわけではない。そして由綺がそれをした事がないわけではない。
 もっとも、それを初めてしたのは1週間前のことだが。
 きっかけが何だったのか、由綺自身にもよくわからない。滅多に会えなかった冬弥の態度がますますぎごちなくなったのはもう少し前からの事だし、音楽祭が終わってからはむしろ仕事の負担は少なくなってきているのだから、仕事のストレスにその原因を求めるのも違うような気がする。
 どこからか、いつの間にか忍び寄ってきていた何かにそっと絡め取られた。そんな感じだ。自分の中から生まれた物なのか、外から生まれた物なのかもわからない。気が付いたら由綺はそれをしていて、気が付いたらそれが終わっていて、気が付いたら二回目、三回目をしていたのだ。
 だから、今日が七回目になっても特別驚くようなことではない。憂鬱になるような事が起こったから、といった理由を求める必要はなかった。無論恥ずかしさは消えていないが、だいぶ薄れてきてしまったのは否定できない。どんな行為であるにしろ、ここは閉じられた由綺の自室なのだ。
 ……する
 思考の間にも、由綺の指はパジャマのウェストの部分の内側に入り込んでしまった。そこまで来れば、もう戻れない。
 由綺の指先に少し力が入ると、淡い桃色のショーツの中へと行為が侵入していった。
「………」
 仰向けだった身体が、横に向く。隠そうとしているのか無意識か、由綺は壁の方を向いていた。
 …しゅ、しゅ…
 秘裂のラインに沿って、素早く指が数回動いていく。素っ気のない動きではあったが、それを終えて由綺が指をスリットの中へと導くと指先には滑らかな液体が絡んだ。今の刺激だけで、身体を反応させてしまったようだ。
 ちゅ…ちゅく
 ショーツの中にあふれ出すほどではないにしろ、指をスムーズに動かすのに全く支障がないだけの潤滑液は出てきていた。その密やかなぬめりを指に帯びさせてから、由綺の指が一点を目指して動く。
 由綺自身も自分の目ではっきりと見たことのないその部分は、既にわずかながらも充血し始めていた。由綺は自分の指の先に伝わってくる感触でそれを認識する。
 一週間、七日の間にも由綺の身体はどんどんと敏感になっていくようだった。一日一日の差を見てみれば大した事がないのかもしれないが、まとめて見ればかなりの変化だ。
 くっ…くっ
 由綺はその突起をこする。位置を確かめるような弱い刺激から、段々とはっきりした強い刺激に。横に寝転がった状態から、腰を奥に引き、身体全体を少し丸めて、ただただその一点だけをこすり続ける。布団を剥いでしまったなら、由綺が快感を貪欲にむさぼっているような仕草をしているのが見えることだろう。しかし本人にそれは意識されない。ひたすらに自分の官能に沿った動きをするだけである。
 くっ…くりゅくりゅ……
 ぷちゅぷちゅと蜜液がこぼれ出すのに合わせ、由綺の身体の奥からふわーっと熱い物がこみ上げてくる。由綺は身体をもっと小さく丸め、目を閉じたままかすかに眉をしかめ、その部分を無心に擦り続けていた。初めの頃は不安感に駆られて行為をやめてしまった事もあったが、今の由綺はもう全く躊躇をせずに指を動かすだけの心構えができてしまっている。
 くりゅっ…くちゅ…くちゅっ!
「………っ!」
 由綺が一瞬だけ身体を跳ねさせた。
「…んっ…はぁっ…はぁ」
 息を荒げながら、由綺は指をショーツから出して身体を少しずつ伸ばしていく。そして仰向けの状態に戻ると、由綺のしていた行為の痕跡は消えてしまった。
 だが、濡れてしまう程度も前より大きくなっていきたように思える。ひょっとすると、今もショーツが少し濡れてしまっているかもしれない。
 とは言っても、この行為を終えた時には由綺が心地よい眠りにすとんと落ちていけるのは事実だった。眠りを妨げる要因がある限り、この行為から容易に逃れることはできなさそうだ…そう思いながらも、由綺は美しい睡魔に抵抗をする事はなかった。



11/24
「ゆっ…由綺っ!?」
 理奈ちゃんが驚いた声を上げた。
 原因は、俺が気持ちよくなっている理由と同じ…要するに、俺のペニスを由綺がくわえた事に理奈ちゃんが驚いたのだ。
「んんっ…」
 由綺は理奈ちゃんの驚きを気にせずに、舌を使い始める。先の部分を舌で舐め転がす動きを、由綺らしい丁寧さで何度もしてくる。
「うん…由綺、もっと」
「と、冬弥君」
 理奈ちゃんは俺の方を向いて困惑した顔をしていた。
 ぬちゅぅっ…
 由綺はその間にも、口の中にくわえこむ部分を大きくしていく。そして根元までずっぽりとくわえこんだ状態で、口をすぼめたり開いたり、上下に小刻みにしごいたりの動きをしてくる。
 少しだけ憂鬱を感じさせる表情で上目づかいに俺を見る由綺は、なかなか大人っぽく見えた。いつもは冷静な理奈ちゃんが動揺しているせいで、それがますます際だっている。
 ちゅぽ、ちゅぽっ…ちゅる
 理奈ちゃんは由綺が俺のペニスを愛しているさまを、かなり長い時間呆然として見守っていた。実際、エッチについて由綺と理奈ちゃんを比較したならば由綺の方が大胆なような気がする。というより、理奈ちゃんが意外なほど奥手というか保守的なのだ。3人でしてみようと言った時も、由綺は割と抵抗がなさそうだったのに理奈ちゃんは結構戸惑っていたようだった。
 ちゅる、ちゅくっ、ちゅぷっ
「ゆ、由綺…! どいてよ…!」
「………」
 しかし、理奈ちゃんも置いてけぼりにされているのが限界になったみたいで、由綺にそう言う。
 ちゅぽん…
 由綺は俺のペニスから、いったん口を離し…そのまま舌を伸ばしてぺろぺろとペニスの先を舐め始めた。
「ゆ、由綺っ…!」
「理奈ちゃんも、一緒にしようよ」
「…えっ」
「ほら…こっち側を私がするから、理奈ちゃんはそっち側をしてあげて」
 由綺が微笑みながら言う。
「そ、そんなの…」
 ぺろ、ぺろ…
 由綺は理奈ちゃんの返事を待たずに、俺のペニスの片側を舌で舐め始めた。
「理奈ちゃん、冬弥君にしてあげないの?」
「で…できるわよ、私だってそれくらい…!」
 少し焦った声で理奈ちゃんが言う。そして、由綺の横に顔を寄せるような形で俺のペニスに口を近づけてくる。
 …ちゅっ
「………」
 理奈ちゃんはキスしている時のように軽くペニスの先を吸い立てて、不安そうに俺の表情をうかがった。
「うん、理奈ちゃんそれでいいよ。由綺みたいにしてくれる?」
「う、うんっ…」
 ぺろっ…ちゅ…ちゅく
 理奈ちゃんが舌を動かし始める。と言っても、由綺のテクニックには程遠い、吸ったり舐めたりの不安定なやり方だ。由綺はその横で、俺のペニスの左半分を根元から先端まで執拗に責め続けてくる。
 ちゅ、ちゅぅ
 だが、由綺の濃厚なテクニックと、理奈ちゃんの不慣れな動きはすごくいいコントラストになっていた。半泣きのような表情で俺のペニスに舌を這わせる理奈ちゃんの顔が、俺の欲情を沸き立てる。
 ちゅく、ちゅぽ、ちゅる…
 二重の快感に、俺の中から熱い物がせり上がっていった。
 …びゅるっ! びゅっ!
「ああっ…!」
「んんっ」
 その熱い液体が降りかかった瞬間、理奈ちゃんは処女を失ったときのような表情と声になった。一方の由綺は、相変わらずの大人びた余裕の表情の中に精液の射出を受け止めている。
 びゅ、びゅる、びゅっ
「………」
「うっ…うあっ…あっ」
 無言で射出を受けている由綺。ひとつ白濁液がほとばしる度に顔に不安を浮かべ、逃げてしまわないように耐えているのがわかる理奈ちゃん。由綺が微妙にペニスの角度をコントロールしているようで、俺の精液は見事なまでに交互の順番で由綺と理奈ちゃんの顔に掛かっていく。
 やがて放出が収まる頃には、二人は顔中を白い液体でべとべとにしてしまっていた。
 ちゅる、ちゅる…
 由綺はごく自然と顔に手を伸ばし、精液をこそげ取って口の中に運んでいく。理奈ちゃんもそれを見て真似し始めたが、明らかに由綺よりペースは遅い。表情もこわばっていて、本当に泣き出してしまいそうである。
 ちゅ…ちゅる
 …それでも理奈ちゃんは、由綺の倍ほどの時間を掛けながらも、俺の出した精液を最後には全部舐め取ってしまった。
 俺は、元アイドルの二人に、自分の出した欲望の液体を舐めさせてしまったのだ。
 そう思うと、改めて俺が色々な物を奪ってきてしまったのだということを痛感させられる。
 あの冬の日、暗いスタジオの中で口論をしていたふたり。新進ながらも、トップアイドルと言って差し支えなかったはずのふたり。その原因が俺、しかも二人の恋心の対象になってしまったためだったというのだから、恐ろしい。
 そこで由綺と理奈ちゃんが互いに手を出してしまった時、隠れていた俺が飛び出してしまったのが全ての始まりだったのだ。出て行くな、という英二さんの忠告にも拘わらず。俺も事態を泥沼にすることしか出来ない自分に、ほとほと嫌悪を感じてしまったものだ。泣きじゃくる理奈ちゃんと由綺を自分の胸に抱きかかえながら。
 しかし結果的には、由綺と理奈ちゃんと俺の誰が身を引くこともなく、今のこんな関係が出来てしまった。
 英二さんの忠告にミスがあったのか。それとも、英二さんはこうなってしまう事を予期して俺にストップを掛けたのか?
 実際、俺は英二さんから由綺と理奈ちゃんの両方を奪った。恋人としても。実力に満ちあふれたアイドルとしても。「音楽祭」の終了後、理奈ちゃんと由綺は相次いで芸能界から去ってしまったのだから…ボディ・ブローの一発や二発で済む問題ではない。
 それでも、英二さんの性格か、理奈ちゃんが何かしたのか、俺に降りかかってきた物はテレビ局でADのバイトが出来なくなったことくらいだったのだが…あとはマスコミの取材。しかし理奈ちゃんは俺と由綺に手取り足取りでそれからの逃げ方を教えてくれた。
 もう1年半が経っている。
 恐らく、ひとつだけ確かなことは、英二さんも俺も、ひょっとすると由綺や理奈ちゃんも予期していなかったくらいに、由綺と理奈ちゃんが一対一の恋愛関係に固執しなかったということ。
 あれだけインテレクチュアルな人でも、西洋的恋愛観が時に脆く崩れ去る事を実感として抱くことはできていなかったようだ。まして、俺などができるわけがない。
 …だが今俺は、現に二人の裸の女の子を目の前にしている。
「理奈ちゃん、ありがとう」
「え…あ」
「口でするの初めてなのに、由綺と同じようにしたんだからすごいよ」
「だ、だけど、由綺の方が…」
「ご褒美をあげるよ。こっち来て、理奈ちゃん」
「こっち…?」
 理奈ちゃんがおずおずと俺の方に近づいてくる。
「俺も、舐めてあげる」
「…えっ!」
「俺の顔の上にまたがってよ」
「…と、冬弥君…」
 理奈ちゃんは顔を真っ赤にした。しかしそのまま四つん這いの姿勢で俺の方にやってくる。そして、ベッドのスプリングをキィッと言わせながら俺の顔の上にまたがった。
「ゆっくり、腰落としてね」
「う、うん」
 理奈ちゃんが少しずつ腰を下ろしてくる。俺は陰になっている彼女の秘裂に、顔を上げて口づけた。
「あっ…!」
 予想していたよりも少しだけ早いはずの刺激に、理奈ちゃんが太股をぶるっと震わせる。
 ちゅぅ、ちゅっ…れろっ…れろっ
「あ、あ、あ…! 冬弥君っ…!」
 俺は理奈ちゃんの一番弱いところを目指して舌を伸ばした。理奈ちゃんも理解したのか、体を少し前に倒し、秘裂の上の方まで俺の舌が届くようにしてくる。
 つんっ…つん…れろっ、れろ…
「ああっ! ああっ、冬弥君っ…いい!」
 理奈ちゃんが綺麗な声を上げながら、悶える。舌の上に、彼女の恥ずかしい液体がとろりとろりとあふれ出してきた。
 その時、俺のペニスがつかまれる。由綺だ。
 見えないところで騎乗してこようとしている由綺を想像しながら、俺は理奈ちゃんの小さな突起をしつこく舌で責め続けた。
 …ぬちゅっ。
 ほどなく、俺のペニスはあたたかくてぬるぬるした由綺の中へと導かれていく。由綺には前戯なんか何もしていなかったのに、由綺の中はもうたっぷりと濡れていた。俺の視界から消えていた間に、何をしていたのやら…
 ずちゅっ、ずちゅっ…
「あ…あっ、冬弥君っ…いいよぉっ…!」
 由綺が腰を振り始める。俺のペニスが由綺の中で締め付けられ、きつい刺激を受け始める。さっき出したばかりだと言うのに、理奈ちゃんのあそこを舐めている間にすっかり復活してしまっていたようだった。
 ぐっ。
 俺は理奈ちゃんのヒップを押さえて、軽く持ち上げる。理奈ちゃんは俺の腕の力に逆らわず、そのまま腰を浮かせた。
「ねぇ由綺…理奈ちゃんの胸を揉みながらキスして上げて」
「えっ…!」
「と、冬弥君…」
「そ、そんなの…あっ!」
 俺がまた顔を上げてあそこをひと舐めしてあげると、理奈ちゃんはかくんと腰を落としてくる。俺はいくぶん息苦しさを感じながらも、再び理奈ちゃんの敏感な部分を目指して舌を伸ばし、そこを念入りに転がし始めた。
「理奈ちゃん…」
「ゆ、由綺っ…だめよっ…そこは…んんんんっ…!」
 二人の声が途絶える。キスしているのだ。女の子同士で。きっと、由綺は胸も揉んでいる事だろう。
 ちゅく、ちゅっ…れろっ、れろ…れろんっ
「んんっ、んんーっ、んんんっ!」
 理奈ちゃんが苦しげな声を上げている。しかし声の端々には甘さが感じ取れたし、俺の舌の上には理奈ちゃんの愛液がどんどんあふれてきている。理奈ちゃんは元々敏感な方だ。三ポイントの同時の刺激に感じないはずがない。
 ぐぐ。
 俺はまた理奈ちゃんのヒップを押さえて持ち上げる。
「うん、由綺、もういいよ」
「んふっ…」
「ぷはっ…はぁ…理奈ちゃん」
「由綺…私…」
 二人の声は嫌そうな物を何一つとして帯びていなかった。女の子同士でキスして、純粋に感じる事ができていたのだ。
「理奈ちゃんっ。由綺のあそこの…俺の今舐めていた所を指で触って、こすって」
「え…」
「わかるよね?」
「ク…クリトリス」
「そう…」
 俺が言わずとも、理奈ちゃんが言ってくれた。そんな言葉を理奈ちゃんが発するなんて、1年半前に想像できただろうか?
 しばし沈黙が生まれ…
「……あっ! 理奈ちゃんっ…!」
 由綺の嬌声が上がる。
 ちゅぱっ、ちゅる…
「んんぅっ…!」
 俺はまた理奈ちゃんのあそこを舐め始める。二回目だというのに、やはり理奈ちゃんは不意をつかれたような感じで腰をかくんと落とした。
 ずぐっ、ずぐぅ…
「あ…ああーっ…冬弥くんっ…!」
 そして由綺の中を突いてやる。止まっていた由綺の腰が、がくがくと動き始める。
 ちゅぱ、ちゅぱっ…ちゅぅ…
「あっ、あっ、ああー…理奈ちゃんっ…理奈ちゃん」
「ゆ、由綺…気持ちいいの?」
「う、うんっ、うん…理奈ちゃんの指、気持ちいいよぉっ」
 由綺の乱れっぷりが、俺の耳にもはっきり届いてくる。
「…私も…冬弥君の舌で、感じちゃうっ…!」
 そこへ、理奈ちゃんが叫んだ。
 じゅわっ…
 同時に、俺の舌の上へ大量の愛液がにじみ出てくる。
「と、冬弥君の舌、気持ちいいっ…もっと…もっと、舐めて…!」
「り、理奈ちゃん…わ、私も気持ちいいっ! 冬弥君のおち○ちん、気持ちいいっ!」
 ぢゅぐ、ぢゅぐ…
 由綺の熱い粘膜が俺のペニスを激しく刺激してきた。俺の中から、また熱い物がせり上がってくる。
「と、冬弥君…もう…私、ダメっ」
「わ、私も、私もっ、イクっ! 冬弥君、私イッちゃうよ…!」
 二人は互いを煽るかのように叫び続けていた。
『イ、イクーっ…!』
 そして、二人の声が美しいハーモニーを形成し…
 ビクンビクンビクンッ…
 びゅっ、びゅっ、びゅっ。
 俺は絶頂した由綺の中に、激しく射精していた。
「あっ…冬弥君っ…冬弥くんっ」
 ビクッビクッ…と痙攣しながら、理奈ちゃんは俺の顔にあそこを押しつけてくる。
「わ、私も中に出してくれなくちゃ嫌よっ…冬弥君…由綺だけ出してあげるなんて…ずるいっ」
 そう言う理奈ちゃんの言葉を聞いても、理奈ちゃんに人一倍独占欲や嫉妬心があるのは確かなはずだ。由綺はどうなのかわからないが…
 なのに、どうして俺は二人を愛し続けている事ができているんだろう? この状態が、維持され続けているんだろう?
 その正解はわからなかったけれど…俺はただ、この今の皆でつながっている感覚に身を委ねていくことにした。



11/17
「と…冬弥君っ…」
 由綺の声が震えている。
「ど、どうしたの? 由綺…」
 冬弥は胸に飛び込んできた由綺の体を反射的に抱きとめつつも、戸惑いを隠せない様子だった。
 外からは、何とも形容しがたい熱気のような物が伝わってきている。激しい喧噪があるわけではない。しかしごくごく静かなざわめきの中に、見えない存在感のような物が形成されている。冬弥と由綺のいる、この仮設の楽屋にもそういう雰囲気はビリビリと伝わってきていた。
「わ、私…からだが…」
 由綺は既にステージ衣装を身につけている。19時開演の野外コンサート。海の近くという事で爽やかなブルーを基調にしたシースルー気味の衣装だった。それだけなら少々安っぽいかもしれないが、細かいシルバーアクセサリが要所要所を引き締めて、衣装の全体としては由綺の体を華麗に彩っている。
 その衣装を、由綺を抱きしめている冬弥の体にすりつけるようにして…
「か、体がどうかしたの? 調子悪くなった?」
「う、ううん、そうじゃなくて…私…」
 不意に由綺が冬弥の顔を見上げる。その目は、いつのまにか涙で潤んでいた。
「と、冬弥君が欲しくて…たまらないの…」
「え…」
「こ、このままじゃおかしくなっちゃいそう…」
 由綺は再び冬弥の胸にぎゅっと顔をうずめると、きわどい部分を冬弥の腰に押しつける。
「で、でも…今は…」
「まだ時間は大丈夫だと思うから…冬弥君、お願い…して…」
 そう言って、由綺は冬弥の体からわずかに身を離す。
「も、もう我慢できないの…!」
 由綺は銀砂を流したような衣装の裾を、冬弥の前でたくし上げる。そして、やはり青系統の色をしているショーツをつかんでずり下げようとする。
「ま、待って! 由綺…その衣装、汚したら大変なんだから……」
「…あ…」
「わかった。わかった、ちゃんとしてあげるから、全部綺麗に脱いでよ」
「え…う、うん…」
 冬弥がそう言うと、由綺は多少落ち着いたようだった。
「………」
 する…
 そして、きちんと衣装の留め具をひとつずつ外して脱ぎ始める。それでも由綺は、明らかに欲望に衝き動かされていると分かるせわしない動作と呼吸のままだった。
 冬弥はそれを後目に、自分の服を脱ぎ去る。冬弥の服は普通のジーンズとTシャツ、ADをやるのに支障が無さそうな動き易さ重視の服だ。
 ちゃり…
「こ、これで、いいよね…?」
「うん…」
 由綺は最後に銀のブレスレットを外してプレハブの床の隅に置くと、ふらふらとした足取りで冬弥の方に近づいてくる。
「じゃあ、由綺、上になって」
「えっ…」
 冬弥は由綺の返事も待たずに、ベニヤの上に自分の体を横たえる。
「…うん…わかった…」
 由綺はわずかに緊張した表情になったが、やはり欲望の色の方がよほど強かった。冬弥の体を躊躇せずにまたぐと、由綺はそのままペニスの間際にまで一気に腰を落としていく。
 つぅっ…
「あっ…」
「由綺…すっごい濡れてる…」
 まだ何も刺激していない由綺の秘部から、透明な液体が糸を引いて冬弥の性器の上に落ちてくる。
「や、やだっ、冬弥君…」
 大きく開脚した自分がどういう風に見えているのか、由綺はその姿勢になって初めて気がついたようだった。しかし狼狽しながらも、由綺はねっとりした液体が光っている粘膜の部分を隠そうともせずに冬弥のペニスを握る。
「そう…そうやって持って、由綺の中に入れて…」
「うん…!」
 由綺は目を細めた、ひどく切なそうな表情でこくんとうなずいた。冬弥は思わず苦笑するが、ペニスの先に由綺の濡れた感触が生まれると多少緊張を顔に出す。
 ぬちゅる…
「んん…」
 指で真上を向かされたペニスに、由綺がぴたりと当てたヴァギナの入り口。
 ぷぢゅる…
「…あんっ…」
 由綺が腰を落とすと、そこがいやらしく口を開いてぱっくりと冬弥のペニスを飲み込んでいった。
 ぷぢゅ…ぢゅくっ
「はぁっ…と、冬弥君のが入ってるぅっ…」
「由綺の中…熱くて、ぬるぬるしててすごい…」
「い、いやだよぉっ…」
 由綺は恥ずかしげに顔を振ったが、それと同時に腰が動いて上下の運動を開始していた。
 ぢゅくっ、ぢゅくっ、ぢゅくっ…
「あっ…はぁっ…んああっ…! と、冬弥君…気持ちいいよっ…」
 長い由綺の髪が、冬弥の体の上で奔放に揺れる。これほどに由綺が乱れるのを、冬弥は見たことがなかった。
「由綺…こんな所でそんなに腰振って、恥ずかしくないの?」
「え…? だ…だって…」
 ぢゅく、ぢゅく…ぢゅくっ
 冬弥が少し意地悪げな口調で言うと、由綺は少し困ったような表情を浮かべる。しかし、腰の動きは一向に止まっていない。リズミカルな水音が、即席の建造物の中にこだましていく。
「か、体が…なんだか、おかしくなって…」
「由綺の体でしょ? 由綺って、いつもは奥手そうにしているけど、実は結構インランだったんだ」
「ち、違うよっ…!」
 さすがに由綺が腰の動きをゆるめる。しかし完全にストップさせるまでには至らなかった。
「外で待ってるお客さん、由綺が本当はこんななの見たらどう思うかな? みんな嫌うかな? それともかえって喜ぶかな?」
「ち、違うの…! 冬弥君の前だから…冬弥君以外の人の前で、こんなになんか絶対にならないっ…!」
 由綺は再び腰の動きを速める。ギシッ、ギシッとやわな床がきしみそうな勢いだった。
「じゃあ…俺と会えない間、我慢できなくなってひとりエッチしたりしてたんだ?」
「してないよ…! 本当…! 冬弥君に会えなくて、寂しかったけれど…こんなになっちゃったのは、今日だけだよっ…!」
 自らの正当性を証明するかのように、由綺はまた腰を激しく打ち付ける。それはむしろ由綺が淫乱であるという主張に見えるようにも思えるが、由綺本人はそんな事を気にせずにただ自分の激情をぶつけているようだった。
「…そう…」
「そうなのっ…本当…」
 由綺は目に涙を溜めて、がくがくと腰を振る。その涙は、思いを伝えようと言う必死の努力から生まれたものでもあったろうが、端的に言えば由綺が絶頂しかかっている徴(しるし)でもあった。
「…由綺…」
 冬弥の腰の奥からも、熱い物がこみあげてくる。
「だめ…私…イッちゃい…そう…!」
「俺もだから…一緒に…」
 そう言うと、冬弥は由綺に向かって手を差し伸べる。
「と、冬弥君…!」
 由綺はその手を固く握りしめると、支えの無くなった不安定な状態で腰を闇雲に振る。冬弥は跳ね上げるように由綺の中を突いて、その動きを助けた。
「ん…あ…あーっ!」
 …ビク…!
 びゅっ、びゅくっ、びゅくっ、びゅくっ!
 ビク、ビク…ビク…
「イ、イッちゃった…私…」
 呆然とした声で、由綺は自らの状態を口にする。
「由綺の中…ひくひく言ってる…」
 びゅ、びゅ…
「ん…はぁっ…冬弥君の…あつい…」
 冬弥の精を搾り取るような勢いで、由綺の中が収縮する。
「由綺…」
「とうやくぅん…」
 二人はそうやって交わったまま、かなりの間見つめ合っていた。
「……もう大丈夫?」
 そして、思い出したように冬弥が言う。
「う、うん…もう、大丈夫だと思うよ…」
「そしたら、後かたづけは任せて早く行きなよ。体はちゃんと拭いてね」


「…上手くいきました」
「そうですか…」
「ありがとうございます…って、一応言っておきますね。弥生さんのくれた、アレ…」
「いえ。こちらとしても、由綺さんのコンディションを高めておきたかったのですから、構いません」
「あれで、いいんでしょうか…?」
 本番直前、舞台の袖。弥生に後ろから忍び寄ってきて、顔を合わせずに会話する冬弥。
「欲求不満はあらゆる才能を台無しにしますわ」
 弥生は臆面もなく言った。その声からでは、本気なのかどうかよくわからない。恐らく表情をのぞけたとしても、それを判断することはできないだろう。
「そうですか…」
 冬弥は適当に相槌を打つと、舞台の闇の中へと目をこらして、中央にいるはずの由綺を探す。
 当然、由綺は既に衣装をしっかりと身につけて、アイドルとしての姿でいるはずだった。
 でも…
 由綺が行為の終わった後の部分をあまり拭かずに、中に冬弥の放った精をいっぱいにしたまま、あの場所に立っているなんて…それで、コロンの量を多めにすれば誤魔化せるよと言った事なんて…誰が信じるだろうか?
「…始まりますわ」
「…あ」
 弥生がぽつりと言う。同時に、幕の向こうの会場の方が一気に静まり返っていくのが分かった。
 …カッ!
 強烈なライトがステージを満たして…今宵のコンサートは始まった。



9/10
『由綺、ブラ取って?』
「うっ…うん」
 由綺は耳に受話器を当てたまま、左の手だけで背中のホックを外そうとする。
「え…えっと…ちょっと…待っててね」
『焦らなくていいって。俺がちゃんと見ているんだから』
「…うん」
 冬弥が言った瞬間、由綺は背中に冬弥の視線が生まれたような感覚を覚えてしまう。実際、ベッドの上に乗った冬弥がベッドに座っている由綺の後ろに回って愛撫するというのはあり得るケースだ。
 すると不思議に指の動きもスムーズになった。「冬弥の視線」が見ているはずの光景が、網膜に浮かんでくる。うまく引っかからなかった指が紐に触れて、ホックの部分を押しつぶすようにして弄くり回していく。
 …ぷっ。
「あ…」
『取れた?』
「うん」
 かなり無理のある体勢だったにも拘わらず、由綺のミルク色のブラジャーは由綺の肌を離れて脚の上に落ちていった。
「はぁ…」
 多少疲れを覚えた由綺が、ため息を吐き出しながら太股の上に乗ったブラジャーをつまんでベッドの上に置く。
『…じゃあ』
「う、うん」
 だが、冬弥の思わせぶりな口調が受話器の向こうから聞こえてきた瞬間、由綺の身体は一気に緊張する。そうなると、疲労感が一気に身体の熱さのように感じられるようになってしまった。
『まずは、右…』
「みぎ?」
『右の…』
「あ、あっ、うん」
 由綺があわてて右手を自分の乳房の所に持って行く。受話器を持っている方の手だ。
「あ、あっ」
 ぽろっ。
 …がたっ!
「あ…」
『もしもしー?由綺ー?』
 焦って左手に持ち替えようとして、受話器が床に落っこちる。遠い声が受話器から聞こえてきた。
「ごっごめん冬弥君っ!」
『焦んなくていいって』
 転がるように床の受話器に飛びついて、床に座ったまま由綺が謝った。もちろん、誰もいない空間に向かって頭を下げている。
『由綺、深呼吸』
 はぁー…
 返事すらせずに、由綺は受話器を耳に当てたまま大きく息を吸い込む。そして吐き出す。
『もーいっかい』
 はぁー…
『で、下も脱ぐ』
 しゅる…
「………」
『………』
 由綺は息を吐き出しながら、ショーツを膝の辺りまで下げてしまった。
「え、えっと、冬弥君」
『………』
 沈黙が返ってくる。
「と、冬弥君?」
 由綺は不安そうに問いながら、ショーツをさらに下げて、足首から抜き取る。そして半分に畳んで床に置く。
「もしもし?もしもし?」
 ぺたんと床の上に正座しながら、由綺は冬弥に呼びかけた。脚に伝わってくるひやりとした冷たさが由綺の緊張感を高めていく。
「もしも…」
『胸触って』
 不意に冬弥が言い放つ。
「…うん…」
 由綺はどきどきと高鳴り始めている事がわかる自分の胸に、そっと手を添えていく。今度は自然と左手が動いて、左の胸を触っていた。
 そのまま由綺は次の冬弥の言葉を待っていたが、冬弥は何も言おうとしない。由綺はその間乳房の表面をおざなりに撫でているだけだったが、自分で判断しろと言われているのだと気づくと指の動きを強める。
「ん…」
 由綺は鼻腔からわずかに息を漏らした。
 柔らかくこねるような指の動きは、膨らみ全体を撫で上げて最後にニプルをこすりながら抜けていく。決して弱くない刺激だが、強すぎることもない。本人の一番望むレベルの愛撫だ。
『今、どうなってる?』
「さ、触ってるよ…」
『もう立ってきた?』
「す、少し…」
『本当に少し?』
「少し…もうちょっとかも…」
 由綺の声は段々うわずってきていた。
『ふぅん』
 冬弥は冷静に返事する。
「ほ、ほんとだよっ…!」
『ふぅん』
「も、もう…!」
 由綺はちょっと怒った声になりながら左手での愛撫を続ける。さっきに比べると乳房を揉み上げる動きが小さくなり、代わりにピンポイントにニプルをこする動きになってきていた。
 ピンと尖って指の刺激に敏感に反応し始めたニプルは、既に由綺に明確な快感を与え始めている。充血の度合いも十分なようだった。
『………』
 それ以上何も言わず、冬弥はまた黙り込む。由綺はニプルの勃起がもう限界に来ていることを感じつつも、愛撫を続けざるをえなかった。少し苦しげに目を細めながらも、全く指の動きのペースを落とさずに刺激し続ける。
『…そろそろか?』
「うん…」
 上がってしまった吐息を隠しきれなくなってきたところで、やっと冬弥が言ってくれた。由綺は素直にうなずき、痛々しく腫れ上がったニプルから手を離す。
『じゃ、脚開いて』
「………」
 由綺は息を少しずつ吐き出しながら、正座した脚を開く。
 そして次の言葉を待ったが、やはり冬弥は何も言わなかった。由綺はこくんと唾を飲み込みながら、左の手をヘアの間に忍ばせていく。そのまま、割れ目に沿って指を上下に動かす。
 もうかなり高ぶっていた由綺の身体は、その刺激にすぐに反応した。割れ目の奥に隠れている粘膜の神経も研ぎ澄まされ始める。それに加えて、由綺の蜜壷の入り口もゆるみ始める。
『由綺、感じてる』
「そ、そんなっ…」
 冬弥がささやくように、しかし断定的に言うと由綺の身体はあっという間に決壊した。
 じゅく…
 にじみ出るように、恥ずかしい液体が割れ目の中にとろけ出す。
「………」
 由綺は頬を真っ赤に染めながらも、自分の指を割れ目の中に侵入させた。そして粘つく液体をたっぷりと指先に絡めると、包皮の下に隠れている小さな突起に指先を触れさせる。
「……!」
『…クリ、触った』
「ち、ちが…」
『触ったでしょ?』
「…ち…ちがっ…ちが…ちがわ…ないよ…」
 ぐりぐりと指を突起に押しつけながら、由綺は認めてしまった。はぁはぁと恥ずかしいほどに息を荒げているのを聞かれては、否定のしようがない。
『由綺、クリ剥いて』
「う…」
 まだ刺激し始めたばかりの状態だったが、由綺はおとなしく冬弥の言葉に従った。潤滑液の豊富さにまかせて、クリトリスを包皮の中から剥き出しにする。中途半端な勃起を見せている、ピンク色の突起が露わになった。
「あ…あっ、ああっ」
 由綺がそこをいじくると、強すぎるほどの快感が由綺を襲ってくる。直接クリトリスを刺激し始めるにはまだ早かったかもしれないが、少し感じる痛みすらも快感を際だたせるスパイスになってしまっていた。由綺はあられもない嬌声を、受話器を通じて余さず冬弥に伝えていく。
 それは、冬弥の指の幻想が段々と由綺を包み始めていたからかもしれない。細やかな自分の指の刺激であるのは間違いなかったが、時折聞こえる冬弥の声だけで由綺は冬弥の指が自分の敏感な部分をこすっている幻想に浸ることが出来た。
『どれくらい濡れてる?』
「そ、そんなに濡れてないよぉ…」
 乱れきった息を吐き出しながら、由綺は言う。無論指は一心不乱にクリトリスをこすり続けていた。
『じゃあ、受話器あそこに近づけて』
「!!」
『そうしたらわかるじゃん』
「あ…あの…ごめんなさい…濡れてるよ…」
『少しじゃないでしょ?』
「う、うん、かなり…」
『ぐちょぐちょ?』
「ぐちょぐちょ…」
 いやらしい擬音を自ら口にすると、由綺の興奮はますます高まってしまう。ほとんど熱に浮かされているように、由綺は耳に当てていた受話器を自分の性器に近づけていった。
 ぐちゅぐちゅぐちゅ…
 人差し指と中指でこすっていたクリトリスは親指でこするようにして、中指と人差し指で密壷の周辺を撫で始める。あふれ出た恥ずかしい液体がはぜる音は、受話器の向こうに全部聞こえている。
 ちゅぐっ!
「っ」
 由綺は二本の指を中に突っ込んでしまった。
 ちゅぐちゅぐちゅぐっ。
 そのまま、中を思い切りかき回す。さっきよりもややくぐもった音が、受話器を通じて響いていく。
「……と、とうやくぅん…」
 興奮が最高潮に達してきた由綺は、受話器を再び右の耳に当て直した。胸はこの上無いほどに早鐘を打っている。しかし由綺は左手の指を止めることはしなかった。
『エッチ』
「だ、だって、冬弥君に聞かれているって思ったら…」
『由綺、俺に隠れてしているでしょ?』
「し、してないよ!本当!」
『嘘っぽいなぁ』
「し、していないから、こんなになっちゃったの」
 恥ずかしさに独り顔をうつむかせながら、由綺は必死に声を絞り出した。
『しているから、そんなになるんじゃないの?』
「ち、違うの…こんなことしたの…生まれてはじめてだよぉ…」
『癖になりそう?』
「と、冬弥君が…聞いて…いてくれるなら…癖に…なっちゃう…かもっ…」
『由綺って、思ってたよりエッチだったんだ』
「冬弥君…だから…だよっ…!」
 由綺の声が段々途切れ途切れになってくる。一見してすぐにわかるほど、由綺の身体は快感で満たされていた。
『わかったよ…最後まできちんと出来たら、これからも聞いていてあげる』
「う、うん…ありが…とう…」
『嬉しい?』
「は…恥ずかしいけれど…冬弥君だから…嬉しいよ…!」
 由綺は目をぎゅっ…と閉じて、押し殺した声で言う。
『最後、どうすればいいかわかる?』
「わかると…思うよ…」
 由綺の腰が、ピクッピクッとひくつき始めた。しかし左手の指の動きはますます速まりつつある。
『きちんと出来なかったらだめだから』
「う、うん」
 ちゅぐっ…ちゅぷちゅぷ。
 由綺の中から漏れる水音が一層高くなり、クリトリスは充血してぬらぬらとした光を見せていた。由綺の絶頂が近いのは明らかだ。
「と、冬弥君っ…」
 由綺は叫ぶように言う。
『………』
「私…私…!」
『………』
 冬弥は無言を貫いた。
「イ、イクのっ!気持ちよくて…イッちゃうのっ!」
『何をして?』
「ひ、ひとりえっちして…ひとりえっち冬弥君に聞いてもらって、イッちゃうぅっ…!」
 由綺は脚を閉じて、身をぐぐっと縮めた。だが、脚の間に挟み込まれた指の動きは全くゆるめず、自ら容赦のない最後のとどめを刺していった。
「イっ、イっ…イクっ、イクっ!冬弥君っ!私、イクっ…!」
『由綺…思い切り、イッていいよ』
「う…ああぁっ!」
 ビクンッ!
 悲鳴のような叫びが上がり、由綺は胸を思い切り自分の脚に押しつけた。頭の先は床につけられ、跳ね上がった髪の幾筋かが床に流れる。
 ビク…ビク…ビク…
 全身を激しく痙攣させながら、由綺は絶頂した。吹き出すような勢いで恥ずかしい液体が密壷から飛び出してくる。
『イッた?』
「う、うん…イッたよ…」
 呆然としたまま、受話器をすがるように握りしめて由綺は答えた。
『聞いてるだけですごいエッチだった』
「だ、だって、冬弥君が…」
『言わないことまで由綺がしてくれるから』
「も、もぉ…」
 まだ身体はビクビクと痙攣していたが、由綺はちょっと笑いを浮かべながら抗議する。
『じゃあ、これからしばらくはこれでいくか』
「そっ…そうだね…」
『全く、森川由綺がこんななんだって知ったらファンがどう思うか』
「と、冬弥君の前だけだもんっ!それだって、恥ずかしいんだよっ…!」
『冗談冗談。じゃあ、ツアー頑張れよ』
「うん…」
『今日はもう寝た方がいいだろ。明日に差し支えるし』
「うん。お休みなさい」
『ああ』
 プ…ツー、ツー…
 由綺はしばらくの間、その機械音を耳にしながら惚けた顔で床にうずくまっていた。



7/26
「んっ…」
 思い詰めたような一息の後に、沈黙が訪れる。
「ゆ、由綺?」
 目を閉じて、何かを念じるかのようにしている由綺に冬弥は心配そうな声を掛けた。
「んん…」
 由綺がうっすらと目を開けて、何事か言おうとする。しかし、それは声にならなかった。
「だ、大丈夫?」
「んん…んんっ」
 また何か言おうとして、失敗する。由綺は呼吸を乱して涙目になりながら、おろおろとしていた。
 やがて、由綺の呼吸も元通りに戻る。
「由綺…」
 さすがに今度は、視線だけを上にずらした。ふたりの目が合う。
「あ、あのさ…」
 冬弥はその光景にやや気後れするものを感じ、口ごもる。
「そうしてくれていても気持ちいいんだけど…やっぱり、なんていうか、動かないといつまで経ってもさ」
「ん…」
 また何か言いそうにしてから、由綺は慌ててその言葉を引っ込めた。そして、じっと目の前に視線をやる。
「む、無理だったらやめようか?」
 ちゅぷっ…
 冬弥が言った瞬間、由綺の唇が前に動き始めた。ゆっくりと進んでいって、ついには一番深いところまで到達する。
「うん…すごく、あったかくって柔らかくて、気持ちいい…」
 また上目遣いになっていた由綺の表情が、ほっとした色を浮かべる。だが、由綺の顔を股間にうずめさせた冬弥にとって、それはぞくりとした魅力を感じさせるものになった。
 普段、ベッドに寝転がっているだけの由綺が、「してもらっているばっかりじゃ、わるいよね…」と言い出したのがきっかけだ。そして、冬弥がひとつの可能性としてフェラチオを示したとき、由綺は冬弥が動揺するほどに取り乱した。
 しかし、しなくてもいいと冬弥が繰り返したにも拘わらず、由綺は頑固にやると言って聞かず…今、実際にしている。
「えっと…動くの、一回だけじゃなくて、続けてくれると嬉しいんだけど…ほら、由綺の中に入っているのと結局はおんなじ感じにならないと、いつまで経っても…」
「………」
 由綺は少しずつ唇を後ろに戻して、くわえた部分を小さくしていった。
「う、うん、そんな感じだけど、もっと速くてもいいかな」
 ちょっとだけスピードが上がる。
「もっと…」
 また、もう少しスピードが上がる。
 数秒間かけて、由綺は先端だけをくわえた状態に戻った。
「けっこう乱暴にしても大丈夫だから。その方が気持ちいいし…」
「………」
 由綺はかなりの間躊躇していたが、やがて口の動きを再開した。
 ちゅぷっ…、ちゅぷっ…、という、5秒で1往復するくらいの動き。決して速い動きではなかったが、由綺はしきりに前髪をかき上げながら一生懸命に顔を上下させた。
「由綺…」
 冬弥は由綺の髪を時折撫でながら、じわじわと広がってくる快感に身を任せる。こんな事をしている時でも、由綺は由綺らしいんだな…と思いながら。
「今度は、舌、動かせる?」
「………」
 由綺が根元から上がってくる動きをゆっくりと止めて、先端をくわえた状態で硬直した。
「ぺろぺろっ、て…してくれると、すごく気持ちよくなると思う…」
 冬弥がそう言うと、由綺は意を決したように顔を少し前に出す。
「ん…」
 生じる刺激を予想して、冬弥は小さく息を漏らす。
 …だが、新たな刺激はいつまで経っても始まらなかった。
「え、ゆ、由綺?」
「………」
 由綺は目を閉じて、顔をぷるぷると小刻みに震わせていた。だが、顔だけは必死に前に出そうとしている。どこか矛盾した動きをしていた。
 そこまで来て、生理的に受け付けるか受け付けないかの問題にようやく思い当たる。舌で直接舐めるとなれば、これまで以上に味を感じてしまうのは間違いないだろう。
 ってことは、これまで由綺は結構我慢してやっていてくれたんだな…
「あ、由綺、いいよ。すごく気持ちよかった。ありがとう」
 冬弥はできるだけ自然に笑んで、腰を後ろに引いてペニスを抜こうとする。
 しかし由綺は、それを追いかけるように顔を前に出してきた。
「え?由綺、もういいよ」
 ちろっ…
「あ…」
 その瞬間、ペニスの先が滑らかに撫でられる感触があった。
 ちろっ。ちろちろっ…
「あ…ゆ、由綺、無理だったらすぐやめていいから」
 冬弥の中で、より快感の中枢を揺さぶられるような感覚が生まれてきていた。さっきまでとは違う、強力に神経を刺激される愛撫だ。由綺の丁寧なしごき上げによっていつの間にか出来上がっていた冬弥の性神経に、火が灯る。
 由綺は舌の先で、何度も何度も先の鈴口の辺りを刺激した。多少痛みにも似た刺激が走ることもあったが、不器用ながらも懇切込めたフェラチオに、冬弥は余裕を無くしていく。
「い、いいよ。このままだったら…もうすぐ」
 恐らく、ペニスの先端からは透明な液があふれて由綺の味蕾を刺激していることだろう。だが、由綺は顔を真っ赤にして、うっすらと汗を浮かべながら行為を続けた。もう、髪をかき上げる余裕もないらしい。邪魔な前髪が乱れたままになっている様子は、由綺の盲目的な愛情を感じさせると同時に、まるで由綺をレイプしているようで罪悪感を感じさせる。
「うん…由綺、最初みたいに上げ下げに戻してくれる?」
 直前まで高まったところで、冬弥はそう言った。由綺はすぐに最初と同じしごき立ての運動を開始した。多少慣れてきたのか、スピードは最初に比べて速くなっている。
 由綺が頭を上げ下げする度、ちゅぷちゅぷという唾液の音がしていた。そのぬめった締め付けに、冬弥はついに頂点まで追いつめられる。
「ゆ、由綺っ…俺、もう…」
「………」
 そう言うと、由綺は戸惑った様子を見せた。一度ペニスを口から離そうとして、またくわえ直す。そして何回かしごいてから、また慌てて口を遠ざけようとする。しかし、離すかくわえるかぎりぎりの所で逡巡してから、今度は今までにない激しいピストン運動を開始する。だが、その動きもすぐに遅くなってくる。
「ちょ、ちょっとっ…」
 冬弥は由綺の意志を確かめようとしたのだが、由綺が勝手にあれやこれやとしていたせいで、聞く余裕が生まれなかった。
 びゅびゅっ!
「っ!」
 反射的に由綺が飛び退いた。間に合わず、最初の一撃が由綺の口の中に飛び込む。
「んっ…んんっ」
 びゅっ、びゅっ…びゅくっ、びゅくっ!
 由綺が顔をしかめながら身体を離している間に、放出された精液は由綺の胸や腹部に掛かっていった。冬弥はペニスをどこに向けたかとも思ったが、そんな判断をする間もなく、由綺の身体に思い切り放出してしまっていたのだ。
 びゅっ…
「…きゃっ」
 最後の脈動が弱々しく行われた時、放心していたような由綺が突然冬弥のペニスに向かって顔を近づけた。飛び出た精液は、由綺の鼻の下を直撃する。
「ど、どうしたの?」
 礼を言うより、場の始末をしようとするより、冬弥は由綺の最後の不可解な行動を問うていた。
「の、飲んであげなくちゃいけなかったんだよね…私」
「な、何言ってるんだって。そんな事しなくても、俺は由綺が舐めてくれただけでびっくりしたし、嬉しかったって」
 それは本心だった。それに、由綺の言う事が本当なら、由綺は放出された精液を直接飲み込もうとして最後ペニスに顔を近づけてきたのだ。
「だ、だって…冬弥君は、私のを嫌がらずに…してくれるのに…」
「そりゃ、由綺のはきれいだし…」
「冬弥君はそう言ってくれるのに…私…」
 由綺は唇の上に垂れてきた精液に、口を閉ざす。
「う…うっ」
 だが、精液が唇の上を通過しても、由綺は舌を出して舐め取る事はできなかった。
「…ごめんね、冬弥君…私…こんなのじゃ…だめだよね」
「そんなことないって。こういう事して、はじめから男を満足させられるんだから、由綺は間違いなくエッチの才能あるって」
「冬弥君…」
 冗談めかして言った冬弥の言葉にも、由綺は暗い表情のままだった。
「あ…でも、最初に出したの、飲んでなかったっけ?」
「え?」
「いや、俺が出しちゃって最初のとき、由綺が口を離すの間に合わなくて、由綺の口の中に少し出しちゃったと思うけど…」
「えっ…えっ?そ、そうだっけ?」
「たぶん…ていうか、間違いないと思う」
「う、うーん…私は覚えていないけれど…」
「じゃあ、自然に飲んじゃったかな」
「そう…なのかな」
「…うん、そうだよきっと。ほら、由綺だって十分してくれてるじゃない」
「…冬弥君…」
「さてと、じゃあ今度は俺がお返ししないと。ほら、脚開いて」
「…うん」
 由綺はようやく表情を和らげ、そこにどこか恥ずかしそうな色を交えつつ、脚をゆっくりと開いた。そして少しだけ開いたその割れ目に、冬弥は舌を伸ばしていった…


6/6
 くちゅ、くちゅ、くちゅ、くちゅ。
「ふ…ふぁ」
 水っぽい音に、切なげな声が重なる。
 控え室に置かれたベッドに座って脚を開いた由綺。その秘裂には、すらりと細い二本の指が侵入してひっきりなしに刺激を与え続けていた。かなり手慣れた愛撫である。乱暴さと繊細さを巧みに織り交ぜており、動きのバリエーションも豊富だった。
 由綺は惚けた顔のまま、与えられる快楽にただ身を委ねている。背を少しだけ反らせて両手を後ろについた体勢は、為されるがままといった印象が強い。
 愛撫をしているのは…理奈だった。
 自らも身に何も纏わず、右手だけで由綺の秘部をいじくるタッチ。どこかダンサブルなイメージすらある。確かに、女性の身体を責め立てて嬌声を引き出す営みは、どこか楽曲的な営みに似ているかもしれない。それを知ってか知らずか、理奈の指の動かし方は極めてリズミカルだった。
 理奈自身も、無刺激で奉仕的な愛撫をしているわけではない。左手はしっかりと自らの秘裂に当てられており、思うがままの刺激を与えていた。由綺に負けず潤滑の液は豊富であり、四つん這いになった太股には透明な液体がたらたらと伝ってしまっている。
 万が一他人に見られたなら、スキャンダラスというだけでは済まない情景だった。だが、この部屋の外では弥生が見張りを続けているのだ。二人に誰かが入ってくるのではなどという心配は全くなかった。
「由綺…もう…いいかしら…」
「う…うんっ、理奈ちゃん、私、もう欲しい」
 こくこく、と由綺が頭を縦に振る。
「私も…もう我慢できないわ」
 理奈ははいずるようにしてベッドに上がった。由綺は身体をベッドに倒して理奈を待つ。
 枕の側に頭を置いて寝転がった由綺に対し、理奈は逆の方向に頭を置いて、同じように寝転がった。そして身体をゆっくり由綺の方に近づけていく。
 すぐに脚と脚が絡まっていき、身体同士の密着度が増していった。必然的に濡れそぼった部分の距離も縮まっていき…
 ぬちゅっ。
「………!」
「うっ…」
 ついには、密着する。いわゆる松葉の体勢で、二人は身を交わらせたのだ。
 ぬち…ぬちっ
「あ…ああ」
「い、いいっ」
 二人は悦びの声を上げながら、微妙に身体をスライドさせ合って秘裂がこすれ合う快感をむさぼった。目の前に来た互いの脚を抱きしめるように強くつかみ、必死で腰をくねらせる。直接的な刺激ではないにしろ、先ほどの愛撫でクリトリスを露出させている二人にとってそれは十分な性行為だった。
 ぐり、ぐりっと理奈が強烈な動きを加え、由綺がぴくぴくという痙攣にも似た動きでそれを捉える。その度に重なり合った秘裂はいやらしく変形し、愛液がほとばしって互いの身体に垂れかかった。
「由綺…私、もう」
「私、私も」
 お互いの確認の声が上がると、腰の動きがますます強くなる。ぐちゅぐちゅ、と粘膜の絡まり合う音が響きわたっていった。同時に、熱いものが腰の奥からせり上がってくる。
「あ…ひっ、駄目っ!」
「いっ…いっちゃう」
 ひくひくっ…と腰が震えたと思うと、ビクンっと二つの絶頂が合一した。
「あ…あ」
「はぁ…はぁっ」
 二人はその体勢のままで、恍惚とした表情を浮かべたまま余韻に浸っていた。
 その時、まさか二人は巧妙に隠されたレンズが一部始終を記録していたなどとは思っていなかっただろう。弥生があらゆる事に水の漏れる隙間もないほどの管理をしていると、二人は彼女を信頼しきっていたのだから。
 やがて身体を起こした二人は、深い口づけを交わして行為を終えた。